シャークネード(映画)

登録日:2021/05/05 Wed 16:40:00
更新日:2021/05/23 Sun 16:43:32
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史上最大の瞬間最大風速が、ついに日本上陸!


シャークネード(Sharknado)』は2013年製作のテレビ(サメ)映画

●目次

■概要

監督兼主題歌ヴォーカルはアンソニー・C・フェランテ、製作会社はモックバスター*1の雄として耳目を集める碌なもの作らないアサイラム。

巨匠スピルバーグが一作でもって手法を確立した、低予算パニック映画の救世主たるサメ映画
CG技術の普及に背を押されながら、長きに渡りパニック映画の源流を担い続けてきたディザスター映画。
この二つのジャンルをヤケクソじみた手法で合体させた悪ノリそのものの作品は、
『アメリ』『えびボクサー』などの発掘で名高き碌でもねぇもの拾ってくる配給会社アルバトロスの手で日本に上陸。
旺盛なサービス精神・隠しようもないチープさ・加速度的に積み重なるバカバカしさの複合から醸し出される愛嬌溢れる可笑しみがカルト的人気を獲得し、
全6作のシリーズ化という暴挙を実現することになる「笑えるサメ映画」の代表格、
シャークネードシリーズの第一作目である。

ただし出来栄えはどうしても「やる気はある」低予算映画の範疇を出ないため、視聴には心構えが必要。


■あらすじ


メキシコ沖で発生した三つのハリケーンは、海中のサメの群れを追い立て、巻き上げ、陸地へとサメを降り注がせる前代未聞の災害と化してロサンゼルスへと襲い掛かった。
カリフォルニア在住の元サーフィン王フィン・シェパードはハリケーンとサメの群れから家族を守るべく奮闘することとなる……


■登場キャラクター+α

◆人間

  • フィン・シェパード(アイアン・ジーリング)
主人公。カリフォルニア沿岸でバーを経営する元サーフィンチャンピオン。
赤の他人であっても困っている者は全身全霊で助ける正義漢にして、”Semper Paratus(常に備えあり)*2”を座右の銘とし徹底的に災害に備える用意周到な男。
最もこの二つの美点はどちらも過剰なところが否めず、特に対災害に関しては「隕石やゾンビに至るまで本気で備えきる」と最早病的な心配性の域。
この性格から家庭が上手くいかず開始時点で別居状態ではあるが、ハリケーンが洋上にある時点で海岸から160km離れたLA在住の家族が心配でならないなど彼なりに家族への愛は本物。
片手でショットガンをぶっ放し」「ハンドガンで空中のサメをミスなく多数撃墜」「さらにはチェーンソーで降り注ぐサメを一刀両断」など滅茶苦茶な戦闘能力でサメと嵐の猛威に抗い続けるが、
最終盤、クラウディアを庇ってチェーンソーを構えたままサメの顎の向こうへと消えていく……
そして本シリーズの「お約束」が誕生することになる。

  • エイプリル・ウェクスラー(タラ・リード)
フィンの元妻。「シャークネードシリーズの」ヒロイン。
彼の極端な思考や行動と折り合いをつけきれず、ビバリーヒルズにて別居生活を送っている。
始めこそ嵐とサメが同時襲来という事態を受け止められない常識的な様子も見られ、
安否不明の息子との合流の途中でも人助けに余念がないフィンと衝突することもあったが、
根っこのところではやはりフィンの妻というべきか、緊急時のコンビネーションは抜群。

  • ノヴァ・クラーク(キャシー・スケルボ)
フィンの店の従業員。お色気もバトルも担う「本作の」ヒロイン。
フィンへのアプローチを繰り返してはすげなく返されていたが、彼が妻も娘も息子もいる身であることは知らなかった。
天涯孤独の身の上であり、フィンへの慕情は彼の不器用ながら深い父性に惹かれたものなのかも。作中でもファザコンと揶揄されてたし。
意気投合したマットと共にシャークネード爆撃作戦に挑むも、最後の一回が失敗してヘリに纏わりついたサメを引きはがそうとして転落。
ちょうど巻き上げられていた巨大ホホジロザメに呑み込まれる。
どうもコイツはよく噛まないタイプだったようで、別口で呑み込まれたフィンの脱出と共に辛うじて生還する。

