ピストルカラテ

登録日:2017/06/07 Wed 22:43:43
更新日:2024/04/04 Thu 22:28:50
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◆ピストルカラテとは?◆

小説ニンジャスレイヤーに登場するカラテの一種、あるいは一派である。その名の通りピストル(拳銃)を用いたカラテ。
本来はニンジャによって編み出された秘伝のカラテであるが、現代ではモータルにもその技術が流出している。
作中世界では「暗黒武道ピストルカラテ」として知られている。

単に拳銃や他の銃器を扱う戦闘技術自体は作中世界でも普遍的なものではある。
しかし、ピストルカラテにおいて敵への攻撃手段は拳銃による銃撃だけではない。
五体を駆使したパンチやキック、射撃の反動を利用したトリッキーかつ強烈な攻撃、さらには拳銃そのものを鈍器やウェイトとして使う攻撃
……と、「拳銃を使ったカラテ攻撃」もまた重要なファクターなのである。
多彩かつ広範囲をフォローできるカラテ攻撃と銃撃による深い対応レンジを合わせ持つため、一対一のみならず一対多の戦闘も得意とする。
「カラテと拳銃の高度な融合」という点で、ピストルカラテは他の技術と一線を画しているといえるだろう。

ピストルカラテの最も基本的なスタイルは、両手に1丁づつ拳銃を持った二丁拳銃である。
ピストルを持った両手を胸の前で交差させて待機、一呼吸おいてカラテ態勢を取るのがトラディショナルな構えとなる。




◆ピストルカラテの歴史◆

あまた存在するニンジャ起源のカラテの中では比較的歴史の浅い方であり、マスケット銃の発明以降に編み出された。
後にテッポウ・ニンジャクランの開祖となったニンジャは、この黒色火薬が生み出す銃弾の破壊力に着目。ニンジャの戦で役立てるべく試行錯誤する。

しかしマスケット銃は精度があまりにも不十分で、連射もできなかった。かといって大量に持ち運ぶにも限界がある。
このため初期のピストルカラテは「マスケット銃そのものをいかに近接武器として活かせるか」という方向で進化していったという。

だがその方向性に限界を感じたのか、開祖は別の方向を模索。
やがて「一度の発砲で何人の敵に致命傷を与えられるか」、即ち「射撃反動の有効利用」という方式にたどり着く。
現代に伝わる暗黒武道ピストルカラテは、これによって一応の完成を見たと思われる。

だがその後も銃器に関する技術は発展。それ以外でもニンジャを取り巻く世相は大きく変わっていった。
最終的にテッポウ・ニンジャクランは、この「カラテ戦闘と拳銃の融合」という古い戦い方を捨ててしまったという。
彼らが捨て去ったピストルカラテの技術はやがてモータルの間に流出。急速に劣化や枝分かれを繰り返し、様々な流派に分かれることになった。



◆解説◆

「二丁拳銃による近接戦闘」ということで、恐らくかなりの方がガン=カタとどう違うの?」と思われただろう。
ピストルカラテの場合、名前が示すように主体はあくまで「カラテ」。
パンチやキックを駆使したパワフルな白兵戦、もっと言うなら打撃戦の比重がガン=カタに比べはるかに大きいむしろGUN道めいている

銃弾による攻撃は確かにニンジャの肉体に対しても脅威ではある。
体に打ち込まれれば貫通されるし、大口径弾を体の末端に打ち込まれたりすると丸ごと吹き飛ばされることもある。
しかしニンジャの場合、自分の肉体を使ったカラテ攻撃も銃弾に全く劣らないどころかそれ以上という点でモータルとは決定的に異なる。
ニンジャはチョップ突きで体を貫通させることができるし、トビゲリを直撃させれば部位を切断して吹き飛ばすこともできるのだ。

そういったカラテ戦闘において優位に立つため、拳銃の「反動」を積極利用するという点もなかなかに特徴的。
具体的に言うと
・射撃の反動によってパンチやキックなどのカラテ攻撃を増速し、威力を高める。
・射撃の反動によって通常のカラテでは不可能なトリッキーな攻撃をしかける。(前方の敵に攻撃後発砲し、その反動で後方にいる敵にエルボーなど)
・同時発射による反動によって自分の体に大きな運動エネルギーを与え、急制動や急加速の助けとする。
・反動を得るための障害物がない空中でも、射撃の反動を推進力として軌道を変えたり着地タイミングをずらしたりする。
などと、あらゆる形で反動を使い尽くす。
このため攻撃のためだけではなく、反動を得る目的だけで発砲することもあり得る。
格ゲー的に言えば、拳銃の反動によって「立ち回り・火力・コンボ性」を全て強化するのがピストルカラテの神髄であると言える。

