幻想水滸伝 紡がれし百年の時

登録日:2012/06/30(土) 12:54:04
更新日:2023/02/22 Wed 15:47:25
所要時間:約 7 分で読めます




幻想水滸伝 紡がれし百年の時とは、2012年2月9日に発売されたRPGである。

プラットフォームはPSP。
幻想水滸伝ティアクライス同様、百万世界を舞台としている為、正式なナンバリングとしてはカウントされていない。


◇あらすじ

百年目の怪物──。
その怪物は、百年に一度必ず現れ、全てを喰らい、増え続ける……恐るべき存在。
百年目の怪物に備えるため、アイオニア聖皇国は長きに亘り、全土に過重な負担を強いて従属させてきた。
しかし、時が経つにつれて、過重な負担に不満を募らせた地方都市は次々と独立を宣言。
当初はアイオニア聖皇国と地方勢力との間に大規模な軍事衝突が起こり、双方に多くの死者がでたこともあったが
皮肉にも百年目の怪物の存在が、双方を和解させることとなる。
アイオニア聖皇国は、有事の際にはアイオニアの旗の下、力を合わせることを条件に地方勢力の独立を承認。
以来、表面的には平和な時が流れ……今年が丁度、百年目──。

テルベの里の若者、主人公、ミュラ、ジーノの三人は百年目の怪物に備え、修行の日々に明け暮れていた。
ある日、砦の遺跡での修行の帰り道に、主人公たちは見たこともない怪物と遭遇する。
倒しても倒しても増え続ける怪物を前に、成すすべなく敗走する主人公たち。
砦の遺跡へ逃げ込んだ主人公たちの前に突如現れる、謎の少年ゼフォンによって、百年前の世界へと飛ばされる主人公たち。
そこで彼らは、前の百年目の怪物を退けた英雄たちと出会う──。
時を越えて紡がれる、新たなる百万世界の物語。

(公式サイトより引用)


◇システム

移動は、フィールドマップより場所を選択して移動、ダンジョンは従来の見下ろし形式から3D式ダンジョンとなっている。
ダンジョンは洞窟や地下が多い為、下手するとすぐ迷う。

戦闘は6人編成となり、それぞれ戦士・呪術師・薬使い等と職業が固定されている。
メイン職業以外にも、サブ職業に就かせることもできる為、剣士でも薬剤が使えるようにすることも可能。


キャラ同士を組み合わせて、連携攻撃をすることもできる。
連携にセットすると、連携に組み込んだキャラが1セットとなる為、攻撃命令も1回しかできないが、組み合わせによっては協力攻撃も発生する。

◇継承システム

本作は過去と現代を行き来して進行する。過去の協力者の中には、現代には行けない代わりに、対応するキャラがいると技を教えてくれる者もいる。
戦闘キャラは、一時的に師弟関係となり、一緒に戦うことで習得する。

◇キャラクター

  • 主人公(CV.神谷浩史)
一人前になりたてのテルベの里の剣士。
かつての英雄、トルワドの子孫であり、剣の腕はまだ未熟なところもあるが、才能は十分。
アイオニアと朱キ斧から村を守る為、立ち上がる。
「まあまあ…」の発言回数がやたら多い苦労人。

  • ミュラ(CV.井上麻里奈)
テルベの里の魔術師。
「だるい」「眠い」が口癖なあたり少し心配なところもあるが、腕は立つしやる気もある。
弟のジーノとは喧嘩が絶えないが、誰よりも弟の事を大切にしている。

  • ジーノ(CV.福山潤)
里の魔石職人で主人公の幼なじみ。
お調子者で口が悪く礼儀知らずなところもあるが、姉や主人公の役に立ちたいという気持ちは強い。
中盤からは空気になる。

  • ゼフォン(CV.梶裕貴)
主人公達の前に現れた謎の少年。時代樹のことを主人公に教えた張本人。
褐色の美少年で、自らも強い魔術師だが、言動は生意気でどこか胡散臭く、多くのプレイヤーはこいつ絶対見た目より年くってると思っていた。

  • トルワド(CV.小野大輔)
主人公のご先祖様で、100年前の戦いで勝利に大きく貢献した英雄。
爽やかな青年で、主人公達が未来から来たことを、最初は信じられなかったが、すぐに信じてくれたイケメン。


◇問題点

新作発表当時、ファンはかなり動揺した。
前作のティアクライスがナンバリングシリーズから大きく逸れただけでも大きな波紋を呼び、賛否両論であった為、期待と同じぐらい不安の声も多かった。
そして出てきたのが下記の問題点である。


