登録日:2021/05/05 Wed 16:40:00
更新日:2025/03/19 Wed 00:54:14
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『
シャークネード』は2013年製作のテレビ
(サメ)映画。
●目次
■概要
監督兼主題歌ヴォーカルはアンソニー・C・フェランテ、製作会社はモックバスターの雄として耳目を集める碌なもの作らないアサイラム。
巨匠スピルバーグが
一作でもって手法を確立した、低予算パニック映画の救世主たる
サメ映画。
CG技術の普及に背を押されながら、長きに渡りパニック映画の源流を担い続けてきたディザスター映画。
この二つのジャンルをヤケクソじみた手法で合体させた悪ノリそのものの作品は、『アメリ』『
えびボクサー』『善き人のためのソナタ』などの発掘で名高き
碌でもねぇもの拾ってくる配給会社アルバトロス・フィルムの手で日本に上陸。
旺盛なサービス精神・隠しようもないチープさ・加速度的に積み重なるバカバカしさの複合から醸し出される愛嬌溢れる可笑しみがカルト的人気を獲得し、
全6作のシリーズ化という暴挙を実現することになる「笑えるサメ映画」の代表格、
シャークネードシリーズの第一作目である。
ただし出来栄えはどうしても「やる気はある」低予算映画の範疇を出ないため、視聴には心構えが必要。
■あらすじ
メキシコ沖で発生した三つのハリケーンは、海中のサメの群れを追い立て、巻き上げ、陸地へとサメを降り注がせる前代未聞の災害と化してロサンゼルスへと襲い掛かった。
カリフォルニア在住の元サーフィン王
フィン・シェパードはハリケーンとサメの群れから家族を守るべく奮闘することとなる……
■登場キャラクター+α
◆人間
主人公。カリフォルニア沿岸でバーを経営する元サーフィンチャンピオン。
赤の他人であっても困っている者は全身全霊で助ける
正義漢にして、”
Semper Paratus”を座右の銘とし徹底的に災害に備える用意周到な男。
もっともこの二つの美点はどちらも過剰なところが否めず、特に対災害に関しては「
隕石や
ゾンビに至るまで本気で備えきる」と最早病的な心配性の域。
この性格から家庭が上手くいかず開始時点で別居状態ではあるが、ハリケーンが洋上にある時点で海岸から160km離れたLA在住の家族が心配でならないなど彼なりに家族への愛は本物。
「
片手でショットガンをぶっ放し」「
ハンドガンで空中のサメをミスなく多数撃墜」「
さらにはチェーンソーで降り注ぐサメを一刀両断」など滅茶苦茶な戦闘能力でサメと嵐の猛威に抗い続けるが、
最終盤、クラウディアを庇ってチェーンソーを構えたままサメの顎の向こうへと消えていく……
そして本シリーズの「お約束」が誕生することになる。
フィンの元妻。「シャークネードシリーズの」
ヒロイン。
彼の極端な思考や行動と折り合いをつけきれず、ビバリーヒルズにて別居生活を送っている。
始めこそ嵐とサメが同時襲来という事態を受け止められない
常識的な様子も見られ、
安否不明の息子との合流の途中でも人助けに余念がないフィンと衝突することもあったが、
根っこのところではやはりフィンの妻というべきか、緊急時のコンビネーションは抜群。
フィンの店の従業員。お色気もバトルも担う「本作の」
ヒロイン。
フィンへのアプローチを繰り返してはすげなく返されていたが、彼が妻も娘も息子もいる身であることは知らなかった。
天涯孤独の身の上であり、フィンへの慕情は彼の不器用ながら深い父性に惹かれたものなのかも。
作中でもファザコンと揶揄されてたし。
両親を事故で
亡くし祖父に引き取られた彼女は、彼に連れられての海釣りで船が暗礁に乗り上げ遭難。
まだ幼い彼女を救命ボートに乗せ、残る一同が立ち泳ぎで救助まで耐え忍ぶ最中にサメの群れが到来。
夜が明けた時には海で耐えていた面々は全滅し、唯一
