アニメーション/アニメ

登録日:2024/10/14 Mon 23:30:00
更新日:2024/12/21 Sat 23:17:32
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アニメーションとは、絵や人形と言った人工的に作られた物を少しずつ動かして撮影、それらを連続して再生して動きを表現する技法。

アニヲタ民も含め、おそらく知らない人はいないだろう。
単独のアニメーション作品以外にもゲーム内ムービーやCMの映像など、幅広い場面で表現方法として活用されている。

由来


「アニメーション」と言う言葉は英語のanimation(アニメーション)に由来する。
animationは、元々ラテン語の「animatio」から来た外来語で「命を与えること、生き物」を意味する。
animal(動物)やanimizm(アニミズム、精霊信仰)も語源を同じとする。さらに遡ると印欧祖語で呼吸、生きるを表す「henh-」となる。

只、日本に入ってきた当初は漢語に翻訳した「動画」と呼ぶのが主流だった。ちなみに中国語でも動画と呼ぶ。
それ以外には「線画」、テレビアニメについては「テレビ漫画」と呼ばれることも多かった。
その後、日本語における動画の意味合いが「動いている映像(video)全般」に拡大したことから、英語由来のアニメーション、その略語の「アニメ」が代わって使われるようになり現在に至る。

英語を含むラテン文字使用地域でもAnimeと言う形で逆輸入されており、日本(風)のアニメーションを指す言葉として使われている。
そのため日本の一般的な感覚では信じがたいことだが西洋においては「アニメ」は日本固有のものであり、西洋風のアニメは「カートゥーン」として明確に区別するべきであるとする風潮が強い。

アニメーションの誕生


パラパラ漫画の様な物も含めるなら古くから作られているが、現代人が思うアニメの形に最も近いのはフィルム写真技術が発達した1800年代後半以降である。
1892年にはフランス人のシャルル・エミール・レイノーによって『一杯のビール』『哀れなピエロ』『道化師と犬』の三作が公開。これらが現存する世界最古のアニメとされている。
1900年にはアメリカ人のジェームズ・スチュアート・ブラックトンによって世界初のコマ撮りアニメが製作された。
日本では1907年から1912年の間に作られたと考えられている『活動写真』が最古と扱われることが多い。

1910年代に入ると米国の漫画家出身のアニメーターたちによって新技術が発明された。
具体的にはジョン・ランドルフ・ブレイとアール・バードらが1914年にセルアニメを発明、そして翌1915年にはフライシャー兄弟がロトスコープを考案し、量産化体制が整い始める。
その後、自信を付けたフライシャー兄弟は1921年にフライシャー・スタジオを設立。商業的に成功したことを受け、アニメ産業に新規参入する会社が増加した。
ディズニーやワーナー・ブラザーズと言った2020年代現在でも著名な制作会社が誕生したのもこの頃である。
これら米国産アニメは世界に輸出され、その影響を受けて各地域で多様な作品が作られるようになっていった。

表現手法


コマ撮りアニメ(ストップモーションアニメ)


動きがあるように上手く画像を繋げて成り立たせる最も原始的な方式。2Dアニメも原理的にはこれと同じだが一般的には実写で撮影した物に対して使われることが多い。
手間は掛かるが、実写特有の独特の味わいが出ることから根強い人気がある。
最低限、動かしたい物とカメラ、編集用のパソコンがあれば作品が作れる簡易性も相まって、個人で作る人も。
粘土で出来たクレイアニメや人形(フィギュア)を用いた人形アニメもこれに属する。中にはレゴブロックや黒板で作られた物も。

2Dアニメ


黎明期は切り絵で行われていたが、1930年代から透明なセル画とアニメカラーを用いた彩色で作ることが長らく主流になった。
アニメ絵と呼ばれる表現技法も分業作業でのムラを減らすための手段として生まれた物である。
1990年代後半からはパソコン上でのデジタル作業に移行しており、むしろセル画技術が失われつつある。
現代日本のアニメーションとして主流なのはこちら。

3DCGアニメ


コンピューターグラフィックスの進化により1990年代後半から普及した。
「モデルを使い回せる」のが利点で欧米産の大作アニメでは現在主流の方式。個人製作でも用いられることが増えている。
2D優勢の日本では普及が始まった頃は背景・作画が大変な物に対して補完的に使うのが主流だった。
特に曲がったり潰れたりせず表面の質感も一定で、かつパーツが多いくせによく動くため作画コストの高いメカや
集団で決まった動き(振り付け)をしたりカメラアングルを大きく動かす事で画面映えがするアイドル物とは相性が良い。
ただし演出が限られる*1と言うデメリットもあり、完全メカ主役モノでは敢えて採用されないことも。
一方ゲーム業界ではモデルを使い回せる利点を生かし当初から積極的に使われていた。
2010年代に入ると2D風にできるトゥーンレンダリング・セルルックと言った技術が普及し、純粋なアニメ作品でも全面使用される作品が増えている。

題材


人気が見込める漫画・ゲーム・小説(ライトノベル・Web小説を含む)をアニメ化するのが普通。詳しくはアニメ化の項目を参照。
漫画・小説原作の場合、人気拡大を狙って連載中にアニメ化されることが多い。
もちろんアニメ自体が原作になるオリジナルアニメや多媒体と同時並行で進めるメディアミックスと呼ばれる物も存在する。

