ヨーダ

登録日:2015/12/16 Wed 22:45:50
更新日:2025/04/01 Tue 22:22:26
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                              遠い昔、はるかかなたの                              
銀河系で…





3ABY、銀河帝国に対して反乱軍がヤヴィンの戦いで
大金星を挙げてから3年。反乱軍のエースパイロット
にして英雄、ルーク・スカイウォーカーは、亡き師
オビ=ワン・ケノービの啓示を受け、隠遁する偉大
なるジェダイマスター・“ヨーダ”を探して修行を受け
るため、惑星ダゴバを訪れたのであった…。          






惑星ダゴバは、宇宙の中でも鬱蒼とした森林と沼地、更には多種多様な生物で埋め尽くされている。
その環境が数々の文明化の手を拒み、強力なダークサイドの使い手がこの惑星で死亡した影響で、フォースで外から観察しようにも難しくなっていた。
逆に言えば、追手を振り切るには最適な、魔境のような惑星である。

そのダゴバに降り立ったルークだが、あろうことか沼地に着陸してしまい、愛機であるXウィングが中に沈んでしまうというハプニングに見舞われる。
なんとか必要物資だけは外へ運び出し、まずは状況把握と軽食を済ませてからヨーダを探しに行こうとした矢先、如何にもダゴバを代表するかのような珍妙な生物に早速出会う。

「わぁ!? 武器をしまえ!怪しいもんではない! ……お若いな、何しに来た?」

体長は66cmで体表は緑色。
サイズ的には赤ん坊のようだが、赤ん坊にしては醜過ぎる皺だらけの顔と横に伸びた長い耳。
さながら萎び切って干乾びたグレムリンとでも言った、一匹 一人の老人であった。
老人はルークが人探しのために惑星ダゴバを訪れたと知ると、「自分が手伝おう」と一方的に協力を持ちかけてくる。

「わしではお役に立てんか?」
「ちょっと無理だな…… 偉大な戦士を探している」
「偉大な戦士か。 ……戦いで人は偉くはならん」

だが、この老人はボケでも来ているようで、やたらケラケラ笑い、話を故意にはぐらかすのか思考が回っていないのか、一向に会話が進まない。
挙句に勝手な行動をし始め、ルークの携帯食を食うわ、荷物を漁ってペンライトで遊んだり、それを取り上げようとしたR2-D2と子供染みた喧嘩を始めたり…。

「ウヒャヒャヒャヒャヒャ!」
「わしのだ、わしのだ、わしのだ、わしのだぁーっ!!」

この緑の老人は、喋って道具を使う点を除けば、理性を感じられない奇行ばかりが目立つ、辺境の珍獣そのものだった。

が、なんとこの老人、ルークが「探し人はジェダイマスター」だと説明すると、ジェダイマスター・ヨーダの居場所を知っていると主張。
早速案内してもらおうとしたルークだったが、「その前に飯だ!家へ行こう、来い!美味いのを食わしたる!」と老人は言う。
彼がヨーダの居場所を知る現状唯一の手掛かりである以上、ここで老人の事を無下に扱うことはできない。
結局ルークは杖をつきつつよぼよぼ歩く彼に導かれ、緑の老人の家に招かれることになってしまった。

豪雨の中、天井の低い小さな家で道案内をしてくれることをまだかまだかと待つルーク。
しかも、美味い食べ物だと主張して悪臭に満ちた汚物をルークに押し付けてきたりと、ここでも老人のボケは相変わらずであった。
反乱軍を窮地から救うためにも一刻も早くヨーダに出会わねばならない。
一体何時までこのボケ老人に付き合えば良いのか。焦るルークは次第に老人を邪険に扱い始めた。

「どうしてジェダイになりたいんじゃ?ん?」
「やはり父の所為かな……」
「親父か。強いジェダイじゃったわ…… そら強かった……」

しかし老人はルークの苛立ちもどこ吹く風と言わんばかりに、知った風な口まで叩く始末。
この言葉に耐え兼ねたルークはとうとう老人に向かって怒鳴りつけた。
「僕が誰かも知らないのに!いい加減にしろ!お前と遊んでる暇は無いんだ!!」








