ミンチ(STAR WARS)

登録日:2020/09/30 Wed 07:30:00
更新日:2024/10/02 Wed 18:55:07
所要時間:約 15 分で読めます





「ジェダイだ俺は! 我が道はフォースと共にある!!」


ミンチ(Minch)とは、スター・ウォーズ・シリーズのスピンオフの登場キャラクター。
レジェンズ分類となった短編コミック「Heart of Darkness」の主人公。
本編より七百年ほど過去の時代の男性ジェダイである。

なお、挽肉(ミンチ)の項目ではない。



【風貌】

「チビだと言うんだな、俺のことを・・・・・・!」

いまやジェダイのなかでももっとも有名なキャラクター、ヨーダの同族
それも非常に若い、青年ぐらいの人物である。

体の基本的な構造(緑の肌、尖った耳、人間の子供ぐらいの矮躯、三本の指、肉食獣特有の牙)はヨーダやヤドルと全く変わらない。
しかし、四百年や八百年を生きてすっかり老人を突き抜けてしまったヨーダやヤドルとは違い、とにかく若い
おかげで皮膚にはしわがなくハリがあり、髪も短く刈ってはいるがちゃんと生えている。毛髪の色は茶色がかった灰色といった感じ。


【性格】

「倒すさ! 我らが・・・・・・この俺が! 倒す!!」

彼らの種族を代表する人物といえば、ジェダイ最高の達人であるヨーダ、百年も幽閉されながら自我を保ったヤドル、といった風に、冷静沈着で聡明で穏やかな気性の人物が多い。


しかしこのミンチは、あくまで若いころのエピソードではあるが、闘争心が強く激情家で、頭に血が上りやすい、荒々しい気性の持ち主であった。
特に種族由来の矮躯を気にしているようで、チビとか子供とかパダワンだとかの言葉でバカにされると過剰に反応してしまう
その結果、太刀筋を狂わされて敗北することもあった。

ヨーダの名言である「大きさは問題ではない!」という言葉も発しているが、彼の言動からすると、その「大きさ」にだれよりも縛られているのがミンチであった

そして本編では、暗黒面の使い手との戦いで敗北して取り乱し、荒々しい気性と高いプライドの裏にある、恐怖と怒りの素質、ダークジェダイに向く素質を見抜かれてしまう。


もっとも、その戦いで自分の弱さを痛感してからは、沈痛な面持ちで敗北を受け入れる場面があり、傲慢なわけではない。
その後、どう成長したのかは不明である。


【能力】

「お待ちを・・・・・・暗黒面を感じます。奴は近い!」

短編一作のみの登場なので、どれほどの使い手なのかは正直分かりにくい。比較できるキャラクターが登場しないのも痛い。
(彼が活躍したのは本編から約700年前。ヨーダとダージは存命中だが登場せず、他のキャラクターはほとんど生まれていない)

作中ではフォースの能力を使うシーンも少ない。ただ、暗黒面の使い手の気配と位置を探知したり、フォースを駆使した大ジャンプを見せたりしているので、基礎的な能力は一通り使えるといったところか。

剣術に関しては十分高い。少なくとも、凄腕の暗黒面の使い手を相手にまともに斬りあい、生き延びる実力はある。
ライトセーバーはヨーダと同じく、肉体に合わせた小型。光刃の色は緑色。そのほかは目立った特徴はない。
得意とする剣術フォームははっきり明言されていないが、大きな跳躍を得意としているので、おそらくはアタロで間違いないだろう。ヨーダの「手足が短いからアタロしかまともに使えない」という条件にも合致する。

ただし彼の場合、前述した精神面の不安定さが割と深刻に影響している
相手の挑発や誘導に乗りやすく、チビの肉体をバカにされて太刀筋が狂ったり、相手の罠に誘導されたり、幻術にハマってパニックになったりして、敗北することが多かった。
ただ、気性の粗さをうまく戦意に転用できれば強くなれる。


