召喚酔い/Summoning Sickness

登録日:2021/02/27 Sat 21:34:00
更新日:2024/11/30 Sat 08:07:59
所要時間:約 3 分で読めます




召喚酔い/Summoning Sicknessとは、TCG「Magic the Gathering」におけるルールの俗称。

302.6 クリーチャーの起動型能力のうち起動コストにタップ・シンボルやアンタップ・シンボルを含むものは、そのコントローラーがそのクリーチャーを自分のターン開始時から続けてコントロールしていない限り、起動できない。
また、そのコントローラーが自分のターン開始時から続けてコントロールしていない限り、そのクリーチャーでは攻撃できない。
このルールは非公式に「召喚酔い」ルールと呼ばれる。
(総合ルールより引用)

要するに、「出たばかりのクリーチャーで殴ったり、タップ能力やアンタップ能力を使うことはできない」ということである。
このルールにより、強力なクリーチャーや優秀なタップ能力を持つクリーチャーを召喚しても次の相手のターンに除去されるということが起こり、駆け引きが生まれるのである。

イメージとしては召喚呪文を唱えて現れたクリーチャーが呪文の副作用で酔っている。といったところか。
ちなみにブロックには何の制限もなく、「瞬速/Flash*1」を持ったクリーチャーを相手のターンに出し、ブロックする。といったことは可能である。

また正確には「自分のターン開始時から続けてコントロールしているカードは召喚酔いが解ける」というルールであり、コントロールを奪ったクリーチャーは召喚酔いする。
割と忘れやすいのだが、トラブルのもとになるかもしれないので覚えておいて損はないだろう。


ちなみに公式のルール用語と誤解されやすいが、実際には総合ルールにもあるように俗称であって、ルール上の正式な用語ではない。
ただし、「速攻/Haste」能力がルール化される第6版以前*2は「召喚酔いに影響されない」と記載されており、カードのテキスト上では使われる言葉だった。

速攻の制定後はルール上存在しない言葉となったが、未来予知で登場した《ドライアドの東屋》の注釈文に記載されたり、総合ルールに非公式の呼称として記載されている。

現在こそ俗称であるが《ドライアドの東屋》に記載されていること、かつてはそれ以外のカードにも記載されていたこと、姉妹作品のデュエマで公式に使用されていること(詳しくは後述)を考えると半公式用語と考えても差し支えはないだろう。そもそもなんで非公式扱いなんだってレベル。


召喚酔いに関して、よく質問されることとして、「クリーチャー化する土地や機体*3に搭乗するなど、クリーチャーでないパーマネントがクリーチャー化したら召喚酔いはどうなるのか?」ということがある。
これに関する回答としては「出たターンにクリーチャー化すれば召喚酔い状態になり、逆に前のターンに出していればクリーチャー化したターンでも召喚酔いしない。」
イメージしづらいかもしれないが、要は「出たばかりのカードは全て召喚酔いするが、クリーチャーを除けば影響は無い」ということである。
大抵の「ギデオン・ジュラ」のカードが持つクリーチャー化能力などは見ることが多いため、このルールも覚えておくべきである。

また「召喚酔いしたクリーチャーをタップする」こと自体には制約がない。機体への搭乗や召集のマナコスト支払いなどのためにタップすることや、起動コスト以外の効果で自身をタップする能力は、召喚酔いであっても問題なく行える。


召喚酔いを無視して、出たターンでも攻撃したりタップ能力を使える能力として「速攻/Haste」が存在する。
攻撃性、突発性が特徴であるのクリーチャーが持つことが多く、相手に奇襲を仕掛けることができる。
また、赤によくある「1ターンだけクリーチャーのコントロールを奪う」カードは奪う際にそのままだとコントロール移動によって召喚酔いし、攻撃ができず戦力として使えないため速攻を付与させる。

Raging Goblin / 怒り狂うゴブリン (赤)
クリーチャー — ゴブリン(Goblin) 狂戦士(Berserker)
速攻(このクリーチャーは、あなたのコントロール下で戦場に出てすぐに攻撃したり(T)したりできる。)
1/1