ヘリで救助された彼女も救助途中に飛びかかってきたサメにより重傷を負うこととなった。
過去との訣別を誓い自らの名を「ノヴァ・クラーク」と改めた今でも、彼女には根深くサメへの恐怖と憎悪が残っている。
意気投合したマットと共にシャークネード爆撃作戦に挑むも、最後の一回が失敗してヘリに纏わりついたサメを引きはがそうとして転落。
ちょうど巻き上げられていた巨大ホホジロザメに呑み込まれる。
どうもコイツはよく噛まないタイプだったようで、別口で呑み込まれたフィンの脱出と共に辛うじて生還する。
フィンの親友。
序盤に嵐に追い立てられたサメの群れの襲撃を受け脚を負傷。
以後事態を憂慮し家族の元へとひた走るフィンに、止まない軽口を交えながら同行する。
警官隊の封鎖をノリノリで突破したり、スマイルマーク付きの特大爆弾を一人で完成させたりとやることが中々ワル。
爆撃作戦のプランBとして車に大量の
爆弾を積み込み、
万が一の際逃げ遅れる自分が吶喊する支度を進めていたが、
積み込みの最中に降り注ぐサメにまたもや脚を噛り付かれ、サメごと嵐に巻き上げられて消える。
フィンの店の常連客。
わざわざビバリーヒルズから通ってくる飲んだくれジジイ。獲物は店の「指定席」。
大波に襲われるフリーウェイの避難誘導をフィンたちと行う途中、車に飼い犬が取り残された女性を手助けしていたことで逃げ遅れ、襲い来るサメの餌食となる。
『ホーム・アローン』の慌て者親父のイメージ払拭を期して「サメが空から降ってきて人を襲う映画」参加を快諾した演者は本作をだいぶ気に入っていたらしく、
そこそこ出番を貰って死んだので2作目に出られなかったことを大変残念がっていたとか。
フィンの息子。
妹クラウディアもそうだが、姓がシェパードとウェクスラーのどちらなのかは明かされていない。
通いたての航空学校学生であるが、コリンの意向もあってそのことを知らされていなかったフィンは大いに狼狽した。
フィンの血潮と座右の銘を色濃く受け継ぐタフガイであり、ノヴァとお互いに心惹かれていく。
LA市民と家族を守るため
ヘリで接近してシャークネードを爆破することで嵐を雲散霧消させる正気を疑う爆撃計画をノヴァと共に実行。
二つの竜巻の排除に成功するも、三つ目の嵐に敗れて不時着し気絶
で済むのか……。
最後の嵐の排除は、父フィンの手に委ねられることに。
フィンの娘。
「父は兄のマットばかりが大事で、自分のことは二の次だ」との思いを抱えており、
険悪なくせに息は合う両親の姿に戸惑いを隠せずにいる。
総じてフィンに対して最も隔意を抱いている人物であるが、フィンにとっては真っ先に助けに行かずにはいられない愛娘であり……。
エイプリルの新たな交際相手。
フィンの家族認識にも事態認識にも軽蔑を隠さず、即急な避難を主張するフィンを追い返そうとするも、
プールにサメなどいる筈がないと窓を見たのが運の尽き、救出を試みたフィンの手に両足だけ残してサメに貪り喰われた。
死亡フラグの塊ではあったがここまで手っ取り早く死ぬとは……
冒頭のビーチに登場した水着サーファー。あとは察しろ。
冠水してサメが蠢く道路で子どもたちと共に立ち往生していたスクールバスの運転手。
フィンによって救出された後、紆余曲折あって母の口癖の「あんたはHOLLYWOODに殺される」のことを思い出したところ……
演者は軽妙なリズムが癖になる本作主題歌、(The Ballad of) Sharknado/Quintの共同作曲者。
- サンディアゴ船長(イスラエル・サエス・デ・ミゲル)
映画冒頭、メキシコ沖でサメの密漁を行っていた密漁船の船長。
買い付け目的で乗船していたミスター・パルマーが大嵐(シャークネード)に巻き込まれたどさくさで船員を皆殺しにして金もフカヒレも独占しようと目論み、銃撃戦に発展するが、サンディアゴもパルマーもサメの餌食になってしまう。
シャークネードの最初の犠牲者であることを除いて本編とは一切関わりのない人物
だったのだが…?