【経歴】

◇前歴

どこの星の出身なのか、いつジェダイになったのかは不明。
彼の活動期にはヨーダはすでにジェダイ騎士団にいたはずだが、どちらが年上なのも分からない。

ミンチのエピソード(本編より七百年前の時点。ヨーダ二百歳ぐらい?)ではミンチはかなり若い顔立ちである。
そのころにはパダワンを卒業し、ジェダイナイトになっていた。
近年の設定では、ヨーダの種族は50年生きても幼児並みとのこと。種族の成長具合はさっぱりわからないが、仮に当時のミンチが200歳としたら、ちょうど青年期、なのかもしれない。もしかしたらヨーダとは年が近いのかも。

ジェダイとしては、ティダイ(T'dai)というマスターのパダワンとなり、比較的早くナイトとなった模様。
ティダイの種族はザブラクで、髪はそり落とし、口元から顎までひげを蓄えている初老の男性。割とダンディなイケメン顔。
肌が淡い藤色をしていたが、これは照明の関係かもしれない。


◇ビファッシュの戦い

映画本編より700年前、辺境域にあるビファッシュ(Bpfassh)星系で、ダークジェダイの脅威を受けている、という報告がジェダイ評議会にもたらされた。
評議会は事実確認と、場合によっては討伐のため、マスター・ティダイが指揮するジェダイ部隊を現地に派遣した。
ティダイを含めた五人のジェダイのうち、ミンチもその中に加わっている。

果たしてビファッシュ星系ではダークジェダイ……というより、ジェダイ出身者ではない暗黒面の使い手、ダークサイダーが暗躍していた。種族は現地住民ビファッシィ。

ジェダイ部隊の捜索の結果、彼がコマースギルドが現地で運営していた交易ステーションにいることも発覚。
ミンチはたまたま近くにいたのと、逸る闘志によって件のダークサイダーに一騎打ちを挑んだ。
しかし相手の青い肌に黒い刺青を彫ったダークサイダーは意外と強く、小柄なミンチを「チビのパダワンめ」と挑発し、相手が逆上して太刀筋を狂わせたところで、ライトセイバーをふっ飛ばして圧勝してしまった。

「パダワンを送り込むとは、評議会も焼きが回ったか!」
「ジェダイナイト(●●●)だ、俺は!」


しかしとどめを刺される寸前に、マスター・ティダイと残りのジェダイ部隊が参戦、ミンチも救出された。
追い詰められたダークサイダーは、いまだ隠れているマスターを逃がすべく、自らのライトセーバーで割腹自殺してしまう。


するとティダイのもとに軌道上の母船「タカラ」から連絡が入った。戦っているさなかに小型船が宇宙ステーションから脱出したとのこと。
ティダイは、その船こそダークサイダーのマスターの脱出艇だと推測し、さっそく部下たちを率いて各自のスターファイターに乗り込ませ、追撃を開始した。
ダークマスターはスルイス・セクターを経て、交易ルートからも外れたより辺境の星系――ダゴバ星系の惑星ダゴバまで逃亡。
ジェダイの戦闘機部隊もやがて追いついたが、ダゴバは気候が荒く、小型艇では墜落の危険があるため、より大型で安定した船である「タカラ」の到着を待ち、それまでは惑星の軌道を封鎖することにした。

しかし、ミンチは隊列を離れると自分だけダゴバに降下してしまった
これは命令違反である。ティダイも通信を送って弟子を叱責した。
だいたいダゴバは辺境も辺境、テクノロジーなどは存在せず、地形は一面湿地でとにかく険阻、しかも地の利はおそらく相手にある。おまけに巨大生命体の存在も感知できる。
今は封鎖にとどめ、ジェダイの増援を待ってから討つべきであり、今は撤退しろとティダイは厳命した。

だがミンチはマスターの意向を無視した。彼の心を燃やしているのは怒りである。
先のダークサイダー戦で、自分をチビとみくびる相手にミンチは敗れた。その屈辱を晴らし、かつ自分の力を証明しなければ、ミンチはもう収まりがつかなかったのである。

