マグサリオン(黒白のアヴェスター)

登録日:2021/07/22 Thu 00:00:07
更新日:2025/04/14 Mon 04:45:56
所要時間:約 18 分で読めます


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×今まで食べたパンの数を覚えている男 ※味方陣営です ≪◉»//|\\«◉≫ ○世界中の食い物をどんな状態であろうが喰い、その味、触感、香りの個々の違いを一つ余さず覚えている男 さまようよろい アイドル インモラル ゾンビアタック ダークヒーロー マグサリオン 主人公 伊藤健太郎 剣士 合理主義者 堕天無慙楽土 孔雀王 宇宙絶滅一人旅 悪絶滅RTA走者 本領は格上殺し 正田崇 混沌 潔癖症 無慙 無貌 狂人 生涯不敗 真面目 社会不適合者 神座万象シリーズ 第一神座 絶し不変なる凶剣の冷徹 絶し不変なる征服への飛翔 絶し不変なる殺戮の地平 絶し不変なる魔道の誓い 絶対殺すマン 義者 聖王領 自滅因子 魔道 黒白のアヴェスター 黒騎士




間抜けが。俺に仲間などいない





マグサリオンとはWEB小説『黒白のアヴェスター』の主人公であり、覇道神の一柱、第二天・無慙が、『第一神座・善悪二元真我(アフラ・マズダ)において人間だった頃の姿である。



【プロフィール】

種族:人間
身長:193cm
体重:90kg
血液型:?
CV:伊藤健太郎

戒律1:絶し不変なる殺戮の地平(サオシュヤント・アウシェーダル)
戒律2:絶し不変なる凶剣の冷徹(サオシュヤント・マーフ)
戒律3:絶し不変なる魔道の誓い(サオシュヤント・アストワトウルタ)
戒律4:絶し不変なる征服への飛翔(サオシュヤント・タルワリー)


【概要】

善なる義者(アシャワン)の中核勢力「聖王領」に所属する戦士(ヤザタ)……なのだが、下手な「魔将(ダエーワ)」すら凌駕する剣呑な殺意を撒き散らし、同胞からも危険視されている善側の異端児。聖王領”最凶”の男。
武才そのものは凡庸ながら「悪を絶滅させる」という怨念じみた決意は常軌を逸しており、それのみを武器に血みどろの戦いを続け、義者の中で最大の武功を挙げ続ける修羅にして凶戦士。
普段は暇さえあれば聖王領の王城の森の一角で剣を振り続けている。
聖王領の歴史に残る伝説的英雄ワルフラーンを兄に持つが、彼に対しては謎めいた複雑な感情と共に、その死に関する何らかの慙愧を抱えている。

なお武功そのものは絶大だが命令違反、規定違反の常習者で、不義者を滅ぼすためなら同胞すら躊躇いなく殺害するほどであり、
規律違反や命令違反の常習から差し引きゼロでギリギリ戦士(ヤザタ)として認められている状態というとんでもない問題児である。
困ったことに善側の強者は少なからず彼と似たようなところがあるらしい。



【容姿】

ビジュアルは美麗からは程遠く、殺意と憎悪を撒き散らし、血に錆びた全身鎧にフルフェイスという禍々しい姿で、主人公というより最早悪役にしか見えない風貌のダークヒーロー。
地の文では「黒騎士」とも表現される。

そしてナダレとの最終決戦で後述する「無の肉体」の完成に伴い、第三戒律の影響で無貌の顔や伽藍堂になった肉体は再構築され、「ワルフラーンの生き写し」と表現される端正な美貌ながら、ワルフラーンとは決定的に異なる恐ろしさを感じさせる風貌の美青年へと昇華された。
兄にはない「何処までも分かり易く、ぶれた解釈が微塵も入り込まない明快さ」こそが兄との決定的な違い。
だがそれ故に「処刑台に吹き荒ぶ風」という禍々しい例え方をされている。