「彼を教えることはかなわん。この子には忍耐力が無い」

するとどうだろう、突如として老人は嘆息したではないか。
今までのボケぶりからは信じられないような、沈着な声色と口調でだ。


「それもやがては学ぶでしょう」
「この子は怒りっぽい。父親と似とる」

さらに老人はジェダイにしか出来るはずのないオビワンの霊体との交信まで始めた。
しかもオビワンはこの老人に敬意を払っている。

改めてルークへ向き直った老人の表情は、先程までのボケ老人のそれとは全く異なる、万物を悟る賢者のそれであった。
そして、ここに来てようやくルークは全てを理解したのである。


────この老人こそ探し人のヨーダ本人であり、ここに至るまで自分は彼に試されていたのだ、と。





◆概要

ヨーダは、スター・ウォーズの登場人物。初登場はEPⅤ
その年齢は、EPⅣの4年後、4ABY時点で900歳に到達する。
銀河共和国が誕生して1世紀以降、ずっと共和国と共に生き、仕えてきた、ジェダイの最長老である。

言わずもがなだが、マスター・ヨーダは旧銀河共和国のジェダイ・オーダーの長たるグランド・マスターであり、ジェダイ史上の中でも特に優れた一人に数えられている。

メイス・ウィンドゥは「ジェダイ評議会の長」の地位にあったが、ヨーダは「ジェダイ評議会の長」とジェダイ騎士団全体の長たる「グランド・マスター」を兼任しており、実質的にはメイスよりはるかに高い地位を誇っていた。「ジェダイ評議会の長」であるメイスもヨーダの前では一評議員に過ぎなかった。
まさにジェダイを象徴していたジェダイの生き字引である。


様々な細かい設定を定められたスターウォーズの世界において、このヨーダが属する出身種族の名称は未だに定められていない。
どころか同種族すらほぼ登場していない。(一応は強いフォースを秘めた種族とされている)
銀河中から様々な種族が集ったジェダイ・オーダーの中でも、ヨーダと同族なのはEPⅠに登場していた萎びたBBA淑女のヤドルくらいのものである。(レジェンド枠のスピンオフ設定も含めるとミンチなど、史上数名ほど同種族がオーダーに在籍している)
彼女も享年400歳という相当な年齢だったが、ヨーダから見ればまだまだ小娘。
この種族の若かりし姿という物は想像が難しい……が、ドラマ「マンダロリアン」でついに「ベイビー・ヨーダ」と呼ばれる愛くるしい赤ちゃんの姿をした同族の若者、グローグーが登場した(あれでも50歳ほどだが)。


若いころの設定として、以下のような情報もある。
生まれは辺境の惑星で、都会で一旗揚げようとボロ船で出発したが、いきなり遭難して沼の惑星に漂流。
そこにいたヌカタ・デル・ゴーモ(N'Kata Del Gormo)なる、目玉が四つと腕が四本あり、下半身が蛇のようになっている「ヒサルリアン」という異形な種族のジェダイ?に見いだされ、その弟子となりフォースの初歩を学ぶ。
その後、修行にひと段落ついたところで助けが来たため、コルサントに移住したという。
しかしこのゴーモというキャラクター、なんだか公募デザインの一つらしく(この設定もイラストのオマケ程度だとか)、しかも直後にレジェンズ設定の一掃という大事件まで起きたため、煮詰まらないまま立ち消えになったらしい。


穏やかにフォースを探求することを何より好んだ彼は、噛むと精神を鎮静化させてより瞑想し易くする「ギマーの杖」をはじめ、
自分の居住スペースにも、フォースと一体になり易くなるように心を配っている。
その様子から、彼から荒々しさを想像出来た人間は作中でもEPⅤを視聴した当時の人々にもそう居なかった。
だが、このヨーダは、800年を優に超える人生の中で、暗黒面に堕ちそうな危機と幾度となく対峙したようだが、それらを瞑想と自制によって尽く乗り越えた。
まさに、克己の具現として完全解脱を果たした仙人そのものである。
"光の化身"とすら評されるまでにライトサイドのフォースに精通しており、銀河最強の剣士と呼ばれながらも、
最早ライトセーバーを必要としない程に、戦闘にも長けたジェダイの一人としても知られていた。




