ネロス・サタナイル

登録日:2020/1/13 (月) 3:30:00
更新日:2023/08/15 Tue 07:25:43
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ヒトはなぜ生きているのか、生きるのか。いやそれ以前に、己や世界などが 真に存在していると言えるのか。その判断は誰にもできん。今ある私やおまえもまた、何者かが創り上げた夢想にすぎぬかもしれない

だから私はこう言うのだ、“ 我思う――故に我在り(コギト・エルゴ・スム)”――

私が私として私を認識している以上、私はここに存在する。これはおまえにも、ストライフにも、リリスにも、あまねく総てに言えること。裏を返せば、我を持たぬモノはすなわち存在しないのと変わらない



ネロス・サタナイルとは『PARADISE LOST』の登場人物の1人である。
同作品のラスボス。宿すは傲慢の(シン)
最も色濃くの気質を受け継いだ息子。そして彼こそ神の後継者―――後の三代目の神である。
CV:山川敦也(PARADISE LOST)/興津和幸(『Dies irae Amantes amente For Nintendo Switch』「神なる座に列し伝わる救世主」)




◆概要

「イルミナティ」で科学技術・生体改造・サイバー工学を統括し対天使プロジェクト最高責任者の肩書を持つ幹部格。
だが実際のところ彼にとっては組織の理念などどうでもよく、都合よく利用しているだけの関係である。

サタナイルの正体は本編から数千年前に神聖国家ソドムで生まれ、取り込んだ第五元素の力で現在まで生き続けている男。
我という究極の大罪の持ち主を産んだ神を嘲笑い、不完全な世界を創った神を引きずり落とし自身がその座に取って代わろうと目論む傲慢の化身。

生物兵器「天使」を創ったのも相克存在である「反天使」を創ったのも彼。ソドムが世界の覇権を握るために創られたはずの「天使」が人類に対して反乱を起こし文明を破壊し尽くしたのも彼のせい*1
天使とは本来、この世界の誰しもが持つ罪から解放された新たなヒト、アダム・カドモンとなるはずの生命体であり、サタナイルは完全な命を創造することで神の領域に達するつもりだったのだが、天使に心が生まれなかった為に計画を変更。
天使に文明を滅ぼさせ、地獄より召喚したアビスの魔王に天使を滅ぼさせることで地獄を生み、天上の存在の干渉を促すもベリアルの宿主であるロトの造反により干渉は起きなかった。

しかしロトがソドムの地脈を破壊したことで起きたシン奔流の後押しによりアスタロスが未来を識り、サタナイルは真なるツォアルへ至るための道程…預言を得るのだった。





◆人格


あっけない。終わりとは、えてしてこんなものだろう


極端なまでに潔癖症で傲慢。
その度合いは人並み外れており、まず自分が正しいを前提に「世界が不完全なのは(自分のような存在が生まれたのは)神が不完全だから。なら私こそがその場所に相応しい」と考え天に挑もうとしている。

その過程で何を犠牲にしても彼は全く恥じず悔いず、かつてベリアルの宿主選定のため大震災を起こした一件でライルにあの時何人死んだかと問われれば「シンの直撃を受けて分解された者は274008人。狂った地脈により発生した余波、すなわち真っ当な地震で死んだ者は856204人。二次災害を含めれば悠に数百万を超えるだろうがそれがどうした」と言ってのける。
というか自分の手でソドムが滅亡していくのを眺めながらつぶやいたのが「あっけない(以下略)」である。

ただし本当に世界を正すためだけにある機械のような男というわけではなく、ライルを唯一認めた友にして敵と認識し、アストに対しても計画の重要な鍵という以上に心を砕いている。反抗期が来ない娘を心配するお父さん

実際、その本質は悪性に満ちた現世界だけでなく無慚無愧の世界が作られる原因となる二元論の世界の住民が夢見た『善に満ちた笑顔の世界』を比喩でもなんでもなく創世して救った彼は正真正銘の救世主であり、正田卿からも『純度100%の正義の味方』と言われている。



◆戦闘能力

あらゆる物を創造し運用する魔導科学者。
代表的な作品は「天使」及び「反天使」。
特に万魔殿の彼の領域ではすべての元素とシンを独占しているという性質上無敵といって差し支えない。
魔王級のシンであるベリアルとベルゼバブの同時召喚すら可能。
ただおそらく神座ファンにとってサタナイルの技として有名なのは神咒神威神楽で残影が使った「ゴグマゴグ」と「塩の柱」の方。

  • ゴグマゴグ
暴食の化身である蝗の大群を敵の内部から召喚する必中技。
敵は肉体どころか人間性まで貪り尽くされ消滅する。
本編での使用者はジューダス。

  • 塩の柱(ネツィヴ・メラー)
敵を塩の柱に変転させる白光。罪人特効。
本編での使用者はリル。

  • 曙の明星
サタナイル本人のシン。つまりルシフェル。
不発したためどんな技だったのか不明





◆物語での活躍

ぶっちゃけラスト以外は活躍の機会が無い。目立つのは専ら配下のジューダスである。
これは過去のソドムで得た預言が「運命自体がそのように選ぶことであり、サタナイルが手を下して成し得たのでは意味がない」というものであるため。神座的にも預言が成就しサタナイルが神になるルートが正史なので、そういう意味でも運命。



