登録日:2022/10/16 Sun 10:23:00
更新日:2025/05/03 Sat 17:29:15
所要時間:約 8 分で読めます
『テンカイチ 日本最強武芸者決定戦』とは『月刊ヤングマガジン』で連載中の
漫画である。
原作は『
我間乱』の中丸洋介、作画はあずま京太郎が担当している
現在9巻まで発売中。
◆概要
「本能寺の変が起こらず信長が天下統一を果たして幕府を開いた世界」という史実とは異なるもしもの世界で繰り広げられる、最強の座を求める数多の武芸者が殺し合うバトルトーナメント漫画。
本作で登場する武芸者たちは「武能」と呼ばれる異能じみた超人的技巧や武能に匹敵する技量や身体能力を備えた達人ばかりであるのが特徴。
若干超人バトル漫画寄りにはなっているが、あずま氏の鬼気迫る迫力ある作画で繰り広げられる戦闘シーンも魅力の一つ。
また本作の特徴として明確に主人公格に当たる人物が定められていない。出場者一人一人に主人公にふさわしい覚悟とバックボーンがある。そのため誰が勝ち残っていくのか予想しづらいのも大きな特色。
なお1600年という古い時代ながら台詞が若干現代チックな部分がちらほら見られ、また
某漫画ほどではないが
中々なルビ芸も散見される。
(例:つまらん、トーナメント、早漏、邪魔)
◆あらすじ
時は西暦1600年“織田信長”が全国統一してから10年が経過していた――
信長は自分の死期を悟ると、最強の武芸者を輩出したものに“この国”を譲ると発表。
天下統一の夢破れた武将たちは、それぞれ最強の武芸者を擁立し、この国の王を目指す!
第一試合は“天下無双槍”本田忠勝(後援:徳川家康)vs.“進化する天稟”宮本武蔵(後援:長宗我部元親)!!!!!
誰もが夢見た異種武術時代絵巻、堂々開幕!!!!!!!!
◆登場人物
◇武芸者
後援者は徳川家康。
赤みがかった桃色の髪をした屈強な大男。
「五十七度の合戦で傷を一つとして受けたことがない」という伝説を残した日本屈指の猛将であり徳川軍最強の侍。
家康からの信頼も厚く、テンカイチ開催の際には家康から速攻で指名された猛者である。
若干粗暴な言動だが家康への忠義は本物。家康のことは「家康様」と呼び、家康と自身の悲願であった天下取りの夢を再び果たす事を目的として参じた。
流派は「本多流戦場槍術」。得物は二丈一寸の長さを持つ規格外の長柄槍『蜻蛉切』。
蜻蛉切を超高速かつ変幻自在に操れる凄まじい剛力と技巧を併せ持つ。特にその剛力を産み出す筋肉は家康から至宝と称えられている。
- 金剛仁王金剛杯禁域
忠勝の『武能』。
蜻蛉切の二丈一寸(603cm)もの長大なリーチ・百貫(375kg)の暴れ牛をも投げ飛ばす怪力を駆使。
槍の間合いに入った全てを穿ち、撫で斬り、吹き飛ばす事で周囲の敵を寄せ付けない攻防一体の技巧。
家康曰く「侵入即死の絶対領域」。
服が破ける程に上半身の筋肉を膨張させ、神速の刺突を繰り出す。
受け止められても、蜻蛉切の重量と忠勝の筋力で上から圧殺可能。
半蔵曰く「強すぎるが故に本気の出し方を知らない」という忠勝が本気になった姿。
忠勝が極限状態に晒される事で、湯気を発する程に全身の筋肉が熱を帯びてパンプアップ。
膂力・判断力・反応速度の全てが更に跳ね上がり、金剛仁王の二つ名に相応しい威容となる。
この状態になると全身の筋肉が赫く染まり、後光を背負うが如く煌めく故にその名が付けられた。
姉川の戦いにおいて、真柄直隆を初めとした朝倉軍一万に対して単騎駆けを行った際に発現した。
先述の『赫灼剛躰』状態で大上段から蜻蛉切りを渾身の力で打ち降ろし、相手を地面ごと叩き斬る。
武蔵が受け止めた際に、大岩が落下したかのような衝撃を感じ「人間の力じゃない」と感じる威力。
徳川家康の家臣の1人にして、酒井忠次、井伊直政、榊原康政と並ぶ『徳川四天王』の一角。
大槍『蜻蛉切』を武器とし、生涯一度も戦場で傷を負う事が無かったとされている。
後援者は長宗我部元親。
痩身でぼさぼさの髪をした年若い青年。
幼少から剣の才能に目覚めるも、対等に渡り合える敵と巡り合えず自堕落な性格に堕ちてしまった悲劇の男。
その分強者との戦いに飢えており、「最強へ最短距離で突っ走る!」というポリシーを持ち、強さと勝利のためなら躊躇いなく死地に飛び込める度胸を持っている。
流派は「当理辨助流」。得物は当初は木刀だったが、父親から借り受けた金重の太刀と脇差に切り替えた。
天賦の剣才を持ち合わせており、忠勝との殺し合いの中で爆発的な速度に剣才が覚醒。
史実とは比べ物にならないほどの速さで急成長を遂げ、死闘の中で二刀流に開眼し即実戦で二刀を使いこなす恐るべき潜在能力を持つ。
二刀で相手の武器を往なして地面に押し付ける形で抑え込み、相手の攻撃を防ぐ防御技。
忠勝との激闘の際に初めて発現しており、そこから後述の『二天龍背駆』に即興で繋げた。
先述の『二天龍堕』で無防備になった相手目がけて、脇差で斬り上げる連携技。
そこから更に相手が立て直す前に、武器を押さえ込んでいた太刀で追撃も可能。
『巌流島の決闘』などの逸話で知られ、数多くの創作物の主役である日本有数の剣豪。
打刀と脇差の二刀流を振るう独自の剣術『二天一流』の創始者であったとされている。
後援者は近衛前久。
小柄で細身の体をした盲目の老人だが、売られた喧嘩は誰が相手だろうと買う気性の荒い人物。
その気性の荒さは気に入らない者は織田の家臣だろうと躊躇いなく切り刻んで惨殺するほど。
一乗谷城の戦いで織田軍に孫の善左衛門を殺された経験から信長を憎んでおり、「信長公」「クソ暗君」と堂々と吐き捨てている。
視力を失ったのもこの孫の喪失による精神崩壊が大きく、世捨て人状態になっていたが、次第に怨念じみた異常な集中力・執念によって脳内に架空の孫の姿を構築。
架空の孫との無数の脳内シミュレーションによる対戦を繰り返し、ただでさえ達人級であった技量をさらに高め、積み上げた経験と強さを求める執念から超人的な感覚を会得した。
流派は「中条流」。得物は小太刀。
視力こそ無いがそれ以外の感覚が異常に研ぎ澄まされており、常人以上に認知える目を持つため障害物の多い戦場でも苦も無く戦うことができる。
鍛え抜き研ぎ澄ませた超感覚と小太刀の技巧、そして勝利への狂気に等しい執念を軸に戦う技巧派の武芸者。
勢源の『武能』。
