登録日:2017/04/09 (日) 21:15:28
更新日:2025/04/26 Sat 20:50:35
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地下幻燈劇画 少女椿とは、丸尾末広の漫画「少女椿」を原作としたアニメ映画。1992年5月2日公開。
■概要
アニメ版「
星のカービィ」の絵コンテ・演出・原画でお馴染みの原田浩が、「絵津久秋」名義で演出・台本・作画を担当した自主制作作品でもある。
「扉絵 みどりちゃん見世物小屋へゆく」「第1歌 忍耐と服従」「第2歌 侏儒が夜来る」「終幕歌 桜の花の満開の下」の四部構成となっている。
元々劇場公開を前提とした作品ではなく、神社境内や地下室でゲリラ興行されていた。その特殊な形態と後述する事情ゆえにネットが発達した現在においても情報が乏しいが、通常の映画とは違い、上映している傍らで紙吹雪やスモーク等による特殊な演出が施されていた様子。
エログロ描写が多いことで有名であり、子犬の目玉や内臓が飛び出す様子や、ワンダー正光による観客虐殺シーンは
劇場版北斗の拳に匹敵するグロさを誇る。
1999年、スペインのサン・セバスティアンで行われたホラー&
ファンタジー映画祭で上映された後、成田税関でフィルムが没収・破棄されて以来、日本でのソフト発売・上映が禁止されていたいわく付きの作品である。
現在では2012年のカナザワ映画祭などで上映されたほか、2016年に
実写化されている。
主題歌は、みどり役の中美奈子が歌う「迷い子の
リボン」。
■あらすじ
時は昭和の時代。父に逃げられ、病気の母を亡くした少女・みどりは、「困った時はいつでも訪ねておいで」と言った山高帽を被った男性に騙され、見世物小屋『赤猫座』の下働きとしてこき使われることになる。
狂人や障害者ばかりの芸人達に虐められ、自身も芸人達を化け物と罵倒する日々を送るみどりだったが、
ワンダー正光と名乗る男が入った頃から彼女に転機が訪れるようになり…。
■登場人物
CV:中美奈子
主人公。年齢は10代前半辺り。
病気の母親と二人で暮らし、花を売って生計を立てていたが、ある日母親が
内臓をネズミに食い荒らされて死亡し、孤児となってしまう。
知り合いだった山高帽の男性の元を訪ねるも、そこで待っていたのは、ボロ雑巾のようにこき使われ、寝ている間に
レイプされて処女を失うという地獄のような日々だった。
しかし、自分に好意を持つワンダー正光のアシスタントになってからは立場が向上していく。
おとなしそうに見えて意外と気が強く、正光と出会って以降は、彼の威を借りて芸人達に口答えするなど腹黒い一面も見せるようになる。
泣き声がヒジョーに怖い。
実は
エヴァの
綾波レイの大本の元ネタではないかという噂。
CV:森下紀彦
赤猫座に新しく入ってきた男性。
西洋手品の使い手という触れ込みで、親方に東京から呼ばれた。
瓶の中を出入りする手品を得意とするが、実は手品は全て幻術である(作中ナレーションによれば、「天平時代(奈良時代)に日本に伝来したが、時の権力者たちが幻術使いを次々と処刑したことで明和年間までには全廃してしまった」という代物)。
紳士的かつ物腰の柔らかい性格で、みどりに一目ぼれして彼女の世話を焼くようになるが、彼女を独り占めするようにもなっていく重度のロリコン。
侏儒である事を言われると激怒する。
CV:岡本圭之輔
みどりと知り合いになり、「困ったときはいつでも私を訪ねておいで」と声をかけた山高帽の男性。本名は「嵐鯉治郎」。
その正体は赤猫座の主人で、みどりを地獄へと叩き落とした張本人。
小屋の経営には苦労している。
ケチな小心者であるが、熱を出したみどりを気遣う一面があり、根っからの悪人ではない。
カナブンの目玉をペロペロするのが趣味。
CV:林和義
剣を丸呑みする芸を得意とする粗暴な大男。
隻眼だが怪力の持ち主で、みどりを片手で持ち上げた程。
実は面倒見がいい。
CV:加藤早苗
芸人達をまとめる妙齢の女性で、蛇を丸ごと飲み込む芸を得意としている。
みどりに対して辛く当たっているが、本当は悪意はないらしい。
赤座たちと肉体関係を持っている。親方にも色仕掛けをするが、冷たくあしらわれて「ケツもどき」と悪態をつく。
CV:野村欣史
包帯を顔に巻いた学ラン男。
両腕を失っており、日常の動作は全て足で行う。
その為か足で弓を射る芸を得意とする。
みどりを
レイプするが、実は好意も寄せていた。
後に告白するが、正光によって泥を飲まされて窒息死。
CV:高木由美子
火吹き芸を得意とする女性。
…なのだが、実は
ふたなりで男のモノがある。
みどりがこっそり飼っていた子犬達を虐殺し、鍋にして食べる残虐な性格。
「あんまり美味いんで泣き出したぜ」→「御苦労なさったのねえ」→『犬ぢゃ!!犬ぢゃ!!』
体が捻じ曲がっている芸人。
一言も喋らなかった。