オリジナルアニメ


原作が無いアニメ。公開日までは次の展開が分からないので考察がより盛り上がる傾向にある。
原作ありきで作られるアニメと違い自由に制作することができる。
代表作品は『新世紀エヴァンゲリオン』『魔法少女まどか☆マギカ』『リコリス・リコイル』辺りか。

漫画原作アニメ


基本的に原作に沿った話になるが、地上波全日帯アニメ全盛期には原作に追いつかないよう独自展開を入れたり、原作が未完結のまま放送終了する場合は終盤が原作とは異なる展開になることが多かった。
2020年代現在はキリの良い所で一旦終了して原作が進んだら再開することが一般的。
Web配信を中心に漫画をそのまま動画にして声優に喋らせると言った簡易的な物も公開されている。

小説原作アニメ


基本的には漫画原作と同じだが、元が挿絵程度しか無いのでアニメスタッフの解釈の実力が試される。

ホビーアニメ・ゲーム原作アニメ


玩具やゲーム開発企業が協賛に付いて自社の製品を宣伝するために制作されるアニメ。
広義的にはロボットアニメも含まれる。

解説・教育アニメ


公的機関や各種法人、教育産業向けに作られるアニメ。
教育向けの場合、低年齢層に向けた物が多いが、年齢問わず見れる講義的な物もある。
ある程度娯楽性を重視した物から真面目な物まで様々。

成人向けアニメ


主に性行為を題材にしたアニメ。日本では🔞。成人漫画・アダルトゲームのアニメ化からオリジナルまで様々。
只、宣伝も兼ねて全年齢向けの動画サイトや地上波の深夜帯で放送できる水準まで編集した物を別で作る場合がある。

視聴方法


アニメは様々な場所で提供されている。実際はどれか一つの手段になることは少なく複数個の選択肢を同時に取ることが多い。
ここでは日本における状況を主に紹介する。

映画(アニメ映画)


独自の物からテレビアニメの劇場版まで様々。予算をかけた大作が多く概ね90分程度の作品が多い。
日本・外国問わず黎明期から現在に至るまで主流の方式。

Web配信


当初は短編やテレビアニメの補完的作品、違法アップロードが多かったが、インターネットの発展に伴い一気に中心に躍り出た。
インターネットに繋がりさえすれば視聴できるので、映画・テレビ等と比べると時間的・場所的制約が少ないのが強み。
電波が届かない所でも視聴できるようにキャッシュを生成できる機能を設けているサービスもある。

地上波放送される場合はそちらの放送予定に影響されるが、Web限定の場合、話数関係なくキリの良い所で終えることも多い。
地上波放送に倣って週一配信される物もあれば、最初から最後まで一気に配信する物も存在する。

2020年代現在では無料・有料問わず多くの作品が配信されており、特定のVODで独占配信される作品も多い。宣伝も兼ねて旧作をぶっ通しで期間限定で配信することも増えている。
地上波放送とは違い視聴年齢に制限が掛けやすいこともあり、攻めた作品はこちらで公開されることが2020年代現在は主流。

テレビ放送(テレビアニメ)


地上波放送の場合、全日帯では玩具とのタイアップに重きを置くホビーアニメや一話完結型が中心で、物語の連続性が強い物や対象年齢がやや高い物は深夜帯が多い。
只、放送されるアニメの数・放送時間は地域・放送局によってがある。特に民放の数が少ない地域だと複数のキー局の番組を少数のテレビ局でやりくりしなければならず、時間的に放送できない場合も。

放送期間は他のテレビ番組同様、1クール単位で決められる。
どの程度成功するかは未知数なので基本的に1クールが多いが、ある程度人気が見込める作品は最初から2クール放送される場合がある。
もちろん成功すれば、しばらく間を挟んで2期、3期…と続いていくことが多い。
長期的な視点で展開するホビーアニメ等は始めから4クール(1年間)以上になることもあり、人気が高水準で安定すれば数十年単位で継続することも。

只、ホビーアニメや一話完結型を除き、2010年代以降は新たに連続4クール以上の長期で放送される作品は稀になっており、新規の長期放送アニメも2000年代以降はあまり増えていない。
利益が見込めるであろう漫画原作の人気作であっても、深夜枠で分割3・4クール以上(+映画)で放送させることが増加している。

2010年代以降はWeb配信の存在感が増したが、長らく伝統的な視聴手段であること、テレビ局も積極的に協賛に参加している事情もあり、2020年代に入ってもWeb配信と並列して放送される作品も数多い。

衛星放送やCATVでも多くの作品が放送されている。地上波放送の補完を始め、過去作の再放送も行われている。

ビデオテープ/DVD/Blue-ray/ダウンロード


1980年代以降ビデオデッキとレンタルビデオが普及してから出現した形式。
基本的には個人が録画した物あるいはテレビアニメやアニメ映画の再録商品が主だが、市場の拡大で「オリジナルビデオアニメーション(OVA)」と呼ばれる専用の作品が作られるようになり1980年代から2000年代にかけて一世を風靡した。

単発を除けば、販売間隔も会社によってマチマチで月一から年一以上まで様々。
直接販売して利益を出す仕組みなので、売り上げが芳しくなければ話数短縮・打ち切りなってしまう作品も。
販路・宣伝の多角化のために劇場で映画として公開したり、テレビ放送される物もある。

2010年代中盤以降はWeb配信に移行が進み、物理媒体のみで販売される作品はほぼ消滅。そのためファングッズの意味合いが強くなっている。





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最終更新:2024年12月21日 23:17

*1 例えば迫力を出すためにわざと遠近感を崩す等2Dアニメで伝統の手法が長らく再現できなかった