ケイ道栄

登録日:2011/12/13 Tue 18:49:03
更新日:2024/11/03 Sun 00:28:42
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おおっ 邢道栄を捕らえたか




斬れっ


追記・修正は、捕らえられても斬られなかった人にお願いします。

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【概要】

…という流れで一部で有名な、三国志演義に登場する零陵郡の太守劉度の配下。それがケイ道栄である。

「ケイ」は漢字で書くと「刑」の旁(右半分)を「邪」の旁に代えたもの。
正確に書くと邢道栄*1
姓がケイで、名が道栄。(あざな)は不明。

六十斤もの大斧(大まさかり)を自在に扱う荒武者であり、劉度の息子(実はこちらも架空)の劉賢*2曰く「関羽張飛もわけなく討ち取れる万夫不当の猛将」とのこと。

なお架空の人物と言われており正史「三国志」には一切登場しない。
劉備荊州四郡攻略時に登場するが、このエピソード自体正史では「太守の劉度が劉備に降伏した」位しか書かれておらず、モデルになりそうな人物も見当たらないのである。


【活躍】

零陵を攻める劉備軍に対して真っ先に出陣し「もっと歯ごたえのある奴はおらんのか!」と豪語している最中に諸葛亮と遭遇。
降伏勧告されるもこれを拒否し、好機とばかりに攻め寄るも、孔明の罠にかかり張飛と交戦し敗走。
さらにその敗走先に趙雲が待ち構えていたため降伏した。

そして劉備に即座に斬られそうになるも劉賢を説得することを条件に釈放される。
しかしケイ道栄の狙いは油断した劉備軍を待ち伏せすることにあり、話を聞いた劉賢もこれに合意。

だが、諸葛亮はこの展開を見抜いており、待ち構えていた劉賢軍は進行してきた劉備軍により壊滅され、肝心のケイ道栄本人は趙雲により瞬殺される…。

…なお、劉賢はケイ道栄に全責任を押し付けて降伏し父の劉度と共に命拾いした。



とまあ三国志演義内での描写だけではただの話題にもならない話を盛り上げるだけのモブ武将である。


しかし、時が経ち…!


【創作におけるケイ道栄】

◇横山三国志

三国志演義を日本に広く知らしめた横山光輝先生の漫画版三国志において、彼は弾けた。今現在、ケイ道栄の話題と言えばだいたいこれとなる。
史実はともかく今まで捕らえた敵将は解放するか説得させるかの温厚な劉備が、

「おおっ、ケイ道栄を捕らえたか」
(何の前置きもなく突然)「斬れっ

と突然の処刑を命じたこの1シーンはケイ道栄をネタ化させるのに十分であった。
曹操呂布董卓もここまで突拍子のない発言はしないであろう……。

もっとも、ぱっと見劉備の気がふれたようなこの発言は諸葛亮の策に従ったからであるとも取れる。
実際、むやみな殺生はいけないととりなした諸葛亮も上記のようにケイ道栄の行動を読んでいたわけで…。
まぁ、こんなこと言ってる諸葛亮も後に降伏した魏延をなんか信用できんから殺せと言うことになるんだが。

というわけでこの劉備の唐突な発言がネタとされケイ道栄と言えば「斬れっ」が定着してしまっている。


◇三国志演義

すべての大本だがこの時点で「斬れっ」ネタは始まっていたらしい。
子龍縛來寨中見玄德・孔明。玄德喝敎斬首
(子龍は縛って陣中に帰り玄徳と孔明に見せた 玄徳は斬首せよと言った)


◇吉川三国志

横山三国志の厳密な原作。
「詐言はおのずから色にあらわれる。軍師、こんな者を用いるのは無用である。早く首を刎ねられよ」との1文がある。
このように劉備に人間性を見破られたうえで結局「斬れっ」されることに変わりはなかった。


◇コーエー三国志

初代から皆勤。政治が低く武力が高めな脳筋テンプレ能力値で定着している。
所属する劉度軍では数少ない戦力として活躍できるが、別にこいつより強い奴はいくらでもいるので他勢力プレイで捕縛時にやっぱり「斬れっ」されることもしばしば。
ちなみに14のネタシナリオ「英雄乱舞」では魏延軍所属、つまり諸葛亮被害者の会に所属している。


◇三国志大戦

コスト1ながら、武力4で勇猛と復活持ちと、非常に優秀な歩兵。使用率ランキングでは、同じ歩兵の張梁と共に上位を維持していた。
だが2でリストラされ復帰することはなかった。公式に切られた

リブート後は漢軍の1コストとして登場、槍兵になったが武力が3に下げられ復活も奪われた。
だが勇猛は守り抜き、更に漢軍固有の特技である漢鳴を与えられている。
だが漢軍で1コストに漢鳴武力要員が欲しいという場面あまりないので、出番もない。黄巾族と一緒にいた時の方がまだ…


◇三國無双

ケイ道栄「ふぬはははは!私が蹴散らしてくれよう!
諸葛亮「予想の範囲内です。問題ありません
ケイ道ェ…
無双3の、この噛ませな台詞がよくMADの材料にされる。


◇G・A・D

2ちゃんねるの大相撲実況スレにおいて使用される、豪栄道関のニックネーム。
リズム感が似ているため、KDAから転じてこう呼ばれる。


【余談】

上記作品を別にしても、

  • 蜀軍を侮って挑発、諸葛亮の降伏勧告を跳ね除けると言う盛大な死亡フラグを立てる
  • その報いとして孔明の罠、張飛と趙雲と言う蜀の主将のフルボッコと言う生き地獄を味わう
  • それにもめげずに無謀にも孔明を騙そうと試みると言う死亡フラグを二重に立てる愚行を犯す  
  • 案の定見破られて死亡
  • 当の君主とその息子はあっさり降伏
と言う一見すると演義やられ役のテンプレ行為をすべて満たすと言う快挙を成し遂げると言う模範的雑魚キャラ。

…なんだが、

  • 出陣理由が君主の息子の意地にも拘らず快く引き受ける漢らしさ
  • 他の荊州の武将達が張飛、趙雲、関羽の一武将だけでアッサリ粉砕→配下に謀反或いは降伏させられる中、
    ケイ道栄は 孔明の策略を絡めた上で張飛と趙雲の攻撃を2度も受けると言うリンチにも等しい戦を強いられ
    事実上の完全敗北だったにも拘らず二度目の騙し討ちの際にも部下が裏切ったり寝返る者が出なかった
  • 最後まで君主を見捨てずに戦い、結果的に君主もその息子も命拾いした

という点を捉えて
  • 『ケイ道栄は本当に万夫不当の猛将であり、孔明の罠を用い張飛と趙雲の二人がかりでないと倒せない程の強敵であった』
  • 『劉備が即座に斬れといったのはその恐ろしいまでの戦闘力に驚愕し、かつての呂布に似た感覚を感じ取ったから』
  • 『君主の息子の反発心による出陣を快く引き受け、孔明の罠と二人の猛将によって敗北を喫しながらも尚戦いを挑み、自らの死によって抵抗を試みようとした劉賢と将兵を諌めて命を救おうと試みた忠誠心溢れる義将である』
等と考える人もいるとかいないとか。




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最終更新:2024年11月03日 00:28

*1 ただし、ケイは機種依存文字のため、以降も「ケイ道栄」と表記する

*2 一部のテキストでは「劉延」となっている。