狂気的な尋常ならざる集中力に加えて、極限まで研ぎ澄まされた聴覚・触覚・嗅覚を駆使。
周囲の環境情報を手に入れ、繋ぎ合わせる事で周囲の状況や敵の状態・攻撃を感じ取る技巧。
集中力が要になっている部分が多く、例え鼓膜を潰されても周囲を察知して攻撃を捌く事が可能。
自身へと向かってくる相手の脇を潜り抜けつつ、小太刀で横薙ぎに一閃するカウンター技。
劇中では後述する『白夜眼・天網荊棘』状態で、小太郎の鎖で間合いを限定しつつ放った。
- 白夜眼・天網荊棘
先述の『白夜眼』による知覚範囲を、目の前の相手にのみ収束させた「至近距離専用究極戦型」。
情報の解像度が極限まで上昇し、相手の骨や筋肉の軋み、脳内シナプスの発火すら捉える事が可能。
これによって、一手先の相手の未来の行動は勿論、次の発言内容すら未来予知レベルで先読み出来る。
勢源の後援者。関白、太政大臣などを歴任した公暁。
自己主張に乏しすぎて、帝に天下を取り戻したかったのか参加目的がイマイチ謎な人。
勢源の甥で、付き人を務める。勢源の倍近い体躯を持つ巨漢。
山籠りしてしまった勢源を連れ戻すべく庵に向かった際、目に見えぬ何者かを相手に小太刀を振るう勢源を目撃する。視力を失う前より腕を上げ、虚空に向かって話しかける勢源を見て、彼には己に見えない「何か」が見えていることを確信した。
勢源の孫。故人。
剣才に優れ、眼病を患い光を失う寸前の勢源にとっては希望の星であったが、織田軍の一乗谷侵攻で無惨な死を遂げてしまう。
しかし勢源にしか見えない幻影としては戦闘中でも寄り添っており、「善」と呼ばれ彼に危機を知らせている。
朝倉氏の家臣であり、中条流剣術の1つ『富田流』の開祖である剣術家。
眼病によって失明してしまったが、その実力から『小太刀無双』の異名を取った。
後援者は北条氏政。本名は「紅」。
豊満ながらも筋骨隆々で屈強な体躯をした長身美女。
傲岸不遜かつサディスティックな性格で、「自身の身体に宿る天稟で努力の全てを食い散らすことが最高の馳走」と豪語して徹底的に相手を蹂躙することを好む。
場合によっては相手をジワジワといたぶることすら躊躇わない。
元々五代目風魔小太郎も目にかけるほどの才能の持ち主だったが落ちこぼれの同期の少女「蒼」を見捨てられなかったことで蒼とともに薬物の実験体に落とさてしまう。
その後殺処分目的で投与した薬物で蒼が死んでしまったショックで薬物を克服して驚異的な身体能力を獲得。拘束を破って五代目を除く風魔の研究者たち全員を素手で皆殺しにした結果六代目風魔小太郎の地位に着いた。
なお蒼への感情は友情ではなくペットを可愛がるような上から目線の愛玩。覚醒の理由も「自分の可愛がっていた犬を勝手に殺された怒り」という自分本位なものであった。
流派は
「風魔党忍術」。得物は長い鎖が取り付けられサイズも
砲弾にしか見えない異形の風魔手裏剣。
風魔党に伝わる特殊な秘薬「雅大蛇ノ六番」による
肉体改造で異常な身体能力を獲得しており、驚異的な剛力と柔軟性を兼ね備えた超人。
手裏剣を組み合わせた格闘術を組み合わせて戦う荒々しい戦法を得意とする。そして忍者らしく風魔手裏剣以外の暗器も戦いで使って戦闘を優位に進める。
- 風魔手裏剣 鷹ノ弾
野球の投球フォームを彷彿とさせる動きから、風魔手裏剣を超高速で投げ付ける技。
風磨手裏剣の重量と小太郎の筋力が合わさり、掠めただけで木を抉る程の威力を持つ。
- 風魔手裏剣 虎ノ弾
極限まで身体を捻って鎖を振り回しつつ力を溜め、下手投げの要領で風魔手裏剣を超高速で投げ付ける技。
速度も威力も『鷹ノ弾』を遥かに上回っており、直撃した樹木が爆散して木屑が弾け飛ぶ程の威力を持つ。
- 風魔薬術 雅大蛇ノ六番
小太郎の切り札。
外見はアンプル型の薬品で、首に突き刺して注射する事で発動するドーピング。
発動すると全身から湯気が湧き出て、眼球の強膜が赤く染まり血涙が流れ出す。
その実態は、常人ならば心肺停止確実な程の強心作用を持つ劇毒。
血がとろみを帯びる程のヘモグロビンの肥大化・活性化を引き起こす。
その結果として、肉食獣のパワーと草食動物のスタミナを得る事が出来る。
これによって、元々超人の域にあった小太郎の肉体は更に異常なレベルで強化。
地の文から「地上最強の獣」と呼ばれる程の、脅威的な戦闘力を発揮可能となる。
この状態では、小太郎自身まともな戦いになるとは考えておらず「ここからは狩り」と評している。
欠点は効果発動中は血の凝固作用が失われ、傷を負えば血が流れ続けてしまう事。
また血を流し過ぎると、強心した意味が失われて強化の恩恵も無くなってしまう。
小太郎の後援者。
首にミイラ化した手首をぶら下げた痩せぎすの男。手首を
妻と呼び声をかけることがあるが、共に早世した正室継室どちらのものかは不明。
天下を
「あの父上ですら考えなかった」と表現しており父・北条氏康を意識している節がある。
六代目より前に風魔忍軍を率いていた長身痩躯の男。現在は顔に犬のような仮面を被っている。
忍びの頭領に相応しく冷酷な人物。蒼を見捨てられなかった紅(=六代目小太郎)を容赦なく土組に降格させたばかりか、本来2本あった雅大蛇ノ五番のアンプルを1本しかないと偽り紅と蒼の庇い合いを見て楽しむなど残虐な面も持つ。
しかし紅の蒼に対する感情を見誤っていたことが仇となる。結果して紅が暴走した際に左の眼球が吹っ飛ぶほどの勢いでぶん殴られ、そのまま頭領の座を明け渡す羽目になった。
現在は蒼に代わる六代目の駄犬として彼女の椅子になったり雑事をこなしたりしている。言葉も犬の鳴き声しか発さない…が、人格が崩壊したわけではなく、氏政の疑問に答える際には普通に会話している。それでも語尾に「…だワン!」とくっつけているあたり、怪物となった六代目にビビり散らかしているようにも見える。
半忍時代の紅の同僚。故人。
長い黒髪の美女であるが忍びとしての能力は低く、紅にフォローしてもらう落ちこぼれの半忍であった。しかし土組に降格後は紅と共に劇毒の投与に耐えて最後まで生き残るなど薬物耐性には特筆するものがあった。
しかし紅と共に投与された雅大蛇ノ五番には耐えられず、全身墨塗り修正が入るレベルの凄惨な肉体崩壊を起こして死亡してしまう。彼女の死は紅の怒りを爆発させ、劇毒を克服する切っ掛けとなった。紅だけ先に投与されてたらどうなってたろうね?
