シャークネード エクストリーム・ミッション

登録日:2021/05/11 Tue 18:25:00
更新日:2024/02/10 Sat 21:39:06
所要時間:約 10 分で読めます





これでいいんだ。俺は今、夢の世界にいる。


シャークネード エクストリーム・ミッション(Sharknado 3: Oh Hell No!)』は2015年製作のテレビ映画。
前作にてサメ映画の旗手としての名を欲しいままにした監督:アンソニー・C・フェランテ、製作:アサイラムのタッグが
さらに多方面から合流した特別出演者たちと共にまたしても日本目掛けて放り込んだ、
シャークネード・シリーズ第三作。

予告の時点から「サメ・フィン・チェーンソーなお約束の構図in宇宙」とマトモな映画にする気がないことを隠さなかった本作は、
米国中を巻き込んだ悪ふざけに消しても消しても蘇る不滅のシャークネードというスケールアップを加えつつ、
さらには誰もの知る名作から製作陣のお遊びに至るまでの貪欲なパロディという新たな武器も投入された。
また一方で、意外なことにシリーズの中では比較的登場人物がサメに襲われ躯に変わる描写がねちっこい部類であり、
シリーズがこれまで抱えてきた「終盤は人間が強すぎてサメの脅威感が薄い」という異様な状態を引き戻し、
「どこまで向かっても終わらないサメの猛威」と「必死にそれに抗うも追い詰められる人間」というサメ映画への原点回帰が並行して試みられている。

シリーズ特有の勢い任せなノリと実は(比較的)正統派なサメ映画的シナリオ構造、さらにシリアスな面しといてパロディと超展開まみれのクライマックスが渾然一体となった本作は、
これまでは控えめだったスローモーションの多用と終盤の無重力戦がもたらす独特な浮遊感も相まって、
最終的にはどっちつかずの凡作シリーズ屈指の異色作として結実することになる。

シリーズの人気が安定した分、露骨なクリフハンガーを仕込むようになってますますB級臭は酷くなっている。



■あらすじ


LA、NYをシャークネードから救い叙勲の栄誉を受けたフィンを、またもシャークネードが襲う。
新たな命を宿すエイプリルの元へ急ぐフィンを待ち受けるのは
LAの一件以来消息を絶っていたノヴァ、そして消しても消しても現れる同時多発のシャークネード!
最早打つ手なしの大嵐を前に、NASAの元大佐たる父親ギルバートと共にフィンは宇宙へと飛翔する。



■登場人物+α


シェパード一族

回を経るごとに増える一族の皆様。
作品のノリが抑え目でも、サメと嵐を相手の無敵ぶりは依然健在。「サメと嵐を相手の」、だが。

  • フィン・シェパード(アイアン・ジーリング)
ご存知家族大好き主人公。米国が誇るチェーンソーの英雄。
叙勲式典の最中にワシントンDCを襲ったシャークネードから大統領と共に辛くも生還。
途中何度もシャークネードに襲われながらも、予期せず合流したノヴァと共にオーランドの家族の元へと懸命に急ぐ。
超大規模シャークネードを消し去れる最後の火力としてスペースシャトル打ち上げにより中心に火柱と全燃料をお見舞いすることを目論み、
父ギルバートと共に大気圏を突破し……。
攻防問わぬ対サメの無敵ぶりもいかなる状況でも人助けの道筋をつける英雄精神も依然健在なのだが、
同時多発シャークネードとの連続かつ大規模化した闘いを前には流石に”Semper Paratus”とはいかず、
技術的側面で仲間に委ねざるを得ない状況も目立つなど、比較的活躍はおとなしめ。
「家族の事を想う。サメのことは考えない」

  • エイプリル・シェパード(タラ・リード)
お馴染みシリーズヒロイン。前作の事件を経てフィンの妻に。
お腹に二人の愛の結晶そして左の義手には仕込みチェーンソーを宿す。
クラウディアや母親メイと共に訪れたユニバーサル・スタジオ・フロリダにてシャークネードの襲来を受ける。
とても無理をさせられない体のため周囲に気遣われ前に出ることはなかなかないが、
フィンのシャトル搭乗を聞かされてなかったことが裏目に出て成り行きで大気圏突破することに。
「また月の名前?」

