SCP-001-JP > Fennecistの提言

登録日:2022/01/30 Sun 17:10:35
更新日:2025/01/31 Fri 15:58:42
所要時間:約 7 分で読めます




空想科学部門からの通達

当文書は全下層物語層の総意により作成され、その性質のため適切と判断された"SCP財団物語層"の提言スロットに登録されています。
真実が書かれています。
どうかあなたたちも、忘れないでください。



[黒き月は吼えているか?]

[消費されゆくものゆえに。]











死せる君らのその愛は、我らを導く灯となりて。



Fennnecistの提言とは、シェアード・ワールド、SCP Foundationに登場するオブジェクトの1つであり、SCP-001-JPに関する提言枠。
ただし、SCP-001-JPの項目に書かれているようなメタ的な演出のため、意図的に「-JP」が省略されている。
項目名は「無題」。オブジェクトクラスExplainedである。


概要

特別収容プロトコルや説明の前に、冒頭の文書書かれていた「空想科学部門」についての簡単な説明をしておく。
SCP-001のS・アンドリュー・スワンの提言にて語られるように、SCP財団の世界というのは創作物である。
創作物であるからには、それを創作している実体が存在しているわけだが、その創作者を操って、良い感じに呪縛から解放されようね。ということを目指して研究をするのが、財団の「空想科学部門」である。スローガンは「我らの神を殺す。

とはいっても、空想科学部門はあまりオブジェクトの本質に関わってこない。ここでは、一種のメタ視点が必要なんだな、ということだけ理解してもらえれば構わない。


では、説明に進む。

SCP-001とは、人間に訪れる生物学的なである。SCP認定こそされているものの、あくまで「生物学的な死」だからもちろん異常ではない。よってExplanedとなっている。

しかし、死んだのがただの人ではSCP-001-EXとは見なされない。SCP-001と見なされるのは、下位物語層を愛していた人間が死んだときのみだ。
下位物語層とはどういうことかというと、すなわち物語の中の世界だ。
勘違いしやすいが、これは決してSCPに限った話ではない。なにかの昔話でも良い。マンガでもアニメでも、自分の頭の中だけの妄想であっても構わない。
とにかく、なんらかの「物語」を愛していた人間が死ぬ、という現象をSCP-001と定義する。

で、このSCP-001が発生してしまうと、故人の頭の中にあったアイデアが昇華しないままになったり、その「物語」が突然終わってしまったりするなどの、致命的な事象が発生する。

しかし、人間なので死を避けることは出来ない。だれしも、いつかは死んでしまう。
だから、SCP-001の説明は以下の文で締めくくられている。

SCP-001は決して避けられません。


特別収容プロトコル&解説


特別収容プロトコルを見ていく前に、一つ、注意しなければならないことがある。
それは、この文章は財団の作ったものでは無いということ。
「SCP財団」という物語を含めた、この世に存在する全ての物語の総意によって作られた文章だ。もちろん、この「全ての物語」にはドラえもんだって入っているし、ポケモンだって世にも奇妙な物語だって入っている。
とにかく、全ての物語ということを理解してもらえたら、と思う。

じゃあ、どうしてそんな文章が「SCP」としてここに記載されているんだ、というお話はすこし後にする。

これを踏まえたうえで、特別収容プロトコルを見ていこう。
SCP-001は収容できません。

SCP-001が発生した場合、我々に命を与え育て、我々の在り方を楽しみ、そして何より我々を愛してくれたことに対し、この上なき敬意を以て感謝し、対象上位存在を心から哀悼します。

報告者である"SCP財団物語層"に限らず、全ての下層物語層は、SCP-001が発生しても我々の在り方は変わらないということを、深く心に刻み続けなければなりません。これは未だアイデアとして存在する下層物語層も同様です。

おわかりいただけただろうか。「物語」のなかの者たちが、創作者・読者に感謝しているのだ。

一般的な解釈として、「物語」のなかの者たちは、創作者・読者を憎んでいると思われている。想像してもらいたい。自分の過ごしているこの世界が物語の世界だと知ったら?自分が操られていたと分かったら?