  • 戦闘キャラが18人しかいない
『個性的なキャラを存分に使える』ことが魅力の作品なのに、操作可能キャラが凄く少ない。
因みに初代幻水は、戦闘可能キャラはだいたい70人弱
どうしてこうなったし。

  • 仲間の半分以上が、過去の人物
というか7割がた過去の時代にいる。
かつて仲間達で賑やかだった本拠地も、びっくりするほどガランガランになった。
いやマジで、どうしてこうなったの。

  • 宿星の中に故人がいる
継承イベントの中には、故人の遺品に触れることで、技術を継承することがある。
が、既に亡くなっている為、約束の石版(物語途中で気が付いたらあった程度のもの)でも、EDでも顔グラも何もない為、残念なぐらい感情移入できない。
その数、なんと13人。約一割欠席です。
スタッフの手抜きを疑うレベルである。

  • ロードの長さ
PSPである以上それなりのロードは仕方ないが、それでもひどい。特にワールドマップからフィールドマップへの移動で長時間ロードが頻発する。
声付き会話でも頻発するので会話のテンポが絶望的に悪い。

  • 本拠地散策ができない
本拠地で繰り広げられる人間ドラマは、シリーズ通しての名物である。
想い人を物陰から見つめる者、追いかけ回す者、食堂でメシ食ってる奴、目安箱を見て解る意外なあいつの素顔、新聞、お風呂イベントetcetc…

全部無いよ、やったね!

本拠地内において仲間との会話は一切無い。

唯一あるのは本拠地に入ると発生する食事イベントぐらいか。

これも毎回毎回、本拠地に入ると必ず夕方になり、必ず食事をとって翌日にしなければいけない為、うっかり「パーティー編成し忘れたからちょっと戻る」なんてことがあったら、また食事しなければならない為、テンポが悪くなる原因にもなっている。

  • 単調な戦闘
幻水シリーズはストーリー重視の為、どの作品も戦闘の難易度は比較的易しくなっている。
が、今作は更に簡単というか、「魔法連発しとけばなんとかなる」ぐらいの難易度で、物足りなさがある。(場合によってはレベルカンストが余裕でできる幻水4のよりも、ラスボスがすぐ倒せる)
戦闘の華である協力攻撃も、モーションが通常攻撃と大差ないため、面白みに欠けることもしばしば。

  • カメラワーク 
某密林レビューでも散々槍玉に挙げられた問題点。操作性・挙動・視点など全てに問題がある。むしろ問題しか無い。無駄にガクガク動くため、3Dに弱い人ならば開始数分で確実に酔う。

  • 紙芝居
レビューにもよく書かれる評価で、本拠地同様、町の散策もできない。町人との会話?なにそれ美味しいの?
基本的に一本道の為、ミニゲームをはじめとした遊びややり込み要素が少ない等の理由で作業化しやすい為、『まるで紙芝居を見ているようだ』『これRPGちゃう、ADVや』といった感想が多い。

一応、終盤の追加ボスなどもいるが、ちょっと頑張ったら倒せる程度。

ぶっちゃけ、ボリューム不足である。


◇良い点
  • 主題歌が石川智晶
  • BGMがいい
  • 戦闘のテンポはサクサクしている
  • 主人公が可愛い(※個人差あり)
  • アニメーションが多い
  • 豪華声優陣

なんだかクソゲーの条件に酷似しているのは気のせいだろうか…。


◇評価

普通のRPGとして販売されていたら、そこまで評価は悪くなかったのかもしれないが、幻水として出したことが、作品の評価がずっこけた原因だろう。

ティアクライスでも同様の評価があったが、あちらは「幻水らしさ」がある程度残っていた為、擁護する従来のファンはまだいたが、今作で幻滅したファンも多かった。

一部の根強いファンの中には、「幻水6の開発費の為なら…」と言い聞かせて買う者もいたとか、いなかったとか。

ただ、やはりボリューム不足が気になるところではあるが、ストーリーも悪くないため、幻想水滸伝と考えなければそこそこ楽しめるだろう。
実際に、最近の幻水に触れてプレイし始めたファンからの評価はあまり悪くはない。


◇余談

発売と同時に、サントラ、設定資料集が発売されたが、なぜかコナミスタイル限定販売である。
しかも設定資料集に関しては限定版特典であり、その限定版も予約完売となっており、現在入手は困難となっている。

そのため、設定資料集は単品での再販を求める声もあるが、今のところは実現していない……。



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最終更新:2023年02月22日 15:47