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北斗の拳(1986年の映画)

登録日:2012/10/03 Wed 01:44:32
更新日:2026/07/07 Tue 09:09:38
所要時間:約 6 分で読めます





痛快無比!
話題騒然の

北斗十番勝負!!


概要

北斗の拳シリーズ初の劇場版。ファンからは「旧劇場版」と呼ばれることが多い*1
原作におけるケンシロウとラオウの最初の対決までを再構成し、完全新作で制作された劇場用オリジナル長編。
原作の流れには概ね忠実だが物語と尺の都合上、トキを筆頭に北斗の拳には欠かせない一部のキャラクター達*2出番及び存在がハブられてしまっている。
つまりこの映画だとケン、ラオウ、ジャギの北斗兄弟になってたり、南斗六聖拳ではなく南斗聖拳ということになる。
また、一部のキャラは立ち位置が変更されている者もいる。


そしてこの映画を語る上で絶対に欠かせない事が一つ。それは……




グロい。

とにかくグロい。


そう、この映画は全体の70%ほどがグロでできていると言っても過言ではないくらいスプラッタ描写が過激なのだ。
一応、原作でもTVアニメでも噴水のように血は噴出したし、臓器や目玉が飛び出す描写は当たり前のようにあるのだが、
この映画は作画がTVアニメ版からより綺麗かつ滑らかになっている事も相まって、非常に過激かつダイレクトに描写されている。*3
あまりのグロさに、最初は北斗の拳映画化にノリノリだった原作者のコメントが公開が迫るにつれ厳しくなっていったのは有名な話。

そんな映画に彩りを添えた主題歌は、TV版の後期主題歌も担当したKODOMO BANDの「Heart of Madness」「Purple Eyes」。
ケンシロウの深い哀しみと決意を現すかのような、重厚でありながらメロディアスな口当たりが印象的な名曲である。


ちなみに、項目冒頭にもある「北斗十番勝負」のキャッチコピーは本作での予告編でのもの。
本編での物語の流れを最初から最後までなぞって行くと、

  • 一番 ケンシロウ vs シン
  • 二番 リュウケン vs ラオウ
  • 三番 ケンシロウ vs ジード
  • 四番 ケンシロウ vs ハート様
  • 五番 ケンシロウ vs レイ
  • 六番 ケンシロウ vs ジャギ
  • 七番 ラオウ vs 牙大王
  • 八番 レイ vs ウイグル
  • 九番 レイ vs ラオウ
  • 十番 ケンシロウ vs ラオウ

といった具合にバトルが10回用意されている所から来ている。
え?いくつか勝負とは言えない展開がある?ん~!?なんのことかなフフフ……


登場キャラクター

CV:神谷明
ご存知第64代北斗神拳伝承者にして胸に七つの傷を持つ世紀末救世主。
原作とほとんど設定は変わっていないが、シンに敗れた際にジャギによって谷底に捨てられ生き埋めに。
その後、盗賊に殺されそうになったリンの心の叫びによって地中から目覚めるのだが、土にまみれた怪物みたいな姿で登場し、しかも髭面に。*4
更に悪党共を頭蓋骨や内臓をブチ撒けさせてバッタバッタと皆殺しにしていく様は、今作特有の描写も加わって原作よりも悪役っぽく見える
オマケにその姿でドカドカ廃ビルを薙ぎ倒していくのだから、ケンシロウと言うかラオウである。
物語の終盤、ラオウと戦うが勝敗は……。


  • ユリア
CV:山本百合子
ケンシロウの婚約者。今作ではTVアニメ版の最終章と同じく、髪が終始オレンジ色になっている。
原作通り冒頭でシンにさらわれるが飛び降り自殺はせず、サザンクロスからの脱出を試みたところを偶然鉢合わせたラオウに捕まる。
その後ケンシロウと再開を果たすも、ケンシロウとラオウの戦いに巻き込まれ、吹き飛ばされてしまい行方不明に。
ちなみに劇中でユリアが「南斗の血をひく女」である事がすでに明かされている。
因みにこの映画ではユリアの生乳が拝めるぞ!!


