桔梗(ルパン三世)

登録日:2021/09/05 Sun 10:55:19
更新日:2025/04/11 Fri 18:25:03
所要時間:約 8 分で読めます





助けてやったのに斬られるんじゃ、割に合わないよ


【概要】

ルパン三世』TVSP第6弾『燃えよ斬鉄剣』に登場するゲストヒロイン。
CVは松井菜桜子

五ェ門幼馴染かつ同門で、かつて彼と共に修行していたくノ一
丈の長い紫のくノ一服に、名前の通り桔梗の花の髪留めをしている。
煙玉や忍法など、くノ一らしい戦法をとっており、またこの手の忍者キャラとしては珍しく拳銃も使用している。
80年前に伊賀の屋敷で何者かに盗まれ、行方知れずとなっていた龍の置物と取り戻すべく、五ェ門と共に行動する。

ゲストヒロインでありながら、ルパン達と行動することは全くないというシリーズでも珍しいヒロインである。

【作中の活動】

伊賀の山中のある場所に隠していた巻物を手にした直後、陳珍忠の部下である柘植の幻斎*1率いる忍者軍団に襲われ窮地に立たされていた五ェ門を助け、再会を果たした。
幼かった時とは比べ物にならないほど美しくなった彼女の姿に、五ェ門は思わず赤面していた。

その後、五ェ門に龍の置物のありかと、陳がその龍を狙っていることを明かした。


陳だけじゃない… 狙ってる奴は他にもいるよ!


たとえ誰であろうと、邪魔すれば…  斬る!


その後、ルパンと次元が海に沈んたタイタニック号の中にあった龍の置物を回収したタイミングを見計らい、不二子を人質にとって龍を取り返そうとするが、銭形の乱入もあって一時退却。

その後、香港にある陳の屋敷に潜入。その際に、陳のベッドに五ェ門を押し倒していたが、隙をついて五ェ門の懐から巻物を取ろうとする不審な動きが……
そこでもルパンと不二子と遭遇し、幻斎の格好をしていたルパンを斬り、今度こそ龍を取り返そうとするが、幻斎が発動させた罠によってワニの巣窟に転落しそうになる。

斬りかかってきた幻斎は、ルパンのワルサーを使った不二子によって何とか倒されるも、落下してきた幻斎の亡骸が持っている刀が五ェ門の着物の懐を切ってしまい、巻物が落下してしまう。
桔梗は上手くキャッチするも五ェ門が掴んでいた手が離れてしまい、そのまま悲痛な断末魔をあげながら、ワニの巣窟に落ちていった。

あっという間に池は彼女の血で真っ赤に染まっていった……

五ェ門たちは何とか助かり、次元の運転してきた車に乗って退却した。

その後ホテルにて、桔梗を失い意気消沈する五ェ門を見て、ルパンは龍を渡し、「供養してやれよ」と言い残してルパン、次元、不二子の3人は自分たちの部屋へと戻っていった。

五ェ門は龍を見つめながら、桔梗との想い出を振り返っていた。
そして、



桔梗…… 拙者がついていながら…………



様々な想い出がよみがえり、自身の不甲斐なさもたたまって、五ェ門はただ涙するだけだった…




桔梗  安らかに眠れ……





追記・修正は傀儡の術をした人にお願いします












































※この先、本作のネタバレ含みます!





































涙している五ェ門の部屋に誰かが入ってきた。

なんと、ボロボロの姿になった桔梗だった。そう、彼女は生きていたのだ

倒れこんでしまう桔梗を五ェ門は抱きかかえるが、次の瞬間桔梗は手に持っていた小太刀を五ェ門の腹部に突き刺した。

突然の出来事に唖然とする五ェ門に対し、桔梗は邪悪な笑みを浮かべて言い放った。




相変わらず、女には甘ちゃんだね!




そして桔梗は龍を奪い、不二子を拉致した幻斎と共に去っていった。



【真の目的】

実は彼女こそが本作の真の黒幕であり、陳に龍のありかを教えた張本人であった。
最初から陳と結託しており五ェ門との再会の時の襲撃も、ワニの巣窟に落ちて死を装ったのも全て彼女のシナリオ通りだった。
五ェ門に協力したのも彼を利用して龍を奪い、用済みとみなせば亡き者にしようとするなど、不二子がかわいく見えるような卑劣な悪女である*2

その後、武器製造工場に潜入してきたルパン達を不二子に変装して、幻斎と共に影縫いの術で拘束した。


桔梗…!  何故裏切った!?


裏切ったわけじゃないよ 最初からこういう筋書きだったのさ!


