ドリルミサイル(宇宙戦艦ヤマト)

登録日:2019/09/15 (日曜日) 15:10:00
更新日:2024/04/10 Wed 11:02:57
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あ、あれはミサイルなんてものじゃない!! 巨大なドリルだっ!!


ドリルミサイル!!


ドリルミサイルとは『宇宙戦艦ヤマト』に登場するガミラス軍の兵器である。
様々な作品に同名の兵器が登場するが、ここでは宇宙戦艦ヤマトのものにしぼって解説する。

【概要】

ドメル将軍が対ヤマトへの切り札として兵器開発局に作らせた専用兵器。
巨大なミサイルの先端がドリルになっており、これをヤマトの波動砲発射口に打ち込み、
波動砲を封じるとともにヤマトを内部から爆破してしまおうというコンセプトで作られた。
非常に巨大であるために普通の爆撃機では搭載できず、運用には専用の重爆撃機を必要とする。
その重爆撃機も戦闘空母の艦内に収容できず甲板上に露店係留されていることからも、大きさがわかるだろう。

だがむろん、こんなでかいものをそのまま放ったところでかわされるか撃ち落とされるかが関の山であるし、ヤマトには防空用のブラックタイガー隊もいる。
それをかわした上でヤマトにドリルミサイルを撃ち込んでとどめを刺すための作戦こそがドメル戦法である。

なお、ドリルの先端に人が入り込める穴が不自然に開いており、ここから真田とアナライザーに侵入されて
内部のメカをいじられたことが敗因となっているが、この穴はガミラス兵がヤマト艦内に侵入するというプロットがあったのが没になった名残である。
そのため穴が都合よく空いている形になってしまった(『空想科学読本9』でもドメル将軍マイラブな柳田氏から突っ込まれている)。

【劇中での活躍】

七色星団の決戦にて、消耗したヤマトが補給のためにブラックタイガー隊を帰投させたタイミングに満を持して
重爆撃機がハイデルン隊長の操縦で発進。そのまま瞬間物質移送機によってヤマトの真正面にワープアウトし、
見事にヤマトの波動砲口にドリルミサイルを命中させた。
ヤマト側は最初不発かといぶかしんだが、ドリルミサイルは回転しながらどんどんヤマトの中へとめり込んでゆき、
ついにシャッターを破ってエンジンルームにまで頭をのぞかせてしまう。

「中で爆発したらヤマトは粉々だ」

すぐさま真田技師長がアナライザーを連れてドリルミサイル内部に突入し、内部構造を調べて逆転させようと工作を始める。
だがその間にもドメル艦隊が黙っているわけがなく、接近してきたドメル艦隊の戦闘空母からの砲撃でヤマトは大破。
ついに全砲塔が使用不能になったヤマトはなすすべなく沈黙させられてしまう。

「ドリルミサイルの爆発まで、あと三十秒です」

「ヤマトよくやった。ほめてやるぞ!」

ゲールとドメルも勝利を確信し、ヤマトの最期の時が迫る。
だがその時、ついにドリルミサイルの構造を解析した真田が回路を逆転させることに成功。
あべこべに回路をつながれたドリルミサイルは逆回転しながら波動砲口から飛び出していき、その先には密集体形をとっていたドメル艦隊が無防備な姿でいた。

回避する間もなくドリルミサイルは戦闘空母に直撃して大爆発。
その爆風をもろに受けた第一第二第三空母も次々と衝突と誘爆を繰り返し、一瞬にしてドメル艦隊は全滅してしまったのだった
んなアホなと思うかもしれないが、宇宙空間では爆風の威力は地上の数万倍に及ぶため破片の一つ一つが爆撃級の威力を持つのである。
さすればこうもなろう。
まぁ要するに宇宙規模で見れば密集しすぎだったということである。

しかし、それでもあきらめていなかったドメルは旗艦のみでヤマトに立ち向かって凄絶に散っていったのは諸君のよく知るところであろう。
この時ヤマト側のレーダーにドメル旗艦が引っかかるシーンにて「ソナー感知!」という台詞は冷静に考えるとおかしいのは内緒。空気ないのに。

