書籍化やる夫スレ

登録日:2020/01/04 (日) 01:23:20
更新日:2025/04/19 Sat 15:39:49
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概要

読んで字のごとく、元々はWEB掲示板での書き込みという形でキャラクターのアスキーアート(以下AA)に台詞を当てはめた「やる夫スレ」作品が書籍化されたもの。

書籍化、と言っても掲示板への投稿をそのまま書籍化したものだけではなく、小説作品としてリライトされたものもある。というかこっちの方が多い。
もっとも、元々がAAを組み合わせての投稿と漫画や紙芝居、アドベンチャーゲームに近い表現だったのが文字のみでの表現になる事もあり、原作とは印象やテンポが異なる事も多い。
また、既存キャラを使った二次創作的な面もあるが、主に版権の問題もあり書籍化にあたってオリジナルキャラへ変更される事がほとんどである。
大体イケメンにされる主人公役のやる夫が一番わかりやすいだろう

主な作品


やる夫がダービージョッキーを目指すようです

やる夫がマスコミに疑問をもったようです

書籍名:やる夫1 ~お仕事・業界編~
出版社:ワニブックス

公称されている初の公式書籍。二作品を収録している。
当記事のタイトルが「やる夫スレ原作小説」ではないのはこの書籍の存在を考慮したため。AAは原作そのままとなっている。
しかしながら、印刷用フォントの都合で掲載されたほとんどのAAの形が崩れてしまっており、1と銘打っておきながら結局続刊は出ていない。


青い鳥はオスかメスかわからないようです

書籍名:同上
出版社:ダークエルフ書房

いわゆる貞操観念逆転モノのラブコメ。
カクヨムにてWeb小説として発表されたあと、電子書籍化された。
なお、現在はカクヨムでの公開は終了している。


ゴブリンスレイヤー

書籍名:同上
出版社:ソフトバンククリエイティブ(GA文庫)

もはや説明不要のやる夫スレ随一の出世作品。
元々は作者の雑談所内での小ネタだったのだが、気が付けばかなりの長編作品となった。
詳しくは該当記事にて。


ユース・アンド・アッシュ・サイドバイサイド

書籍名:ゴブリンスレイヤー外伝2 鍔鳴の太刀《ダイ・カタナ》
出版社:ソフトバンククリエイティブ(GAノベル)

ゴブスレ同作者による本編の過去世界を描いた外伝小説…というよりは元々無関係だった作品の世界観を『ゴブスレ』に合わせてリメイクしたもの。
AA版は『ウィザードリィ』を原作にした作品でエターなっていたが、書籍版は最終巻が出るのに時間が掛ったものの全3巻で完結した。
コミカライズも一回エターなった後、作画を変更して仕切り直しとなっている

ちなみに作者は後に本家ウィザードリィをモチーフとした小説『ブレイド&バスタード』を執筆することになるが、それはまた別の話である。


翠星石と白饅頭な彼氏

書籍名:朝比奈若葉と○○な彼氏
出版社:メディアファクトリー(MF文庫)

いじめられっ子の女子高生とキモオタデブと陰口を叩かれている男子高生の恋愛を描いたヒロイン視点のラブコメ。
やる夫の面影が大きく残っている数少ない作品
「スレ発ラノベ4」の先陣として後者3つと共に出版が発表された。コミカライズも4作共に行われている。
コミカライズは月刊ビッグガンガンで連載。
書籍版全2巻完結、コミック版は全3巻で完結。元々が短編であった事もあり、スレ発ラノベ4の中で唯一、円満に完結している作品。
因みに作内には同作者の別のやる夫スレ作品が作中作として登場していたりもする*1


やらないキッチン

書籍名:クレイジー・キッチン
出版社:KADOKAWA(カドカワブックス)

小さな洋食屋を舞台に、料理狂いな店長と一癖も二癖もある店員や常連客との笑いありシリアスあり下ネタありのやり取りを描いた日常コメディ。
上記の『ダービージョッキー』は原作AAそのままなため、小説としてリライトされたやる夫スレ作品としては最古参となる。
ヒロインのカナさんが突如巨乳になったうえ、作者直々にPAD認定されたことで話題になった*2
少年エースplusにてコミカライズが連載。単行本ではカナさんのPADバレエピソードが読める。
書籍版は2020年4月の2巻を最後に続刊未定、コミック版は全2巻で完結。
内容的に打ち切りだが、元々が一話完結形式だったという事もありキリの良い所で終わってはいる。