◆能力

今となってはEPⅡ及びで披露した縦横無尽に跳ね回る姿がお馴染みのものとなっているが、
それまでのヨーダは、先述の通り、杖無しでは移動も出来ず、マジで昇天する5秒前の御老体であった。
そのため、CMでEPⅡのヨーダの戦闘シーンが公開された時、世界を伝った衝撃は筆舌し難いものがあった。
まさに全米が驚愕した瞬間である。

とはいえ、このよぼよぼぶりはヨーダの演技や擬態の類ではない。
EPⅠの頃に既に齢900に近い彼は、実際に杖無しでは自力で歩くのもままならないのだが、彼はその状態から、
フォースによる強化によって身体能力を極限まで高めている。

この身体能力をフォースで強化するという効能については、評議員レベルのジェダイですら、
鍛え抜いたある程度若い肉体を更に強化するのが前提であり、これが精一杯である。
暗黒面のフォースの力を修得したドゥークー伯爵ですら、80歳の肉体が抱える老いを払拭してそれを長時間持続させるのは相当な困難を伴う。
最早歩くことも苦労する程老いに囚われた肉体で、長時間超人的な活動を行える程にフォースと親和したジェダイマスターはヨーダくらいのものだった。


先述の通り銀河最強のジェダイとも評されるヨーダだが、彼はライトセーバーの剣術ではフォームⅣのアタロを常に使用する。
実の所、理論的には本来フォームⅦまで全て使用出来るのだが、極端な短足の所為でこれ以外ではまともに戦えない、という悲しい実状故。
未熟者が使うと、光る棒切れを手にした良い大人がヒーヒー言いながら必死のアクロバットを決めた上、決定打は少ない……なんて悲しい軽業師のような惨憺たる醜態を晒すこのフォーム。
だが、ヨーダが使えば破壊の大渦とも例えられる苛烈な攻防一体の戦闘スタイルと化すのである。
なお、彼はライトセーバーを複数本制作・所有していたらしい。EP3でシディアスとの戦闘に使用したものはコミックにて帝国樹立後に他のオーダー66で散った多くのジェダイのセイバーと共に公開処分されており、帝国時代にダゴバで保管していたものは後にルークがグローグーに見せている。

言わずもがなだが、単なる念動力に限らず、周囲のフォースへの感知能力もジェダイの中で最も高い。
集中すれば巨大な建造物だろうが浮遊させてのけるが、暗黒面の権化であるダース・シディアスのフォース・ライトニングを 素手で 受け止めて真っ向勝負を演じられるのは、ジェダイの中では彼しか居ないと言って良い。

大概のジェダイが察知すら出来ずに不意を討たれて死亡したオーダー66においても、
環境も助けたとは言え、宇宙中の多くのジェダイの死とクローン達の極僅かな異変を同時に察知して辛くも窮地を脱せたのも、ヨーダだからこそ出来た芸当だった。

なお、EPⅧでは霊体となって老いた肉体から解放されたせいなのか、ちょっと念じただけで雲を操り、ピンポイントに雷を落として巨木を焼き払ってみせている


◆指導者として

ジェダイは、マスター(師)*1とパワダン(弟子)のマンツーマン体制を敷いている。
しかし、ヨーダは幼年クラスの年端もいかない子供達に基礎教練を指導する役割をも担っているので、ある意味で皆がヨーダのパダワンでもあった。
ヨーダが「我が弟子」とどのジェダイにも呼びかける場面があるが、その理由がコレ。
ちなみに、ヨーダが直接のパワダンとして育成したのは、ドゥークー伯爵が最後とのこと。

それ以外にも、各々が基礎教練課程を終えて自分の手元を離れた後に、追加的にライトセイバーの専門的指導をして施してやった例もある。
その弟子達はいずれも、ジェダイ・オーダーの中でも強力な剣士になった。
剣捌きの激しさから「トロール」とも綽名をつけられたライトセイバー戦の講師、シン・ドローリグや、
ジェダイオーダーきっての剣士として名を馳せたドゥークー伯爵が該当し、
いずれも評議員とも同等以上と評された剣の達人である辺りにヨーダの指導力の高さが窺える。