例えば、このクリーチャーはコスト1かつ速攻を持つため、1ターン目から相手に殴りかかることが可能である。

また、速攻に関連したキーワード能力は複数あり、いくつか例をあげると「あなたはこの呪文を、これの疾駆コストで唱えてもよい。そうしたなら、これは速攻を得るとともに、次の終了ステップの開始時にこれを戦場からオーナーの手札に戻す。」という効果を持つ「疾駆/Dash」、
「このクリーチャーは+1/+1カウンター1個か速攻のうち、あなたが選んだ1つを持った状態で戦場に出る。」という効果を持つ「暴動/Riot」などが存在する。
ちなみに暴動は速攻と+1/+1カウンターを状況に合わせて選べるため、速攻の上位互換である。

ジョークエキスパンションの「アンヒンジド」収録の《Rocket-Powered Turbo Slug》は「超速攻/Super haste」なる能力を持ち、「唱える前のターンに攻撃してもよい」などとわけのわからない注釈文が書いてある*4。要するに速攻+「次のターンにマナコストを後払いし払えなければ敗北」という能力*5で、Type0*6ルールでの最強デッキ候補には《Rocket-Powered Turbo Slug》7枚デッキが挙げられている。

ちなみに赤以外には赤の友好色であるのカードが持つことがある。とはいえそこまで多くはないけど。
逆に敵対色であるのカードは、《怒りの天使アクローマ》などごく僅かである。


mtgの弟分である「デュエル・マスターズ」にもこのルールは採用されており、mtgと異なりこちらでは公式用語としてルールに組み込まれている。
そして召喚酔いを無視する能力も当然の事ながら用意されており、キーワード能力としてはmtgにおける速攻にあたる能力「スピードアタッカー」がある。やはり火文明(mtgでいう赤に相当)の能力となっている。
亜種として「マッハファイター」、「フュリー・チャージ」といったものがあるが、後者二つはクリーチャーに対してしかアタックできない*7
また、進化覚醒G・リンク時にも召喚酔いが解除されるが、こちらは能力ではなくルールによるもの。

他にもDCGなどで類似したルールが採用されている。


MtG及びデュエマでは完全なマイナス状態であるが、ゲームシステムによっては、この召喚酔いがメリットとして機能する場合もある。
例えば、既にサービス終了してしまったが、コンパイルハートの「カオスチャンプル」は、どんなキャラだろうと召喚から何ターンかすると確実に退場してしまうルールだが、召喚酔いの利用によってそれを延長させることができる。
召喚酔いと言ってもスキルの発動に制限はかからず、サポート主体の有用スキル持ちはできるだけ場に留まってほしい場合が多いため、このシステムを活用する価値は十分となる。
なんなら召喚酔いのターンが増加するパッシブスキルまで登場する始末。習得するのはサポート系キャラなので、もちろんメリットである。

カードヒーロー」ではモンスターは召喚酔いに相当する「準備中」状態で場に出るが、準備中のモンスターはあらゆる攻撃を受け付けない無敵状態である。その為、準備中状態を解除する「ウェイクアップ」をあえて敵モンスターにかけて集中攻撃し、自軍のレベルアップに活用したり敵の陣形を崩すというような戦術も取られる。


追記・修正は召喚されてから1ターン後にお願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

最終更新:2024年11月30日 08:07

*1 インスタント呪文のようにいつでも唱えられるという能力

*2 具体的にはミラージュ~ウルザズ・レガシー。アライアンス以前はまた別の記述がされていた。

*3 特定パワー以上のクリーチャーをタップすることでクリーチャー化するアーティファクトのこと。乗り物に乗るイメージ。

*4 なお、普通の速攻は持ってないので先にマナコスト支払って唱えても3/1バニラである。

*5 後者の部分を黒枠で独立させたのが契約サイクルである。

*6 銀枠使用可能、4枚制限無視などのなんでもあり構築のこと。

*7 mtgと異なりデュエマではプレイヤーへのアタックとクリーチャーへのアタックが区別されている。