【性格】

基本的に人付き合いは絶無。
極めて無愛想で傍若無人、コミュニケーションという概念の一切を放棄したかのような人物であり、デリカシーなどは無きに等しい。
それどころか自分以外の全てを忌み嫌うかのような言動すら平気で行い、己の行動に対して恥じ、悔い、詫びといった感情を一切抱かない無慙無愧の体現者である。
他者を一切顧みない言動から反感を抱く者も多い一方で、武才の無さなど関係ないと言わんばかりに只管鍛錬を積み上げて戦う姿に好感や憧れを抱き、「正しき真我(アヴェスター)の実践者」と称賛する者や、ワルフラーンの後継者と見做す者も少なくない。*1
義者としては異端も甚だしいその精神性は、高位の魔将(ダエーワ)の特権である我力*2を素で使用できる可能性すらあると評される。

義者の戦士として比類なき武功を挙げてはいるが、本人は戦いや殺しを殊更好むわけではなく、第一印象からは意外なほど理知的な性格でもある。
常に情を交えず合理的に動くため傍目には筋が通らない行動をするが、結果的に彼がやった事は義者陣営にとって意味のあるものであるのがタチが悪い。
基本仲間の存在や仲間との折り合いなど気にかけない一匹狼ではある一方で合理主義な一面も持ち、臆することなく合理性と筋道を立てて理詰めで説き伏せれば相手の意を汲むなど最低限の人付き合いはこなす。



善だの悪だの、光だ闇だの、そんな言葉遊びがなんだと言うんだ。くだらないんだよ、虫唾が走る。ころころと立場を変える浮ついた、軽い次元で俺を語るな


その本質は第一神座の善悪闘争のような流転するものを嫌い「不変=無」を尊ぶ合理主義者。
神の法則故に善も悪もあやふやと化してしまうこの世界において、いついかなる時でも揺るがず変わらない不変性を持つ唯一無二の傑物である。
上記の苛烈さも本物であるが、同時に相対した敵の本質を事細かく見定めて見抜き、歯に衣着せない冷徹かつ苛烈な言動で相手の本質を抉ってくる、ある意味で極めて残酷で真摯な性格。
この頃になると以前の無愛想な態度は比較的鳴りを潜め、後の無慙時代のような比較的饒舌な態度を示すようになっている。
逆に彼が悪の跋扈と同じくらいに一番嫌うのが、他人の敷いたルールに盲目的に従うこと。
よって真我の法に縛られ転墜により右往左往しながら善悪闘争に酔いしれる者達をまとめて一括りに「糞」呼ばわりしている。
また、マグサリオン自身「戦うことも殺しも特に好んではいない」と語るように、素顔は戦闘狂でも殺人狂でも何でもない、ただ愚直かつ極端なまでに負けず嫌いな反骨心の塊でもある。
また、作中の苛烈極まる言動や行動で分かりにくいが、実際の所結構『育ちの良さ』というものが所作に出ている。
彼の言動と行動を『殺意で変換され出力している』という事を除いて見ると戦いが無ければ食事等よりもただストイックに鍛錬に費やし*3、己の迷走に決着がついた後は基本行動に対して最初は見に回り、十分勝利の為の情報を手に入れれば無駄なく行動を起こす。そして時間……猶予があればそれを最大限に活かして準備を整えながらも真我から抜け出しかけている者には比較的饒舌に交流もする等合理主義があるとしてもかなり『筋を通す』事に対して真摯である。
また「殺意と敵意」で動いているゆえか、彼のやりようを嫌悪し敵意を向けてくるサムルークを終始「まぬけ」と呼びながらも、3巻では満身創痍となるも最後の意地で彼に会おうとした彼女の前に呼ぶ前に現れ(偶々入手し持て余していた)「ある道具」を出し、結果マグサリオン本人の見立てでも一、二戦くらいが限度な状態だが彼女を再び戦場へと立たせる事に成功した(クインはそのあり得なさそうな行動に異様さを感じたが)。


自身の善悪観が世界に屈服しない生き方を貫くその在り方は、彼の本質を掴んだカイホスルーから「弁えすぎて実にまともなやつ」「餓鬼を極めた馬鹿の所業」といった称賛(?)を受けている。