  • バズ・ホーガン(ジェイソン・シモンズ)
フィンの親友。
序盤に嵐に追い立てられたサメの群れの襲撃を受け脚を負傷。
以後事態を憂慮し家族の元へとひた走るフィンに、止まない軽口を交えながら同行する。
警官隊の封鎖をノリノリで突破したり、スマイルマーク付きの特大爆弾を一人で完成させたりとやることが中々ワル。
爆撃作戦のプランBとして車に大量の爆弾を積み込み、万が一の際逃げ遅れる自分が吶喊する支度を進めていたが、
積み込みの最中に降り注ぐサメにまたもや脚を噛り付かれ、サメごと嵐に巻き上げられて消える。

  • ジョージ(ジョン・ハード)
フィンの店の常連客。
わざわざビバリーヒルズから通ってくる飲んだくれジジイ。獲物は店の「指定席」。
大波に襲われるフリーウェイの避難誘導をフィンたちと行う途中、車に飼い犬が取り残された女性を手助けしていたことで逃げ遅れ、襲い来るサメの餌食となる。
『ホーム・アローン』の慌て者親父のイメージ払拭を期して「サメが空から降ってきて人を襲う映画」参加を快諾した演者は本作をだいぶ気に入っていたらしく、
そこそこ出番を貰って死んだので2作目に出られなかったことを大変残念がっていたとか。

  • マット(チャック・ヒッティンガー)
フィンの息子。妹クラウディアもそうだが、姓がシェパードとウェクスラーのどちらなのかは明かされていない。
通いたての航空学校学生であるが、コリンの意向もあってそのことを知らされていなかったフィンは大いに狼狽した。
フィンの血潮と座右の銘を色濃く受け継ぐタフガイであり、ノヴァとお互いに心惹かれていく。
LA市民と家族を守るためヘリで接近してシャークネードを爆破することで嵐を雲散霧消させる*3正気を疑う爆撃計画をノヴァと共に実行。
二つの竜巻の排除に成功するも、三つ目の嵐に敗れて不時着し気絶で済むのか……
最後の嵐の排除は、父フィンの手に委ねられることに。

  • クラウディア(オーブリー・ピープルズ)
フィンの娘。
「父は兄のマットばかりが大事で、自分のことは二の次だ」との思いを抱えており、
険悪なくせに息は合う両親の姿に戸惑いを隠せずにいる。
総じてフィンに対して最も隔意を抱いている人物であるが、フィンにとっては真っ先に助けに行かずにはいられない愛娘であり……。

  • コリン(クリストファー・ロブレス)
エイプリルの新たな交際相手。
フィンの家族認識にも事態認識にも軽蔑を隠さず、即急な避難を主張するフィンを追い返そうとするも、
プールにサメなどいる筈がないと窓を見たのが運の尽き、救出を試みたフィンの手に両足だけ残してサメに貪り喰われた。
死亡フラグの塊ではあったがここまで手っ取り早く死ぬとは……

  • ディアナ(スミコ・ブラウン)
冒頭のビーチに登場した水着サーファー。あとは察しろ。

  • バス運転手(ロビー・リスト)
冠水してサメが蠢く道路で子どもたちと共に立ち往生していたスクールバスの運転手。
フィンによって救出された後、紆余曲折あって母の口癖の「あんたはHOLLYWOODに殺される」のことを思い出したところ……
演者は軽妙なリズムが癖になる本作主題歌、(The Ballad of) Sharknado/Quintの共同作曲者。

  • サンディアゴ船長(イスラエル・サエス・デ・ミゲル)
映画冒頭、メキシコ沖でサメの密漁*4を行っていた密漁船の船長。
買い付け目的で乗船していたミスター・パルマーが大嵐(シャークネード)に巻き込まれたどさくさで船員を皆殺しにして金もフカヒレも独占しようと目論み、銃撃戦に発展するが、サンディアゴもパルマーもサメの餌食になってしまう。
シャークネードの最初の犠牲者であることを除いて本編とは一切関わりのない人物だったのだが…?