なお作者は後にカクヨムにて『異世界刀匠魔剣製作記』を執筆・公開し、『異世界刀匠の魔剣製作ぐらし』として書籍化に至っている。コミカライズ版も刊行した。


白頭と灰かぶりの魔女

書籍名:君は死ねない灰かぶりの魔女
出版社:KADOKAWA(カドカワブックス)

記憶喪失(?)の少年が、魔女と呼ばれるヤンデレヒロインたちとイチャついたり殺しあったりするダークファンタジー。
序盤こそメインヒロインとのほのぼのした師弟生活が描かれるが、他の魔女が登場すると共に世界観も明かされていき、次第に陰惨な雰囲気のサスペンス・アクションと化していく。
書籍版、コミック版ともに2巻で連載終了。
どちらも「これからが本番」というところで打ち切られた格好になっているため、特に惜しまれている作品。


やる夫はカードを引くようです

書籍名:アキトはカードを引くようです
出版社:メディアファクトリー(MF文庫)

「ガチャ」や「レアリティ」といった多くの用語などソーシャルカードゲームを下敷きにしたような世界観と、格ゲーとRTSとカードゲームのちゃんぽん的なシステムのバトルが特徴。
原作は非常に人気のある作品である一方、AA版は意外性のある配役*3や、AA元の原作を上手く使った演出等が好評だったため、商業化の際に最も不安視された作品でもある。
そして実際上手くはいかず、書籍版は2020年4月の3巻を最後に続刊未定、コミック版は3巻打ち切り終了*4

スレ発ラノベ4はそもそもゴブスレの二匹目のドジョウ狙いが見え見えな上に、編集部の書籍化へのサポートが大分疎かだったのかどの作品もいまいち出来が荒いため、元のやる夫スレ住人にも評判が悪く短期打ち切りがほとんどと言う、なんともパッとしない結果に終わってしまった。
その中でも今作は、書籍化に前後してスレの方も非常に盛り上がる所でエターになってしまい、読者から怨嗟の声が上がった。


華麗なる召喚術士ルイズの召喚獣、入即出やる夫

書籍名:召喚術士テレサは怠惰に稼ぎたい-最悪の小悪党は手段を選ばずやる男でした-
出版社:Rentaコミックス

魔法使いの少女に現代日本人が召喚されて始まる異世界召喚コメディ。
この系統の作品の定番であるチートじみた能力や知識で世界を大きく変えるタイプの物語ではなく、
身の回りの所帯じみた問題をこれまた所帯じみた(?)知識を利用して解決し、小金を稼いでいくお話。
作者自ら小説用にリライトしたものを『小説家になろう』にて連載。
その後、電子書籍のレンタルサイト「Renta!」にて
ライトノベル、絵ノベル(昔に個人サイトで流行った台詞にキャラのアイコンが付くタイプのアレ)、コミカライズ
以上の3形式で配信されている。

本作自体はあっさりと打ち切りの憂き目にあったものの、作者は本格的になろう作家として執筆を続けており、中でも『人間不信の冒険者たちが世界を救うようです』はアニメ化を遂げるなどそこそこ大成している。


モスクワ2160

書籍名:同上
出版社:ソフトバンククリエイティブ(GA文庫)

2160年の未来でも未だ続く冷戦下のソビエト連邦を舞台としたサイバーパンクアクション。
ゴブスレ作者による別のやる夫スレ作品の小説化にあたり、書籍化と同時にコミカライズが展開されている。
なお原作となるやる夫スレでは、世界観を始めとした物語を構成する要素のほとんどがダイスロールの決定によるものであり、それらが絶妙に噛み合った結果、非常に完成度の高いハードボイルドものが爆誕したという経緯を持つ。*5




追記・修正はやる夫スレを読みながらお願いしますお。


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最終更新:2025年04月19日 15:39

*1 元々同作者の作品は大なり小なり世界観を共有している。

*2 原作の配役は金糸雀。小説の地の文でも貧乳扱いされており、更に2巻ではパッドを割単位で増減できる使い方をしている事が示唆された。

*3 特に汎用性のあるAAが一枚しかないようなキャラの起用。読者人気も高い「サトシさん」はその筆頭。

*4 漫画版作者のツイートによれば、「もっと早期に打ち切られる予定だったが、なんとかキリの良い所までのばしてもらった」とのこと。

*5 当初の作者の思惑として本作の主人公は、もし志半ばで斃れても代わりの主人公を用意して群像劇にするといった目論見があったため、それ前提で命がいくつあっても足りないレベルの死地をくぐらされてきた。