ドリルミサイルはヤマトをあと一歩まで追い込みはしたものの、逆にドメル艦隊全滅の原因となってしまったのは皮肉である。
これについてはヤマトの真正面に艦隊を密集させたドメルの作戦ミスであるが、まさかミサイルをそのまま返してくるとは
想定していなかったであろう。強いて言えば、ヤマトにあの技師長がいることを知らなかったのがドメルの不幸であったかもしれない。


【他メディアでの活躍】


ひおあきら版のコミック版では上記のカットされた話が盛り込まれて使われている。
  • ストーリー
イスカンダルを目指し進むヤマト。
旅も終盤に入る中で、ヤマトはゲル艦隊の襲撃をワープでかわし、ゲルニューム星という惑星の前にワープアウトする。
しかし、ゲルニューム星にもガミラスの基地があり、ヤマトに向かって一基の巨大ミサイルが飛んできた。

「一番二番、主砲発射用意!!」

すぐさま古代の指示で主砲が放たれ、巨大ミサイルを迎撃する。だが、黒光りする巨大ミサイルはヤマトの主砲を苦も無くはじき返してしまったではないか。

「ば、ばかな!! ショック・カノンがはじきかえされたぞ。ものすごい装甲金属の塊だぞ!!」

驚く古代と島は、記事冒頭の叫びを発した後にそれがドリルミサイルであることを確信する。
(この話のドリルミサイルはアニメのものとは違い、超大型ミサイルにらせんをつけたような形をしている)
必死に回避しようとするも間に合わず、ドリルミサイルはヤマトの左舷艦底に命中。回転しながらどんどんとめり込んで来る。

「どうする? このままではヤマトをつきぬけるぞ。そしたら……」

「そしたらヤマトはまっぷたつにへしおれてしまうだろう……」

古代と島が青ざめる前で、ドリルミサイルはどんどん食い込んで来る。だがそこに、救いのが現れた。

「だいじょうぶだ古代!!」

「真田さん」

「ドリルの回転速度を計算して、それより早くヤマトを回転させればドリルはぬける」

こうしてヤマトは中の人間が目を回すほど大回転して、かろうじてドリルミサイルを排除することに成功した。
さらに、波動砲でゲルニューム星基地を粉砕し、戻ってきたゲル艦隊も撃退に成功したヤマトは修理しながら旅路を急ぐのであった。

だが、ドリルミサイルの脅威はこれで終わらなかった。

それから少しした後、ガミラスではヒスとゲルによるデスラー暗殺計画がおこなわれていたが、クーデターはヒスの企みを
看破していたロメルによって失敗に終わり、ヒスとゲルはロメルに射殺された。

ロメルはかろうじてデスラーを守り切ったものの、ヤマトへの攻撃が遅れてしまったことを懸念する。
けれどもロメルは先を読んで手を打ってあった。

「ドリルミサイルの破損ももうなおっているだろうが……あのドリルミサイルには、もうひとつの武器があるのだ!! いまごろは……」

不敵に笑うロメル。

一方、そのころヤマトは大変な事態に陥っていた。

「機関員の桜田だ!! し、死んでる!!」

「たいへんだ。今度はパイロットの小谷が殺された!!」

ヤマトの艦内で次々に乗組員が何者かに鋭い針のようなもので串刺しにされて殺されており、
艦内ではガミラスのスパイが紛れ込んでいるのではと疑心暗鬼になっていたのだ。
戦闘班の必死の捜査にもかかわらず、さらに戦闘員の津原までもが殺され、艦内の動揺は広がっていく。
こんなところにガミラスの攻撃を受けたらひとたまりもない。古代はアナライザーを連れて自ら艦内パトロールに出かけた。
コスモガンをかまえて警戒しながら歩く古代の前の通路で悲鳴があがる。

