吉良吉影

登録日:2009/09/03(木) 10:28:53
更新日:2019/09/02 Mon 03:42:17
所要時間:約 13 分で読めます





吉良さん、よろしかったら……

あたしたちと「お昼」ごいっしょしませんか?



すまないが……… 遠慮するよ………。


これからこの「書類」をとどけなくてはならないんだ…

それでは。



やめとけ!やめとけ!あいつは付き合いが悪いんだ。
「どこかに行こうぜ」って誘っても楽しいんだか楽しくないんだか…


吉良(きら)吉影(よしかげ)』33歳 独身
仕事はまじめでそつなくこなすが今ひとつ情熱のない男……

吉良吉影とは『ジョジョの奇妙な冒険』『第4部』『第8部』の登場人物である。

CV:小山力也(ASB/EoH) / 森川智之*1(アニメ)


【概要】

杜王町にあるスーパー「カメユー商店」に勤めるサラリーマン。
1966年1月30日生まれ。A型。身長175cm。体重65kg。年齢は33歳。独身。
先祖は仙台藩に仕えた武士で昔はかなりの豪族だったそうだが、祖父の代で落ちぶれ、本人も今はしがない会社員。
現在は杜王町郊外にある現在の家屋敷と、食うに困らないだけの財産を残すのみとなっているとの事。

おしゃれにはかなりうるさいようで、ヴァレンティノのスーツと、ドクロをあしらった趣味悪いネクタイを好んでつけている。*2
ただ、承太郎の見立てでは時計の趣味はあまり良くないらしい。
アメリカンフットボールの名選手ジョー・モンタナの大ファン。


仕事は真面目にそつなくこなすが、情熱はなく、出世には興味はない。
仕事は遅くとも夜8時には帰宅し、夜11時には寝るようにしている。
かなりの健康オタクで、自宅にはダイエットや栄養学、ストレッチ法などの本が多数ある他、寝る前にホットミルクを飲んで20分ほどのストレッチをするのが日課。
こうすれば朝まで熟睡できてストレスなく起きれるとの事。健康診断の結果も良好。

タバコは吸わず、酒も嗜む程度にしか飲まない。
しかしそれでも学生時代に比べると若干運動不足気味らしく、近日オープンするスポーツクラブに入会することを考えている。

「彼女」もおり一緒にショッピングやランチを楽しんだり、週末には自宅に招待するということも。

エリートっぽい気品ただよう顔立ちと物腰で女性からはもてるが、会社からは配達とか使いっ走りばかりさせられている。

同僚からは「悪い奴じゃあないんだが特徴のない影の薄い男」と思われている。


……が、本当は平凡な男を演じているだけで、実際は凄まじいスペックを誇る。

平凡を装うのも、ただひたすらに「平穏な生活」「植物の心のような生活」を望んだが故、目立つ事を極力避けようとした結果。
子供の頃に取った表彰状などは皆3位とか4位のものばかりだが、
その気になればトップを狙うことだってできるらしい(1位や2位は目立ち過ぎるため取らないのだとか)。
と同時に、決して人前では口にしないものの、心の中では自分以外の人間を全て見下していると言ってよい。

目立つ事が嫌いなくせに表彰状は取るのか?矛盾しているんじゃね?と思われるかも知れないが、
これは「何も取らないでそこらの奴らに無能扱いされるのは我慢ならないから」である。
実のところかなりプライドの高い性格をしている。





悪いやつじゃあないんだが
これといって特徴のない…影のうすい男さ



















【警告】

これより先は読んではいけない。
























君は死ななくてはならないんだ…



目撃者は生かしておけないよ…


【正体】

その正体は杜王町連続殺人事件の犯人であり、第4部のラスボスにあたる存在。
所持スタンドキラークイーン
スタンドについては該当項目参照。




本性は「人を殺さずにはいられないサガ」を持つ天性のシリアルキラー。
1983年(当時18歳の少年であった)から今まで女性ばかりを48人を殺してきた、凶悪な殺人鬼である。
*3

性格上、無駄な争いは好まないが、実際に闘えば自分は絶対に勝つという確固たる自信も持つ。
非常にプライドが高く、康一に追い詰められたときはすぐに爆殺せずリンチ攻撃で致命傷を負わせているサディストな一面を覗かせている。
また、人生の経験上「最大のピンチにこそチャンスは眠っている」という持論を持っている。
*4