このような歩みの果てにマグサリオンは他人を飲み込んで導く覇道でも己の内側へ向かう求道でもない第三の生き方「魔道」に目覚めた。
他人を導く訳でも他人を拒絶する訳でもなく、一人一人に向き合って理解しては殺し、その行為に恥も後悔も持たない無慙無愧を貫いて一歩ずつ愚直に進んでいく生き方を選んだが故にマグサリオン自身は覇道神としての属性を持ちえなくなってしまった。


【戦闘能力】


俺の道は生涯不敗――

それこそ俺の不変なるもの。貴様らの無知さ無力さ愚かさを、ああ肯定しよう――例外なく呑み込んでやる


兄とは対照的に武才の一切ない凡庸な人物であり、その戦闘スタイルは泥臭くも理論的、かつ悪を滅ぼすためならどこまでも徹底的という代物。
洗練された技の冴えは微塵もなく、武才の無さなど知らんとばかりに「悪を滅ぼす」という我武者羅かつ狂気的な執念で鍛錬に励み続けた結果、「圧倒的なまでの個の暴力」と形容されるほどの実力を得ている。
また自分の肉体損傷を一切顧みない捨て身の戦闘がデフォルトであり、自殺行為に等しい狂気の近接戦を躊躇いなく実行する。

自らが属する聖王領域(ワフマン・ヤシュト)の守護星霊ウォフ・マナフに与えられた加護のバグのような仕様を利用して半ば自爆特攻じみた攻撃を行ったり、悪を滅ぼすのに最短かつ確実な手段であれば無辜の民を何人犠牲にすることも厭わない。
当然火力に比例して肉体へのダメージも甚大なのだが、身に纏う『破滅工房』製の全身甲冑「孔雀王(マラク・タウス)」の作用により不死身の如く絶命することも再起不能になることもなく戦闘続行可能。誰が呼んだか悪絶滅RTA走者
地の文では「無茶や無法を合理的に運用する男」と評された。
そして自分の本質を掴んで以降は、義者不義者強者弱者問わず対峙する全ての者と愚直なまでに向き合い相手の全てを理解した上で殺すという生真面目とも取れるスタイルを貫いている。

保有する戒律*4数は作中最多の4種類。
なお多重戒律を設けることは非常にリスクが高く*5、破戒の罰に我力で抵抗できる高位の魔将くらいにしか実現できないことを考えると、
義者でありながら作中でも際立って重い縛りを複数課しているマグサリオンの異常性が窺える。
劇中では驚異的な殺傷力を発揮していたが、彼が背負ったデメリットが常軌を逸したレベルで凄まじ過ぎるため、ある種の精神的超人であったのは間違いない。


戒律1:絶し不変なる殺戮の地平(サオシュヤント・アウシェーダル)


弁えろよ蛆虫が。呼吸をしていいと誰が言った──


◎自分と他者の間で殺意以外の物理接触を禁じる。
→互いの殺意の総和が攻撃力に変換される。

マグサリオンの第一戒律。
殺したい相手にしか触れられず、他者とのあらゆるスキンシップが行えず、己を殺そうとしている相手にしか触られるわけにはいかないという非常に重い戒律。
こんな戒律を定めれば当然、真っ当な社会生活はほぼ不可能となる。
極論挨拶代わりに肩を叩かれた程度のことで破戒になってしまうが、あろうことかマグサリオンは周囲に事情を説明してすらいないため、遵守の難度は更に高まっている。
ただし「物理接触を行う=相手を即殺害せねばならない」といった訳では無いので、殺害の順番を変更する形であれば結果的に他人とスキンシップが行える模様。

発現した効果は「自他の殺意の合計値を攻撃力に変換する」
自他の殺意が高まれば高まるほど効力が上がるため、マグサリオン自身の狂気的な憎悪と殺意と合わさり、魔王を初めとする強力な格上に対するカウンターとして機能。上手く嵌ればジャイアントキリングも実現できる。
理論上は獲得できる攻撃力は無限。殺傷力や攻撃力に極振りしたような戒律。
更に「相手の殺意を跳ね返す」ため不義者が持つ能力「我力」が限定的に使用可能になる副産物も発生。結果殺人鬼のような高い不死性を持つ不義者すら斬り殺せる。
初期のマグサリオンが他者を「不要な塵」としか見ていなかったことを象徴するかのような戒律である。