またピストルカラテでは、銃器にも「近接武器として常時ぶん回す」「適切な射撃姿勢でなくても撃つ」「反動を積極利用する」点が重視される。
その特徴から、リボルバーが使用されることが圧倒的に多い。
というかオートマチックを使うピストルカラテ使いは今だに一人も登場していない。



◆ピストルカラテ使い◆

タカギ・ガンドー(ディテクティヴ)

(キャラクター)
キョート共和国*1アンダーガイオンで私立探偵を営む壮年の男性。そして重度のヤク中
元はただのモータルだったが、様々な出来事を経て憑依ニンジャとなった。
主要登場人物の一人で、第二部におけるニンジャスレイヤー(フジキド・ケンジ)の相棒。

ニンジャになる前からピストルカラテの有段者であり、その実力は相当なもの。
36体のクローンヤクザを殲滅する、ニンジャ相手にそれなりの時間戦ってみせる、などモータルの時点でもその実力は凄まじいものがあった。
ちなみにこれでも黄金期から比べれば(年齢もあって)衰えた方らしい。

(カラテスタイル)
モータル式のピストルカラテの使い手。既存のピストルカラテ使いの中では極めて白兵戦寄り。
2m近い巨体と筋骨隆々な肉体の持ち主であり、その恵まれた体を活かしたパワフルで重厚なカラテは「重機関車」とも称される。
巨体に相応しい大反動の大型リボルバーを使うため、瞬間的なクイックネスを発揮することも可能。
ただ流石に小回りに優れる軽量級相手だと翻弄されることもある。

ニンジャとなり幾度かの戦いを経てからは、ソウル由来のジツも習得。
自身の技術に合わせて「人やモノの影から真黒なカラスを作り出し、拳銃に装填してカラテミサイル*2として発射する」形で活用している。
この弾丸(カラス弾)はピストルカラテ用に十分な反動を起こせる上、ガンドーの意思である程度誘導ができるという優れもの。
ジツであるため弾切れも事実上防げるという非常に優秀な攻撃手段になっている。ただし威力自体は実弾に遠く及ばないようだ。

(武器)
.49マグナム弾6発を装填できる大口径リボルバーを二丁拳銃で使用する。
これは現実で言うと「史上最強のリボルバー*3」こと「S&W M500」とほぼ同等の口径を持つ代物。
こんなものを二丁拳銃でBLAMNBLAMNぶっ放すガンドーさんの恐ろしさがわかるというものである。


ガンスリンガー

(キャラクター)
第二部の敵組織「ザイバツ・シャドーギルド」所属のニンジャ。
長年の刑務所生活で精神には完全に異常をきたしているが、高度な知性と判断力はそのままというタチの悪いサイコ。

憑依ソウルはなんとテッポウ・ニンジャクランの開祖……つまりピストルカラテの創始者という超大物ソウル。
元来の性質にソウル由来のピストルカラテが加わったことで、まさしく手の付けられないニンジャとなっている。

(カラテスタイル)
ニンジャソウル由来と思われる、ガンドーのものと不思議なほどに似ているスタンダードなピストルカラテを駆使する。
(順序から言えばガンドーの方が開祖たるこちらに似ているというべきだが)
流石はテッポウ・ニンジャクランの開祖の憑依者と言うべきか、その射撃の技は神業と言うほかない。
自分の目前に到達した弾丸を二丁拳銃で挟み込むようにして発砲し、左右からの弾丸で打ち落とすという恐るべき技まで見せている。
一方で憑依者の体格の関係でパワーは劣るためか、その分をスピードとテクニックでカバーする戦い方が目立つ。

(武器)
38口径のリボルバーを二丁拳銃を二丁拳銃で使用する。

コミックス版ではレミントンM1858のパーカッションモデルを使用している。
ただ現実のM1858はリロード時にシリンダー(弾倉)ごと交換できる仕様なのだが、小説の描写に寄せた為か薬莢の排莢描写がある*4


「ハーヴェスター」

(キャラクター)
第三部の敵組織「アマクダリ」の最高幹部である「十二人」の一人を務める大物ニンジャ。外見は隻眼の老人。
アマクダリの最高幹部らしく「湾岸防衛隊の退役将校にして国防軍顧問」という表向きの顔も持っている。
しかしその実態は某少佐を思わせる真正の戦争ジャンキー。