「チビだと言うんだな。いいだろう、追ってやる。恐怖はない、勇気だけだ!」


◇ダゴバの戦い

「降伏しろ! お前の部下は死んだ。失敗したんだ!」
「そうは思わんね。闇に転ずる者はいくらでもいる。おそらく君もだ」

ティダイが予想した通り、ダゴバの嵐は激しく、ミンチのスターファイターは進入早々に稲妻を浴びて故障・墜落してしまった。
ただ、幸い沼に不時着したので、通信機含めてミンチは無事。
マスター・ティダイはミンチの座標を知り、タカラももうすぐ到着するのでとにかくそこに留まれと命じた。

もちろんミンチは留まるつもりはない。そんなつもりがあるなら最初から独断専行なんかしない。
すでにフォースを通じて、ダークサイダーの存在は感知している。
ミンチはダークマスターを追撃し、ダークマスターは逃げながらもツタが茂る陰鬱な洞窟までミンチを誘導した。
照明を兼ねるライトセイバーの緑の光刃を起動し、降伏勧告を投げつけるミンチ。
対するダークサイダーは、弟子が死んだのは認めつつも、暗黒面を受け入れる者は常に存在するのだ――といい、さらに、ミンチ自身にも闇の素質があると指摘する。

「ジェダイだ俺は! 我が道はフォースと共にある!!」
「ジェダイ? きみは子供にすぎん。小さく、弱く・・・・・・恐怖と怒りに満ちておる」
「俺は子供じゃない! 大きさは関係ない!」

大きく跳躍して斬りかかるミンチだったが、次の瞬間、ダークマスターがミンチを片手で包むほどの大きさになった。

「愚かなジェダイよ・・・・・・大きさは重要な要素だ!」

一瞬驚きながらも、ミンチは幻影と断じて渾身の力でライトセイバーを振り抜く。
それで巨人は雲散霧消・・・・・・した次の瞬間、ミンチの周囲を無数のダークマスターが包囲していた。しかも一体一体が、ミンチの掌ほどのサイズになっている!
「大きさは関係ない」と叫び、矮躯を克服しようとしていたミンチだが、まさか自分が大きな存在となり、小さなものを相手にするとは考えてもいなかった

「きみでは勝てんよ・・・・・・わしを討ったところで、わしはさらに強くなって現れるのだ・・・・・・」

いくら斬り払っても、無数の小さなダークマスターは滅びず、ミンチの矮躯に、いやミンチの巨体(●●)に絡みつき上っていき包み込んでいく。
ミンチの顔に、初めて恐怖が沸き上がった。

「恐れることはないぞ、小さき者よ。暗黒面に身を委ねよ、真の力を見せてやろう・・・・・・」

恐怖と暗黒に呑まれた瞬間、ミンチはすべてを忘れた。











「なっ……」

次の瞬間、ミンチはもとの姿に戻っていた。
何があったのか……腰が抜けたまま洞窟の奥を見やれば、あのダークマスターが倒れていた。

ダークサイダーの小さな分身体に包み込まれ、恐怖に呑まれたあの瞬間、ミンチはパニックになってライトセイバーを振り回した。その無我夢中に振り回した光刃が、偶然、あの老マスターの胸を割っていたのだ。
片や致命傷を与えられた老人、片や無傷で終わった青年。ダークマスターは死に、ミンチは生き残るだろう。
しかし・・・・・・ダークマスターは笑っていた。

「わしを斃したとて・・・・・・覚えていたまえ、敗けたのはきみだ・・・・・・。きみの心は弱い。一たびめくれば恐怖と怒りが刻まれている。ムぅ・・・・・・」

苦しい息で、それでも彼は穏やかに言い残す。そしてミンチはそれを黙って聞いていた。
この勝負、確かに、負けたのはミンチの側だった。相手を殺すことはできたが、偶然である。
恐怖に呑まれ、暗黒面に溺れ、その状態のまま、めくら切りに剣を振り回して相手を殺した。
それはジェダイとしては途方もない敗北だ。しかも、もう再戦のチャンスはない。
この先ミンチがどれだけ生きても、今日の敗北を覆すことはできそうにない。