本名不明。故人。
数人いる研究者たちの中で唯一素顔を晒している、小太りで眼鏡をかけた男。土組の降格者を「動物」と呼んでぞんざいに扱い、様々な薬物・毒物の験体としていた。紅が暴走した際に顎から下を吹っ飛ばされて死亡。いわゆるざまあ枠である
北条氏に仕えた忍者集団『風魔党』の首領とされる人物。実在は疑問視されている。
伝承においては世襲制の称号であり、五代目の風磨小太郎が最強であったとされている。
後援者は毛利輝元。外国人枠その1。
元々はイングランドからの漂流者。体の随所に刺青を施した体と白くなった金髪が目立つ初老の男。
激しい征服欲を抱えた仰々しくも不遜な態度が目立つ粗暴な人物で、殺し合いを「セッション」と呼ぶ。
なおバイセクシュアルの気があるのか対戦相手の宗矩をサムライの象徴として敬意を表しながらも「エロい」「一度ぐらい犯してやりたい男」と評していた。
流派は「ダークダンス」。得物は西洋の短剣であるダーク。
決闘裁判の代理闘士であった母親から伝授されたダークとそれを操る武術を駆使して戦う。
長州へ漂着した直後に自身を捕らえにきた毛利軍の兵士数十人を余裕の顔で単身で返り討ちにし死体の山を築く実力の持ち主。
アダムスが操る武術流派。
西洋の舞を応用した読み辛い独特な拍子と間合いの動きで相手を戸惑わせる歩法。同時に船の甲板の揺れに合わせて移動することで間合いを自在に詰めて攻め込む。
実在する西洋剣術の技法の1つ。『我間乱 ―修羅―』の西洋剣使いの必須技能
鍔迫り合いの際に相手の刀身に自身の刀身をぶつけることで相手の動きを制し、自身の意のままに動かす技。
この技巧で相手の動きをコントロールし、生まれた隙目がけて短剣で斬り付けるのが基本戦術。
ウィリアムの後援者。顎に無精髭を蓄えながらも妙に若々しい目を持つ男。
毛利家の代表者選抜中にウィリアム漂着の報を聞いて現場に向かうも、その姿を「絶対に敵にしてはならない海の魔物」と畏怖し、半ば脅迫される形で毛利家に迎え入れた。
仕合前日に行われたくじ引きにおいて戦場を選ぶ権利を得たことでウィリアムに有利な海上を選ぶ。
毛利家家臣。フリーダムなウィリアムに手を焼いている。
仕合前日、嵐の夜に毛利家仮屋敷の屋根上に登った挙句、全裸で片手逆立ちして吹き出しの裏側で何かをブルンブルンいわせているウィリアムを見上げて呆れ返っていた。
女性ながらにして決闘裁判における代理闘士であったという女傑。登場はウィリアムの回想のみだが、腕には生々しい傷跡が残っている。
ウィリアムに「この刃で自分の人生を切り拓きなさい」と告げ、ダークダンスの技術と短剣ダークを引き継いだ。
イングランド出身の航海士であり、日本に漂着して徳川家康に外交顧問として仕えた。
何度も帰国を願うが許可されず、最終的に帰化して「三浦按針」と名乗った。
後援者は織田信忠。この世界では織田家兵法指南役として地位を確立している。
髪の一部が白くなった黒い長髪の理知的な
イケメンの優男。
普段は穏やかかつ理知的だが、同時に
強い武芸者の死と苦痛に顔を歪ませる姿を見ることに飢えた重度の快楽殺人鬼の顔も持つ二面性の激しい人物。
強者との殺し合いに反応して殺人衝動が高ぶると優男のような風貌が般若のような悍ましい表情に変貌する。
顔芸枠とか言わない。
殺人衝動にも肯定的で、
「それが剣を極める道ならば某は望んで魔となる男」と評している。
一方で殺人衝動さえなければ冷静沈着な人格者でもあり、独り言のように相手の技の術理を呟くなど、
本作の実況解説役も担っている。
僧侶の沢庵とは親友でお互い軽口を言い合える仲。沢庵からは
「むーちゃん」と呼ばれている。
流派は「柳生新陰流」。得物は日本刀。
天才剣士としての卓越した技量は凄まじく打ち合った相手の技術を相手の力量以上の精度で再現可能。
殺人衝動に飲まれた際は一思いに相手を殺さず、徹底的に斬り刻んで相手の心も体も「削り取って」惨殺することを好む。
柳生新陰流の「回し打ち」と「切り上げ」を組み合わせた攻防一体の高速連続攻撃。
猛烈な斬撃の嵐によって相手の体の挙動すら制し、身動きどころか気絶すらできない激痛を与え続けて全身を削り取る。
この攻撃は宗矩が相手の苦しみ死にゆく様を眺めて「相手の心身の全てを削り取れた」と満足するまで続く拷問技でもあり、最後は宗矩の許可を経て漸く死が与えられる。
宗矩の後援者。信長の長兄。
常に鼻の周りに蝶を舞わせて心ここに在らずの様子を見せる腑抜けた男…の裏でお約束通りに自室では洋書を読み耽り学を積む才人。テンカイチを「父上がワシに与えた試練」と捉え、織田の天下を織田に引き継ぐべく宗矩を擁してテンカイチに参戦した。
固辞されはしたが弥助に出場辞退を勧めるなど、ヘッドハンティングにも余念がない。
常に宗矩の側で仕合を観戦する都合上、後援者の中では極めて登場頻度が多い。
宗矩の親友の僧侶。剃髪こそしているが縦縞のバリアートを入れ、粗野な言葉遣いをする。一応一人称は「拙僧」。
殺し合いを嫌う性格ながら、第三仕合以降では宗矩に付き添う様子が見られる。テンカイチの出場者を武芸者と呼び、宗矩とは異なる視点で彼らを分析するもう一人の解説者と呼ぶべき存在。
宗矩が魔に呑まれることを望まず、時には鉄拳を交えて宗矩を諭すナイスガイ。宗矩は沢庵の拳を「殺気がなくて避けづらい」としている。
柳生石舟斎の異名を持つ宗矩の父。
少年にして柳生新陰流の奥義を極めた宗矩に期待を寄せていたが、その宗矩は十二歳の時に「新しい技を試したかった」という理由で兄弟子を殺害。宗厳はこれを危険視し「生きることを除く全ての自由を剥奪する」を名目として宗矩を三年にわたり幽閉する。
しかし宗矩は幽閉されていた三年の間、脳内で剣客を殺害するシミュレーションを数十万回にわたって繰り返しており、宗厳が抜こうとしていた宗矩の牙を余計に研ぎ澄ませただけであった。
宗矩の兄。
才のある弟を厭うている節があり、三年の間宗矩の粛清に踏み切れなかった宗厳を甘いと断じて宗矩を斬ろうとする。
しかしその際、脱走の体で斬るため拘束を解き刀を渡しちゃったのが運の尽き。無極円還の最初の犠牲者として、再起不能になるまで切り刻まれる羽目になった。
徳川将軍家の兵法指南役であり、御留流剣術『柳生新陰流』の二代目当主。