憑依ソウルはテッポウ・ニンジャクランに所属するニンジャのもの。
ガンスリンガーに比べれば当然ソウルの格は落ちるだろうが、憑依者のカラテと経験では比較にならないほどに上回る。

(カラテスタイル)
カラテスタイルそのものは一般的なピストルカラテと大差ない。
しかし他のニンジャと違って「戦争」を戦ってきたためか、軍用ベストに十二丁もの拳銃を携帯することでリロードの隙を無くしている。
またこの拳銃群は、単に弾切れの時に交換する予備の銃というだけにとどまらない。
本気を出した彼のピストルカラテはこの十二丁、あるいはそれ以上の拳銃を地面にばら撒いたのち、次々に蹴り上げてジャグリングのように滞空。
手に持ったものを撃ち尽くした端から次々と持ち替えていくという曲芸じみたスタイルとなる。
しかしこれによってリボルバー式拳銃の欠点である弾数の少なさを完全に克服しており、「歩く要塞」とも形容される恐るべき射撃火力を実現している。
また当然ピストルカラテなので、ただ撃つだけでなく近づいてきた相手に対する反動カラテも怠りない。

(武器)
ネオサイタマ湾岸防衛隊の制式装備である、何の変哲もない6発装填の黒いリボルバー拳銃を使用する。口径は不明。
刻印も装飾もない大量生産品だが、ある種のマークスマンライフルのように状態が優れた個体を選び抜いてあるようだ。
なぜかハーヴェスターはこれをシングルアクションで撃っているらしい。
流石に軍用拳銃にダブルアクション機能がないとも思えないので、あえてそうしているのだろう。しかしオートファニングとは一体……


「アズール」

(キャラクター)
4部にて登場した新たなピストルカラテ使い。かつてとある外道に家族を殺され、そして彼らに連れ回されていた少女。
本当に彼女には色々な事があり、様々な物を得て、様々な物を失った。時には手を汚して殺人者に成り果て、時には生きるために抑え込んでいた感情を爆発させ……と、ジゴク巡りめいた人生を生き抜いた。
そんな濃すぎる経験を経た彼女はとてもたくましくなり、我が道を生きる為に今日も荒野を一人征く。

憑依ソウルは人ではなく犬がニンジャへと変じた存在たるニンジャアニマル、その中でも伝説的存在として知られる「イヌガミ・ニンジャ」。
ソウルそのものが彼女を側で守る霊獣と変じており、戦闘時には姿の見えない狼として敵に牙を剥く。

(カラテスタイル)
射撃偏重の中~遠距離タイプ。肉体そのものは小柄な少女なので、銃の反動の影響を受けやすい。
しかし、逆にそれを利用することで回避を行ったり、相手に急接近するというピストルカラテ特有の動きも会得している。
そして彼女の真骨頂は「跳弾」。元々判断力やカンの鋭さに秀でていたが、それらは10年近いサバイバル生活によって磨きがかかっている。
銃を撃つ瞬間に「どこに」「どのように」「どのタイミングで」「どう当てるか」を見極め、最適なルートで弾丸が敵へ当たるようにして撃つ。
一見すれば見当違いの方向に放たれた弾丸であっても予期せぬ所から飛来して相手の急所を貫いたり、敵から敵に跳弾させて複数を攻撃したりと、魔術の如し変幻自在の射撃を行う。

また、かつてほど多用はしないが、不可視の狼による攻撃も可能。
近づいた敵を迎撃させたり、姿が見えない事を活かして奇襲に用いたりと、射撃のスキ消しや一種のジョーカーとして使うことがメイン。

(武器)
ガンドーの銃と同口径の49口径リボルバー「サンシーカー」を愛用。威力も反動も凄まじい一品。
とある場所にて入手したこの銃は本人曰く「使い慣れている」との事で、小さな身体というハンデを全く感じさせない精度で敵に当てる。



追記・修正は両手に中口径マグナムを構え、ピストルカラテの基本ムーブを繰り返しながらお願いします。
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最終更新:2024年04月04日 22:28

*1 かつての作中日本の一部であったが、今は独立国となっている。そのため入国には当然パスポートが必要。

*2 ↑でいう⑤の意味でのカラテによって作られたエネルギー弾総称。

*3 ただし市販品内に限る。

*4 金属薬莢を使用可能にしたコンバージョンモデルも存在するが、パーカッションモデルとは別物。