ヒクイドリ

登録日:2018/07/07 Sat 15:07:00
更新日:2024/12/16 Mon 12:29:40
所要時間:約 4 分で読めます





ヒクイドリとは、ヒクイドリ目ヒクイドリ科の鳥類である。

漢字では火食鳥食火鶏とも表記される。
英語では「キャサワリー」と呼ばれており、『ゴルゴ13』に登場する女性暗殺者や『サクラ大戦』のマリア・タチバナ帝国華撃団にスカウトされる前の二つ名*1に冠せられている。


概要

パプアニューギニアやインドネシア、オーストラリアにかけての熱帯雨林に生息しており、飛べる鳥と飛べない鳥、双方含めてアジア最大の鳥類である。
特徴として、髪の毛のように細長い漆黒の羽毛に、軸だけの風切羽、青白い頭部と名前の由来にもなった真っ赤な喉が特徴だが
これが火を食べたかのように真っ赤なことが名前の由来になったと言われており、本当に火を食べるからというわけではない。
多くの飛べない鳥に共通して翼は退化しており、痕跡程度しか残っていないが、その代わりに凄まじい速さで走ることができ、最大で50㎞ものスピードで走れるという。
大きなものだと1.7mにも及び、西アジアのダチョウの個体群が絶滅した現在はアジア最大の鳥類でもある。

そして、この鳥の特筆すべきは

世界一危険な鳥であること。



世界一危険な鳥であること
※大事なことなので二回言いました。



事実、この鳥の脚力は凄まじく、なら一撃で蹴り殺せるといわれ、当然ながら人間も例外ではない。
実際にこの鳥に襲われて死亡したというケースは後を絶たず、子供がちょっかいを出したが為に首を切り裂かれて死亡した、という事例があったり、第二次世界大戦においてはオーストラリアの兵士が敵兵よりもこの鳥に用心するべしと警告していたりするほど。実際にジャングルでコイツに襲われて死亡というケースも存在する。

ここまで書くと積極的に人を襲う獰猛な鳥と思われがちだが本来は臆病な性格で、必要以上に追い詰めたり子育て中にヒナにちょっかいを出したりしない限りは無害というのもまた事実である。むしろ臆病だからこそ、ちょっかいをかける程度でも過剰に反応して攻撃的になると言える。*2
50㎞ものスピードを出し、殺人キックの源となっている脚もかなりゴツイ上に爪は鋭くまるで恐竜のようである。


見よ、この脚を……!


出典:人間のはらわたを引きずり出すパワーの持ち主、オーストラリアの怪鳥「ヒクイドリ」とは


先述したばかりだが、脚だけ見たらまるで恐竜のそれのように見えないだろうか?

しかし飛べないことが災いしてか、飛べる鳥以上に環境破壊の影響を受けやすいデリケートな一面もある。現在も数が減り続けている為厳重に保護されており、無許可で狩ろうものなら重い罰が下されるという。
例えヒクイドリが世界一危険な鳥でもフル装備の人間には勝てないのである。


実は同じく飛べない鳥でオーストラリアに棲息しているエミューとは近縁関係にあるとされており、性格や顔つき、体格はともかく体型は似ている。

あまり鳴かない鳥だが、繁殖期の場合は別でその際には頻繁に鳴くという。
そしてそれは鳥というより猛獣のような鳴き声だといわれ、さえずりというよりも唸り声に近く、雌雄で鳴き方も違う。
オスはヴォッ、ヴォッ、ヴォッと短い鳴き方を繰り返すがメスは
ゴォォォォォォォォォォォォ……と地鳴りのような鳴き声で鳴くという違いがあるのだとか。

ちなみにオスよりもメスのほうが大型の傾向にあり、メスは58㎏にもなるのに対し、オスは30㎏程度にしかならない(それでも鳥として考えれば十分重いが)。

そして卵やヒナはオスが育てるという鳥類としては珍しい生態を持っており、メスは子育てには参加せず、オスが作った巣に卵を産み付けると、他のオスとの子孫を残すためにどこかへ立ち去ってしまうのである。
オスは巣に産み付けられた卵を50日間も温め、無事孵化すると
今度はヒナが自立するまでの90日間ひと時も離れることなく子育てに励む、という鳥類屈指のイクメンなのだ。


卵の色

そんなヒクイドリの卵は珍しい色をしていることでも有名である。


出典:世界一危険な鳥ヒクイドリの蹴りは殺人級。ヒクイドリが見れる動物園まとめ

この画像を見ればわかる通り、初見だと果物に見間違えてしまいそうなほどの鮮やかなグリーンなのだ。

ちなみに何故この色になるのかは不明である。

恐竜に近い鳥?

鳥類は恐竜から進化したといわれることが多いが、かつてヒクイドリはそんな数ある鳥類の中でも恐竜にもっとも近い鳥の一つと言われており、恐竜から鳥類への進化の解明の為研究が進められていた。
しかし近年ではヒクイドリと恐竜の繋がりはないとする学術結果が出ており、残念ながら進化の解明には繋がらなかった。

天敵

そんなヒクイドリだが天敵もいる。
大柄な成鳥ならまだしも卵やヒナはオオトカゲに捕食されてしまうことが多いのだという。
その為オスは死力を尽くして天敵と戦うのである。

だが成鳥でもどうにもならない最大の天敵はやはり人間であろう。
上でも少し述べたが環境破壊によってジャングルが減ったり人間とともに
侵入したネズミやブタ等の動物によるヒナや卵の食害の結果
ヒナの生存率は1パーセントにすら満たないという研究結果も出ているのだから……。

ヒクイドリをモチーフとしたキャラ

ひくいどり(『ドラゴンクエストシリーズ』)
火食い鳥(『ドラえもん ギガゾンビの逆襲』)
ドラゴン(『真・異種格闘大戦』)
ヒクイドリ(『けものフレンズ』)
魔剣神官マッドトリン(『獣電戦隊キョウリュウジャー』)
波山・婆娑婆娑・犬鳳凰(愛媛県


追記・修正はその蹴りを食らってからお願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • アニヲタ動物図鑑
  • 鳥類
  • 飛べない鳥
  • ヒクイドリ
  • 世界一危険な鳥
  • キックの鬼
  • 猛獣
  • 危険生物
  • 火喰鳥
  • カッサワリー
  • 蹴爪
  • レベル100の七面鳥
  • 恐竜の生き残り
  • 蚤の夫婦
  • イクメン
  • マリア・タチバナ
  • 獰猛
最終更新:2024年12月16日 12:29

*1 マリア・タチバナの場合「クワッサリー」である。

*2 ちなみに、本質が臆病であるために攻撃的になるのはヒクイドリに限った話ではない。他の動物で言えば熊あたりが有名であろうか。