そして桔梗は全てを五ェ門に明かした。
実は、伊賀の屋敷から龍を盗んでアメリカに売ろうと目論んで、タイタニック号で死んだ全ての元凶こそ、彼女の曾祖父であった。
そのことを知った桔梗は、龍を利用して世界を屈服させて、莫大な富を得ることを目論んだ。
こうして天真爛漫で明るかった彼女は、強欲で目的のためならかつての幼馴染であろうと平然と手にかけるような悪女へと変貌したのであった*3
ルパンが尊敬する祖父が唯一盗めなかったものが龍の置物であると知った時、改めてそのお宝を「あくまで盗み出すだけ」でその意思を完遂したのに対し、桔梗は曽祖父がただ売り飛ばそうとしていたものの存在を知った時、それを利用した上で遥かに大きな富を得ようとする形で彼の意思を継いでしまった。
この二人はお互いほぼ無縁だが、ある意味奇妙な対比と言える。

その後、龍の合金で作られたステルス戦闘機を用いてニューヨークを爆撃するべく陳と共に出撃。
しかし、工場を脱出したルパン達と遭遇。
斬鉄剣を使ってステルス戦闘機を斬ろうと挑む五ェ門の姿を見て


ホントにどこまでも甘ちゃんなんだから!


と陳と共に嘲笑するが、対空砲火を浴びせてもあっという間に切り捨てた五ェ門の姿を見て驚愕していた*4

そして、





五ェ門死ねぇぇっっ!!!!






勝負!!!






対空砲火を切り捨てた五ェ門によって三度目の斬撃によってステルス戦闘機は真っ二つに切られてしまった。
そして、直前に発射した赤外線ホーミングミサイルが中央で爆発。
爆発で吹き飛ばされた彼女の亡骸は五ェ門に看取られ、ステルス戦闘機と共にタイタニック号が沈んだ海へと落ちていった…

その死に顔は本編中で一度も見せた事がない程穏やかで、恐らく五ェ門の記憶にあった本来の彼女であろう。



桔梗ぉぉぉぉぉぉぉっっっっっっ!!!!!!



こうして彼女の野望は、皮肉にも「甘ちゃん」と嘲笑していた自身の「甘さ」によってかつての幼馴染に斬られ、全ての元凶である曽祖父と同じ場所で永遠の眠りにつくことになった…



一寸の狂いもなく、同じところを斬った五ェ門の技の勝利よ!


絶対に沈まねぇはずのタイタニックが沈んでいる海に、絶対撃ち落とされねぇはずのステルスが落ちるとはな…


桔梗 ひい爺さんの所へ行って、ゆっくりと眠りな…



その後、お約束と言わんばかりに銭形が現れ、一行は逃げ、銭形はそれを追いかけ、いつもの追いつ追われつが始まった。


そのころ、ステルスが落ちた海では、巻物に記された溶液によってプレートになった龍が元の形に戻り、タイタニックとステルスが沈んだ場所まで沈んでいった…



時はいつか 痛み癒すけれど



想い出があなたを離さない






Bring him back to me



Still in love to you



【余談】

桔梗を演じた松井菜桜子氏は、後のTVSPである『天使の策略 ~夢のカケラは殺しの香り~』でエミリー・オブライエンを演じた。なお、エミリーも目的のためなら仲間であろうと平気で裏切り殺害しようとするなど桔梗に負けず劣らずの外道である。

五ェ門は後のTVSPでも、『アルカトラズコネクション』のスーザンや『天使の策略 ~夢のカケラは殺しの香り~』の辻斬りカオルなど、惚れた女に裏切られることが多かった。

五ェ門は自分が利用されていた事に露ほども気づいていなかったが、ルパンは「龍の置物へのただならぬ執着」と「珍のアジトの所在を知っていること」と「生死不明になった際の不自然な行動」から桔梗に懐疑的であった。



追記・修正は幼馴染を裏切らない人にお願いします


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最終更新:2025年04月11日 18:25

*1 百地党の流れをくむ伊賀流の忍者で五ェ門とは兄弟分に当たる

*2 なお、本性を表してからは髪留めをほどいている

*3 このことを五ェ門は「悲劇」と感じていた。計画の全容を明かし高笑いをする桔梗を前に、己に対する忸怩たる思いと、彼女の行いへのやり場のない憤りにも似た感情が入り混じったような、苦悩に満ちた表情を見せるしかなかった

*4 今回五ェ門が大量の銃弾を切り払うアクションシーンが桔梗と行動している間は存在しておらず、恐らく彼の実力に関しては本気で見誤っていたと思われる