CV:内海賢二
ご存知北斗兄弟の長兄にして世紀末覇者拳王。
原作同様天を握ることを目標とし、拳王として世界を恐怖と暴力で制圧する。
方法はどうあれ悪党を暴力でねじ伏せてつかの間の統治を与えているので、領民からは恐れられつつも嫌われてはいないようだ。
こいつもパンチの風圧でビルをぶち抜いたりしている。……まあ、『天の覇王』でもそういうことしてたしな。
今作ではシン(直接的な描写はナシ)、牙大王と原作では見れなかった夢の対戦をしてくれる。
「この暗黒の時代に……愛など無用だ!」……サウザーのセリフだろうそれは。


ラオウの愛馬。本作では(ケンシロウに代わって)牙大王から駄馬呼ばわりされる。
原作同様、賢い馬のようで群衆の中に混じっていたリンの気配に気づき何か感じるものがあった模様。


CV:塩沢兼人
南斗水鳥拳の使い手。カラーリングはTVアニメ版準拠だが、髪の色がやや白みがかっている。
原作同様妹のアイリを追って、七つの傷の男を探している。
牙一族編での対ケンシロウ戦は、こちらではジャギに命じられて行っている。
青く光るエフェクトも相まって、やっぱり南斗水鳥拳は非常にカッコいいのだが、過激なスプラッタ描写によってグロ度も大幅にアップした。
最終的にはラオウと激突するが、やはり秘孔・新血愁を突かれ敗北。
……が、その後尺の都合で3日の余命も与えられず、ケンシロウに助言を言った後すぐに息を引き取った。


CV:古川登志夫
南斗聖拳*5の使い手でユリアをさらった張本人。
TVアニメ版同様、南斗獄拳でケンシロウに勝利しユリアを奪う。その後しばらくはサザンクロスで平和に暮らしていたが、物語の中盤に拳王軍がサザンクロスにも進行。ユリアを巡って原作では面識のなかったラオウと戦う事に(しかし戦闘描写はまたしても尺の都合でカット)。
ケンシロウも遅れて到着し再戦するが、ケンの成長に加え、先述のラオウとの戦いに敗れており既に秘孔を突かれ、ユリアを奪われた事による喪失感からかアッサリと敗北。ケンシロウにラオウがカサンドラに向かった事を告げ*6息を引き取った。
なおこの際「死ぬのならお前の手にかかって死にたかった」と原作とは真逆の台詞を言う。またジャギより後に死んだが、ジャギに唆された事については言及されない。


CV:大塚周夫
北斗兄弟の次男
「あの」原作よりも更に卑怯で残虐な性格の、承認欲求と嫉妬心のバケモノ
シンとの初戦に負けた瀕死のケンシロウを崖から突き落とした。(※ラオウの差し金です)
またケンシロウが負けたときには、これ見よがしにラオウに「奴は継承者の器じゃない」と吹聴し、挙句ラオウから「お前が継承者で構わん」と吐き捨てられた。
更に原作では自ら薬を被って失明したアイリに対し、本作では自らの顔を見て怯えたという理由で、自身の手で失明にまで追い込んでいる。
アイリが兄を慕っていたことに関しては「なぜケンシロウはこうじゃなかった」と恨み言を言っていたが、そりゃあんただからだよとしか言いようがない。
煽り耐性がゼロに等しく、ケンシロウから銃や人質、更にレイにまで頼ったことをバカにされただけでタイマンに応じている。

ケンシロウとの決着は原作とほぼ同じ内容だが、最期の描写が非常にグロく、ほんの一瞬のカットとはいえ顔面が破裂し眼球や歯や脳や皮膚が飛び散る様をどアップで見せられる。
「北斗は兄貴が俺にくれたんだ、だから俺のもんだ!どうだ?はははは!ケンシロウ、俺の名前言ってみろ?俺は北斗の伝承者ジャギギギギギギィャァァァァァ!!」

声はTVアニメ版でジャギに限らずハンなど多数の北斗キャラを演じていた戸谷公次氏から大塚周夫氏に変更されており、本作ではリンの村の長老も兼任している。情けなくも狂気を帯びた演技が光り、前述のセリフのシーンなんかはグロいが必聴。


  • リュウケン
CV:千葉順二
先代北斗神拳継承者。
予告の十番勝負ではラオウと戦うはずだったが、直接的な描写は思いっきりカットされてしまう。しかもラオウを追い詰めたような描写もなく、普通に負けている始末。
もう「二番勝負 ラオウ vs 仁王像」に変えてしまえ。


CV:鈴木富子(リン)・鈴木みえ*7(バット)
おなじみコンビ。ただカラーについてはバットはほぼそのままに対し、リンは髪の色がピンクになっている。
冒頭でいきなりZ軍団からバギーで逃げ回っている。軍団に追い詰められ殺されそうになったところ、リンの心の叫びによって目覚めたケンシロウによって救われる。