  • クラウディア・シェパード(ライアン・ニューマン)
18歳の誕生日を迎えて役者交代したすっかり大人びたフィンの娘。
友人ジェスと共にUSFへ向かうも彼女は途中でナンパしてきたチャドに夢中になり、
お互い連れ合い同士のビリーとなんとなく同行しているところにシャークネードが迫り……
完全にシェパードの血が目覚めたようで、父と祖父の乗るシャトルを守るべく
自動小銃でサメを撃ち落としまくるなど、だいぶ窮地の戦闘能力が跳ね上がった。
「こんなデートってあり!?」

  • ギルバート・グレイソン・シェパード(デヴィッド・ハッセルホフ)
フィンの父。NASA所属の元大佐。なんつーものに出てるんだナイトライダー。
フィンの「助けたがり」には否定的な姿勢を隠さないが、
彼の家族を守る意志、そして事件を経て出来た大統領とのホットラインを前に計画を受け入れ、
NASA秘蔵のスペースシャトル:インデペンデンス号にて対シャークネード究極の作戦に挑む。
「お前の、ヒーローになりたかった」

  • メイ・ウェクスラー(ボー・デレク)
エイプリルの母。演者は1980年代を代表するラジー賞常連女優。
身重でありながらサメの襲来を前にすると(仕込み)チェーンソーを振りかざしかねない娘を非常に心配しており、
同時にそうなった原因のフィンのことはどうしても好感が持てないでいる。
USFを襲ったシャークネードの中なんとか一家皆合流し、グローブ*1の中で身を守るも、
嵐にグローブごと散々振り回されたことで頭を打ち、負傷退場する。
負傷どまりな辺りやはり一族の一員。

  • マーティン・ブロディ(マーク・マクグラス)
前作から連続出演のフィンの義弟。
フィンの叙勲式典に参加し、副大統領と共にホワイトハウスを疾走。
脱出後にはフィン・正副両大統領の4人で力を合わせ”父親たちの星条旗”スタイルでサメを串刺しにした。




人間

前作以上に多岐にわたって著名人のゲスト出演が増えており、ここにはとても書ききれない。
本人登場枠も割とサメに負ける時は負ける、という形で無法地帯ぶりは上がっている節がある。

  • ノヴァ・クラーク(キャシー・スケルボ)
初作以来の出演となるサメに復讐心を燃やす美女。本シリーズ一の華やかな姿は健在。
シャークネード撃退を目指し独自に研究と研鑽を続けていた本作の”Semper Paratus”継承者。
割とフィンへの未練を残しており、エイプリルとフィンがよりを戻したことへのショックを隠さない。
(外地赴任のため未登場の)マット仕込みの操縦技術で爆撃機も容易く扱う他、
技術者としても成長し、フィンに魔改造チェーンソーを託す。
「ずっと言おうと思ってた。……最高の家族ね、フィン」

  • ルーカス・スティーヴンス(フランキー・ムニッズ)
ノヴァの相棒として装甲車を駆る青年。
ノヴァに内心惹かれているが、彼女が前述のとおりなので悲しいほどに脈がない。
軍事基地にて二人乗りの爆撃機でオーランドを目指すノヴァとフィンに「最強のクルマ」があるから安心とアピールするも、
乗り込む前に片足片腕を喰い破られる重傷を負い、達磨に毟られながらも装甲車を自爆させ基地を襲った嵐と共に消える。
1作目のバズ、2作目のゴミ収集車運転手に続く「車に乗り込む前にサメの餌食」枠だが、
相討ちを成功させた辺りその執念が窺える。
「でもゾンビよりはマシ*2

