SCP-2629は「大量のアスベストが残存している」というカバーストーリーで出入口を厳重に閉鎖する。
日中のSCP-2629に財団職員が大勢出入りするので不審に思われないようにSCP-2629と近くの財団施設の間に地下トンネルを作る。
機動部隊イオタ-17(Greendale Humans)(*3)は射撃・銃器による近接格闘・ペイントボール競技の訓練を積み、
毎日午後1時にSCP-2629-A達に「キャプチャーフラッグ(*4)」の勝負を挑みルール内で勝つ。
敗北かルール違反をした場合はアレフ-2629イベントが起きるが、
その場合は「ガス漏れ」のカバーストーリーでSCP-2629の半径300mの一般人を全て退避させる。目撃されたら記憶処理。
民間の建物の中などにペイントの染みがあったら確実に掃除しておき、屋外や公共施設の汚れは 悪ガキのいたずら ということにする。
カスルジサック:ハロー、ちょっとお話を(SCP-2629-A-2からペイント弾まみれにされる)
SCP-2629-A-2:競技に参加しないなら黙れよ。ていうかお前いつもの敵チームじゃねえな。
カスルジサック:教えてくださいよ。なぜ君たちは永遠にペイントボールをしているのですか?
SCP-2629-A-2:は?意味わかんねー(去っていく)
※会話はポーランド語で行なっている。
1988年1月20日
クラクフ郊外の辺境でアノマリー由来と見られる破壊行為の反応を確認。財団が調査を開始する。
1988年1月22日
SCP-2629を発見。
1988年1月24日
収容プロトコルの試案を制定し、SCP-2629近辺を避難対象に指定する。
1988年2月1日
機動部隊イオタ-17とSCP-2629-Aの最初の勝負を実施。
1988年5月17日
イオタ-17が有利になるように競技場を改築した…がそれにより
収容プロトコルを定めてから初のアレフ-2629イベント発動。
SCP-2629周辺住民の避難と清掃は問題なく完了した。
1994年8月18日
イオタ-17が初の敗北。アレフ-2629イベント発動。
SCP-2629周辺住民の避難と清掃は問題なく完了した。
1998年6月30日
イオタ-17が2度目の敗北。アレフ-2629イベント発動。
SCP-2629周辺住民の避難と清掃は問題なく完了した。
2000年2月28日
イオタ-17が3度目の敗北。アレフ-2629イベント発動。
SCP-2629-A達はいつものSCP-2629周辺ではなく███km離れた サイト-19内にテレポートしてきた 。
サイト-19内の人員がペイントまみれになった。彼らがSCP-2629周辺を越えた地域に転移したのはこれが初の事例。
これ以降はイオタ-17が敗北するたびに SCP-2629-A達はサイト-19内でアレフ-2629イベントを起こす ようになった。
2000年3月1日
SCP-2629-Aがサイト-19内に現れる理由を調査したが一番可能性が高いのは
ペイントボールで交戦中のイオタ-17の私語を聞かれたことと思われる。
以降はSCP-2629内やSCP-2629-Aの近くでペイントボール以外のことを喋るのは禁止。
2002年4月13日
イオタ-17が4度目の敗北。アレフ-2629イベント発動。
サイト-19各地の人員と施設がペンキまみれになる。
2004年6月25日
イオタ-17が5度目の敗北。アレフ-2629イベント発動。
サイト-19各地の人員と施設がペンキまみれになる。
保護されていない機材に深刻なダメージが発生して第2保護収容棟が補修のために閉鎖された。
2004年6月26日
サイト-19のスタッフがSCP-2629の破壊を申請するが倫理委員会によって却下される。
2005年2月14日
イオタ-17が6度目の敗北。アレフ-2629イベント発動。
サイト-19各地の人員と施設がペンキまみれになる。
サイト-19の職員が私的に持ち込んだペイントボール銃でSCP-2629-Aを排除しようと試みたが、損害を増やしただけだったので禁止された。
2009年7月7日
イオタ-17が7度目の敗北。アレフ-2629イベント発動。
サイト-19各地の人員と施設がペンキまみれになる。
████████研究員が目にペイント弾を受け視力に深刻なダメージを受ける。
サイト-19内にアレフ-2629警報が発令された場合、全職員は以下の処置を行う。
•オフィスや廊下に設置されたロッカーのペイントボール保護装備を着用する。
•装備を着用できないスタッフは着用するかアレフ-2629イベントが終了するまで目と耳をガードして耐える。
