SCP-3936

登録日:2020/08/05 Wed 00:31:45
更新日:2025/04/09 Wed 18:32:24
所要時間:約 6 分で読めます




彼らは財団に忠実だった。しかし、誰も称えることはできない。


SCP-3936は、シェアード・ワールド「SCP Foundation」に登場するSCPオブジェクトの一つである。

オブジェクトクラスはあのデウス・エクス・マキナやらウツボモドキやら、金属のわっかやらと同じ、財団の希望、そして両刃の剣であるThaumiel


概要

SCP-3936は、スクラントン・ボックスの技術を応用して作られた除外サイト-01そのものであり、内部を大半の現実改変・歪曲に耐えられるように設計されたオブジェクトである

つまり、サイトの外でそれこそ世界が丸ごと変わってしまうような改変が起きたとしても、この中の情報で元通りにできてしまうかもしれないと、頭に入れておいてほしい。

スクラントンにスクラントン現実錨を思い浮かべる人がほとんどだと思われるが、SCP-1451*1によれば、とある組織の機器をリバースエンジニアリング*2したらしいので、あの恐ろしい空間とはたぶん無関係。

サイトの最大100人*3のスタッフは内部に設置された機械によって、SCP-3936外の動向を傍受・監視・記録し、遡及的な改変、すなわち過去を変える恐れのある記録をバックアップする。
また、記録される情報の中には、改変の魔の手がすぐそばに迫っているとO5評議会が判断したものも含まれる。

特別収容プロトコル

所属する現地スタッフに、月に一回の定期報告を通信で行うことを定め、施設の稼働を維持するために、必要なメンテナンス・修理を行うが、特別収容プロトコルは財団の定期的なチェックが入るだけである。

…………のだが、現在、重要なこのサイト(Thaumielオブジェクト)稼働していない
SCP-2000「呼んだ?」


補遺 3936-1


01/12/18/04、除外サイト-01の本来ならなされるはずだった月例報告が消失。

財団の派遣した機動任務部隊 Qeztel-12 ("こちらをご覧ください!")は、内部で職員を一人も発見できなかったどころか、記録されていたはずの情報がすべて削除されていた。

考えられる限り最悪の事態だが、同サイトのカフェテリアで、どうやらシアン化物の摂取により死んだ人間とは思えない死体を多数発見する。

現在は解剖にかけられているその死体の特徴を以下に示す。

  • 凡そ星型と言える全身構造
  • おそらく物体の操作に使用される2つの主要な体肢
  • 歩行に使用されると思われる2つの体肢
  • 胴体の様な構造の上に配置される制御ノード*4。2次及び3次の制御ノードは確認されていない。
  • 多くの既知の生物種が保有する3臓器循環系システムではなく、単一の器官による循環系システム。
  • 空洞の体内と、そこに存在する微小な筋肉。これによって全身を自由に制御していたことが示唆されている。
  • 味は通常の豚肉に似たものであるとされている。
  • 確認可能なメタレセプターの重大な欠如。
  • Korenvatius属の化石にのみ確認される構造の目

「味は豚肉に似たもの」って、この奇妙な死体を食ったのか?

その後、Ezekiel T. Jones博士のメッセージを発見したが、この人物が財団に存在した履歴は一切ない。

「我々は我々自身の封じ込めを行います。ありがとう。貴方たちがこれを知る必要はないでしょう。」

除外サイト-01の職員は、現在も行方不明である。





何があったのか

そこでは何かがあった。しかし、それは謎である
Tanhony氏(執筆者)

明確な答えは報告書に記されてはいない。

まず、日付の「01/12/18/04」という表記。
(アメリカ式なら)「月/日/年」のはずだが、何故区切りが四つに分かれているのか。

また「Korenvatius属」という生物の分類はなく、財団が「奇妙な」と表現している死体についても
  • 「体の構造はおおよそ星形」
  • 「物の操作、歩行に使う体肢がそれぞれ二本ずつ」
  • 「身体の制御機関が一つだけ」
  • 「循環系の臓器は単一で、複数ではない」
  • 「体内は空洞、筋肉が存在する」

普通の人間でしかない。

察した方も多いと思うが、我々にとっては「奇妙な」この報告書が、財団にとってはごく当たり前の記述なのだ。




考えられる可能性

可能性を纏めよう。

SCP-3936は外部の影響を受けないように設計されたオブジェクトなので、内部の出来事として完結させるのは無理。
ということは、除外サイト-01を除いた、全世界で起こったと考えた方が自然だろうか。

財団世界は過去のどこかの時点で、それこそ世界規模歴史を書き換えるCK-クラス:再構築シナリオ、もしくは地球の支配種が交代するSK-クラス:支配シフトシナリオというもうどうしようもない世界の終わりを喰らった



サイト自体は改変から守られているが、外で置き換えられた異形の人類が当たり前になる再起不能な惨状は、除外サイト-01の職員たちにはもはやどうしようもない。

そして、彼らはこう考えたのである。

「ここまで変わっちまったら、異常なのは俺らの方じゃね?」

変わり果てた我々の視界を「元々そうだった」と思い込まされた、世界が下品に彩られたあの日を覚えているだろうか。
根幹から変わった現実に、余分な要素を持ち込まないために自らを封じ込めた彼らの覚悟は、誰にも語り継がれない。

後に残ったのは、シアン化物の容器と、博士の覚悟の一言。

SCP-3936

Working as Intended(職務に忠実であれ)


だが、確かにそこには財団に忠実な職員たちがいた。


追記・修正は、除外サイト内の遺体を処理してからお願いします。




この項目の内容は『 クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス 』に従います。
この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • SCP Foundation
  • SCP財団
  • SCP
  • Thaumiel
  • SCP-3936
  • K-クラスシナリオ
  • ポストアポカリプス
  • 現実改変
  • 忠実な職員たち
  • Tanhony
  • 職務に忠実であれ
  • 財団製SCP
  • スクラントン・ボックス
最終更新:2025年04月09日 18:32

*1 SCP-1451の方では封じ込め失敗しちゃってるけど

*2 機器をバラして解析することで、その仕組みや製造法を明らかにする行為

*3 財団サイトの中には数千人規模が働く主要サイトもあるので、決して多いほうとは言えない

*4 体を動かすための機構の事