ワルフラーン(黒白のアヴェスター)

登録日:2021/11/26 (金曜日) 01:15:00
更新日:2025/04/23 Wed 20:28:19
所要時間:約 18 分で読めます






おまえの笑った顔を見せてくれ。
それさえあれば、俺は誰よりも強くなれる



ワルフラーンとはWEB小説『黒白のアヴェスター』の登場人物。
主人公マグサリオンの実兄であり、この物語のキーパーソン。





【プロフィール】

種族:人間
身長:191cm
体重:87kg
CV:未明



【概要】

本編の20年前、善なる義者(アシャワン)の中核勢力「聖王領」に所属する戦士(ヤザタ)であり、史上最高の武功を打ち立て聖王領を全盛期に導いた伝説の英雄。
青みがかった長髪を後ろで一纏めにした容姿は鎧を脱いだマグサリオンと瓜二つだが、その貌の印象は180度違う明るく爽やかなもの。
装備も現在のマグサリオンとは正反対の、壮健な白の全身鎧を身に着けている。
不義者(ドルグワント)の頂点たる絶対悪「魔王」の討伐を三度も成し遂げたという前代未聞の偉業を遺しており、それ以前から特級やら一級の高位魔将を多数討伐もしている規格外の戦士。
武才もさることながら、豪放磊落でまっすぐな性格であり、誰とでも分け隔てなく真正面からぶつかって対話をする竹を割ったような、まさにヒーローを絵に描いたような明るい好青年。

一種のカリスマ性もあり、どんな悪が相手でも同様に真正面からお前を倒すと宣言し、そして宣言通りに倒す。仲間たちは必ず目的を成し遂げるワルフラーンに不思議とやってくれると信頼され、ワルフラーンも仲間たちに背中を預け、結果彼の元にたくさんの戦士が集るほどとなった。
周囲に馴染まず孤立していて、自分の在り方に苦言を呈し続ける実弟マグサリオンも例外ではなく、いつも彼の未来を案じていた。時に彼が痛烈に自分を非難しても、持ち前の明るさから来る超絶ポジティブ思考によって喜び、マグサリオンを戸惑わせてもいた。
聖王スィリオスとは盟友であり、その妹ナーキッドとは婚約関係にもなっている。当時の聖王領を引っ張ったワルフラーンを含めた彼らは三英傑と称賛されていた。

そんなこともあり義者の世界に眩い希望の光を灯し、二千年の長い歴史を持つ聖王領を最盛期に導き、最終的には100万を超える強靭な戦士の軍団を築くに至った。
その過程で前述の魔王三体の討伐も成し、義者全てが夢見る「大団円」あと一歩のところまで至っていた。
だがその矢先、第一位魔王クワルナフが突如聖王領に襲来。最終的にワルフラーンはこの戦いで戦死してしまった。
聖王領は勇者の死により絶望し総崩れ。全てはクワルナフに食らい尽くされ、ごくわずかな生き残りは20年の雌伏を余儀なくされた。享年27歳。




変わらないものなんて、この世にない。だからこそ俺たちは、変わっちゃいけないものを見つけなければいけないんだよ

おまえもそいつを持ってたんだろう、クワルナフ。忘れたのか?探してるのか?俺は教えてもらったぞ



ワルフラーンの死は善悪問わず宇宙全土に影響を与え、数字を重んじ、物量が勝る方が上であるという物理至上主義の宇宙一強大な生物(クワルナフ)に不可思議なことを語ったことで義者の可能性に疑問を抱かせ奇跡蒐集装置たるクインを創造させ、彼女が同胞に呼びかけ続けることで、二元論世界の闘争は加速し続けるようになる。

彼が討った三つの空席を埋める新たな魔王の誕生。あらゆる在り方を変容させた生き残った戦士たち────そして殺意を研ぎ続ける一人の凶戦士の覚醒。
ワルフラーンという存在は新たなる戦いの呼び水と踏み台になり、集まる魔王に覚醒する戦士たちの熾烈な戦いは激化を極めていくのだが、その度に何故かワルフラーンに関する事象について、不自然さと違和感が漂い始め、世界の裏で勇者の不気味な思惑が垣間見えてくる。



【来歴】

ワルフラーンの生まれ故郷は当時の特級魔将・星霊ブシュンヤスタ*1が支配するヒラニヤプラという惑星だった。貴族でもない平凡な生まれで、どこにでもいるような風貌の少年だった。
怠惰なブシュンヤスタの住む星は、彼女が眠っている間に見る悪夢を具現化する地獄のような環境で、人智を超えた災厄に人々は常に苦しまされていた*2
その星の住人は時に、ブシュンヤスタの人身御供となって、星霊の座を奪い取らんとしながら彼女を少しでも悪夢の眠りから一分でも長く覚ましていられるように拷問に耐え続けようとしていた。
最強クラスの魔将の責めには、どれだけ強靭な精神を持っていようと長くとも半年しか保たなかったが、そんな折「とある地域の代表の十にも満たぬ少年」が生贄に志願した。
それが当時7歳のワルフラーンであり、諦め気味だった人々は送り出してせめて死なせてやるのが慈悲と思った。
だが不思議なことに、悪夢は再来せず、何時の間にやら5年が経過していた。
ワルフラーンが懸命にブシュンヤスタの責めに耐え続けていると気づいた人々は奮起し、聖王領の戦士と共にブシュンヤスタの根城に乗り込んだ時、何か信じられないようなものを見たような引きつった恐怖の顔を浮かべて狂い死ぬブシュンヤスタと、傍らに立って勝利するワルフラーンであった。