自分の敵となるであろう者のリサーチも怠らず、仗助たちの住所のみならずエステ「シンデレラ」の事も完璧に調べていた。
(恐らくは写真のおやじに調べてもらったものと思われる。アニメでは吉良の買い物中にニアミスしている)
やたらめったら気苦労を避けようとする描写も含め、ものすごく神経質な性分のようだ。


上記の健康オタクな趣味の他に、自分の切った爪を捨てずにとっておくという不気味な趣味を持っている。
それもすべての指の爪について固有のデータをつけ、年月日はもちろん、伸びた長さをミリ単位で記録しておくという異常な几帳面さで。
爪の伸びる長さで自分の「殺しの体調」を占っており、30センチ以上伸びる年が「絶好調!!誰も僕を止めることは出来ない。」…との事。ASBのステージの吉良の自宅でのシチュエーションフィニッシュにもこのノートが出てきている。

爪占いそのものは1975年(9歳)のときから始めたが、爪を集めるのは最初の殺人を犯した1983年から続けており、
だいたい4~5年の周期で殺人願望をコントロールできなくなるらしい。*5
そしてその時期は爪が異常に伸びる時期と完全に一致する。
この趣味を知った仗助は 「ビョーキ野郎め!!」と完全にドン引きしていた。

上記の通り常に「彼女」と行動しているが、「彼女」とは殺害した女性の手である。
モテるので、たまに「彼女」ではない普通の女性とデートすることもあるのだが、彼にとってそれは退屈な時間の浪費でしかない。
あくまでも「彼女」と一緒にいる時だけ、彼は浮かれるのである。
何でも「彼女」の手でウンコをした後のお尻を拭いてもらうと幸せな気分になれるらしい。
彼に匹敵する変態はメローネくらいしかいない。
ちなみに初登場した時は「週末に「彼女」と自分の家で二人きりで過ごす」ロールプレイをしていた。
ちなみに運転している車内で「彼女」と家につくまでのドライブもロールプレイしていたが、その時に危うく交通事故を起こしそうになった康一とそれを助けた仗助、億泰の三人にニアミスしている。
*6

ただし、彼が執着してるのはあくまでも「手首」である為、腐敗が目立ち始めたらあっさりと「手を切る」*7
女性を見る基準はかなり適当であり、「美しく手の綺麗な女」ならばオールOK。性格が悪くても気にしない。*8
ただ唯一「毛深い女」だけはNGらしい。
おまえは町中で毛深い女の腕を見てウゲッと気分が悪くなったから巨乳美女のAVを見るだろう?誰だってそーする おれもそーする>

手フェチになったきっかけは、子供の頃にモナ・リザの手を見て勃起したから。
殺した女性は背中をナイフで切り裂いた後に、全て手首を除いて「キラークイーン」の能力で消滅させていた。
その為、事件の被害者は行方不明扱いになっても、殺人事件として捜査されることはなかった。
ただし、最初に殺した杉本鈴美だけは例外である(当時スタンド能力に目覚めていなかったため。父の「弓と矢」によって恐らく1986年に覚醒したものと思われる)(ちなみに、吉良の初めての殺人……1983年の時期と言えば……)。
一説では透明の赤ちゃん(静)の母親が見つからないのは、彼女もまた吉良の犠牲者の一人だからなのでは? という考察もある。
となると、(時期的にも)吉良の初登場時の「彼女」は、まさか…!!

杜王町から離れようとしないのは「平穏な人生」を望んでるがゆえに「敵に追われたりするのはまっぴら」なのと「ピクニックに来ているようで素敵な町」として気に入っているから。
町を愛していることには違いないが、「獲物を絡めとる蜘蛛の巣」のような扱いをされている町にとっては堪ったものではないだろう。

優れた能力がありながら敢えて出世しないのも町を離れたくないのと、気苦労が多いのが嫌だから。
(ちなみに同期で入社した人たちは全員昇進しているとの事。やたら彼に詳しくてインパクトのある吉良の同僚も、係長ぐらいのポストにはいるのかもしれない)
上記の通り、生活に困らないだけの蓄えはあるようなので、彼にとって仕事はブランド物の服を買ったりする為の小遣い稼ぎ程度でしかないのかもしれない。