扱いは変わらないが、今作は特にリンの活躍が強く押し出されている……のだが、やはりトキのポジションを(一部とはいえ)彼女に背負わせるのは荷が重すぎた。


CV:安藤ありさ
レイの妹。今作では髪の色が兄貴と同じ色に。*8
原作でもジャギに攫われていたが、本作では牙一族がただの辺境部族になった都合上取り置かれており、ジャギの奴隷として靴を洗わされていた。
パンチラ


CV:柴田秀勝
リンの村に襲撃してきたモヒカン頭の盗賊団「Z(ジード)」のリーダー。相当な巨漢で原作やTVアニメ版もそうだったが、デビルリバース並に巨人化していることも。
原作となんら変わりない活躍をし、なんら変わりない最期を迎えた世紀末救世主伝説の始まりには欠かせないやられ役。
またケンシロウからコンクリート片を蹴り込まれたのを口で噛んで止めて粉砕するという、原作のダイヤ様がやった芸を披露している。


  • Z兵
ご存知典型的なモヒカン頭のヒャッハー!な皆さん。
原作と何ら変わらんようにケンシロウに消し飛ばされるが、先遣隊の1人はボウガンでケンシロウにかすり傷を負わせるという活躍を見せた。
最後の一人は殴り飛ばされてジードの胸に叩き付けられ十字架に磔にされたかのごとくめり込んで爆死。
ちなみに中に聖帝様そっくりな声をしてる奴がいる。


CV:滝口順平
我らがデブのカリスマ・ハート様
今作ではシンの部下ではなく、ジャギの部下として分厚い壁を突き崩しながら登場する。ジャギは彼に勝てるのだろうか?
そのためトランプ札に関連する名前という設定の必要がなくなり、当初は「エレファント」というオリジナルの名前で登場する予定だった。(予告編ではしっかりエレファントと紹介されていた)
戦いの内容は原作とほぼ同様。ただ声がドクロベエ様そっくりに。

「ひでぶぅぅぅ↑↑!!」


CV:大竹宏(ジャッカル)・青野武(フォックス)
原作では野党集団の1つだったが、今作ではジャギの部下AとBに成り下がる。
フォックスはノコザコの頭目として現れるがレイにカマキリ野郎呼ばわりされた挙句、ケンシロウにあっさり撲殺される。
ジャッカルは寝ていたジャギの素顔におじけづいたせいでジャギの怒りを買って殺された。そんだけ。

フォックスの中の人はTVアニメ版にて、海のリハクを担当していた。

  • ノコザコ
CV:千葉繁
ケンシロウの悪評を広めるため、ノコで街の住人を処刑していたジャギの部下。
原作ではケンシロウのノコギリ引きで「ああ~バカ俺じゃないるれ、ぱっ、ぴっ、ぷっ、ぺっ、ぽおっ」という断末魔を残したが、
今作ではレイがそのポジションについている。

声は北斗界ではお馴染み過ぎる伝説声優、千葉さんこと千葉繁


CV:渡辺猛(牙大王)
首領の名前は媒体によって牙親父だったり牙族長だったりするが、今作では牙大王に。
原作では凶悪な盗賊集団として登場したが、今作では人里離れた山奥の国に一族だけで面白おかしく暮らす部族という設定になっている。人質や息子達を盾にすることもない。

侵攻してきた拳王軍に対して、自分たちの部落を守るためにこの映画で最もスプラッタな戦いを挑む。一族が劣勢に追い込まれた為、大王自らが前線に。
切り札である華山鋼鎧呼法によって肉体を強化し、多数の拳王軍兵士からの攻撃をものともせず、彼らを握り潰し、踏みつぶし、剣でバラして血祭りに上げるなど、原作では見られなかったまさかの無双っぷりを見せる。が、ラオウの前では(多少の攻撃こそ耐えはしたが)牙大王自慢の切り札も意味はなく、オーラで吹き飛ばされ岩山を貫通した挙句、木っ端微塵になるという最期を遂げた。
またラオウの台詞によると残った牙一族も拳王軍に皆殺しにされた模様。

ラオウの噛ませになったわけだが、原作じゃケンシロウに傷を負わせる事もなく惨敗したのに対し*9、本作では無数の兵士相手にその強さが存分に描かれるなど、不憫な死に方をしたウイグルやカーネルに比べれば、恵まれた扱いといえる。

CV:郷里大輔
原作ではカサンドラの獄長だったが、今作ではラオウの側近として登場する。
牙大王との戦いの際には自らが挑もうとするもラオウに制止され、終盤にはレイと戦うが、原作では見切られなかった泰山流千条鞭もスローと評された挙句、あっけなく切り裂かれて死亡してしまうなど、原作で感じられた強さが微塵にもなくなってしまっている。