戒律2:絶し不変なる凶剣の冷徹(サオシュヤント・マーフ)


目を閉じれば貴様ら屑を見失う。眠れば俺の想いが途切れる。立ち止まって休む時間は寸毫もない

無駄を省けば研がれていくのだ。鋭く、(はや)く、何処までも果てなく、貴様らを殺し尽せる無二の剣に……そしてこんな会話もまた

やはり無駄だ


◎如何なるときも戦いに即応可能な状態を維持する
→戦いにおける第六感が研ぎ澄まされる

マグサリオンの第二戒律。
わかりやすく言えば「極限的な常在戦場の絶対遵守」。結果として一切の隙を見せない代わりに敵のあらゆる隙を看破し、それが無ければ強引に創りだしてねじ込むことさえできる能力
具体的には
  • 敵の注意が逸れる瞬間や肉体的に弛緩した箇所など、言わば「殺しやすい一点」を見切り具現化する眼
  • 敵の攻めに隙間を見出し、そこに滑り込むことで直撃を避ける立ち回り
が可能になる。
この戒律の前では最強の我力使いたるあのバフラヴァーンでさえ、マグサリオンに打撃のインパクトを確実に叩き込むことが困難なレベルになり、尚且つ最強の我力で鎧われた超越の肉体に刹那の隙を作ってしまうレベルである。
「隙をねじ込む概念を生む能力」「“綻び”を無理矢理に生み出す異能」とも言い換えられ、場の殺意が高まるほどその効果は上昇する。第一戒律とのシナジーは言うまでもなく最高レベル。

反面デメリットは第一戒律を上回る。
この戒律の禁忌事項を細かく言えば睡眠、瞬き、飲食、排泄、非武装状態、殺しに関わらない思考*6*7の禁止。という正気の沙汰というレベルでは表せないもの
総じて己を一個の凶器、無謬の戦闘機械に変えるための戒律であり、通常の生物がこれを行えば問答無用で衰弱死を迎えてしまう。

だがマグサリオンは孔雀王の我力によって無理矢理生命活動を維持し、上述の禁忌を続行しても生存と戦闘を可能にしている。
しかし耐えることの苦痛自体は何ら変わらず存在しており、彼は常に極限の眠気と渇きと飢餓に耐えながら、それでも剣を手放さず殺戮以外を思考してはならない。驚異の見返りは凄まじい臥薪嘗胆があればこそ。


戒律3:絶し不変なる魔道の誓い(サオシュヤント・アストワトウルタ)


心臓の音が聞こえる

俺は兄者のようにならない


ワルフラーンを否定し、彼の生き方を踏襲しない
→ワルフラーンと近い部分が消えていく

マグサリオンの第三にして原初の戒律。
兄・ワルフラーンの人生と被る行い全般*9が禁則事項となる戒律。
マグサリオン自身が「これは兄と同種の選択・体験だ」と認識してしまうことが破戒のトリガーになり、ゆえに些細な言葉遣いや立ち居振る舞いはおろか他者から「ワルフラーンの後継者と見なされる」状況も破戒になり得る。
このため破戒の基準を他者に委ねることになり、自分の思考を制限する第二戒律に対してこちらは他者の思考を制限するという、作中でも他に類を見ない特異な戒律。
よってワルフラーンを想起させるような他者からの好意全般がマグサリオンにとっては敵より恐ろしい猛毒の刃と化してしまっていた。
マグサリオンが終盤まで味方に対して異様に辛辣かつ塩対応だったのは大体この戒律が原因。毎日剣を愚直に振るい続けていたのも「俺は兄とは違う」ということを周囲に示すためのアピールである。