卓越した剣技と明晰な頭脳による策謀で『剣術無双』の異名で知られている。
後援者は
柴田勝家。
御年100歳に達する冨田以上に老いた老人。
妖怪枠その1。
枯れ枝のような体躯と、長い白髪と白いまつ毛が印象的。
普段は爆乳美女2人に囲まれながらほとんどの時間を押し車の中でうたた寝しているが、強者が現れると覚醒する。
なお普段の姿が爆乳美女にセクハラまがいの言動をするアレな光景だったので蘭丸からは一時エロジジイ扱いされていた。
他人を
「チミ」と呼んだり言動は軽いが、素顔は
「歴史上最強“千年無双”」という野望を掲げて強さを追い求める野心家。
飄々とした態度が目立つが100年たっても未だ強さへの執着は衰えておらず、自身と互角に殺し合える相手であった長光を前にして獰猛な笑みを浮かべていた。
流派は
「新陰流」。得物は日本刀。
抜刀する事を「禁じ手」としているセルフ
縛りプレイを課しており、代わりに剣技ではなく武術を主体として戦う。この縛りを50年以上破られていない。
宗矩から
「妖怪」と評されるその技巧は人間離れしており、
「神の技」とも例えられる。
脱力と身体操作により敵の攻撃を素手で受け止め、その後相手の力を受け流し敵の体勢を崩させて制する合気術。
「筋力を否定する武術の最終系」と例えられた神業である。
言うは簡単だが上泉のレベルになると「練度高すぎて参考にならない」とまで言わしめる。
上泉の武能。
「武の境地の扉」とも評される技巧で、精神修養時の臨死体験の末に開眼した。
この状態では虹彩の上下左右に菱が立ち、瞳孔の周囲に円が浮く。日立マークっぽい
発動することで人間の限界を超える反応速度と動きの精密さを兼ね備えた状態となる。
付添人の丸目蔵人によれば「机上の空論の如きこの世の武術の術理すら実現することができる」という。
ただし開きすぎると命に関わるため乱用は危険らしい。
危険度を度外視して「天覚ノ門」の深度をさらに深め、門を更に開いた状態。瞳孔の円は二重。
世界を構成する大小無数の物質や力の流れを感じ取ることで、どう動けばいいのかの最適解を瞬時に理解して行動できる。
門を完全に開ききった状態。瞳孔の円は三重。
付添人である丸目蔵人曰く「もはや先生は神も同じ」。
言わずと知れた信長の重臣。髭面が特徴的な強面の中年男性。
血に飢えている信長や蘭丸とは対照的に常識と平和を重んずる性格をした真っ当な武士であり、自身の跡継ぎをテンカイチで決することに至極当然の正論で反対したが、神(信長)に対する不敬と見なされた事により、顔面が陥没するほどの大怪我を負ってしまう。それでも何とか一命はとりとめたが、右目を失っては怪我を負った跡が痛々しく残っている。
タイ捨流創始。相応の達人とされるが自らはテンカイチに出場せず、信綱の付き添いを務める。
重位と東新之丞の仕合にも立ち会っている関係で、信綱・重位双方の素性に詳しい。
身なりのきっちりしたクールな黒髪といろんな所が緩そうな茶髪の二人がいるが、どちらも本名不明。
二人とも信綱の情婦のような立場でありながら信綱の武能についてはそれなりの知識があるらしく、信綱が長光戦で最終覚醒を果たした際には「筋肉ダルマに先生盗られたぁ!」「この泥棒猫!」と心底悲しむ様子を見せている。
陰流開祖にして、信綱の師。
信綱に陰流の全てを託し、己の辿り着けなかった神の領域を説いた。
長野氏に仕え、同氏が滅んだ後は各地を放浪したと言われる『剣聖』の異名を持つ兵法家。
剣術『新陰流』の開祖ともされ、本作の武術家の中でも文句無しの最高クラスの実力を持つ。
後援者は羽柴秀吉。妖怪枠その2。
身の丈2メートル以上、テンカイチ参加者の中でも飛びぬけて屈強な肉体を持つ相撲取り。
蘭丸と同様に信長に忠誠を誓っており、異議を申し立てた柴田勝家に鉄扇を投げつけて大怪我を負わせる。顔を鬼の仮面で覆っているが、素顔は左の額から角のように骨が隆起した童顔のイケメン。
今の名は角力でかつて倒した力士が名乗っていたものを信長から与えられた、いわば2代目日野長光に当たる。
強すぎる肉体と武の才能から常日頃満たされた感覚を味わえず、己を満足させる戦いに飢えた果てに、大陸の医療針を応用したものを仕込んだ鬼面を被り、強制的に意識を封じていた。
仮面をつけている間は言わば「寝ながら起きている」状態のためまともな会話は不可能だが、実際は饒舌で関西弁を使いノリも結構軽い。
流派は「相撲術」。得物は無し。
ぶちかましで巨大な鉄の檻を吹き飛ばす規格外の怪力を産み出す筋肉と、その筋肉の圧に耐える強固極まりない骨を持つ。蘭丸曰く「神の肉体」。
その骨は日本刀による斬撃すら断ち切れないどころか逆に骨で刃を遠さず押し返せるレベル。誰が呼んだか相撲の上手いガーゴイル。
その余りに非常識な肉体はテンカイチ参加者から「鬼の類」「完全に人間の領域はみ出してる」「砲の如き筋肉と鋼の如き骨格を併せ持つ」等と例えられ、異常な強度と硬度を備えた骨は「鬼甲骨」と評された。
出鱈目なフィジカルに隠れがちだが、武才と呼ぶには無理のあるレベルで地頭も良い。
- 生まれて数ヶ月で言葉を話す
- 鬼面を外して覚醒後、誰の説明も受けずにトーナメント表や年老いた信長を見ただけでテンカイチのシステムや自分が置かれた状況について把握する
- 信綱の発勁を受け、武術の理を説かれてその原理を理解し後述の技を即興で編み出す
…などなど。これが元は戦国時代の農村育ちとは思えんインテリジェンスである。前世が神様とかでも誰も疑うまい。
大きく足を振り上げ、鞭を振るうように超高速で足を振ることで真空の刃を形成して敵目がけて飛ばす非常識極まりない神業。
真空の刃を飛ばす技なので不可視の状態で飛んでくるのが大きなポイント。
応用技その1。
両手の手刀を振るって、2発の巨大な真空の刃を連続で飛ばす。刃のサイズは足で放った神舞太刀を上回る。
応用技その2。
手刀と蹴りの両方で真空の刃を形成して飛ばし、不可視の刃を乱射する。
四股踏みの要領で地面を渾身の力で強烈に踏みつけて地盤を破壊。同時に風圧の壁を巻き起こして相手の姿勢を2重で崩す技。
上泉が到達した境地と同じもの。
天覚ノ門を開き、張り手も蹴りも当たらなくなった上泉の猛攻の前に、「自分は人ではないのだから人に愛されるはずもない」「人でなしの自分が武の神様に殺される。死にざまとしては上等だ」と諦観しかけていた長光が上泉から愛を与えられたことで奮起、覚醒した。