悔しげな、あるいは哀しげな若いジェダイの顔を、ダークサイドのマスターは最期まで見つめていた。

「・・・・・・見込みがあるよ・・・・・・いずれ、加わるだろう・・・・・・・・・・・・ダークジェダイに・・・・・・いつの日か・・・・・・・・・・・・・・・・・・」




・・・・・・ほどなくしてダークマスターは息を引き取った。
ミンチは、万感の籠もった瞳でダークマスターを見つめ続けていた。・・・・・・母船「タカラ」が来たから帰還するぞというマスター・ティダイからの通信に、目標が死に、任務が達成されたことを手短に伝えているあいだも、じっと見つめていた。
やがて、ミンチは去っていった。
「この忌まわしい場所からは、離れたほうがいい・・・・・・一刻も早く」

残されたダークマスターの死体からは赤い血が流れだし・・・・・・ダゴバの森に染み込み、この場のフォースの質を決定的に変えた。
変化はさらに数百年の期間を経てより進化し、この星でも暗黒面のもっとも強い、闇の中心の洞窟となった。




ミンチの、以後の消息は不明である。どのようなジェダイになったのか、あるいは暗黒面に落ちたのか、それは分からない。



【ビファッシュのダークサイダー】

ミンチらと交戦したダークサイドの使い手たち。師匠弟子の二名が登場し、どちらもビファッシュ星系の住民ビファッシィである。

この両名はもちろんシスではない。
また冒頭では「ダークジェダイ」として報告されていたが、ティダイたちは彼ら師弟に相対した際に「ダークサイダー」と表現しており、元ジェダイでもなかった模様。
どういった存在なのかは不明確だが、弟子によると「ビファッシィのダークサイダーを増やして軍団を作り上げ、ジェダイ騎士団の時代を終わらせる」ことが目標であった模様。

弟子のほうは青い肌に黒い刺青を掘り、師匠のほうは黒いローブで全身を覆った白髭の老人であった。
両名とも赤い光刃のライトセイバーを所有している。

デザインは新三部作の敵役を総合しているようで、
がモデルと思われる。

ミンチ側も、ミンチの姿はもとよりヨーダ、師匠のティダイはザブラク繋がりでダース・モールがモデルと思われる。


【余談】

「ミンチ」という名前は、元はヨーダの名前の候補であったらしい。採用されなくて本当によかった。


ミンチが最後にダークマスターと戦った洞窟は、EP5にてルーク・スカイウォーカーダース・ヴェイダーの幻影と戦ったあの洞窟のこと。
ミンチは敵を倒した結果暗黒面の素質を暴かれて敗北し、ルークはヴェイダーの幻影を打ち負かしたはいいが、その仮面の中身は自分自身であった……と、暗黒面との対面とそれによる敗北、を突き付けられる展開となっている。


「ダゴバで死ぬことで一帯を暗黒面に変えた、ダークサイドの使い手」は、ヨーダ自身のエピソードとしても存在する。
しかしこのヨーダの件は、EP3以後の話であり、ミンチの事件ではない
しかし符号点は多く、種族がビファッシィという点も共通している。

おそらくミンチ編のエピソードは、もともとヨーダとダークジェダイの話であったのをリメイクしたものだろう。
ミンチという名前自体が「ヨーダの初期設定」であることを考えると、その辺は洒落と思われる。


また、後世ミンチの名前はあまり知られない存在となったようだが、当エピソードにヨーダのヨの字も出てこなかったことを思うと、
このミンチはヨーダと同一人物で、のちに名前を変えた……という可能性もあるかもしれない。
ちなみにレジェンズ分類小説「暗黒の会合」では、ヨーダ自身が暗黒面に落ちかけた経験があると言及している。




「観念しろ! 俺の項目ができた。完成したんだ!」
「そうは思わんね。追記・修正する箇所はいくらでもある」

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最終更新:2024年10月02日 18:55