……何の因果か、この二名共に、同じ人物の手で斬殺される最期を遂げた。



だが、その指導力以上に特筆すべきは、その教育方針についてだろう。
彼は百年自分自身のパダワンを育てた後、その後何世紀にも渡ってグランドマスターとしてオーダー全体を支えた。
ヨーダが産まれる100年前に概ね基盤が出来上がった教育体制をヨーダは維持し続けて共和国の繁栄に貢献したが、それはデメリットも多く孕んでいた。

自らあらゆる執着や誘惑を跳ねのけてきたヨーダは、暗黒面に堕ちる容易さと、一旦堕ちた後の危険性を熟知していたため、
「執着を手放し、自他の死すらフォースの導きとして祝福すること」
これをジェダイの是とし、ジェダイ・オーダーの理想の姿とした。
徹底した滅私奉公主義を邁進出来るように、ジェダイ候補は幼児期からジェダイ・オーダーが引き取って育てるべき、
という方針を定めており、実際に理知的で冷静沈着な修験者のようなジェダイの騎士を数多く輩出した手法だったが、
実際問題、洗脳教育という謗りを免れないものでもあった。

しかも、見て分かる通り、これは負の感情に対して免疫を一切持たない人間を育成し続ける。
鋼の精神力を持たない限りは、一度ブレたが最期、あっさり堕ちて二度と這い上がれないジェダイも少なからず生んでしまった。

加えて、幼少期から、ある程度物資に恵まれて衣食住に困らないジェダイ聖堂での生活しか殆ど知らない環境で生活する為、
自覚・無自覚を問わず選民思想に染まった独善的で傲岸不遜なジェダイを少なからず輩出してしまう弊害もあった。


この方針でも少なくとも表面上は上手くいっていたが、ジェダイ・オーダーの分水嶺となった32BBY、
ナブー侵略事件とシス復活の露見、そして選ばれし者アナキン・スカイウォーカーのジェダイ・オーダー参入を契機に、ヨーダ率いるジェダイオーダーを取り巻く状況は一変し出した。
人間の負の感情、闇に一切触れない、いわば「強い光だけのジェダイ」を育成する方針は致命的な問題が表出し始めたのだ。

「負の感情から離れ、触れないできた」のだから、負の感情に起因する「暗黒面のフォースの流れもよく分からない」。
一度シスが本格的にフォースに闇を注ぎ込めば、暗黒面のフォースが霧のように邪魔をして、かつて容易く未来の多くを見通したジェダイ達も、未来が上手く見えずに身動きがとり辛くなる。
1000年以上昔の粗削りな暗黒面のフォースの使い手ならともかく、
より巧妙に隠れて暗黒面の力を駆使する敵が相手では、暗黒卿の残党が密かに牙を研いできたことにも気付けず、彼らが操る周囲のフォースの流れの把握も何もかも出来ずに後手に回ってしまった。

その結果が、クローン戦争勃発であり、EPⅢにおけるジェダイ・オーダー壊滅という惨事であった。



とはいえ、ヨーダ自身、この育成方針に全く問題を認識していなかった訳ではない。
ジェダイの傲慢さや限界と言うものは常々感じてはいたのだ。
かつては、「未来に目を向けること」を説いていたが、これは「最も確実な行動がとれる」という理由故。
同じく、例外的に碌に未来を見通せない、全く未知数な存在だったアナキンにジェダイの修行をつけることを禁じたのも、
長として起こり得るリスクを無視出来なかったからである。

頑固一徹な姿勢で知られるヨーダではあるが、暗黒面の使い手によって未来視が妨害されるようになってからは、
その方針を撤回しているし、かつては拒絶していたアナキンを受け入れた後は、問題行動には常に顔をしかめつつも、
その能力は素直に評価し、アナキンの行く末を心配もして、彼から相談を受ければ時間を割いて真摯に応じてもいた。
アナキンの成長を願ってアソーカ・タノをパダワンとして付けたのもヨーダ(とオビワン)である。
実際にアソーカとの交流を通して不安定だったアナキンの内面も大分改善されていた(過去形)。