それから彼はスィリオス、ナーキッドと出会い、戦士として目覚ましい活躍を続けることになる。
19歳の頃には「ノコギリ男」として悪名を轟かせた特級魔将ムンサラート上半身と下半身を分断しながら倒し、真我(アヴェスター)が違うにも拘わらず仕えるべき主であると認められ「永遠の眠り」を命じて封印、フレデリカを新たな主とするまで実質的な討伐を果たす。

その後もワルフラーンの快進撃は止まらず、理想的な義者の戦士として戦い続け、ついには魔王を討ち取るという快挙を成し遂げ、聖王領に希望を齎した。ナーキッドの婚約も含め、彼の生涯は順風満帆以外のなにものでもなかった。
三体の魔王の次は第三位魔王バフラヴァーン打倒のため、百万の戦士を集め決戦に臨んでいた。
だがその矢先、聖王領圏内に突如クワルナフが現れ、予期せぬ決戦が開始される。
後は前述のとおり、仲間たちと決死に戦ったがその命を散らしてしまった。



【戦闘能力】

聖王領史上唯一魔王を討伐する程の卓越した戦闘技術を有しており、これを生来持っている才能のみで極めている怪物である。
幼き頃に聖王の後継として同じく類まれな才能を持つスィリオスも完敗を認め、義者の希望になることを確信するほどであった。
白を代表する勇者であり、義者の祈りを集束させ、自身に凄まじい強化補正を施す。
戒律の効果もあって極超巨星サイズ*3のクワルナフを後退させるという馬鹿げた威力の剣戟を振う。

技術のみならず洞察力も並外れ。ムンサラートとの戦いも、ほんの少し相対してぶつかっただけで彼の戒律を見抜く程卓越している。

戒律:転輪し必勝する救世主(サオシュヤント・デサーティール)


◎常に勝利し続ける。
→勝利した敵の強さと能力を自分のものとして加算し続ける。


勝った者は負けた者の所持しているモノを戦利品としてもらうという「勝者という概念の具現化」した戒律であり、順守の難易度とその恩恵がケタ違いの戒律。
身体能力や戦闘経験、その他精神的な部分なところまで得ていくもので、勝てば勝つほど強くなれるもの。
敵の持っていた戒律まで吸収されるのだが、ワルフラーンの戦い方や人となりに見合う形でアレンジが施されるため破戒とはならない。
アレンジの内容はワルフラーンでも決められなく、場合によっては使い捨てになることもあるという。

この戒律の特筆すべきは、不義者とはスペックに差がある義者は、基本的に『勝つために』戒律を設けて自己強化をするが、ワルフラーンの戒律は勝つことが前提であり、勝った後の未来も考えているという、明らかに他とは違う視野と観点を持っていることである。


神剣

ワルフラーンが振るう武器。豪華な拵えがされた黒金の両刃剣。
選ばれた戦士にしか振うことが出来ない義者の決戦兵器であり、全ての義者の祈りを束ねて無限の力を発揮する伝説の武器である。



【余談】

ワルフラーンが順守する戒律の名前は、「Dies irae」Switch移植版に収録された追加シナリオ『神なる座に列し伝わる救世主(サオシュヤント・デサーティール)』と同名となっている。
内容は歴代の覇道神が謎の空間に集結し、今後の方針を定める万神軍の布石となる物語。これが意味するところとは…?

「黒白のアヴェスター」本編が進むにつれて、ワルフラーンの思惑について段々ときな臭さが出てきて、頻繁に彼の影がチラつくようになっていく。
読者はことあるごとにワルフラーンの存在が出てくるこの様子を「ちくわ大明神」と喩え、それが転じて「ちくわ大勇者」「ちくわの穴」「ちくワ」などと呼ばれるようになる。なんだ今の
そして、本編が2年弱の連載を完結させた際のあとがきにて、作者の正田氏からちくわ呼ばわりされていたことを認知していたことが明らかにされた。この流れ以前もどこかで見たような。






追記・修正は魔王を三体討伐してからお願いします。

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最終更新:2025年04月23日 20:28

*1 ナダレに並ぶ最古参の不義者で、本来なら魔王でもおかしくない存在だったが、諸事情により特級に留まっていた。

*2 奇病の蔓延、意識を保ちながら肉塊になる、悍ましい形で生まれる赤子、不死でありながら傷も治らず苦しみ続けるetcまさに悪夢としか言いようがない。

*3 具体的なサイズは明言されていないが、現実で観測されている極超巨星は恒星の数百倍から千倍の大きさとされる。