•繊細な機材や物資はすぐに保管するか、最悪の場合は職員の体で保護する。
•紙の書類は塗料で破損しないように保護する。プラ製のフォルダや机の引き出し内なら問題ない。
•活動可能な警備職員はSCP-2629-Aの攻撃で損害を受けそうなオブジェクトの保護に向かうこと。
•SCP-2629-Aを物理的に止める方法は見つかっていないが、 標的を増やす ことで重要な対象が受けるリスクを分散できる。
•イベント終了の告知放送が流れるまで職員は警戒態勢を維持せよ。
2011年7月8日
サイト-19のスタッフ達がSCP-2629の破壊を申請するが倫理委員会によって却下される。
2013年7月17日
イオタ-17が8度目の敗北。アレフ-2629イベント発動。
サイト-19各地の人員と施設がペンキまみれになる。
2014年12月28日
イオタ-17が9度目の敗北。アレフ-2629イベント発動。
サイト-19各地の人員と施設がペンキまみれになる。
ペイント弾でコンピュータ端末が破壊されSCP-████の研究が停滞する。
2015年11月12日
イオタ-17が10度目の敗北。アレフ-2629イベント発動。
サイト-19各地の人員と施設がペンキまみれになる。
SCP-2629-A-3と4がバイオハザード懸念エリア内に出現して職員達がパニックを起こすが事前の安全対策により危険物の流出は防がれた。
2015年11月13日
サイト-19の管理官がSCP-2629の破壊を申請するが倫理委員会によって却下される。
2016年2月3日
イオタ-17が11度目の敗北。アレフ-2629イベント発動。
サイト-19各地の人員と施設がペンキまみれになる。
2016年10月16日
イオタ-17が12度目の敗北。アレフ-2629イベント発動。
サイト-19各地の人員と施設がペンキまみれになる。
SCP-2629-A-5がSCP-████と不意の接触をして当該オブジェクトの作用により認識災害を受ける。
A-5を含めたSCP-2629達は10時間ほど叫び続けてペイント弾を乱射して消失した。
ただし翌日の再出現時には完全に従来通りの性質を取り戻す。
2017年2月10日
イオタ-17が13度目の敗北。アレフ-2629イベント発動。
サイト-19各地の人員と施設がペンキまみれになる。
2017年5月3日
イオタ-17が14度目の敗北。アレフ-2629イベント発動。
サイト-19各地の人員と施設がペンキまみれになる。
2017年7月18日
イオタ-17が15度目の敗北。アレフ-2629イベント発動。
サイト-19各地の人員と施設がペンキまみれになる。
イオタ-17の敗北ペースに着目してほしい。
今年に至ってはすでに3回のアレフ-2629イベントを起こしている。今後もこの数字は悪化こそすれ好転はしないだろう。
なぜかって?イオタ-17には世界で最もペイントボールの技術が高い人間を勧誘しているが(*5)
相手は 肉体の老化や劣化もなく29年間毎日 ペイントボール の経験を積み続けているからだ。今後もね。
技術や経験の差はすでに埋まり、今後はこちらが決して追いつけない壁に挑戦していく側となる。
だからこそSCP-2629またはSCP-2629-Aをdecommissionする方法を真剣に考えるかプロトコルの抜本的な改良を図る必要がある。
これはサイト-19が破損されたことによる幼稚な欲求不満によるものではなく
現在の収容プロトコルが 近いうちに破綻する ためだ。
彼らはSCP-2629の周辺地域をペンキまみれにすることをすぐに飽きた。
ならばサイト-19をペンキまみれにすることに飽きない保証がどこにあるのかね?
サイト-19管理官 ████████博士
*1 Ballは球だけではなく「弾丸」も指す単語で、それらを使う競技自体もボールと呼ぶ。
*2 ポーランドは飲酒も普通免許も18歳から可能なので10代で飲酒しても違法とは限らないが飲酒運転に対しては厳しい。
*3 アメリカのコメディドラマCommunity(邦題は「コミ・カレ!」)に登場する架空の教育機関グリーンデイル校のマスコットキャラのことと思われる。知らない人はGreendale Humanで画像検索しよう。その際は飲み物を口に含んでおくこと。
*4 ペイントボールの競技ルールの一つで、敵味方で撃ち合いしながら自軍の旗を守りつつ敵軍の旗を取れば勝ち。
*5 アメリカには全米ペイントボールプロリーグが存在し、トッププレイヤーはそこそこ賞金を稼いでいる。財団は多分そんな連中をスカウトしていると思われるが…。