ターミネーター:ニュー・フェイト

登録日:2021/06/21 Mon 21:14:49
更新日:2025/02/13 Thu 16:50:31
所要時間:約 7 分で読めます








『T2』の正統な続編にして、

新たなる伝説。




●目次

【概要】


『ターミネーター:ニュー・フェイト(TERMINATOR:DARK FATE)』とは2019年に公開されたSFアクション映画。
ターミネーターシリーズ通算6作目にあたり、生みの親であるジェームズ・キャメロンが製作総指揮としてシリーズに復帰しており、
それもあってか『ターミネーター2』の正統続編として位置づけられている。
監督は映画版『デッドプール』を手掛けたティム・ミラー。
シリーズでおなじみのアーノルド・シュワルツェネッガーは勿論、
1』、『2』においてサラ・コナーを担当したリンダ・ハミルトンも久々に同役に復帰するなど公開前は大きな話題になっていた。
シリーズ初期に見られた強めのバイオレンス描写も復活しており、アメリカでは『3』以来のR指定となり、日本でもPG12指定となった。
本作の制作に際して、不評が多かったシリーズ前作『ターミネーター:新起動/ジェニシス』の続編はなかったことになり、キャメロンは同作に向けた絶賛コメントの真意がシュワルツェネッガーに対する感謝や気遣いの意味であった事を明かし、当時の発言を事実上撤回。
同様に今作の監督のティムも否定的な評価をしている。

パラマウント映画と20世紀フォックスが共同制作し、配給は北米では前者、日本を含めたその他の地域は後者が担当。
なお、公開時点でウォルト・ディズニー・カンパニーによるフォックスの買収が完了していたため、本作はディズニー配給で公開された初のフォックス映画となった。

『2』においてスカイネットが完全消滅した描写を受けて、本作に登場するターミネーターはスカイネットとは別のAIである「リージョン」が作り出したものとなっており、サラ・コナーを始めとする一部のシリーズキャラは協力者というポジションになっている。

しかし、いざ公開されるとストーリー冒頭の衝撃的な展開や、ポリティカル・コレクトネスを意識したと思わしき人間関係、
「キャメロン自ら『3』と同じことをしてるじゃないか」というファンの指摘など多くの要素が祟ってか、評価は賛否両論であり「遅すぎた続編」と評した声も少なくなかった。
更に『3』以降の一連のシリーズの展開を「なかった事」にしての再々リブートとしての制作や、前作の不振などが原因となってターミネーターシリーズの人気自体に陰りが見えるようになった結果、興行成績も『新起動』を下回る結果となってしまった。

ちなみに原題は『Terminator: Dark Fate』と直訳すれば「闇の宿命」というものだが、スカイネットを倒しても結局は別のAIが人類の敵になるというストーリーを考えるに、「人間の業」という意味合いも含まれていると思われる。


【あらすじ】


コナー親子とT-800の活躍によりサイバーダイン社は壊滅、T-1000も撃破された世界の1998年。
グアテマラのビーチを訪れていたコナー親子*1は突如現れたT-800に驚愕。サラの抵抗もむなしくジョン・コナーはT-800に抹殺されてしまう。

それから22年後の2020年のメキシコ・シティー。
弟のディエゴと共に自動車工場で働く女性ダニエラ・ラモスは突如現れたターミネーター・Rev-9に襲撃されるも、駆け付けた未来の兵士・グレースにより間一髪守られる。
訳の分からないまま逃亡する一行だが、Rev-9の執拗な追撃によりディエゴは殺され窮地に立たされる。

直後、年老いた女性が現れRev-9を襲撃し2人の危機を救う。その女性こそ、かつてスカイネットを打倒した女戦士サラ・コナーであった。


【登場人物】


  • ダニエラ・ラモス(演:ナタリア・レイエス / 吹き替え:高垣彩陽
愛称はダニー。自動車工場で働く若いメキシコ人女性。
最初は訳の分からないままRev-9に追われるばかりで戸惑っていたが、
グレースたちと行動を共にしていくうちに、かつてのサラのようにターミネーターと戦う決意を固めていく。
サラからは自身と同じように未来の救世主を産む存在であると目されていたが、それは誤りで彼女自身が人類の救世主となる運命を背負っている。
メキシコ人という事もあり、スペイン語で喋るシーンが多い*2


  • グレース(演:マッケンジー・デイヴィス ※少女期:ステファニー・ギル / 吹き替え:坂本真綾
リージョンが世界を支配する2042年の未来から送られてきた女兵士。ベリーショートで筋肉質な肢体と中性的な容姿が特徴。
未来のターミネーターとの戦いで重傷を負った後、自ら志願して全身を改造された強化人間「エンハンスド・ヒューマン・ビーイング」であり、丸腰の状態でも警官たちを圧倒しRev-9と渡り合える戦闘力を持つ。
その一方で定期的な薬物の投与が欠かせないなど欠点も見られている。
言うまでもなく初登場は全裸。
また当然ながら、スカイネットについては全く知らない。

  • サラ・コナー(演:リンダ・ハミルトン ※冒頭のシーンはマディ・カーリーにCG合成を施したもの / 吹き替え:戸田恵子)
『1』『2』のメインヒロインであった女戦士。『2』以来久々のリンダ・ハミルトンの登板となり、年月の経過もありターミネーターと渡り合う高性能ばあちゃんと化した。
冒頭でジョンを失った後は酒に溺れた失意の日々を送っていたが、ある日自身の元にターミネーターが現れる場所が書かれたメールが送られていくようになり、以後はターミネーター狩りを新たな生き甲斐としている*3
ダニーと出会ってからは、かつての自分の姿(真相を知ってからはジョンの姿も)を見出し気にかけていく事になる。
なお、シリーズお決まりの台詞である「I'll be back」は本作では彼女が言う。
吹き替え担当の戸田恵子は第1作のテレビ朝日版や第2作の機内上映版でハミルトン演じるサラ役の吹き替えを担当した事があり、本作で20数年ぶりにシリーズへの復帰を果たした。