  • 拳王軍兵士
本作では劇場版オリジナルのデザインとして、真っ黒い甲冑に身を固め、表情や感情が分かり難い戦闘マシーンの印象を与えている。こらそこ、ウォーズマン擬きとか言わない
牙一族との、他の作品だと『天の覇王』(とイチゴ味)ぐらいでしか描かれないであろうガチ戦争も描かれた。

牙一族に対しては恐れを知らぬその戦いで、腕を切り落とされたり鉤爪で首を貫かれたりしても戦意を失わないなど高い練度で圧倒するが、牙大王に対しては歯が立たず、多数が肉片に変えられてしまう。
終盤ではケンシロウとラオウの戦いに巻き込まれて木の葉のように吹き散らかされていった。


CV:矢田耕司
原作ではそれなりに活躍したが、本作ではシンの部下*10その1に過ぎない。
脱走したユリアを探し求めるシンに「それどころではございませぬ」と失言したため、怒りを買って見事に誅殺される。

TVアニメ版では改変されて思想や信念を曲げられるわ、本作では特に活躍もなくあっけなく殺されるわと、なぜGOLANの扱いはいつも悪いのか…


  • ガルフ
CV:八奈見乗児
拳王軍の一人*11として登場する。拳王の行幸に際し、メガホンを持って群衆に無理矢理称えさせていた。そんだけ。愛犬(セキ)も登場しないし戦いや殺される描写もない。

声が地味に北の界王様ソックリになっている。


総評

……1990年代並びに20世紀末、映像媒体の北斗の拳は氷河期に包まれていた。

TVアニメ再放送そのものの激減、放送規制の強化、一向に映像ソフト化されないTVアニメ版、そのくせクソゲーだけはきっちり乱発していた東映動画……。
若い読者諸君にはなじみがないかもしれないが、古いアニメはニーズの都合により「1話&最終回だけ」といったビデオorLDによる販売が一般的であった。
当時北斗成分の補充として北斗ユーザーに残されていたのは放送当時の本編録画テープ(録画できていれば。テープ自体当時高価だった)、
TVアニメ版の総集編三本、そして本作の映像ソフト。
本当にこれしかなかった。なかったのだ。
故に一部のカラオケ映像で「愛をとりもどせ!!」を選ぶと、令和のご時世ですら画面のアニメ映像ではテレビ本編では無く本作の映像が流れる。*12
当然スプラッタな映像もそのままなので家族・友人・知人の前では選曲と設定に気を付けよう。

2002年以降のTVアニメ版DVD-BOXの発売、単品ソフトの発売&レンタルと、封印映像扱いからの氷解までの間本作の果たした役割は大きい。

原作ファンからすると1部キャラの扱いなどは看過できない問題点であるが、約110分という短い時間の中で「北斗の拳」の世界観や主要キャラ達の魅力が描かれているので、原作を知らない人が短時間でその魅力を知るのにオススメだ。グロ注意ではあるが…


余談

なお、TVアニメ版を準拠にしたPSの「北斗の拳 世紀末救世主伝説」ではハート様、ジャギ様のキャスティングが本作仕様になっている。

また本作の続編の劇場版第二弾制作がアニメ誌でも発表されていたが、結局お蔵入りになっている。


追記・修正はいかなるグロ描写も平気な方がお願いします。

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最終更新:2026年07月07日 09:09

*1 2006年から公開された映画「真救世主伝説」シリーズとの区別のため

*2 トキ以外だとマミヤ、ユダ、シュウ、サウザー、南斗五車星の皆さん、当然アミバも

*3 それなりの映像処理はしているのだが、ほとんど意味はない

*4 ジードとの決着後に剃り落していつもの姿になる。余談だが、無許可で制作された韓国版映画ではこっちのヒゲンシロウがモチーフになっている。

*5 南斗孤鷲拳を伝承している設定を持つが、本作はおろか原作やTVアニメ版にもその名は明記されておらず、裏設定に近い

*6 正確にはラオウからの伝言。この為すぐには殺されなかった

*7 現:一龍斎貞友。クレヨンしんちゃんのマサオ君やちびまる子ちゃんのまる子の母役で有名

*8 TVアニメ版ではピンク、北斗無双では金髪であった。

*9 一応デスバトルのチャンプに圧勝したり、ケンシロウとレイが同士討ちとなった際、一人彼らの戦いの動きを理解したりと、実力者であることを示唆する描写はある

*10 アニメ版では「シン=神」を崇拝する宗教団体だったが。

*11 原作設定からする間違っちゃいないが。

*12 なお「TOUGH BOY」を選ぶと普通に『北斗の拳2』の映像が流れる。