ほぼ確実に、あなたは創作者を憎むだろう。つねに苦しい状況を描かれているSCP世界はとくに。

だからこそ、「空想科学部門」なんて部門ができたし、前述のS・アンドリュー・スワンの提言でも、創作者を憎むような場面がある。SCP-1374-JPでも、影響者が創作者に対して恨み節を送っていたし、SCP-2995-JP/sanks269=solvexの提言SCP-CN-1109は物語の中の人々が創作者に反旗を翻している。


しかし、それは物語の登場人物の話だ。では、物語そのものは?
もし、「物語」そのものに知性があれば、その「物語」は創作者・読者に感謝するのではなかろうか。


「いままで、私たちを愛してくれてありがとう。」
「私たちを続けてくれてありがとう。」


創作者が死んだとき、すなわちSCP-001が発生したときこそ、創作者・読者が向けてくれたを返すときではないだろうか。
だからSCP-001の収容プロトコルは、「その死を心から哀悼して、感謝する」こと。




おっと、説明部分で紹介していない箇所が1つだけあった。説明の最後の一行。
SCP-001は決して避けられません。」という文章に脚注が付いている。
それでも我々は、連綿と続き征くあなたたちのを決して忘れません。



なぜSCP財団なのか

さて、この文章は全ての物語の総意によって作成された、と述べた。
では、なぜこの文章はSCP報告書のフォーマットで書かれ、SCPのサイトで公開されているのだろうか。何か別の物語の公式ホームページなどではダメだったのか。

これは、SCP財団のライセンスに関係がある。

当サイトでSCPの記事を読み漁っている人は、必ずページ右下に「CC BY-SA 3.0に基づく表記」というものがあるはずだ。
そう、SCPの物語というのはクリエイティブ・コモンズ・ライセンスで公開されている。
そのライセンスの詳しい内容はリンク先に任せるが、このクリエイティブ・コモンズ、簡単に言うと「著作物の利用を条件付きで認める」というモノ。しかも一言書いておくだけで法的な力があるシロモノだ。

で、このクリエイティブ・コモンズ。特徴の一つとして「取り下げることが出来ない」というものがある。たとえ、元の作品が削除されても、それこそ創作者が死んでも、クリエイティブ・コモンズは生き続けるのである。(死後一定期間経った場合は例外)

だから、SCPは2次創作も活発だし、YouTube・Niconicoには紹介動画が山ほどあるし、アニヲタwikiにも記事が山のようにある。

しかも、SCP財団というのはシェアード・ワールドでもある。創作者が1人ではないため、ずっとずっと、末永く物語は続く。
クリエイティブ・コモンズパワーでその物語も拡散される。

この状況は、なかなかSCP以外には無い状況といえる。だからこそ、この文章が拡散されるように、多くの人に読まれるように「SCP報告書」の体裁で書かれ、「SCP財団」に投稿されたのだろう。

ちなみに、単純にSCP-001の存在を他の「物語」たちに報告したのがSCPの物語だった、ということもあるらしい。




報告書の扱い

この報告書を書いたのは「物語の世界」そのものであって、決して財団職員などの登場人物が書いたものでは無い。
よって、SCP世界の登場人物からすれば文章が突然現れたような状態になる。
だから、この文章の最後にはこう書かれている。

管理者注: 警告文含む上述の全文書は、不明な日時に何らかの手段で登録されていました。内容から内部秘匿部門等の情報漏洩が考えられるため、その起源や出現経緯を調査しています。調査完了後、当文書は削除される予定です。
これがSCP財団の"在り方"です。
物語みんなで頑張って書いた"愛"の文章なのだから削除されては大変困ってしまうが...これも"在り方"なのだろう。

ちなみに、本家ページには、SCP報告書が何らかの異常影響を受けていることを示す「メタ」タグが付いている。
このことからも、この文章が財団によって作成されたものでは無いことがわかるだろう。

尚、著者であるFennecist氏はこの提言がこのアニヲタWikiにて紹介されることを想定しており、「CC(クリエイティブ・コモンズ)パワーでアニオタなどに転載されりゃあ万々歳」と語っている。

最後に、著者であるFennecist氏が下書きページに残したコメント、そしてディスカッション(コメント)欄に残したコメントを述べて締めさせていただく。


(下書きページ)

(前略)Fennecistという財団職員ではなく、Fennecistという1人の人間の、SCP財団という媒体を使った文字通りの提言だと思ってもらえれば(良い)。


(ディスカッション欄)

御為倒しでないことを祈って
この提言こそが真の001なのかもしれませんが、今はまだ、そうあるべきではないでしょう。



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最終更新:2025年01月31日 15:58