俺が手ぇ汚すたびに秩序は保たれるんだ。この国の平穏な日常に貢献してると実感できる。
例えば絶対に表に出せない自分にしか出来ない仕事をしている時なんかは特にな。
その正体は
公安警察から送り込まれた
潜入捜査官であり、任務を帯びて東城会に10年も潜伏していた。
東城会の解散を予見したかのように絶妙なタイミングで脱退できたのも、公安として裏社会の情報を得ていたためである。
作中で相馬のやっている諸々は、現場判断もあれ、全部公安の汚れ仕事の一環であった。
事の発端は『神室町3K作戦』である。
これによって東城会が滅びたのは良いのだが、所属していたヤクザは散り散りとなり、チンピラが表で幅を利かせるようになった。
一般人にも迷惑だが、もっと困ったのが実は公安である。散り散りになられると監視の目が行き届かなくなるからだ。
そこで公安はこう考えた。「自分達で半グレ達をまとめたグループを作ればいい」と。
自分達で作れば監視・管理しやすく、元ヤクザたちが持つ犯罪ネットワークも公安の仕事に役立つと……。
こうして公安は、自ら『RK』という反社会勢力を組織して元ヤクザやチンピラを取り込み、彼らを監視・管理しやすい体制を構築した。
つまり『RK』というのは公安の実働部隊だったのだ。
なお、この事実はRK内でも相馬のみが把握しており、(ナンバー2の阿久津も含めて)RKメンバーは自身が公安の下請けであることを知らされていない。
秩序を守る公安としての正義感から、相馬は殺しなどの汚れ仕事に一切の躊躇がない。
むしろ自分の汚れ仕事によって「国の秩序が守られている」という正義を実感でき、そのため使命感を持って仕事を楽しんでいる。
なので無関係の人間である澤先生を殺しても後悔はせず、正義のための犠牲と割り切っている。
この辺は、正義のための殺しという似た行動をとりながら、己の贖罪の意味合いも強い桑名とは対照的。
情報漏洩を防ぐためには長年の付き合いがある阿久津を暗殺する事も躊躇わない。
一応、誰彼構わず殺すわけではなく、事件と無関係かつ未成年の学生にはペイント弾で脅かすだけで済ませたり最低限の手心を加えることもある。
また澤先生も恐怖を与えた挙げ句に殺害はしたものの、トドメは出来るだけ痛みを感じさせない殺し方であり、そういう意味では彼なりにモラルはあると言えるだろう。
…そんな彼ですらイジメを行った人間は「クズ」と断じており、イジメ加害者の1人赤池を進路上にいたという理由だけで特に必要もないのに雑に殺している。
相馬が作中でRKを使って川井や桑名を追っていたのも、公安が請け負った仕事の一環である。
作中で公安を動かしている、真の黒幕は日本経済を立て直したい大物政治家たち(具体的に誰かは不明)
彼らは日本経済を再生するために、厚生労働省が管轄する160兆円もの年金に目を付ける。
この年金は厚労省の基本方針としてローリスク・ローリターンな運用が行われているのだが、
黒幕はこれをハイリスク・ハイリターンな運用、つまり国民の金で博打を打つことを考えたのだった。
当然国民から大反対される事は想像に難くない。
しかし、組織の腐敗を正した行動力と息子が長年意識不明という悲劇性から国民にヒロイン的人気がある、
厚生労働省の事務次官・楠本玲子による政策ならば国民も納得するだろうと黒幕は考えたが、
彼女はそんな方針を絶対に認めないため、彼女の弱味を握ることで傀儡とし、その人気を利用して国民の年金に手をつける策を講じる。
黒幕は
江原明弘の起こした事件をきっかけに、楠本と江原の共通点──共に息子がいじめに合っていること、その息子が自殺もしくは昏睡状態に陥っていること、
そのいじめ加害者が罪を免れ、後に殺害または消息不明になっていることに気づく。
そして楠本が江原と同様にいじめ加害者を殺害した可能性にたどり着き、公安に調査を依頼。
公安はRKを動かし、まずは楠本玲子の息子である楠本充をいじめていた川井信也の消息を追って、神室町で捜査していた。
そして相馬は、江原に殺害された御子柴と、失踪した川井に共に関わりがある澤先生に目をつけ拷問。彼女から、江原の事件に関わりのあるとされる桑名の存在を知る。
同時に相馬は、澤先生がそのうち楠本による川井殺しの事実に気付くかもしれないと考え、澤先生を殺害。
そして実際に楠本が川井を殺害したかどうかを確かめるため、桑名を捕まえるべくRKの総力をあげて捜索を開始する。
最終的に桑名を川井の死体の隠し場所である異人町の港湾倉庫に追い詰めるものの、それは川井の死体を囮にした桑名の撒き餌であり、この重要な局面ならば相馬が必ず現れると予測していた桑名は八神達を呼び込んでおり、倉庫の最奥部で合流される。
そのまま八神探偵事務所&桑名とRKとの乱闘に発展。ひとりその場を離脱しようとする相馬を八神が追うが、相馬は冷凍庫へと八神を引きずり込んで1vs1でのバトルとなる。
バトル開始時に冷凍庫の中からナイフで不意打ちを仕掛けてくる相馬、そして一寸先も見えないほどの白い霧が立ち込める冷凍庫内でのバトルというシチュエーションは、公安という極道とは対極の正義を司る「白」い力でありながら、その裏に潜むのは底知れない深い「闇」……本作の公安、ひいては相馬という男が「真っ白な闇」とでも言うべきものである事を表していると思われる。