両手両足のない芸人。
みどりに雑巾を投げつけられる。
セリフはあるが、演者はクレジットされず。
やがて、親方は金を持ち逃げして姿を消し、赤猫座は解散。
みどりは正光と共に旅立つことになり、これまで彼女に辛く当たってきた芸人達も改心し、みどりと正光の巣立ちを祝福した。
そして正光は、バスの停留所にみどりを待たせ、弁当を買いに行く。
彼が戻ってくるまでの間、みどりはようやく幸せになれることに胸を躍らせるのだった。
「夢じゃない、夢じゃない…」
追記・修正は、赤猫座に入ってからお願いします。
弁当を買って停留所に戻ろうとした正光は、
泥棒にナイフで刺されて命を落としてしまう。
一方、バスが来ても戻ってこない正光を心配したみどりは、彼を探しに行く。
そして、神社の並木道にて、正光や鞭棄を含めた小屋の芸人達が楽しそうに宴会をやっているのを目撃。
正光の使っていた瓶抜け術用の巨大なガラス瓶の中にはみどりの両親がおり、娘をあざ笑うかのような表情で性行為をしていた。
正光に裏切られたと思い込んだみどりはショックで発狂し、自分を嘲笑う芸人達を追い払うが、その光景は突如として消えてしまう。
再び孤独となったみどりは、ただ一人その場で泣き叫ぶのだった…。
■余談
- 後日談があり、老婆になったみどりは厚化粧で若作りをし、少女に扮した格好をして、ワンダー正光に似た人形で腹話術師をしている。
- 筋肉少女帯の代表曲の一つ『どこへでも行ける切手』は、大槻ケンヂが本作のみどりちゃんをイメージして作詞されている。
後に、同曲のイメージから『新世紀エヴァンゲリオン』の綾波レイが作られたというのは有名な話である。
- 実写版では原作版とラストシーンが大幅に異なる。
みどりは正光と共に旅に出た後、ワンダー正光の魔法に頼りながら女優としての花道を歩んでいくが、しだいに女優業に飽きてしまう。やがてみどりは俳優として成功したことで傲慢になり、「正光の魔法そのものがほしい」と言い出し、正光は最初は「みどりちゃんに魔法をすべて与えたら、私はただのおじさんになってしまうよ」と躊躇するものの、「ずっと一緒にいる」という約束のもと、これを快諾。
正光は魔法のすべてをみどりに分け与えたが、魔法を使い果たした事により、一気に年を取り、ついに命を落としてしまう。
正光の死亡シーン以降の流れは原作版やアニメ映画版とほぼ同じだが、正光の死に際に、みどりは衰弱死寸前の正光の想いを弄び踏み躙るような倫理観に欠ける言動をとっていたこともあり、それ以降みどりにふりかかる不幸を「自業自得」と評する意見もある。
追記・修正は、少女を停留所で待たせて弁当を買いに行き、無事泥棒から逃げきってからお願いします。
- 出た、カルト的人気のアニメ。 -- 名無しさん (2017-04-09 21:58:07)
- 原作も芸術性が高いんだよなあ。内容はアレだが。『ちびまる子ちゃん』の丸尾くんの名前の元ネタでもあるんだよね丸尾先生w -- 名無しさん (2017-04-09 22:39:06)
- これの後日談があるって聞いた事あるけど本当なんだろうか? -- 名無しさん (2017-04-10 19:37:46)
- アングラな芸風で話題さらってた頃の鳥居みゆきと、まだかろうじてアングラさを残してた中川翔子が「大好きなマンガ」って語ってたのを覚えてる -- 名無しさん (2017-04-11 03:21:02)
- みどりを元に筋肉少女帯が「どこにでも行ける切手」を作詞→その歌詞に出てくる「包帯で真っ白な少女」がエヴァの綾波レイの元になる だっけ? -- 名無しさん (2017-04-13 21:54:21)
- これ丸尾末広が悲惨な話に改変してるけど、元の紙芝居は生き別れた両親と最後に再会して幸せに暮らして終わりらしいな -- 名無しさん (2018-01-31 05:20:55)
- 実写版→終盤(赤猫座解散後)はほぼオリジナル展開でまさかのみどりちゃん救済?&覚醒ルート。赤座紅悦カナブンの3人が赤猫座解散後にも仲良くしてる姿も。ただ展開が大きく変わっているのに関わらずワンダー正光死亡後の幻影が嘲笑うシーンは原作そのままなので、原作よりも悲壮感が薄れているのが不格好。あとオリジナル展開としてカナブンが枕営業する卑猥シーンがある。 -- 名無しさん (2022-05-02 01:53:42)
- 実写版の出来が本当にひどかった -- 名無しさん (2022-11-05 02:21:25)
- アニカビのスタッフが手掛けたって聞くと得も言われぬ感じになるな -- 名無しさん (2024-02-25 16:13:38)
- 豆腐犬というワードでツボった -- 名無しさん (2025-03-29 16:32:51)
- 最後の鞭棄の笑い声マジでイケボ -- 名無しさん (2025-03-29 16:33:19)
最終更新:2025年04月26日 20:50