ただしマグサリオン自身兄の真実を長らく掴めなかったので意外と破戒の基準も緩めになっており、兄の後継と見なされるような状況に直面しても破戒には至らず、常人なら狂死する程度の激痛を受けるだけに留まった。
一方で肝心の見返りに関しても曖昧化してしまっており、通常の戒律のようなプラスの恩恵を受けられていない。
結果として20年という長い時をかけて得たのは「武才の無さの顕在化」「物理的な肉体の喪失」のみ。
この戒律と孔雀王(マラク・タウス)の機能で肉体が二十年かけて徐々に変換されたことで、最終的にマグサリオンの鎧の下は、さまようよろいの如く顔も体も何もない「ありとあるゆる無の概念*10の化身」と言うべき無貌にして伽藍堂の怪人へと成り果ててしまっている。
とはいえこの領域に辿り着いたのはかなりギリギリであり、十三章では下記の不変の肉体を完成させる前に存在そのもの世界から消滅しかける羽目になっていた。

そして劇中最終盤。


無の肉体(仮称)

第三位魔王バフラヴァーンとの死闘の果て、孔雀王の自我が完全に消し飛び、マグサリオンと完全に合一したことにより得た肉体。
その耐久力は、七大魔王達の全力の攻撃により悉く肉体を破壊されようと*11死なないという異常極まりないモノ。
その正体は、前述の第三戒律により、ワルフラーンが絡んでいる己の肉体を棄てつつ、それを孔雀王の力で置換するという二十数年間によって得た肉体……否、捨て続けた果てに鎧の中が伽藍堂となり、自身が奉じる無そのものとなったマグサリオンの姿である。
端的に例えれば物理攻撃の事実上の無効化に等しい。
このうように存在が無という揺るぎない“不変の概念”と化したことで、太極・流出といった同種の概念でなければ打ち破る事は不可能。
この段階になると寿命そのものも失われ、七大魔王のような異常な長命も実現している。

神座シリーズの異能の根源である渇望として言うなら「あらゆるルールへの反発心」から生じた異能とでも言うべきだが、恐らくそのような定義すらも彼を表すには不適切だろう。
前述の即死レベルの攻撃で死ななかったのは当たり前、損傷する肉体がそもそも無くなりつつあったからである。
この状態となってからは、理解し尽くしてから殺した相手を「不変の無」の中に吸収する能力を獲得している。
無の中に吸収された者は死と引き換えに第一天の呪縛から解き放たれることとなる。「無の中に存在を記録される」とも言い換えていいかもしれない。
欠点はこの肉体を支えるのはマグサリオンの精神力であるため、マグサリオンの心が屈してしまえば無効化されてしまうこと。
しかも、敵との攻防でマグサリオンが「失敗した」と僅かに認識した場合でも血肉が戻ってしまうらしく、実際ワルフラーン戦でそういう事態に直面している。
とはいえ、これはワルフラーンが尋常でない存在であることに加え、マグサリオンとも縁が深い相手だったというのも大きく、
他者が常軌を逸した精神力を持つマグサリオンの心を折ることは極めて困難。少なくともワルフラーン戦を含めて、『黒白のアヴェスター』の物語の中ではいついかなる時であってもマグサリオンは微塵も心は折れていない。

なお「無の化身」とは言ったが質量が無いわけではなく、その在り方は「れっきとした質量があり、煮え滾る灼熱と絶対零度を超える凍気が超密度に絡み合う、闇の爆発物がごとき混沌」と例えられる。
無の化身と化したマグサリオンは言うなれば「ありとあらゆる決まり事に対する破壊者」「些細な道徳から宇宙の理までを無用と蹴散らす反発力の化身」としての性質を帯びるようになる。
定められたルールそのものをガン無視して突き進む存在と化してしまったのだから、世界を導く法則を流出させること自体不可能になってしまったとも言えるのだが。
何より恐ろしいのは否定としての『無』の体現である故に『あらゆる信念を否定できる』と同時に『あらゆる信念を肯定できる』という状態が矛盾無く共存できるという事。
何事も信念というのは何かを肯定すれば、逆説的に否応なくその何かに反する存在を否定する事になる、その逆も然り。
こと神座万象シリーズでは信念を渇望と呼び、その思想を具現化した異能を操り戦う世界観である。
だが、マグサリオンの『不変の無』=『あらゆるルールへの反発心』は万象の決まり事を否定するが故にあらゆる信念を否定できるが、同時にその信念を否定する為に相手の信念をとことんまで理解する必要がある。
そして無とは有があってこそ成り立つ故に、無そのものであるマグサリオンはあらゆる『有』を理解した上でその問題点を指摘して否定すると同時、反対にどのような『有』であろうとも評価点も厳然に述べて肯定する事が出来るのである。
その上で己の不変なる『無』に飲み込み、その『有』の不変を不変のままにする。
こと第一神座においては、彼に敵う存在はいなかったと言っても良い。

