ターミネーター2(映画)

登録日:2011/01/15(土) 06:51:11
更新日:2025/04/20 Sun 20:03:50
所要時間:約 5 分で読めます







あれから10年後の1994年・ロス……
運命を背負ったタイム・トラベラー達に
審判の日は、近づいてくる!



I'll be back!!



『ターミネーター2(TERMINATOR 2:JUDGEMENT DAY)』は1991年に公開された映画。
ターミネーター』シリーズの第二作にして最高傑作である。
監督は前作同様ジェームズ・キャメロンが務める。
エンディングテーマGUNS N' ROSESの「You Could Be Mine」。劇中でも挿入歌として使用されている。

●目次


【あらすじ】

未来からの殺戮マシーン「ターミネーター」との決死の闘いから10年…。
サラは無事にジョンを出産し、成長したジョンは養父母のもとで暮らしながら非行に走る少年になっていた。
そんなある日、未来から今度は2体のターミネーターが現れる。
片方からは命を狙われ、もう片方からは守られながら、ジョンは自分と人類の存亡をかけた戦いに身を投じていく。


【登場人物】


シュワちゃん
本作の主人公。
金属の骨格(エンド・スケルトン)に生きた細胞を被せたアンドロイド。かつてサラを襲ったものとは同型の別個体であり、少年時代のジョンと人類の未来を守るために抵抗軍が鹵獲し、リプログラミングを施された上で未来から過去へと送り出された。
彼曰く、電池の寿命は120年。また内蔵のコンピュータは常にあらゆることを学習し続ける。
実際、ジョン達と行動を共にする中で彼は多くのことを学んだ。ジョンの得意とするスラングにハンドサイン、車のキーの隠し場所、ちょっとした皮肉、笑顔の作り方、生命の価値、そして人間の『感情』について……。
彼の学びの成果たるクライマックスのある言葉は、多くの観客の涙腺を破壊した。
ジョンの懸命の説得もあって、殺人機械=ターミネーターでありながら作中の殺人数はゼロ。もっとも、相当数の人間が彼によって重傷を負わされているのだが……それでも前作の残虐さに比べたら、今回は大分良い方である。
例の如くすっぽんぽんで登場。ウホッ!
実は無免許運転

  • ジョン・コナー
サラとカイルの息子。
自分が将来の救世主ということにまだ現実味を持てておらず(当然だが)、10歳にしてバイクを乗り回したりハッキングでカード偽造でATMから金を盗んだりする悪ガキな日々を過ごしていた。
だが心根自体はまっすぐであり、「どんな理由があっても人殺しはいけない」という真っ当な倫理観の持ち主。
このまっすぐな心根が、後に殺人機械=T-800に変化をもたらし、そしてサラをある大きな過ちから救うことになる。

未来から自分を守るために現れたT-800とは絆を深めていく。
まだ非力な少年だが即座に状況把握・行動できる賢さを持ち、ハッキングで電磁ロックの扉を開けるなどの活躍も見せる。

ちなみに吹き替えをフジテレビ版で担当したのは子役時代の浪川大輔氏。初放送が1993年であるため、当然だが声がすごく若い。
後にターミネーター3の日本テレビ版でも、ニック・スタール演じるジョン・コナーの吹き替えを担当した。

  • サラ・コナー
ジョンの母。
10年間に様々な経験を積んだらしく、銃の扱いに慣れ格闘能力もかなりのものになり、様々な武器を集めていた。
その戦士然とした佇まいには、もはや前作の気弱なウェイトレス時代の面影はまったく感じられない。
だが10年前の事件後に警察に事実を言っても信じてもらえず、サイバーダインを潰そうとして逮捕されたため、物語序盤では精神病院に収容されている。
かつて自分を襲ったターミネーターと同型のT-800に最初は怯えたものの、旅を続ける中で次第にジョンの父親役として信頼していく。