「あっ!! 高木、どうした!?」

駆けつけたときには遅く、高木はこれまでの犠牲者同様に針のようなもので刺されて死んでいた。

「し、しかし、だれもいないぞ……」

直前に殺人がおこなわれたはずなのに犯人の姿が見えない。
だが、いぶかしる古代の隣でアナライザーが叫びをあげた。

「ピピ!! スパイハアソコニイマス!!」

「なんだって? なにもないじゃないか」

「ソコニイルンデース!!」

「だってこのとおりなんにも」

アナライザーが怒りながら叫んでも古代の目にはなにも映らない。
しかし、そのとき古代の目の前をなにかが横切り、次の瞬間古代の前に見慣れない女が立っていた。

「ホホホホ……」

「お、おまえは!?」

「ガミラスエージェント、イローゼ!!」

「お、おまえのしわざだったのか!!」

「そうよ、そしておまえは五人目の犠牲者!!」

「なにを!!」

激昂してコスモガンを放つ古代だったが、イローゼは軽く銃撃をかわすと手に持った串のようなものを投げつけてきた。
古代はかろうじてかわすが、なんと後ろにいたアナライザーは金属製にもかかわらずに串刺しにされて倒れてしまった。

「アナライザー!!」

「パピプペペポポーッ!!」

「ホホホ、この超振動ニードルはどんな金属でも突き刺さるのよ」

これまで乗組員を音もなく暗殺していたのはこの武器だったのだ。
古代は当たってたまるかと回避しながらイローゼを撃つが、銃撃を避けたイローゼの姿がなんと壁に溶け込むようにして消えてしまったではないか。

「き、き、消えた!? そ、そうか、あいつのコスチュームはカメレオンのようになっているんだ!!」

保護色で姿を消した相手には古代も打つ手がなく、このまま犠牲者に加えられるのを待つしかないかと思われた。
だがそのとき、機能停止していたアナライザーの頭部がボディから離れて浮き、古代の背後で隠れていたイローゼに体当たりをかけた。

「キャッ!!」

「うっ!! そこか」

振り向きざまに放った古代の銃撃を腹に受けてイローゼは断末魔をあげて死亡。
ホッとした古代はアナライザーとイローゼの死体を順にみて言った。

「ありがとうたすかったよアナライザー」

「ナンノナンノ」

「こいつはおそらく、あのドリルミサイルに乗ってヤマトに潜入してきたんだろう……恐ろしいやつだった」

少なからぬ犠牲を出したものの、かろうじて最悪の事態に陥る前にスパイを排除することのできたヤマトはイスカンダルを目指して、なおも旅を続けるのだった。


こちらの版でもドリルミサイルはアニメとはまったく違った形ながらも、ヤマトを絶体絶命の危機に二度も追い込んでいる。
特にイローゼの暗躍はアナライザーがいなければ古代も殺害されていたのは間違いなく、
その後に控えたロメル艦隊の総攻撃の前にヤマトはあっけなく撃沈されていただろう。
特に、イローゼはヤマトの中に単身突入するという生還困難な任務にもかかわらず終始余裕であったのはガミラス軍の死をも恐れぬ精神力と練度の高さを思わせる。
そして、これを計画したロメルの謀略の手管もまた、ヤマトにとって恐るべき敵であったと言えるだろう。


ヤマトIIIには兵器ではなく地質調査用のドリルミサイルが登場している。


2199版では「特殊削岩弾」の名前で登場、基本的な運用法やストーリーの流れは原作とほぼ同様であるが、このミサイルによって撃沈されたガミラス艦は2隻のみとなっている。(他はヤマト艦載機に撃沈されたり、沈まずに生還するなどしている)
「削岩」の名の通り、本作では『元から兵器としてではなく、小惑星掘削作業用の重機を改造・転用したもの』という設定になっている。
都合良く先端に穴が開いていたのも、新見情報長によるハッキングをあっさりと許したのも、元が民生品の作業機械である名残という形である程度の整合性が図られた。








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最終更新:2024年04月10日 11:02