長光の後援者。織田家老中。
天下は取らず関白にもなってないので豊臣は名乗ってない。天下人として色々やらかさなかったお陰か西暦1600年になっても健在。猿のごとき所作で周囲を煙に巻くキャラクターも定番通り。しかし性根はかなり陰険で、勝家からは「この世で最も好かぬ男」と嫌われている。
長光に請われて医術鍼入りの鬼面を誂えたのは彼である。秀吉はその事実を完全に隠蔽しており、長光の覚醒は観客は愚か勝家や武芸者たちにも驚きを以て迎えられた。
本名不明。故人。多少は仕方がないところがあるとはいえ、
ぶっちゃけ言い逃れのできないレベルの毒親。
山村・日野村で長光を産む…が、その息子は生まれた時から鬼のような角を持ち、常識はずれの肉体と知力の持ち主に成長する。彼女はそんな息子を
鬼神と称して名前すら与えず、自分の乳を吸わせて従わせては日野村の住人から食糧金品を搾取するなどやりたい放題をやっていた。
しかし信長が鬼神討伐のため兵を率いて日野村を焼き討ちした際には掌をあっさり返し、長光を「悪鬼」呼ばわりして全ての罪を押しつけようとする外道っぷりを発揮。信長に「是非に及ばず」されて鉄砲隊によって蜂の巣となった。ちなみにこの時すら長光を盾にして逃れようとしている。
なお父親は長光が生まれた時点で失踪したという。
この母親の血筋だけで長光が産まれるとも思えないので、それこそ鬼のような怪物を超えた怪物が父親である可能性も無きにしも非ずなのだが…
村同士における水争いの角力にて鬼神(=当代長光)と対した相撲取り。故人。
少年時の鬼神を上回る巨体を持ち、信長に認められるほどの力士であったが鬼神には全く歯が立たなかった。というか登場時点ですでに虫の息だった。今際の際に鬼神に名を尋ねたが与えられていないと知り、「人の情を知らぬならばその圧倒的な力は天災と同じ」と嘆きながら頭部を握り潰され死亡する。
織田信長に仕えたとされる力士であるが『信長公記』にしか記述が見られない。
安土城にて開かれた相撲大会において優れた試合を見せ、信長に評価された。
後援者は滝川一益。
猿っぽい風体の中年の男性。
かつては本多忠勝と共に家康に仕えた仲であり忠勝を「バカ筋」と呼ぶなどかなり親し気。
流派は
「鬼槍流」。得物は槍。
忍びではなく武士として戦場を駆け「鬼半蔵」と称された槍術の使い手。
しかし本来の戦い方は
「卑怯」の一言に尽きる。敵を陥れる「力点」を見つけることに優れ、即座に最適の罠を張り、敵の不意をつく。小次郎曰く
「卑怯技の天才」。
卑怯を心情とするどっかの軍団に顧問として迎え入れたい
先代・保長の厳命により戦場では忍びの技を封印していたが、「バカ筋」忠勝だけはその本質を見抜いており「乱世じゃきっとオマエのような才が輝く時が来る」と告げていた。
あまりにも堂々と卑怯を働く様子は観衆の物議を醸したが、信長の
「己が得意を出し切れ」の一言により許されている。
外套を敵に投げつけ、視界を塞いで外套ごと敵を突く。
槍の石突に仕込んだ隠し穂先を出して背後に回り込んだ敵を突く強襲技。
五本の苦無を同時に投げ、足止めを行う牽制技。
上記の苦無からの連携で、煙玉を投げる。反射的に煙玉を斬ってしまうと爆風と煙幕で大きな隙を作ることになる。
敵の死角より槍を振り下ろす渾身の一撃。技名の通り忠勝の岩断と性質は同じ。大坂城天主の瓦を叩き割る程度には威力もある。
敵の攻撃を最小限のダメージで済ませながらあえて受ける戦術。これにより敵の油断を誘い、隙を作る。
まさに肉を切らせて骨を断つ戦術であり、並の集中力と精神力では不可能な荒技。
文字通り、誰かの声をそっくり真似る技。単体ではただの芸事でしかないが…
半蔵の後援者。いなせな江戸前気質の口髭男。尾張出身なのにね
同郷の家康とは親しく、弱気な家康を叱咤激励して「半蔵はオイラのために戦ってるんじゃねえ」と告げる。
先代の服部半蔵。服部正成(=当代半蔵)に「卑しい行いをしていては人はついて来ぬ」と武士として生きることを説き、半蔵の名を託した。
徳川家康の家臣であり、世襲制の称号であった服部半蔵の二代目を務めた武将。
伊賀忍者と甲賀忍者を指揮したとされるが、本人は忍者では無かったらしい。
- 『殺人人形』『至高の撃威刃』佐々木小次郎
後援者は明智光秀。
翁の面を被り顔を隠している怪人物で、武蔵に対して強い興味関心を寄せる。
仮面の下は中性的な美青年。胸の膨らみはないとされるが、性別は不詳である。
感情表現に乏しく他人の命令を忠実に実行する、まさに機械の如き側面を持つ。
元は戦場に取り残された戦災孤児で、父親の死体を前に笑っているところを自斎に発見された。
「力が欲しくないか」という自斎の誘いには興味がなかったが「食べるのには困らせない」という誘いには乗って着いていくことを決める。
自斎の下では「次郎」の名を与えられ、九郎を始めとする多くの孤児と共に術理を学ぶ。
しかし成長してもなお性別不詳の外見から、思春期を迎えた他の孤児たちの注目を浴びるようになる。
最終試練「蠱毒」において、自斎の計略による孤児たちの同士討ちで生き残った九郎と対峙。実力に勝る九郎を斬ること、母の教えや自斎の命令を守ることとの矛盾を解消するべく新たな能力が開花し、九郎を倒して蠱毒の生き残りとなった。
流派は「巌流」。得物は刃物の切れ味を持ちつつ蛇のようにしなる『魔刀 物干し竿長光』。
先述の九郎との戦いにより開花した「見たモノの本質を見抜く力」により、対戦者の様々な情報が映し出されたHUDの如き視界を持つ。
これにより対戦者の能力・動きのクセなどを完全に把握。長光の特性を活かした軌道の読めない太刀筋を以て圧倒する。
放った剣を地面でバウンドさせ、予期せぬ角度から敵を襲う斬撃。
強い痛みを感じることで発動する、小次郎の奥の手。発動中は虹彩の左右に菱が立ち、ワイヤフレーム状の格子が瞳孔の上下に浮かぶ。
この状態では「見たモノの本質を見抜く力」が飛躍的に向上する。周囲に散った飛礫の数、大きさ、方向などまで捉えられるようになり、世界の全てが武器となる。剣撃によって生じた空中の瓦礫に至るまで武器あるいは長光の反射物として活用し、敵を追い詰めることが可能となる。