精神病院から脱走する際、胸ポチが見られる。まあ前作で濡れ場を演じてるから今更得しないけど。

本作のヴィラン。未来からジョンを抹殺するために送り込まれた、全身が液体金属の新型ターミネーター。
銃で撃たれるなど物理的なダメージを受けても変形するだけですぐに再生する為、足止め程度にしかならない。
また別の形状に姿や体の一部を変えることができる(スライム状になって床に張り付く、鉄格子をすり抜ける、手をナイフやスパイクなど原始的な武器に変化する等)。
体積が近ければ一度触れた相手になりすます事も可能。
お世辞を言ったり挑発したり、腕を四本に増やしてヘリを操縦しながら射撃するなど、T-800より知性的な行動を見せる。
壊れたはずのフロントガラスを割ったりするが気にしてはいけない。さらにその直前に車内から忽然と姿を消していたりもする。

一番人気のシーンはただ走るだけの姿だったりする。
相棒にスカリーなんていない。
なお液体金属の体という設定は、キャメロン監督が日本で見た漫画『寄生獣』のミギーを参考にしている*1



  • マイルズ・ベネット・ダイソン
サイバーダイン社の特殊開発部部長。某掃除機は関係ない。
10年前に発見した、サラに潰されたT-800のCPUを元に新型のCPUの研究をする。
眼力の変わらないただ一人の研究者である。
ふたばで人気。

中盤、スカイネット誕生の元凶が彼と知ったサラによって危うくターミネートされかける。
だが、ダイソン邸で彼女が目の当たりにしたのは悪魔の発明家などではなかった。
後に30億もの人命が損なわれる元凶の正体は、妻と息子を愛し、いざとなれば己の命を投げ打ってでも家族を守ろうとする善良な男だったのだ。
サラがT-1000や前作のT-800と同じ殺人者に堕ちずに済んだのは、彼のそんな人柄を目の当たりにしたためでもあるだろう。

その後、T-800の筋肉式ならぬ金属骨格式説得を受け、ターミネーターの存在やスカイネットなど未来の事実を知り研究中止を決意。全ての資料を焼き捨てた上で、サラ達のチップ強奪に協力した。
だがサイバーダイン社での資料滅却の最中、駆けつけた突入部隊にテロリストの一味と看做され銃撃を受けてしまう。
そして隊員たちが見たものは……致命傷を負ってもなお懸命に爆弾の起爆スイッチを支え続ける彼の姿だった。

ハッ…ハッ…ハッ……ハッ………ハッ………カチッ

自身を撃った隊員たちを道連れにするどころか、虫の息になってもなお無辜の彼らを逃がそうとするその姿は紛れもなく聖人のそれであった。
生き延びてほしかった。大事な事なのでもう一度言うが愛する家族のためにも生き延びてほしかった。
夫も生活も失い、あまつさえ今後テロリストの家族と見做されるであろう妻と子供のことを考えると……なんとも後味の悪い話である。


  • エンリケ・サルセイダ
メキシコ在住のサラの友人。サラとは家族ぐるみの付き合いで、収集した武器を保管している。


  • ヴォイト夫妻
ジョンの養父母。
ずぼらな夫にヒステリックな妻で、彼らの結末はだいたいの人間が想像できた。
別の世界線では養母は宇宙海兵隊だった


  • ピーター・シルバーマン
サラが収容されている警察病院でカウンセリングしている医師。サラの語る未来を妄言扱いしていたが……
前作では犯罪心理学者として逮捕されたカイルを尋問していた。
何気に3まで皆勤のキャラ。
その後の作品でも登場するが(役者は別人)、ターミネーターを目の当たりにして妄想に捕らわれたと思い込んで自分が逮捕されて精神病棟に送られたり、
逆にターミネーターの存在を信じてサラの協力者となるなど様々な役回りとなっている。
「腕の骨が折れた…」

  • カイル・リース
死別したサラの夫。特別編にて、サラの夢のシーンにて登場。

【評価・反響など】

本作品のT-1000の形状変化に代表される高度なCGや特殊効果は当時の映画業界に革新をもたらし、後々の映画に大きな影響を与えた。
それは公開から30年経った現在でも見劣りしないほどのレベル。

また、名台詞も多い人気作のためあらゆる作品でパロディネタにされる。

ネタにされる主なシーン
  • 「I'll be back.」(シリーズ全体で)
  • 「Hasta la vista, Baby!*2」または吹き替え版の「地獄で会おうぜ、ベイビー」or「さっさと失せろ、ベイビー」
  • 凍らされて砕かれた後に熱で溶けて復活するT-1000*3
  • クライマックスでのT-800のサムズアップ