単に傲岸不遜で他人の意見を受け入れない、と言うよりは、オーダーをまとめる立場にあっただけに、
最も確実で安全な道しか選べなかった、という実状がまずヨーダの目の間にはあった。


また、動乱多き銀河共和国において1000年は比較的安定した時代だったとはいえ、
800年に渡って争いの芽を摘み続け、共和国を維持し続けてきたヨーダの手腕は非情に優れたものだったと言える。
つまり良くも悪くもヨーダの育成方針は「極端にいき、極端にいく」なのだ。


今となっては非公式扱いとなったレジェンド枠のスピンオフ設定ではあるが、
後に成長を重ねて、周囲の者達からグランド・マスターとして認められるまでに大成したルーク・スカイウォーカーですら
「自分はまだヨーダの域には達せていない」
と自省する程であった。
実際、外宇宙からの侵略等の様々な困難があったとは言え、彼の築いた新たなジェダイ・オーダーは半世紀程で空中分解し、崩壊の憂き目に遭ってしまった。
また、その後に出た正史にあたるカノン枠においては、オーダーを設立するどころか、訓練組織の段階で内紛が勃発して瓦解した
つまり、この育成方針というものには正解が一切無いのである。



自分のような旧世代のジェダイとは異なり、家庭で愛情を受けて育ち、異なる感性をもって成長した人間。
その人間がジェダイになって、初めて暗黒面の使い手を真に打破し得る存在になる。
ジェダイ・オーダーが壊滅して銀河帝国が勃興してしまった後、ヨーダは否応なくこの考え方を受け入れ、実行に移した。

銀河皇帝とダース・ヴェイダー卿という強大過ぎる敵が率いる銀河帝国と戦っていく未来に対して、
ヨーダが敢えて自分の手で密かにルークとレイアをジェダイとして育てなかったのは賭けに等しい選択であった。
ルークに出会った当初は、彼が予想以上に我慢弱く、地に足がついてなかったため、その賭けに案の定負けたかとも思い、強く落胆した。
この時、ヨーダはルークのことを見限りかけた。まだレイアが候補者として残っているからである。
しかし、フォースと一体になっていたオビワンはヨーダの説得を始めた。
ヨーダはその説得に応じ、ジェダイ以外には声が聞こえない筈のオビワンと会話するヨーダを目の当たりにして、ようやくヨーダの正体と真意に気付き態度を改めたルークを弟子にした。
その後も、ルークが失敗する度にヨーダは幾度となく落胆し、挙句の果てには友人ハン・ソロを救うためにヨーダの修行を中断してダゴバを離れてしまった。

これでヨーダはルークに希望を託せないと予測し失望を覚えもしたが、この予測は覆された。
ルークは友人ハン・ソロを救出する冒険の過程で、彼なりに様々な経験を積み、
まだ未熟とはいえ、急場でヨーダが教えられることは無い程に経験を積んだ、立派な新世代のジェダイになっていた。
堕ちた以上最早戻らないと見切りを付けたヴェイダーがジェダイとして帰還を果たしたことも含め、ヨーダのかつての価値観はこの親子に完全に覆されたのだ。

ハン救出後にルークが再び訪れた時には、老いによる衰えと病が進行しており、ルークにスカイウォーカーの血を継ぐ者がもう一人いることを告げ、
彼に看取られながら息を引き取った。

ルークがアナキンをライトサイドに引き戻し、見事に銀河皇帝の支配体制を終わらせた後、ヨーダはオビワン・アナキンと共に新世代のジェダイを霊体として、微笑みながら見守っていた。
ヨーダが出来なかった改革と、それがもたらす平和への道が、次の世代に完全に託された瞬間である。