◆サメ
嵐に追い立てられ、遂には巻き上げられたサメの群れ。
嵐から逃げてた癖に嵐の中でもピンピンしてるのは気にするな。
ホホジロザメやイタチザメ、アオザメといった往年の名サメ役だけでなく、
シュモクザメやコバンザメなどの変わり種も混じる大盤振る舞い。
嵐のもたらす増水・冠水・水没も相まってあらゆる場所を悠々と泳ぎ、獲物をそれぞれにつけ狙……っては多種多様な死に様でやられる。
それでも一向に尽きる様子もなく、終盤にかけてはだんだん空中から普通に襲い掛かってくるように。
嵐が雲散霧消しても当然(?)サメは別に消えないため、最終盤は襲い掛かる勢いが飛躍的に増す。
自由落下など知らぬ。
登場人物ではないが、本シリーズに欠かせないアイテム。
航空学校に辿り着いたフィンが獲得した最強の武器。
「口から入ってチェーンソーで出る」本シリーズのお約束を可能にする、逆転請負人。
■余談
アサイラムCEOデヴィット・マイケル・ラット氏は本作が日本で人気を集めたことなどを契機に
基本的に鼻つまみ者扱いのアサイラム社の人気が局地的に上昇し、アサイラム特集上映会「アサフェス」開催にまで至ったことを受け、
以下のようなコメントを残した。
アサイラム作品を一挙に皆さんにお届けできる素晴らしい機会をありがとう。
日本のファンは世界でもとびきり熱くて献身的だよね。
この清々しいコメントはその後「B級映画が生まれ続けるわけ」として流布することになり、
本作以降のシャークネードシリーズもまたこの言い分を背負い続けることになる。
TCG「
Magic: the Gathering」には「サメ台風/Shark Typhoon」という本作をパロディしたカードが黒枠(公式大会で使用可能なカード)で存在する。
クリーチャーでない呪文を唱えるたび、そのマナコストに等しいP/Tの
飛行する鮫トークンを出すエンチャントカードである。
多くのドロー呪文や打ち消し呪文を擁する青のカードであり、いったんこのカードが場に出てしまうとドローや打ち消しを唱える度に
空飛ぶ鮫が次から次に飛び出すという、元ネタをよく再現した効果となっている。
また、このカードにはもう1つサイクリングという能力が搭載されている。
ある程度のコストを支払ってこのカードを手札から捨てることでカードを1枚引くという効果だが、このカードにはさらに支払ったコストに応じたサイズの空飛ぶ鮫がついてくるというオマケ付き。
通常クリーチャー呪文は自分のターンにしか使えないが、サイクリングは相手のターンでも使えるため、
相手の意表を突いて空飛ぶ鮫を出現させることができるのである。
一見映画パロディのネタカードかと思いきや、
コントロール系デッキのフィニッシャー生成装置になったり、「サメ補充」と呼ばれるコントロールデッキを生み出したりと使い道は多く、サイクリングのおかげで手札で無駄になることも少ない……と非常に強力なカードで、青絡みのコントロール系デッキではフォーマットを問わず広く使われている。
きっと今日もどこかで、
プレインズウォーカーがサメに喰われている……
『常に追記・修正あり』
- 2013年公開なのか…。もっと古い(90年代ぐらい)かと思ってた。 -- 名無しさん (2021-05-05 16:48:53)
- そう考えると2014年の時点でサメ竜巻ネタやってたひむてんはやっぱ頭オカしかったんやなって(褒め言葉) -- 名無しさん (2021-05-05 17:08:00)
- 絶対あの某サメ映画評論家の影響が多分に含まれている気もする(というか自分もそれでこの映画を知った) -- 名無しさん (2021-05-05 17:11:54)
- ついにこの名作あるいは迷作の記事を見ることになろうとは…ありがとう -- 名無しさん (2021-05-05 17:36:21)
- いつぞやの番組で観月ありさ女史がハマっていたと判明した。もうマイブームは過ぎてるかもしれんが -- 名無しさん (2021-05-05 17:38:40)
- 愛すべきアホ映画 -- 名無しさん (2021-05-05 17:48:27)
- 2013年初作で今までに6作って結構すごいペースよね。 -- 名無しさん (2021-05-05 17:55:58)
- 正直なところ日本映画の「超大作」よりも手間暇かかってるように見えるんですよね。それに理屈抜きに面白いし。 -- 名無しさん (2021-05-05 18:21:16)
- 彼岸島をサメ映画でやったような感じなのか -- 名無しさん (2021-05-05 18:34:59)
- 1作目は低予算映画特有の動かない車内のシーンが長いから何も知らない人は厳しいかも -- 名無しさん (2021-05-05 19:09:51)
- 『シャークネード』の熱狂的なファンの皆さま……他にやること探しなさい。 -- 名無しさん (2021-05-05 19:40:55)
- 最後のセリフがいいね。結局B級映画が何故生まれるのは、それが見たいという奴がいるからだという至言だわ -- 名無しさん (2021-05-05 20:02:56)
- よく「アメリカ人ホントサメ映画好きだよな」と言うが、実際にサメ映画の一番の配給先は日本だとか……CEOのコメントにもあるように、B級映画が一番好きなのは日本人なんだろうな -- 名無しさん (2021-05-05 20:05:54)