包装した箱からショットガンを取り出す(『狼たちの午後』)、大型トラックからの逃走劇(『激突!』)、道路の俯瞰ショットからのスカイネット襲撃シーン(『ニキータ』)など往年の名作映画のオマージュも見受けられる。


本作には『劇場公開版』、『特別編』、『拡張特別編』の三つが存在する。
特別編ではT-800の再プログラミングや体に異常が出るT-1000のシーンが追加されていて、拡張版では更にラストシーンでスカイネットの反乱が起きなかった世界で大人になったジョンとその母が観られるが、後者は後のシリーズ展開のせいでパラレルワールド、或いは黒歴史扱いとなっている。
話を終わらせてしまうと続編が作れなくなるという商業的な理由もあったと思われる。ちなみに監督は当初はこのラストで行くつもりだったようだ。

ちなみに続編となる34、TVドラマ版は全て本作からのつながりはあるものの、3&4とドラマはパラレルワールド扱いでお互いの繋がりはない。
本作の監督であるジェームズ・キャメロン的には2でターミネーターサーガは終わってるらしい。キャメロンは2015年公開の『新起動/ジェニシス』について、自分にとっての3作目であると絶賛するコメントを寄せていたが、内容や宣伝面を巡って観客からの評価はかなり分かれた。
結局2019年には『ターミネーター:ニュー・フェイト』が作られるなど、「2までは正史として、いくつか続編が作られるも評価が芳しくなかったり辻褄をあわせなかったりでパラレルワールドの扱いになる」ということになってしまった。

キャメロンはCGに頼りすぎな映画に否定的であるため、CGを多用した3に激怒したとか。
しかし、後にキャメロン自身もCGをふんだんに取り入れた『アバター』などの作品を製作しているので、彼の考え方も時代と共に変わったのかも知れない。

カイル・リースを演じたマイケル・ビーンはキャメロン映画の常連であるが、本作の劇場公開版では出演シーンをカットされ、以後のキャメロン映画には出演していない。『アバター』には出演予定だったが、実現しなかった。

ちなみにサラや精神病院のスタッフが自分に扮したT-1000に対面するシーンでは、合成ではなく双子の役者を使っている。

冒頭のT-800とT-1000が初めて顔を合わせるシーンでドサクサでT-1000に撃ち殺されるスタッフを演じたのは日本人記者の小峯隆生氏。
もともとジェームズ・キャメロン監督のインタビュー記事を書くなど監督と交流があったことから出演が実現した。ちなみに『トゥルー・ライズ』にも出演している。

2017年には劇場公開版をベースとした3D版が制作され、全世界に先駆け日本で最速公開された。

前作では悪役だったT-800が本作では味方だが、これを宣伝では意図的に隠してPVなどではT-800とジョンが一緒に写るシーンを無くしている。
ノベライズ版でも叙述トリック的にT-800「ジョンを見つけ出す」(そして彼を守る)、T-1000が「守護するために来た」(嘘ではなく「スカイネットの未来を守る」という意味)という趣旨の地の文での記述がある。

興行収入はハリウッド初の3億ドル越えを達成した。

終盤の製鉄所は、廃業した製鉄所を借りて撮影している。溶けた鉄は砂糖などを混ぜた添加物を赤い照明で映す事で再現したものの、実際には粘性を保つ必要があったので撮影現場はかなり寒かったとのこと。


未来…それは先の見えないハイウェイ。


だが、今はその先に希望の光が見える。


機械のターミネーターが生命の価値を学べるのなら、


我々もそれができるはずだ。





「人間がなぜ追記・修正をするかわかった。俺にはできないが…」




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最終更新:2025年04月20日 20:03

*1 ちなみにキャメロンは前もって『寄生獣』の映画化の許可を取っている。ただし、あくまで訴訟対策であり、『寄生獣』の映画は製作していない

*2 これはスペイン語でさようならを意味するのだが、本編をスペイン語で再生すると「さよなら、ベイビー」と言う

*3 液体金属が集合するシーンは、水銀をホットプレートの上で溶かして撮影した