小次郎の後援者。本能寺の変を起こさず、織田家の筆頭家老の地位に収まっている。
齢70を越えてなお若々しい外見を保つ不気味な男。蘭丸からは「この世で最も嫌う化け狐」と嫌われている。実際キツネサインを好んで使う。
本来の「本能寺の変」当日夜に信長の元を訪れ「信長様以外が天下を獲っても面白くない」と告げて歴史を決定的に捻じ曲げた。
小次郎の師であり、付添人を務める老人。一刀斎の師でもある。
術理を生み出す天才であるが、自身にそれらの術理を扱う剣才がないという致命的な欠点があった。それ故か一刀斎には「宝の持ち腐れ」と見限られ、愛人を寝取られた挙げ句親指を切り落とされるという散々な目に遭う。復讐鬼と化した自斎は戦災孤児をかき集め、自身の意のままに動き一刀斎以上に自身の術理を扱える人形の「製造」に踏み切った。
しかし孤児たちの注目を集める次郎(=小次郎)を「毒」と危険視し、最終試練「蠱毒」による粛清を企てる。
この蠱毒、表向きはとある村全体を根城とする野盗一味を殲滅し、首領の首級を上げた者に術理を授けるという試練なのだが…
- 九郎と次郎以外の孤児には「次郎は女であり、最も強い弟子と番う」
- 次郎にはただ「掟を守れ」
- 九郎には何も伝えない
と、巧みに言葉を使い分けて孤児の同志撃ちを誘発させ、生き残りを選別するのが真の目的である。想定に反し生き残りは次郎となったが、結果して己の望んだ「人形」を手に入れるに至った。
自斎に拾われた戦災孤児の一人。故人。
次郎を超える剣才を持ち、自斎からは人形の最有力候補と目されていた。しかし次郎のあり方に危うさを覚えた九郎は、共に自斎の下を離れることを次郎に提案し、陰で話を聞いていた自斎が次郎を「毒」と断ずる原因を作る。
結果、九郎は「蠱毒」の修羅場においてわけもわからないまま他の孤児たちを迎え撃ち、多くを殺害する。その後に次郎と対するが、自斎の言葉に忠実に従い九郎を「悪鬼」と断じた次郎を見て「何色にも染まる危険な人形」と認識を改めて立ち向かう。
現世之図を解放した次郎すらもあと一歩まで追い込んだが、「お前を斬ってまで生きる理由が見つからなかった」ためにあえて斬られ、「俺という男がいたことを覚えていてくれ」と次郎に言い残して、首を落とされた。
ちなみにその容姿は武蔵にとても似ている。
本名不明。両方とも故人。
幼い次郎に父親は「無益な殺生をするな」、母親は「命を大事に」と教える。
しかし二人とも(次郎曰く)無益な戦で死亡。父の亡骸を嘲笑っていた次郎が自斎の目に留まる要因を作り、特異な武能に目覚める切っ掛けにもなった。
ある意味佐々木小次郎という武芸者を生んだ影の功労者である。
『巌流島の決闘』で知られる剣豪で、宮本武蔵の宿敵と名高い。実在は疑問視されている。
長刀『物干し竿』を武器とし、秘剣『燕返し』を必殺技とする優男という描写が多い。
後援者は島津義久。
みんな大好き薩摩のぼっけ者…だが、
- 常時四白眼
- 塊の鰹節を丸かじりして胤舜をドン引きさす
- 義久の御前で活魚の内臓をむさぼり食う
など、キワモノ揃いのテンカイチ参加者の中でも群を抜いてヤバい島津の狂犬もとい狂剣。
薩摩の地を蹂躙した織田家を敵視している。
元は「正しい侍」であった重位だが、織田軍に敗北した戦場で天高く突き立つ一本の刀を目にして以来、「あの刀のように強くなりたい」という妄執に囚われるようになった。
その後義久と共に上洛した折、天寧寺で会った怪僧に「どうしても強くなりたかったら不要なものを全部削ぎ落としちゃいなよ(意訳)」と唆され諭されて一心不乱に刀を振り続け、家族・友人関係はおろか人間性まで削ぎ落としてしまった。
こうして二の太刀要らずの剛剣を手に入れた重位は島津家の御前仕合に勝利し、名実共に義久の「剣」となった。
流派は「示現流」。得物は異様に長く鍔のない胴太貫。
全力の一撃を敵に向けて振り下ろす、ただそれだけ。
しかし凝縮した闘気と共に繰り出される刃は人体は元より、鋼の甲冑すら紙のようにぶった斬る。
前述の胴太貫を振るった際には爆発すら生じ、蘭丸は元より観客席にまで爆風の被害が及んだ。
重位の剣が偶然に生み出した攻撃手段。
剛剣が生み出した真空の空間に地上で爆ぜた土砂が流れ込み、敵を攻撃する。対戦者は重位の剣に加えて衝撃波に対する防御も強いられる。
重位の後援者。
スーパーサイヤ人のように髪を逆立てた矍鑠とした老人。
豪胆な薩摩人らしく、重位の奇行蛮行に一切動じない。織田家の者を指して
「皆、敵ぞ!」と重位に言い聞かせる様子はさながら
狂犬を躾ける飼い主のようでもある。
重位の剣術に「示現流」の名を与え、得物の胴太貫を調達したのも彼である。
「イカれたオメに似たイカれた代物よ」と称するが、誰が何のために打ったのかは全く不明。
本名は不明。天真正自顕流後継者の善吉和尚と推察できるが、定かではない。
天寧寺の前で物思いに耽っていた重位に声をかけて寺に招き入れ、教えを授ける。その動機が「妖気のようなものが見えた」とは本人の弁だが、右目は刀傷で塞がり、左目も虹彩の無い四白眼で、歯を剥き出して「ひょひょひょ」と笑う様子はどう見ても作画コストが低そうこっちの方が妖怪じみている。
重位が見た幻の中にも現れ、不定形生物じみた姿を見せている。やっぱり妖怪だろオメー
この際塞がった右目が開き、蛇の尾のような文様が左右に伸びた虹彩を重位に晒した。
島津家の兵法指南役で、タイ捨流師範。故人。
島津家の御前仕合にて、重位との真剣勝負に臨む…が、テンカイチ世界では睨み合う間もなく重位の一太刀にて受けた刀ごと脳天から一刀両断され「あぱっ」の断末魔と共に命を散らすという散々な扱いを受ける。
島津氏の家臣にして、タイ捨流・示現流を元として独自の剣術を磨いた剣豪。
テンカイチの描写とは反対に礼儀正しく、物事を荒立てない人格者だったとされる。
後援者は織田信雄。アダムスと並ぶ外国人枠だがこちらは黒人。
黒髪をドレッドヘアにした長身の男。
日本滞在歴は長く、流暢な日本語を使い所作も侍のそれである。蘭丸からは「心は倭人以上にサムライ」と評される。
元は日野長光と共にただ二人信長への帯同を許された近衛兵であり、「最強の動く盾」の二つ名はその時以来のものである。
その武才には信忠も一目置いており、自らテンカイチの出場辞退を勧めに来るほど。