  • ニューヨーク市長(ロバート・マーティン・クライン)
前作でフィンをチェーンソーの英雄として完成させた市長。
叙勲式典にてNYの謝意として「黄金のチェーンソー」を贈呈する。
臨戦態勢が整っていなかったばかりに、ホワイトハウスにてサメの餌食となる。
「もちろんちゃんと動くよ」

  • マーカス・ロビンス大統領(マーク・キューバン)
フィンを叙勲した大統領。
シークレットサービスが全滅し、無数のサメが降り注ぎ、とどめにワシントン記念碑がぶっ刺さるホワイトハウスを
自ら銃と手榴弾を取って戦い抜き、フィンと共に脱出する。
「私もすぐ後から降りる!」

  • ビリー(ジャック・グリフォ)
USFにて友人のナンパを切っ掛けにクラウディアと行動を共にすることになった青年。読書の好みはSF。
ゆっくりとお互いに惹かれつつ一連の事件を同行し、クラウディアを止めきれずに打ち上げ基地でのシャトル防衛に加わるも、
弾切れになって建物内へ逃げるあと一歩のところでサメに喰いつかれ、ドア越しの血溜まりへと身をやつした。
「お父さんが有名人って、どんな気持ち?」

  • マット・ラウアー
  • アル・ローカー
NBCニュース番組『Today』司会者とお天気キャスター。前回に引き続いての本人出演。
沿岸からどれだけ離れても安全にならない超巨大シャークネードの迫る中、
遂に彼らもサメの不意討ちを受け……

  • ジョージ・R・R・マーティン
『氷と炎の歌』シリーズを代表作とする、SF・ファンタジー作家にして脚本家ご本人。
USFでどう見てもB級なサメ映画*3を見ていたところ、
「スクリーンから飛び出した」サメの餌食となる。


その他

  • サメ
今まで以上に嵐諸共増えたサメ。増えすぎて最早シーンによっては背景のぶち模様か何か。
ノヴァの調査でシャークネードにおけるサメは超高高度に滞空し、鳥を喰って生きていることが判明した。問題はそこか?
本作は比較的パワーバランスがサメ寄りなこともあってか、USFではアトラクションを楽しんでるようにしか見えないサメもチラホラ。
究極の作戦の余波により遂に宇宙進出を果たす。宇宙で生きられることについてはフィン直々に説明が放棄された。
まぁ、大気圏突入して燃え尽きない時点で考えてもどうにもならないところではあろう……
変わり種枠としてはラブカが登場している。

前作ですっかり英雄フィンの武器イメージを植え付けたチェーンソーは
オープニングからクライマックスまで文字通りの出ずっぱり。
種類も初期装備の「黄金のチェーンソー」からノヴァの準備したツインチェーンソー、
更には宇宙仕様の最終装備、ライトチェーンソーと目白押しとなっている。
一方でシリーズの「お約束」はだいぶ引っ張り、原点回帰とイカレっぷりの入り混じる本作を象徴するシーンまで待たねばならない






「未作成項目のことを考えるんだ。サメのことは考えない」
「追記・修正は?」
「それは考える」

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • B級映画
  • NASA
  • スペースシャトル
  • 宇宙
  • アサイラム
  • アルバトロス・フィルム
  • ギャグ
  • サメ
  • サメ映画
  • シャークネード
  • スプラッタ
  • チェーンソー
  • ディザスター映画
  • パニック
  • パロディ
  • Semper Paratus
  • 映画
  • ユニバーサル・スタジオ
  • ワシントン
  • フロリダ
  • デッデデデッデデデデッシャーク!!

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年02月10日 21:39

*1 各ユニバーサル・スタジオの入り口にある巨大地球儀。映画配給会社ユニバーサル・スタジオのロゴそのものな形であり、アサイラムの好き放題ぶりを感じさせる

*2 このセリフを投げかけた相手も含めて、ドラマ『Zネーション』を意識したもの

*3 出てきたのが三頭ザメだし、アサイラム作品だし、『トリプルヘッド・ジョーズ』であろうとは思われるが何分サメ映画なので……