- ↑11 しかし意外なことに旧版新版ともに「動画では」取り扱ってなかったりする(blogでは今作だけ取り扱ったけど) -- 名無しさん (2021-05-05 21:18:02)
- ニコ生だと,かの人の活動開始時期あたり(2014秋)からコンスタントに上映会やってんのよね。もともとサメ映画の受ける素地が日本にありすぎたという感じがすごい -- 名無しさん (2021-05-06 01:05:32)
- 低予算でも後追いでも、観客を楽しませようと全力バカ映画で作ってるのが好感が持てる。何か責任転嫁されたけど! -- 名無しさん (2021-05-06 01:08:17)
- キャラクターとしてはジョージが好きだった。だからシャークネードシリーズを最後まで見続けて良かったわ -- 名無しさん (2021-05-06 09:00:16)
- 大体俺らのせい -- 名無しさん (2021-05-06 11:30:23)
- モルカーが飛行サメ要塞と戦う羽目になったのもだいたい日本人のせい -- 名無しさん (2021-05-06 11:36:31)
- まさか、BSでやるとは……これも僕らのせいなのか……。世が世なら、ソレスタルビーイングに軍事介入されるところだな(ナゼ -- 名無しさん (2021-05-06 11:57:59)
- これってつまり、鮫が空中から食いついてきて喰らう&ハリケーンで町が水没したのでサメが泳ぎまくれる→喰いまくり、ってことなんだよね? それよりはコンクリートをバキバキにヒレで引き裂きながら地中を泳いでくる、のほうがインパクトよくね?w(以前、TRPGのセッションでやったことがあるww -- 名無しさん (2021-05-06 12:02:31)
- このシリーズの成功要素って実のところ設定のインパクトよりも襲撃パターンの多様性なんで、地中サメだとそこが足りない気がするけどなぁ。あとぶっちゃけ低予算映画は地面を割るサメの映像なんざ作れない(迫真 -- 名無しさん (2021-05-06 12:30:27)
- ↑あー、なるほどー……。その問題があったか……。いや、ならデカい会社がバカをやって、地中ザメをやれば……!(ダレガヤルンダ -- 名無しさん (2021-05-06 13:18:04)
- シャークネードのネードが、トルネードのネードだと、今やっと気が付いたw -- 名無しさん (2021-05-06 15:23:58)
- そもそも観てないのにコメ欄で内容批判&自分語りってどうなのよ -- 名無しさん (2021-05-06 15:42:24)
- ↑内容批判するようなコメが見当たらないんだが、モンハン映画の項目と間違えてないかい? -- 名無しさん (2021-05-06 15:48:36)
- シリーズが進むにつれて目に見えて予算増えていったから今見ると1作目は本当低予算な作品だと思い知らされる、逆にこの出来から6作まで続くのも驚きだが -- 名無しさん (2021-05-06 15:59:39)
- ↑2 地底がどうだの -- 名無しさん (2021-05-06 16:08:15)
- 誤送信失礼 TRPGがどうだのとかのコメに対してです -- 名無しさん (2021-05-06 16:08:47)
- グラブルでもシャークネードモチーフのイベントやってたが、そちらでは世界に終末をもたらそうとした堕天使の王に勝った天使長すら空飛ぶサメの群れに手こずっていたな……恐るべしサメ竜巻 -- 名無しさん (2021-05-06 17:54:02)
- ↑6 TRPGのコメした奴です。ごめん。批判してたつもりはなかった&予告編見てみたら、予想してた以上にすごかった。インパクトよくね?のところは撤回する。アサイラムさん、ごめんなさい! あんたすげーよ(誉め言葉 -- 名無しさん (2021-05-06 18:03:03)
- つまり、だいたい知的風ハットのせいとry -- 名無しさん (2021-05-06 20:47:17)
- ↑3 サメハンター(CV堀内賢雄)とか何だったんだ・・・ -- 名無しさん (2021-05-06 20:52:52)
- デッドプール「シャークネードは何作品作られた?」 -- 名無しさん (2021-05-07 11:18:18)
- ↑トレーズ「聞きたいかね? 昨日の時点で6作品だ……」 -- 名無しさん (2021-05-07 11:58:36)
- 【悲報】 実は今まで、シャークネードの「ネード」がトルネードの「ネード」だということに気づかなかった……OTL -- 名無しさん (2021-05-07 12:23:29)
- 今見終わった、おもしろかった! -- 名無しさん (2021-05-15 00:56:09)
- 「チェーンソーの対だからサメ」ってこのシリーズのことだよなあれ…初見じゃ気づなかったしアニオタwiki来てなかったら言われてもさっぱりだったろうよw -- 名無しさん (2021-07-21 22:28:51)
- サメ、竜巻、チェーンソー・・・仮面ライダーでもこのネタやってほしい。 -- 名無しさん (2024-04-29 21:33:08)
- ↑6 このネタを見ると、一応本国の方でも(ネタにできるくらいには)ある程度の人気はあったのかなと思ってしまう。 -- 名無しさん (2024-08-10 19:15:19)
最終更新:2025年03月19日 00:54