戒律4:『絶し不変なる征服への飛翔(サオシュヤント・タルワリー)


当初は転墜を超えるのが一番手っ取り早いと思ったが、破戒を踏まなければならんと分かった時点で論外だ。俺は俺のまま、決して変わらん

真我(きさま)の許可など仰がない。俺が俺のためにだけに、刃を研ぎ上げ振るうんだよ


◎既存戒律を改良し、従来のままでは使わない
→真我の予想を超えた存在になる

マグサリオン最後の戒律。
戦闘用というより『善悪二元真我(アフラ・マズダ)』という神の法則を打ち破り、新たな存在へと昇華するためのもの。分かりやすく言えば「真我の承認を得ない形で戒律を作りかえる」という戒律。
真我(アヴェスター)への宣誓と承認」という第一神座における大原則を根本から否定するマグサリオンらしい戒律であり、「旧世界からの脱却」を体現する能力。
クイン曰く真我(カミ)をも無視する無法の祈り」

効力は自身の上記3戒律の改良。具体的には
  • 第一戒律:「他者の容認」という新条件の付与。
  • 第二戒律:「相手を理解したうえで殺す」という新条件の付与。
  • 第三戒律:「ワルフラーンより進んだ道の選択(兄ができなかったことをする)」という新条件の付与。
となる。
劇中ではこのように自身の戒律を作り変え、最終盤では第二神座の世界法則の礎になるよう改造していた。


  • 消し飛ばせ(アラストール)
4重に重ねた「攻撃強化」と1回の「瞬間移動」の星霊加護により超々高速の突撃を実現する禁術。
具体的には、発動により術者は極限まで概念的に重化。
超質量を有した術者が超高速移動という形で座標先に転移する結果、発生する凄まじい衝撃により転移先の座標にいる存在を塵も残さず粉々に粉砕する。
端的に言えば自爆特攻そのものの体当たりであり、反動で自滅しかねない危険極まる諸刃の剣だが、マグサリオンは神懸かり的な勘働きと経験で運用してみせている。

  • 爆ぜ砕けろ(フワルシェード)
二重の「防御強化」に「飛行」と「瞬間移動」を重ねる事で発生したバグ。
相反する概念と、同一座標への転移先指定を受けて暴走した瞬間移動により周囲に激しい超振動を引き起こし、剣の一閃と共に超高熱・超高圧の爆轟を放つ事実上の自爆。

  • 腐り落ちろ(ガオケレナ)
4重に重ねた「回復」と1回の「攻撃強化」の星霊加護により、身体を両断され上半身だけの状態でもなお活動と攻撃を可能とする―――などという常識的なものではなく、実態は真逆。
「回復」の4重加護を全て相手へ与えて、過回復を引き起こす腐敗の一撃を放つという、回復連打の詠唱からは想像もできないレベルの殺意の塊である。
同様の攻撃原理だけなら閃華裂光拳空気が旨いのような前例がいくつもあるのだが、マグサリオンのこれがアラストールと同列に語られる異常性は、敵から攻撃を食らって胴から両断され、腸をまき散らしながら上半身だけで宙を舞っている状態での「相手は俺を真っ二つにして油断しているから今攻撃しよう」という思考の元に反撃で使用している点にある。