しかし弥助の信雄に対する忠義は厚く、勧めに応じることはなかった。
元の名はヤサウェイ。故郷で奴隷狩りに遭い、母親と弟を目の前で殺されて以来、希望を捨てて生きてきた過去を持つ。
しかし信雄に会い、天正伊賀の乱で一組の赤子と乳母を殺さず逃した彼を見て心境に変化が生じ、信雄に他の武将とは異なる未来を見出すようになった。
流派は「ングニ棒術」。得物は刀のような拵えを施した短い棒と巨大な盾。盾は中央部が外れ、小型の盾として運用が可能。
棒術と言っても中国武術のそれとは別物で、ローマ剣闘士のようなスタイルに近い。
防御については天賦の才があり、腕試しに宗矩が振るった刀を段取りなしの白刃取りで受け止める、並外れた動体視力と判断力を持つ。
武装した野武士の集団程度なら素手で制圧してしまうほど格闘センスに優れており、加えて身体能力もかなり高い。
弥助が重位の剛剣に対抗するべく即興で編み出した技。
盾を前方に構えた体勢で敵に突進する、いわゆるシールド・バッシュ。驚異的な瞬発力で敵の間合いに踏み込む様子を宗矩に「まるで大砲」と表現された。
弥助の後援者。信長の次男で、信長からは幼名の「茶筅」で呼ばれていた。ツーサイドアップみたく二つに結い上げた頭髪の優男。なお史実基準なら42歳。めっちゃ若作りである。
この漫画の登場人物としては珍しく争いを好まない気性の穏やかな人物として描かれ、信忠からは天下を獲るに相応しくない者とされたが、それでも弥助と共に新たな天下を築くべくテンカイチに臨む。能楽の名手でもあり、弥助の仕合に先駆け桶狭間さながらに敦盛を舞う…が、家臣たちには全然伝わらないどころか内心うつけ呼ばわりされていた。ひでえ
後援者としては極めて異例の、バックストーリーが語られた人物でもある。北畠一族の粛清に際し正室の雪姫(戦国時代一の美女の呼び声に相応しい気合入った美少女)を登場から2ページで目の前で自害によって失うなど、弥助とよく似た絶望を味わっている。
なお弥助は信忠のスカウトに対する返答として信雄を「貴方の思うほどボンクラではない」と本人の目の前で評していた。言い方!!!
織田信長に仕えた黒人男性であり、宣教師の従者として日本に訪れた。
本能寺の変では信長を守って戦ったが、やがて投降し寺に送られた。
後援者は前田利家。
若干11歳、武芸者の中ではダントツの最年少。
無邪気な少年僧だが非常に自信家で好戦的な性格。仕合を観戦している時は専ら驚き役だが、一度口を開けば「生まれてから一度も負けそうとか思ったことがない」と傲岸不遜な性格を露わにし、宗矩を般若面にしたりもした。
宝蔵院の僧侶たち相手でもこの調子らしく、胤舜がテンカイチの代表に選抜されたことを快く思う者はいない。
生後間も無く親を失い、胤栄に預けられた。幼くして槍を握ると槍の声を聞くという人間離れした能力を発揮し、僅か7歳にして宝蔵院の僧達を圧倒するようになる。
しかしあまりに強過ぎたため僧侶達に妬まれ恐れられ次第に孤立。これを恐れた胤舜は槍の声を聞くのを止めてしまっていた。
流派は「宝蔵院流槍術」。得物は宝蔵院十文字槍。
忠勝はおろか半蔵にも劣る体躯ながら槍を軽々と操り、全盛期に及ばぬ状態でも槍の連撃を繰り出しつつ全速力で走り回り敵の死角を狙うことすらやってのける。
全盛期を取り戻し始めた胤舜の技。
踊るような動きから繰り出される刺突は刀を抜く隙すら与えない。その様を見た宗矩に「槍という牙を持った一体の生き物」と評価された。
孤立を恐れていたことを自認した胤舜は遂に三人目の通過者となる。槍の声を聞く全盛期の状態を取り戻し、
- 畳を跳ね飛ばし攻防に用いる
- 投擲した槍に自ら飛びつき空中で連撃を見舞う
- 跳ね飛ばされた槍の着地点に敵を誘導し落下した槍を防御に用いる
など、常人には予測不可能な動きで敵を圧倒する。
深度が進むと声を聞く対象が周囲の武器として使えそうな物体にまで拡張される。
胤舜の後援者でイマイチ影が薄いが織田家家老の一人。ところどころローポリゴンみたくカクカクした顔面パーツと瞳孔のない白目が特徴的な御仁である。
胤舜戦における驚き役を務める。ロボットではなさそう
宝蔵院流槍術の創始者にして、胤舜の祖父の兄、すなわち大叔父にあたる。信綱の弟子の一人でもある。試合を観戦する胤舜に付き添い、時折助言を与える。
異常な速度で槍の腕を上げる胤舜を見て、彼が生まれながらに信綱と同じ領域にいることを確信していた。しかし胤舜は院内で孤立し、胤栄自身も胤舜との稽古で大怪我を負ってしまう。胤栄は己の不甲斐なさを恥じ、胤栄の才能を再び呼び起こすべくテンカイチの代表者に選ぶ。
利家に対しては「ワシはあの子の天稟を開花させずには死ねぬのじゃ」と己の本心を吐露している。
つむじを巻いた太眉が特徴的な、宝蔵院の僧侶。強面揃いの僧侶たちの中でも一回り屈強な体格を持つ。
本来の宝蔵院代表で、胤舜に次ぐ実力者と見られる。胤舜の尊大な態度を嗜めるなど僧侶の中では胤舜を腫物扱いしない数少ない存在だったようだ。胤舜も彼に対しては「道栄君」と呼んで親しい態度で接し、他の「凡人」とは一線を引いていた様子がある。
宝蔵院の院主にして、先代の胤栄が起こした『宝蔵院流槍術』の二代目当主。
後援者は伊達政宗。
髪型をオールバックにしたワイルドな風体。額から右頬にかけて縦一文字の傷がある。
物静かで感情を前面に出さない、悪く言えば地味な男。
その実態は狂的なレベルで人体構造や他者の剣術を調べ上げ己の糧にしようとする研究者の極北。
「神なんてモンを崇めたことは一度もねぇ」と公言する無神論者でもある。
幼い頃は父・数馬と共に稽古の度に明神へ参る日々を続けていたが、その数馬は主膳により甚助の目の前で斬殺され、甚助自身も先述の傷を負わされる。
甚助は失禁するほどの恐怖を味わい無力感に打ちひしがれると同時に神に対して深く絶望し、神にも届く力を欲するようになる。剣の修行に明け暮れる傍ら「人間が何かを知らずして人間は強くはなれない」という考えから戦場に打ち捨てられた死体を解剖して骨と筋肉の構造を独自に調べ上げ、人体の力を最大限に引き出す剣術を作り上げた。
流派は
「神夢想林崎流」。得物は日本刀。
しゃがんだ状態で鯉口に手をかける、字義通りの
居合術。驚異的な速さの抜き打ちは常人であれば切先を見ることすら難しい。
