幻想水滸伝ティアクライス

登録日:2010/12/14(火) 14:52:02
更新日:2025/03/03 Mon 13:43:40
所要時間:約 4 分で読めます



―誰と組むか、信じるか。―

-概要-

幻想水滸伝ティアクライスとは、KONAMIから発売されているRPGのタイトルである。
ハードはニンテンドーDS
幻想水滸伝シリーズの1つではあるが、「無数に存在する百万世界の内の1つ*1」という点だけが過去作と今作を繋ぐキーワードであり、システム・世界観共に大きく変更されている。


-あらすじ-

ある日主人公達は村を襲う害獣を退治するために東の丘へと向かう。その途中谷がいきなり森に変わるという異変にみまわれるが、主人公以外は「あそこは以前から森だった」というばかり。釈然としないまま害獣の巣の捜索を続けるが、主人公一行は捜索先の森の遺跡で異形の怪物に出くわしてしまい遺跡の奥に逃げ込む。そしてその先で不思議な『本』に遭遇する。



-主な変更点-


星の印

今作では紋章はなくなり、代わりに星の印という今までより魔法的要素の強い技で戦う形となった。
紋章→回数制限
星の印→MPでの制限
など、システム的にも違いが明白になっている。

風呂などの施設が無い

本拠地内では風呂のみならず、博打などの娯楽要素などが削られている。これらの「今までにあったお遊び要素」がない点は従来の一部ユーザーには落胆されたが、そもそも本作はプラットフォームがDSであり、本編そのもののボリュームは純粋にRPGとして充実していたことを踏まえれば、仕方のないオミットだったと理解するべき点である。

主人公が喋る

幻想水滸伝シリーズナッシュ・ラトキエの視点で語られる『外伝』、同じく『4』の外伝にあたり別の主人公の視点で読み解く『Rhapsodia』、トリニティ・ヒーローシステムにより複数の主人公を切り替えながら進める『3』を除くナンバリング作品では、基本的に選択肢以外では口を利かない無口形が主流となっていたが、今作では一貫して主人公に個性がありストーリー上でも普通に台詞がある。スタッフ曰く、ストーリーのコンセプト的にこうしたとのこと。
その性格は熱くて元気、少々無鉄砲な典型的主人公キャラ。だがそれが良い。
また、余談ではあるがナンバリング作品である『4』や『5』でも主人公の台詞こそないものの簡易な戦闘ボイスは実装されていたり、時を経て発売された精神的続編の『百英雄伝』では本作と同じく主人公も積極的に喋るようになっていることから、主人公にも個性がつくことの良し悪しはあくまで個人の嗜好でしかなく、時代の流れとも言える点かも知れない。

武器を自由に持ち替えできる

キャラ毎の固有武器という概念が無くなり、武器の付け替えが可能になった。

パーティーは4人

厳密に言うとサポートキャラ入れれば5人なのだが、戦闘に参加できるのは4人になった。
この人数は『幻想水滸伝4』以来である。
その他細々とした複数の変更点がある。


以上の点から、その第一印象を一言で言うと「従来の幻想水滸伝テイストが薄まった幻想水滸伝っぽい普通のRPG」であり、発売当初は賛否が分かれた。
そう、発売当初は。


確かにこれがいつもの幻想水滸伝かと言われたら「従来あった要素が目減りしている」感は拭えないが、蓋を開ければRPGとしては名作と言って全く差し支えないレベルのクオリティで、立派に幻想水滸伝を名乗って然るべき作品であった。
シリーズの過去作と比較しても決して引けをとらない出来の良質なストーリー、豪華声優陣、アニメーションの使用など、制作チームの気合いがうかがえる。
幻想水滸伝ファンだけでなく、王道RPGが好きな方は手に取ってみて決して損はないだろう。結果的に評判が上がったからか、廉価版が2回も出るほどだし。
まぁそいつぁやってみなきゃわから(ry


-キャラクター-

さて、ゲームの項目なのだから登場キャラの紹介もするべきなのだが、全員分など到底不可能なことは幻想水滸伝を少しでも知っている方ならご理解いただけるだろう。なにせ味方キャラだけでも総勢108人いるのである。幻想水滸伝を知らずに読んでいた方にも、それだけ言えば理由は明白であると思う。
なので、ここでは主要キャラのみを紹介する。
もっと知りたい方は、Wikipediaを見るなり攻略本を読むなり、願わくば本作を購入して実際にその手でプレイして確かめてほしい。

主人公(CV.梶裕貴)

シトロ村在住の少年。しかし元々村の子ではなく、マリカの姉シスカに育てられる。
熱血漢で少々無鉄砲だが、きちんと物事の本質を捉える事が出来るストレートな主人公キャラ。
口癖は「やってみなきゃわかんねぇ」
いつの間にか仲間が集まっていくその様はまさに「幻想水滸伝」の主人公であった。
なお、公式名は『シグ』である。

マリカ(CV.坂本真綾)

シトロ村村長の娘で主人公の幼なじみその1。
暴走しがちな主人公の手綱を握るしっかり者。腕っ節は並の男より強いらしい。
ただし料理の腕は酷……おや、誰か来たようだ。
「百万世界(パラレル)から同位体の自分*2」が来訪する数少ないキャラ。

リウ(CV.柿原徹也)

主人公の幼なじみその2。
このメンツの中では比較的ヘタレだが、団の結成後は豊富な知識と機転で参謀役*3として大活躍する。
CV.柿原徹也なヘタレがCV.小西克之のキャラを兄貴と呼ぶ…ここで某ドリルアニメを想像するのはきっと誰もが通る道。
それとラスボスの正体もどことなく某ドリルアニメのラスボスに似通っている気がしなくもない。

ジェイル(CV.置鮎龍太郎)

主人公の幼なじみその3。
メンツの中では最も冷静沈着なクールキャラで、皆を静かに見守るタイプ……なのだが、雑貨屋でもらったおくすりをさも自腹で買ったように言ったり、主人公とリウが次元の間に飛ばされたときにはドジっ子化したりと中々お茶目な面も。

ディルク(CV.小西克之)

上記四人の兄貴分にして武術の先生でもある人物。非常に面倒見が良く、四人以外の村人からも多大な信頼を寄せられている。
本に触れたせいで主人公達がおかしくなったと思い込み………




ここまでの初期メンバーだけでもこれだけ豪華な声優陣を揃えており、その他にも藤原啓治能登麻美子、阿部敦、朴ロ美、鈴村健一、大原さやか、小山力也、松岡由貴など枚挙に暇がないほどにキャスティングに気合が入っている。


余談

幻想水滸伝シリーズ攻略本*4は作品を重ねるごとに、やりこみやミニゲーム、目安箱等の要素も細かく載せ始め、かつ戦闘に参加する仲間キャラの紹介に丁寧にページを費やすようになっており、段々ページ数が分厚くなっていったのだが、今作の公式攻略本のページはなんと799(!?)ページもあり、大ボリュームすぎてもはや攻略本という名の百科事典と化している。無論、その分読み応えは抜群である。
書店で買わずに通販等で頼むと「あれ?こんな分厚い物体頼んだかな?」と錯覚すること間違いなし。





追記、修正?……そんなもん、やってみなくちゃわからねぇだろ

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

最終更新:2025年03月03日 13:43

*1 この百万世界の中には紋章が存在しない世界もあり、本作の世界もその1つであるということがスタッフから語られている

*2 世界の状況が違うので、対人関係や性格が大幅に違う

*3 過去作の軍師に近い

*4 出版社によって差異があるが