登録日:2020/06/30 (火) 11:19:40
更新日:2025/01/20 Mon 22:49:29
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『愛なき森で叫べ』は、2020年にNetflixで公開された
日本映画。監督は海外や国内でも数々の賞を受賞し、「
地獄でなぜ悪い」などでも知られる園子温。
今回はなんと悪名高き「北九州監禁殺人事件」を下敷きに、周囲の人間を洗脳して凶悪犯罪に引きずり込む男の暴走を描く。
しかし、園監督はこの事件にシンパシーがなかった(凶悪犯罪とはいえチンケな詐欺師の犯行ゆえ当然といえば当然だが)ため、犯罪描写やスプラッター描写だけでなく、「地獄でなぜ悪い」の如き映画バカ要素やお色気やコメディ要素など、いわば園子温作品の集大成的なエンターテイメント作品となっている。
元はドラマシリーズとして作成されたが、いったん長編映画として再編集された後で、7話構成のドラマバージョンが公開された。
【ストーリー】
1995年、
東京。
愛知県から上京してきた家出少年シンは、若者たちによる自主映画の撮影に参加することになり、知人の妙子と美津子に出演を依頼する。
彼女たちは高校時代、憧れのクラスメイトが交通事故死した事件からいまだに逃れられずにいた。世間が銃による連続殺人事件に震撼する中、引きこもりとなっていた美津子のもとに、村田という男から電話がかかってくる。
「
10年前に借りた50円を返したい」という村田に不審感を抱く美津子だったが、紳士的な彼に次第にひかれていく。しかし村田の正体は、冷酷な詐欺師だった。
妙子の姉も村田にだまされていたことから彼の本性を知ったシンたちは、村田を主人公にした映画を撮り始めるが……。
【登場人物】
自称ハーバード大学を主席で卒業したエリート実業家でCIA工作員でシンガーソングライター……だが、実際は布団をボッタクリ同然の価格で売りつけ、女に近づいては金ヅルにしようとする典型的な詐欺師。息をするように周りの人間をマインドコントロールしており、ときには「通電」など非道な暴力を、お互いにやらせて王様のように振る舞う。
上京したばかりのところをジェイに拾われ、自主映画づくりにはげむ青年。ジェイが死亡してからは村田のもとで映画を撮り続け、完全な手下になってしまう。
正体は世間を騒がせている連続射殺魔。村田についていったのも、その実彼を殺すためである。
なお、彼が村田に言い放った「ある台詞」は村田のモデルである死刑囚に対する(監督自身の)痛烈な皮肉であると評される。
引きこもりの女性。
クラスの出し物である「
ロミオとジュリエット」でジュリエット役を演じる予定だったが、ロミオ役のエイコが事故死したため、今でも心に傷を負っている。
その後、村田につきまとわれ彼と交際するが、次第に周りの人間を巻き添えにし狂っていく。
正体はロミオことエイコへの妄執にとりつかれたサイコ女。処女のふりをしていたが実は真性の
ビッチであり、家庭環境の抑圧の反動で高校時代から他人の男を寝取ることを趣味としていた模様。
村田に詐欺師と知りつつ近づいたのも、シンが人殺しだと気付きつつ黙っていたのも、エイコを先に物にしていた妙子や自分を抑圧していた家族を亡き者にするためであった。ジェイへの殺害もおそらく故意であり、村田より数段タチの悪い悪女である。
監督いわく当初の脚本ではモデルとなった受刑者同様村田に終始従順なキャラだったらしいが、鎌滝氏の演技が鬼気迫るものになったため書き直したとのこと。
美津子の親友で劇団主催かつジェイの仲間。
サバサバ系
ビッチのように振る舞うが、実のところ依存心が強く脆さを随所に見せる。
村田の女の一人であり、村田が姉と婚約し結婚詐欺を働こうとしたときに関係を持った。
ジェイの殺害後、逃亡を図って湖に飛び込むが、上がった先で連続射殺魔に見つかり射殺(ドラマ版ではエイコに「呼ばれて」死亡)。
映画監督志望の自主映画青年。「ぴあフィルムフェスティバル」のグランプリを目指している。
妙子とのやりとりで村田の存在を知り、彼の悪行を映画にするということをと企むが、気がついたら村田に洗脳され、ついでに監督の座を奪われる。
その後、「撮影」という名目で逃亡中に美津子に首を絞められ殺害される。
ジェイの相棒。最初は村田に
洗脳されていたが、村田に暴力を振るわれてからはついていけなくなり逃亡を図る。
美津子と妙子の高校時代の親友で、クラスの中心だった女子。
美津子からはその配役通り「ロミオ」と呼ばれ美津子の憧れであり、また妙子とは
百合な関係だった。
しかし
文化祭前に交通事故で死亡。その後、彼女のグループは後追い自殺を図り美津子と妙子以外は命を落とした。
死後、美津子の事件に関わった者の命を刈り取る「
死神」のような存在として登場する。
美津子の妹。美津子とは正反対に自由奔放なビッチ。
美津子に対しては見下したような態度だが、一方で村田にはガチ恋してしまった模様。
最初は村田に媚を売っていたが、母親であるアズミを事故で殺害してさすがに情緒不安定になり…。
美津子の父。文学者であり大学教授。
厳格な父親だがその本質はどうしようもない小心者。
美津子がジェイを殺した弱みから村田に詐欺の片棒を担がされ、その被害者である親友と殺し合いをした挙げ句
自殺する。
なお、演者は監督の別作品で「村田」という詐欺師かつ
殺人鬼を演じている。ちなみに、この人物も実在の死刑囚がモデルになっている。
美津子の母。
厳格な母親であり、美津子に対して「あんたに尾沢家の全てがかかっている」と抑圧をかける。
夫とその親友の殺し合いに巻き込まれて重症を負い、その後アミにより止めを刺される。
- あの事件はこれくらい茶化さんとエグすぎる -- 名無しさん (2020-06-30 19:02:45)
- 監督が性加害側だったわけでしょ。作家が犯罪犯したらなんでも無くせとは言わないがこの記事は流石にどうなんや? -- 名無しさん (2024-10-07 13:08:12)
最終更新:2025年01月20日 22:49