といっても彼の目的である真なるツォアルにはリルとアストに自我を芽生えさせることが必須なので、ライルとノウをピースと定め関わり合いを持つよう取り計らったりしている(半分は偶然という名の運命によるもの)。

神へと至る大筋としてはあくまで自分の命令ではなくアスト自身の選択でアスタロスを発動して共に過去を遡り、王冠の座に到達。そして不完全な神を殺すと同時にネロス・サタナイルという存在を根源から消滅させ世界を塗り替える。結果生まれるのはサタナイルという人間が最初から存在せず、誰も(シン)を持たない新世界と創造主となったサタナイルである。



ライルとの最初で最後の決戦では相討ちに持ち込まれるが、ライルこそが勝者であると認め敗北と死を受け入れる。つまりは預言の為に数千年を生きた男が、最後の最後で自身は神の器ではないと断じたのだ。
その心はどこか奇妙に愉快で、「お前に負けるなら悪くない」とサタナイルの身体は地に崩れるが…その体をアストが抱きとめ、このまま死なせろという主の命令を拒否。
ノウ・クライストとの関わりによって得た心は、アストがアスト自身の意志を持って彼女をサタナイルの元へ導いた。





他の誰でもない、私は私の自由意志で、貴方と共に在ることを選択します
これはあくまで我が侭ゆえに、僭越ですがマスターの意向を尊重するつもりはありません。私を…不出来な娘だとお思いですか?



いや、おまえを咎めるつもりはない。寛容も、また必要なことだろう
我と我が身は指一本動かさず、周りに押し上げられただけのつまらん男にすぎんがな



そのようなことは、ありません。貴方は、少なくとも私にとって、唯一無二の御方です
貴方の力になりたかった。こちらを見て欲しかった。その手で、抱いてほしかった……それらが今すべて叶い、私は誰よりも幸せです
ゆえにマスター……ご自分を卑下することはお止めください。でなければ、私までつまらぬ女になりそうです

それも、我が儘か

はい、我が儘です





そして娘の最後の我が儘を聞くと、アスタロスの式は駆動を始め、2人の姿が輪郭を失ってゆく。世界は塗り替わり、一切の罪も消える。
かくてここに預言は成り―――今、永遠のツォアルへ至る

そして創り上げた新世界にて、幸せを享受するライル、リル、かつての演者たちを見届けると笑みを浮かべ、アストと共に王冠へと消えていった。



ただし、サタナイルが神となるルートの内、アストハッピーエンドだけはアストと離れ1人で王冠に向かうことになる。

つまりは「アストも人としてツォアルで生き、彼女を探す恋人の元へ会いに行け」ということである。
かつて天使だったアスタロスは羽を失いただの人となる。
少年と少女が再会し、お話の幕は降ろされた。



私と共に、王冠へ至る事は許さない。おまえは此処で、ヒトとして足掻くが良い
大儀だったな、アスタロス。もうその名は棄ててよい
おまえはおまえの望むように、おまえらしい我が侭を通せばいい。私も、なかなか楽しめたぞ






Dies Irae/神咒神威神楽


Dies Iraeではメルクリウスに滅ぼされた旧神として軽く触れられる。また彼の術技である素粒子間時間跳躍・因果律崩壊(エレメンタリーパーティクル・タイムパラドックス)はアストの式のアレンジだとか。

神咒神威神楽では既に滅びた過去の神格、第三天・明けの明星として登場。
初代から続く善悪の闘争に終止符を打ち、世界から悪性を完全に駆逐した歴代で最も神らしい神と紹介される。
その末路は外宇宙から飛来した意味不明の怪物にあっさり消し飛ばされるというものだった。
詳細は神座を参照。

…なのだが、kkkでは水銀黄昏に比べかなり批判的な見方をされている不憫なお方である。
神として無責任とか遊びが無いとか完成度は高いが人らしさがない管理社会とか。
だがこれはあくまで覇吐夜行、邪宗門らの主観であることに注意。
悪性を消し去った悲想天がどんな世界なのかはパラロスのEDまで見たプレイヤーに判断してもらいたい。



ラストバトルでは波旬が残滓技として使用。
宗次郎紫織を苦しめるも彼らの奮起に及第点を与え去って行った。
相変わらずの傲慢っぷりである


◆余談

作者曰く、水銀がニート、波旬がヒッキーなら、サタナイルはボッチ。
つまり預言成就ルートの中でも2人の娘を恋人の元へ送り出し、かつての友も人間に戻り(つーか娘の彼氏だ)、サタナイルさん1人で座に旅立ったアストハッピーエンドが正史になったのだと思われる。



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最終更新:2023年08月15日 07:25

*1 後の世で大戦、ハルマゲドンと呼ばれる