余談

・ヨーダの手料理

ヨーダがルークにヘドロのような汚物を振る舞った件に関して、昔は、ルークの忍耐力を試す為に敢えて汚物を喰わせるテストだと思った視聴者も居た。
が、実際は違う。
これは、ジェダイ聖堂で生活していた頃からヨーダが好んで食した彼手製の料理である。
しかし前述の通りの見た目と味(ドロイド曰く「食べ物としては認識できないもの」)である為、ヨーダと食事を一緒にするのは貧乏くじを引く様なものと殆どのジェダイ達は認識している。
並の生物にとっては過酷極まるダゴバも、その過酷な環境に適応できてしまう賢者であるヨーダにとっては、
ヘルシーなごちそうを食べながら過ごす、余生を送るには悪くないスローライフの別天地だったのだ。


・ヨーダの目

実はヨーダの目のモデルはかの有名物理学者アルベルト・アインシュタイン。
製作陣によれば知的なイメージを与えるためにアインシュタインの目をモデルにしたという。

・演者

ヨーダの声は多くの声優がオーディションを受けたが、元々パペット操作を担当していたフランク・オズ(SESAME STREETのバートやジム・ヘンソン作品のミスピギー等で有名)に決まる。
(ゲイリー・カーツ曰く「個性的な声だが、オズ以上にヨーダの本質を捉えていた人はいなかった」)
そのせいかフランクがセサミから離れた後、2014年に放送されたセサミ内のSWパロディ「スタースモア」にて、ヨーダポジキャラをグローバー(初代はフランク)が演じていた。

日本語吹き替え版では永井一郎(EPⅠ~Ⅲ)と辻村真人(EPⅤ~Ⅵ)が担当。
EPⅤの公開時には永井だったが、Ⅴ、のDVDは辻村に変更されている。


・CM

2011年末頃に日本でテレビ放映された日清食品のカップヌードルのCMではヨーダが出演。
内容はどこかの砂漠の惑星で超巨大なやかんをヨーダがフォースで持ち上げるというもの。
ヨーダの声優はオリジナル版同様、フランク・オズ氏本人が直々に担当し、放映当時東日本大震災直後でまだ暗いムードに包まれていた日本に対して、「日本の皆さん、フォースと共にあらんことを」*2と力強いエールを送ってくれた。
なお、CMのラストでは空中を漂うカップヌードルに目移りしてお腹を鳴らすというお茶目な一面も見せた。


・ヨーダ記法

プログラミングの界隈では『ヨーダ記法』または『ヨーダ条件式』と呼ばれる記法が存在している(いた)。
どういうものかというと、一般的に条件式は
if (count == 50) *3
のように、変数を左辺に、定数を右辺に配するのが一般的だが、それを逆にし
if (50 == count)
のように書くことを指す。
ヨーダのセリフ(例:“Not if anything to say about it I have” *4)のように順序を入れ替えていることから、そう呼ばれるようになった。

もちろん、やや不自然にはなるが、条件式としての意味合いは変わらない。
それに、この記法には読み手の忍耐を試す以外にも、一応メリットが存在する。
多くのプログラミング言語では“==”は等式による比較を意味するのだが、イコール一つ“=”だけだと、
右辺の変数に値を代入するという意味の構文になる。

当然、条件式の中で使ってはいけない構文だが、“==”をタイポして“=”にしても、動くだけなら動いてしまうのである。
そういう、悲しいミスを減らすために生み出されたテクニックが、ヨーダ記法であったのだ。
ただし、今ではプログラムの開発環境が進化し、事前に警告なども出してくれるようになったため、この記法も ヨーダ当人同様、 過去のものとなりつつある。


───追記修正してみる、ではない!追記修正するか、しないかじゃ。試しなど要らん───


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最終更新:2025年04月01日 22:22

*1 役職としてのジェダイマスターとは異なる。

*2 May the God be with you.(神と共にあらんことを)という古い英語の別れの挨拶をGod→Forceに変えたもので、単にヨーダが年寄りである表現だったのだが後に作品を象徴するフレーズになった。

*3 『変数“count”が 50 と等しい時』という意味の条件

*4 EP3でパルパティーンの「今日でジェダイは死に絶える」に対する返答。「さてどうかのう。そう決めつけるのはまだ……早い」