  • カール(T-800) (演:アーノルド・シュワルツェネッガー ※冒頭のシーンは『新起動』同様、CG合成を施したブレット・アザー / 吹き替え:玄田哲章
スカイネットにより刺客として送り込まれたT-800。冒頭にてジョンの抹殺を遂行するも、既にスカイネットの誕生は絶たれてしまっていたため無意味な行為となっていた。
その後、自身の存在意義を見失い各地を彷徨っていたが夫のDVに苦しめられていたアリシアとマテオを助け、彼女たちの新しい家族となりテキサスでカーテン屋も始めていた。
その過程で感情が生まれ、自身の行為がサラからかけがえのないジョンを奪ってしまったと気付き、それに後悔していくこととなる。
『新世紀』のガーディアンT-800とはまた違った方向で人間臭さが目立つ。

  • ディエゴ・ラモス(演:ディエゴ・ボネータ / 吹き替え:伊東健人)
ダニーの弟。姉弟仲は良好。
Rev-9の襲撃により体に鉄骨を突き刺されてしまい、身動きが取れなくなった後グレースに姉を託し、乗っていた車ごとRev-9に吹き飛ばされた。
なお、彼ら姉弟の父親もRev-9に殺された事が示唆されている。

  • アリシア(演:アリシア・ボラチェロ / 吹き替え:山口協佳)
テキサスに在住するT-800の義理の妻。息子のマテオ共々家族仲は非常に良好。
ダニー一行の来訪後、カールから「別れの時が来た」「もう戻らない」と忠告を受け、抱擁を交わした後、家を後にする。
なお、カール曰く「肉体関係は無い」とのことだが、親子共々忠告を素直に聞き入れて家から去った事を考えるとカールの正体に薄々と感づいていた節がある。

  • ジョン・コナー(演:ジュード・コリーに幼き日のエドワード・ファーロングの顔をCG合成したもの)
冒頭にて、ビーチでバカンスを楽しんでいたら突如現れたT-800に抹殺されロクに台詞も無いまま退場。
さらに身バレを防ぐためにサラはジョンの写真を一枚も撮っておらず、年月の経過により顔も忘れかけてしまっているなど悲痛な境遇も明かされた。
エドワード・ファーロングの出演自体は公開前から明かされていたのだが、ジョンがどんな形で物語に関わってくるのかは公開まで伏せられていた。
ジョンの悪堕ちが宣伝段階で公式ネタバレされてしまった『新起動』以上どころかシリーズ中でもトップクラスの扱いの悪さに、映画公開後はシリーズファンや観客からの賛否両論が相次ぎ、ファーロングも「全編に出たかった」と不満を露わにしている。
一応、キャメロンとしては「サラと新たなキャラクターたちを活躍させる起爆剤」という狙いがあったことを告白している。


【リージョン】


スカイネットの存在しない世界における人類に反旗を翻した軍用AI。
機械軍を率い、人類と全面戦争状態に陥ってるのはスカイネットと同様だが、こちらは電力や物資の供給などのインフラ面を急停止して人類を食糧不足により餓えさせ同士討ちさせるといった混乱を引き起こすなど、いきなり核ミサイルを撃ち込んだスカイネットよりも手が込んでいる。
偶然自我が芽生えたに過ぎないスカイネットと、元々知能を持つAIとして作られたリージョンの差であろうか。
スカイネットを打倒しても結局は別の機械との戦いになることを知ったサラは「バカどもは懲りないね」と呆れていた。

  • Rev-9(演:ガブリエル・ルナ / 吹き替え:小松史法)
リージョンが生み出したターミネーター。T-X同様、内骨格を外皮となる液体金属で覆っているタイプだが、こちらは骨格と外皮がそれぞれ独立し行動する「デュアル・ターミネーター」なる部類。
つまり、T-800とT-1000の二体が同時に襲いかかってくるような恐怖を味わうことができる。
動きもスカイネット製ターミネーターよりも軽快で身軽だが、それ故かT-800と比べて打たれ弱くなっている。
当然、初登場は全裸だが、服は強奪せずに擬態能力の応用でコピーした。

  • Rev-7
Revシリーズの旧世代機で未来世界においてグレースが戦った種類。
この機体の時点で骨格と外皮が独立して行動できるが、こちらは人間への擬態は確認されていない。


【余談】


  • ガブリエル・ルナ氏の負傷
Rev-9を演じたガブリエル・ルナ氏は当映画の撮影時に、アクションシーンで負傷。その際に、浮動肋骨を2本骨折していた
しかし、ルナ氏がターミネーターシリーズ、ひいてシュワちゃんの大ファンであり、身体の違和感や痛みを差し置いて撮影に向かい、無事に撮影を乗り切った。
後の診断によれば普通ならば補助器具がなければ何もできない状態であり、最悪の状態でやり切ったのだと言えるという。そして当のルナ氏ご本人曰く「映画人生で最大の1週間だった」のであるとか。

人間には215本も骨があんのよ、2本ぐらいなによ!




追記は変わった。修正はどうだ。



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最終更新:2025年02月13日 16:50

*1 『2』での事件後にそのままアメリカから高飛びしたと思われる。

*2 日本語吹き替え版でもスペイン語のシーンは原語版の流用となっている。

*3 アメリカ国内では『2』の精神病院脱走及びサイバーダイン社爆破事件の容疑者として指名手配中のお尋ね者である。