元々はテンカイチに届かない凡人だが、努力と知識の積み重ねで出場するまでの実力を得た
努力の才人でもある。絶望的な隔たりのある相手との仕合においてすら知識を吸収することを怠らないため、「成長する力」は極めて高い。このため宗矩は「仕合が長引けば林崎に利がある」としている。
甚助を中心に展開される、威圧を用いた結界の一種。
領域外からの攻撃は(例え死角からの攻撃であろうと)甚助の居合により一切届かず、踏み込めば甚助の容赦ない抜き打ちの洗礼を受けることになる。
甚助最速の剣。
人間が感覚器で情報を捉えてから脳で知覚するまでの僅かな時間の間に抜き打ちを行う。いわば1フレ未満の剣である。
気がついた時には既に斬られているレベルの斬撃を宗矩は「正しく人間には不可避」と評している。
幾つかの型があり、凪は下段から上段へと斬り上げる。
刻断ちシリーズその2。敵の足元を払う抜き打ち。
刻断ちシリーズその3。
柄を逆手に持ち、敵の攻撃を避けながら放つクロスカウンターのような一太刀。
甚助の後援者。仙台藩主。おなじみ奥羽の独眼竜。信長のことは「様」付けで呼び、遺恨などはないらしい。
「伊達者」の語源に恥じず、「ド派手」であることに強いこだわりを持つ。それ故に甚助の、頭上に水杯を乗せたまま半刻(=1時間)をかけて渾身の一刀を振るうという独自の鍛錬法にはいささか退屈していた。
実戦的な剣術を甚助に要望したところ、自身はおろかその場に立ち会った伊達家の家臣たちの誰もが気づかない間に自らの眼帯だけを切り落とされるという神速精妙の剣を目の当たりにする羽目になる。
政宗の腹心。一房長く垂らした前髪と細く刈り揃えた顎鬚が特徴的な細身の男。
滅多なことでは表情を崩さない冷徹な政宗のブレインだが、政宗の「マジか、それ!!」という驚きに対し「マジです。なんかスゴそうでしょう」と返すなど意外とノリは軽い。
甚助の父。故人。
信心深い男で、明神の社の前で稽古を行い、終われば社に参詣する日々を送っていた。しかしよりにもよってその社の前で主膳の闇討ちを受けて惨殺の憂き目に遭い、甚助の心にも深いトラウマを刻むことになった。
甚助の仇敵。故人。
ハート柄の襟巻きとオネエっぽい言葉遣いが特徴的な男。「世の中は弱い者から順に死ぬように出来ている」と嘯き、数馬を惨殺したに飽き足らず甚助の顔にも「弱者の証」と称して傷を入れるなど悪辣に振る舞う。
その14年後に甚助の呼び出しを受け、なぜかホイホイと明神前に現れ甚助と対峙。その際突如の落雷が甚助の背後に立つ神木を直撃し、二人に向けて倒れ始める。側撃雷で二人とも死なねえ?ってツッコミはなしでお願いします。主膳は内心「やはりアナタは神に愛されぬ男だ」と嘲りながら背を向けた甚助に斬りかかるが、甚助の抜き打ちにより倒木もろともに脳天を割られて斃された。
甚助の前に再び現れた時の姿がボロボロになった服を除いて14年前と全く変わらないなど、甚助に斬られるまでの動向が謎過ぎる男でもある。
剣術『神夢想林崎流』の開祖とされる剣豪であり、父の仇討ちのために剣術を身につけたとされる。
流派は「一刀流」。後援者は
丹羽長秀。
髪を後ろに撫で付け眼鏡をかけた初老の男性。
にこやかな笑顔の似合う一見穏やかそうな人物だが、この作品の武芸者の例に漏れず非常に好戦的。
本人曰く
「お預けを喰らうのは嫌い」らしく、上泉の試合を見に来た際は上泉の姿を見て闘争心が高ぶってしまい若干後悔していた。
剣術『一刀流』の開祖とされる剣豪であり、大谷吉継の剣術の師匠であったとされる。
流派は「真新陰流」。後援者は上杉景勝。
豊臣秀吉に仕えた兵法家にして、新陰流の亜種剣術『真新陰流』の開祖とされる剣豪。
◇その他
天下統一を果たした第六天魔王。
1600年現在では老いに老いてもうすぐ寿命間近の状態になっているが、老いた結果気性が荒くなり、血と闘争を求めるようになってしまう。
その結果自身の跡継ぎを決める手段として武芸者同士の殺し合いを思いつき、「代理国獲合戦テンカイチ」の開催を強行した。
なお息子や忠臣への権力移譲は「それらすべてつまらん!!」と吐き捨てている。
織田信長の小姓。テンカイチにおける司会進行役とレフェリーを務める。
中世的な顔立ちだが己の美貌に絶対の自信を持つナルシストでもあり、服装は女物の服を好む女装家。
見かけはイロモノだが信長への絶対的な忠誠を誓っており、信長の意思に反した者への態度は冷淡である。
また有名な武芸者や武器を見て喜ぶマニアな一面もある。
なお見かけによらずかなりの巨根。
追記修正は日ノ本最強ノ武芸者になってからよろしくお願いします。
- しかし終末のワルキューレあたりからこの手の漫画増えたわね -- 名無しさん (2022-10-16 13:18:48)
- ニンジャと極道を思い出すルビ芸 -- 名無しさん (2022-10-16 17:20:00)
- へぇ、武蔵が主人公じゃなかったのか -- 名無しさん (2022-10-16 17:25:19)
- ↑確かにイメージ的にも描写的にも現状一番主人公「っぽい」っちゃ「っぽい」んだが… -- 名無しさん (2022-10-16 21:05:31)
- 主人公っぽいけど主人公とは明言されてないので判断に迷う -- 名無しさん (2022-10-16 21:10:26)
- 第一話の時点では武蔵出てきてなくてどう見ても忠勝が主人公だったしね -- 名無しさん (2022-10-16 21:36:36)
- 作者はKOF14書いてた人か。道理でラルフやラモンみたいな濃い顔が多いと思ったわw -- 名無しさん (2023-02-26 13:44:28)
- 色んな所でワルキューレ云々言われてるけど面白い -- 名無しさん (2023-04-08 21:30:28)
- 史実とか剣豪の元ネタを知ってるぶんあれこれ想像しちゃってかえって先が読めない。それが面白い -- 名無しさん (2024-10-21 14:15:38)
- 自称平氏の信長が幕府開いたんか -- 名無しさん (2024-10-24 19:48:58)
- アニメ化決定。 -- 名無しさん (2025-04-11 20:32:07)
最終更新:2025年05月03日 17:29