ブーメラン

登録日:2018/06/24 Sun 03:36:08
更新日:2024/10/09 Wed 13:33:23
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ブーメラン(boomerang)とは、オーストラリア発祥の飛び道具
投げつけると戻って来ることで有名。
女性の家にあるものかは不明。



【概要】

元来は棒から発展したもので、かつて類似の武器は世界中に存在していた。
だが、ぶっちゃけ単なる飛び道具としては矢の類に勝っている点がほとんどないため、オーストラリア以外の地域では廃れてしまった。

逆に、オーストラリアは長らく弓矢を使うような他の大陸との交流が極端に乏しかった。
そのため、オーストラリアの原住民であるアボリジニ達の間ではブーメラン類が唯一の飛び道具であった。
それゆえにオーストラリアのブーメランは独自の発展を遂げている。

「投げると戻って来る飛び道具」という認識が一般的だが、本来のブーメランは相手に命中させるための武器ではない
よく考えてみよう。敵に当たったら殺せるような武器が自分に向かって戻ってきたら危険極まりない。
またこれも当然ながら、獲物に当たってしまえばブーメランは戻ってこないので、そもそも戻ってくる仕組みにする必要性が薄い。
そのため、狩猟用のブーメランは薄く軽い作りで主に獲物を追い立てるために使われていた。

戻って来る原理はややこしくなるので省略するが、「くの字型」をしていることよりも切断面の形状の方が重要。
そのため、良く見るくの字タイプや、三本腕タイプ以外にも奇想天外な形状のブーメランも作成可能。
また「水平に投げて水平に戻って来る」という描写が頻繁に見られるが、実際には「垂直に投げて水平に戻って来る」軌道を描く。

重量を持たせて殺傷力を着けたタイプのものは、「カイリー」と呼ばれる別の武器となる。
こちらは単純に言えば「投げる鈍器」。
もちろん戻って来るような構造にはなっておらず、拾いに行く必要がある。

狩猟用ではなく、祭器やお守りとして作られたブーメランもあったようだ。
また、アボリジニの伝説ではコウモリと密接に関わる存在である。

その他の国では昨今は専ら玩具用途としての利用が一般的。
北米の「オキチタウ」という武術では曲銃床と似て折れた角から金属のトゲが突き出した
「ガンストッククラブ」という上記のカイリーと同種の投げ棍棒が使用される。


【フィクションでのブーメラン】

恐らく日本で一番初めにブーメランを武器として使ったヒーローは、特撮ドラマ『怪獣王子』のタケル辺りになるだろう。
紙からでも簡単に作成できることもあり、雑誌の付録や駄菓子屋の玩具として多くの子供に愛される存在となった。

フィクションでは本来の用途は完全に無視されており、
「どのように投げても使用者の下に戻って来る万能切断武器」という存在となっている。
上述のように「刃物の付いたブーメラン」など危険すぎてまともに使えるものではないのだが、ロマン故か頻繁に出番がある。
(戻る機能がなければ手裏剣のように「投げて使う刃物」は実在する。)

また、ブーメランに限らず投擲武器はそれ自体に推進能力はないので、何かに当たるとそこで勢いを失い落ちるはずなのだが、
なぜかフィクション作品のブーメランは刃物でも鈍器でも敵に当たった後で平然と使用者の所に戻っていく。
一部作品では一応説明はあるとはいえ……一体どういう原理なのだろう。

具体的な使い手たちについては「ブーメランの使い手」の項目を参照。


【スラング・慣用句としてのブーメラン】


「恩を忘れ主君を裏切りふい討ちで切腹に追いつめるなんて最低だ!!」
朝倉景鏡について - 明智光秀(信長の忍び)

「ブーメラン発言」というスラングが頻繁にネット上で使われる。
これは「相手を攻撃する自身の発言が見事に自分自身に跳ね返って来る」という現象を指したもので、
「相手に投げたはずなのに傷つけるのは自分」という状況を揶揄するものである。

ここでは具体例を挙げるのは避けるが、頻繁にブーメラン発言をするような輩はやはり笑いものにされがち。某政治家とか

なお、過去に自分が言っていた悪口や文句、マウントが周り回って自分に帰ってくることは、言った側からは想像以上のストレスであり、
「若い頃は散々イキり散らかしていた芸能人、インフルエンサー、意識高い系人間が、歳を重ねて鬱を発症した」という、笑えない事態が実際に起きている。

名前は伏せるが、散々イキり散らかしたとある芸能人上がりの政治家が、それが原因で鬱になり退職してしまった。
しかし、そんな彼にかつての支持者や応援者からは同情されるどころか、「ダブスタ」「給料泥棒」などと追い討ちをかけられてしまった。

政治だけではない、想像してみてほしい。

同期どころか後輩からも階級を抜かされ、昔のビックマウスを引き合いに出されて「あなたには期待していますよ」と上から目線で慰められた時
部下の仕事の管理も出来ないのかと上司に陰口叩いていたら、ある日「職場の中で年齢が一番上だから」と唐突に職場の管理職に任命され、実際に仕事を割り振る立場になり直下の人間から不平不満を叩きつけられた時…
映画評論家として映画原作を叩き、脚本家の原作改変に好意的な意見を述べていたら、自分より遥かに大手大御所になったファンから「あなたに私の作品の脚本を書いて欲しい」と押しかけられた挙句、あらゆる反論をネームバリューという名の権力でねじ伏せられた時…

あなたは果たして正気でいられるだろうか?


嘘はかならず我が身に戻る。受け止め方に注意しろ。
《ブーメラン/Boomerang》ミラージュ版

「ブーメラン発言」というスラングが一般化する前から、何かしら「戻ってくる」物をブーメランに例える例は珍しくない。
代表的なのが故・西城秀樹の曲「ブーメラン・ストリート」であろう。
別れた女に「あなたはブーメランのように戻ってくるだろう」と訴えかけるモーレツに未練がましい歌である。

また、「見事なくの字型」を指して「ブーメラン型」と言うこともある。
これは「ブーメランパンツ」という下着で有名だろう。
なんと、冬にブーメランパンツを濡らして干すことでブーメランにすることが可能である*1


【余談】

  • スケールド・コンポジッツの創業者であるバート・ルータンは「ブーメラン」の名を冠するとんでもない軽飛行機を作ったことがある。
    左右非対称・双胴・微妙に前進翼という、「それはひょっとしてギャグで作ってるのか…?」と言いたくなるような形状である。
    ちなみに機内からiPadを使ってフライトプランを提出できるという、謎の機能が搭載されている。

  • 家具量販店のIKEAでは「BUMERANG」と名付けられたハンガーが販売されている。
    これはスペイン語などでのブーメランと綴りが一致しているが、日本語での読みはあくまで「ブメラング」らしい。




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最終更新:2024年10月09日 13:33

*1 探偵!ナイトスクープにて実際に行われた