◆サメ

嵐に追い立てられ、遂には巻き上げられたサメの群れ。嵐から逃げてた癖に嵐の中でもピンピンしてるのは気にするな。
ホホジロザメやイタチザメ、アオザメといった往年の名サメ役だけでなく、
シュモクザメやコバンザメなどの変わり種も混じる大盤振る舞い。
嵐のもたらす増水・冠水・水没も相まってあらゆる場所を悠々と泳ぎ、獲物をそれぞれにつけ狙……っては多種多様な死に様でやられる。
それでも一向に尽きる様子もなく、終盤にかけてはだんだん空中から普通に襲い掛かってくるように。
嵐が雲散霧消しても当然(?)サメは別に消えないため、最終盤は襲い掛かる勢いが飛躍的に増す。自由落下など知らぬ。

チェーンソー

登場人物ではないが、本シリーズに欠かせないアイテム。
航空学校に辿り着いたフィンが獲得した最強の武器。
「口から入ってチェーンソーで出る」本シリーズのお約束を可能にする、逆転請負人。


■余談


アサイラムCEOデヴィット・マイケル・ラット氏は本作が日本で人気を集めたことなどを契機に
基本的に鼻つまみ者扱いのアサイラム社の人気が局地的に上昇し、アサイラム特集上映会「アサフェス」開催にまで至ったことを受け、
以下のようなコメントを残した。

アサイラム作品を一挙に皆さんにお届けできる素晴らしい機会をありがとう。

日本のファンは世界でもとびきり熱くて献身的だよね。

君らがいなければメガ・シャークもなかった。


だから、全部キミたちの責任だよ!


この清々しいコメントはその後「B級映画が生まれ続けるわけ」として流布することになり、
本作以降のシャークネードシリーズもまたこの言い分を背負い続けることになる。

TCG「Magic: the Gathering」には「サメ台風/Shark Typhoon」という本作をパロディしたカードが黒枠(公式大会で使用可能なカード)で存在する。
クリーチャーでない呪文を唱えるたび、そのマナコストに等しいP/Tの飛行する鮫トークンを出すエンチャントカードである。さらにサイクリングして疑似的なXクリーチャーとして使用することも可能。
一見ネタカードかと思いきや、インスタントを唱えて相手の攻撃プランを崩壊させたり非クリーチャーデッキのフィニッシャー生成装置になったりと使い道は多く、サイクリングのおかげで腐りにくいとかなり強力なカードで、大会でもお目にかかることは少なくない。




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最終更新:2021年05月23日 16:43

*1 ブロックバスター(大ヒット映画)+モック(模倣)、即ち「ヒットした映画のパチモン」。題名やジャンルを極端にヒット作に寄せることで元作品が抱える顧客を釣りあげる戦略をとる低予算映画を指す。サメ映画がむやみやたらと「ジョーズ」を題名に含む一因

*2 米国沿岸警備隊がモットーとし、彼らのテーマソングにも用いられる標語

*3 バズの補足説明によれば、嵐を構築する暖気と寒気のバランスを爆発によって狂わせることにより、嵐はその勢力を維持できなくなる、ということらしい。まぁ細かいツッコミを入れてもキリがない作品なので……

*4 アメリカではフカヒレ目的のサメ漁が禁止されており、現在ではカリフォルニア州では売買も犯罪とされているが、舞台となった2013年まではそれ以前の在庫を捌く目的で売るのは規制されておらず、その「在庫」を増やすための密漁