  • 引き裂き走れ(カマンギール)
「攻撃強化」に「飛行」の加護を重ねて発生するバグ。
振り下ろされた剣から発生した黒い衝撃波が矢のように飛んでいく。


  • 斬撃(仮称)
兄者の心臓の音が聞こえる

加護にも我力にも戒律にも該当しない宇宙法則を歪ませる異能であり、神羅万象を削り滅尽し、攻撃すればする程宇宙そのものを縮小させていく防御不能の魔剣。
欠点としてマグサリオンですら任意発動と制御が不可能であり、リスクや倫理を歯牙にもかけぬマグサリオンも安易に扱えない奥の手。
聖王スィリオス曰く「今も後悔という慙愧を拭えていないが故に中途半端なものになっている」らしい。
終盤の描写などから、恐らく実態はマグサリオンの「不変」に指向性を与え、「不変」を斬撃に乗せたものだったと推察される。
完全消滅の効果も、マグサリオンの「不変」の中に切り捨てた対象物を取り込んだ結果だったのだろう。


装備

  • 孔雀王(マラク・タウス)
クワルナフの作品の一つでありマグサリオンが纏う全身甲冑。
その正体は「弱者の強化」を主とした我力の生成装置。
使用者が不義者なら我力の増幅器(ブースター)となり、逆に義者ならば本来持ち得ぬはずの我力を使用可能になる。
つまりは地力の底上げを成す支援機械だが、出力可能な我力には上限はあるため万能とはいかない。
加えて「装着者の感情や記憶を燃料として我力に変換する性質」や、「我力の発現に適さない脳の偏桃体を異形化させ果てに跡形もなく焼き尽くす性質」など、扱う際の代償も非常に大きい。
結果使用者は極めて短期的な力しか得られず、感情の中枢部位をオーバーヒートさせられ、喜怒哀楽を意味概念ごと喪失。
せいぜいのところ一度か二度、大規模な戦闘を経験すれば白痴も同然の木偶に成り果てる正真正銘呪いのアイテム。



【余談】

戒律名に共通するサオシュヤントとはゾロアスター教における3人目の救世主の名前を意味する言葉である。
また劇中では最初から最終回に至るまでマグサリオン本人のモノローグが一切入っていない。彼の心境を推し量る手段は主に地の文による第三者目線となっている。

人気投票の結果は1位。
全体票の29.5%を集め圧勝を飾った。





何を笑っていやがる

弁えろよWiki篭もりが。建て逃げをしていいと誰が言った  
貴様は屑だ。貴様は塵だ。コメントしただけで終われるなどと思い上がるな
タグを付けろ注釈を入れろ、良項目になるまで編集しながら  

追記・修正ェ    


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最終更新:2025年04月14日 04:45

*1 スィリオスはこうした考えを愚かすぎて言葉も無いと一蹴している

*2 意思の力で物理法則を捻じ曲げて不条理を実現させる能力。一般的に秩序を尊ぶ義者には扱えない

*3 尤も第二戒律の性質上『それしかできない』のもあるが

*4 自身に破ってはいけない制約を課す代わりに異能を得るシステム。己に課した制約が重いほど反動として強い能力を行使できる。

*5 単純に行動上の制約や自滅の危険性が増すだけでなく、それぞれの縛りの内容に矛盾が生じた場合その時点で即座に破戒となってしまう

*6 行動に制約を加える戒律は数あれど、思考そのものに制限をかける戒律は作中ではこの戒律と真我ことミトラの「悠久の果てに集えよ怒りの軍勢(ディエスイレ・パンテオン)」のみ

*7 本作でマグサリオンのモノローグが一切ないのは、この戒律の禁忌事項によるものと思われる。

*8 真実を暴かれた者が晒す隙が、戒律の効果でさらに致命的なものになるという仕組み

*9 主にワルフラーンの思想、行動、評価全般

*10 具体的には「無頼」「無情」「無謀」「無敵」「無慙無愧」などの「無」を冠した単語全般であり、あらゆる否定の概念の集合

*11 例:バフラヴァーンの群生相四体により全身滅多打ちにされて全身粉砕、激戦の最中銀河を破壊するレベルにまで成長性したバフラヴァーン「たち」の猛攻を何万発浴び続ける、クワルナフによる星さえ爪の先サイズまでに押し潰す重力圧砕の直撃、カイホスルーによる心臓破壊、ナダレの斬撃によって正中線真っ二つにされる