同じ理由から争うのを嫌い、逃げるのもあくまで「勝てるけど、キリが無いからやりたくない」というスタンス。
仗助たちとの戦いも本人にしてみれば不本意だったのだろう。

仗助「おめーが「重ちー」を殺したから 追ってんだろーが このボケッ!」
億泰「殺人が趣味のブタ野郎が てめーの都合だけしゃべくってんじゃねぇーぞ このタコがッ!」

2人の言うとおりで、冷静に考えると付き合った時間は短くとも友好な関係を築けていた友人を殺しておいて身勝手極まる言い草である。
このシーン、一見理知的だがトンデモな自己弁護をほざいている吉良と、一見暴言でも真っ当なことを言っている仗助・億泰の対比がとても面白い。


基本的に「女性」=「手首(殺害対象)」としか見ていなかった彼だが、後に出会った川尻しのぶに危害が及んだ際、
しのぶが無事だったことに安堵し、自分が「他人(女性)を心配したこと」を認識して激しく動揺する描写がある*9

危険な性癖を持つサイコキラーであるはずだが、せっかくの改心フラグを自らへし折ってしまった事や、
追い詰められた状況からも驚くべき強運で何度も生還し、さらに己の信念を貫きとおすところなどから、主人公になりきれなかった悪役として見る者もいる。

ちなみに、DIOとは直接の面識はないが、彼のスタンドを引き出した『弓と矢』は父・吉廣が、
DIOの腹心であるエンヤ婆から譲り受けたものなので、若干ながら繋がりがある。
しかし6部までの他の部のボスと比べると関連性は最も弱い。
(2部5部→DIOの能力を覚醒させるきっかけとなった存在。
6部→DIOの友人であり、彼の思想に共感して行動する存在。)


余談だが、上述の性癖さえ除けば高飛車な一面こそあるが悪人でもなんでもなく、相手に優しく接する事もある。
特にストレイ・キャット戦ではキラークイーンを出しておきながら「(爆破するのは)ちとカワイソーだが」と言っている。
「川尻浩作」としての生活も存外悪くないと感じていたらしく、「川尻家」では(普通なら他人と過ごせないはずの吉良が仮にも)約一ヶ月も良き夫・良きパパとして振舞っていた。*10
だが、そのせいで早人から逆に疑惑の目を向けられることになってしまったのは皮肉である…。



【作中での活躍】

初登場は36巻で、Part4の物語では丁度中間地点にあたる部分から登場する。

偶然にも重ちーに女性の手首を見られてしまい、口封じのために彼を爆殺(因みにこの時初めて「スタンド」の名称を知った)。
だが、これがきっかけで仗助たち一行の捜査の対象となってしまい、さらに落としたボタンから自分の正体を知られそうになってしまう。

後に聞き込みを行っていた承太郎と康一を襲って彼らを倒すが、自らも承太郎に重傷を負わされる。
そこに現れた仗助に巻き込まれた一般人を装って怪我を治してもらおうとするが、仗助はその言動から吉良が自分のスタンド能力を知っている「敵」だと看破し、絶体絶命に。

しかし、あろうことか自分自身の左手首を切って逃走。

仗助がクレイジー・ダイヤモンドの能力を使用したことで自分の所に飛んできた自分の手首のせいで捕まりそうになる*11が、
すんでのところで自分と背格好や顔の骨の形が似ている男「“川尻浩作”」を捕まえてエステ「シンデレラ」に逃げ込む。
その「シンデレラ」のオーナーである辻彩に自分と川尻浩作の顔を交換させると、彼女と川尻を2人とも殺害して逃亡。
顔も名前も住所も別人となる事によって間一髪で追跡の手から逃れた。

その後は「川尻(かわじり)浩作(こうさく)」として生活することとなる。
それまでの(つまらない)夫に飽き、ロマンチックな生活に憧れていたしのぶは容易にオトせ、それなりに「平穏な生活」を手に入れられた…
…ように思えたが、「殺し」へのフラストレーションは溜まっていく一方であり、それまで(本物の浩作が)仕事漬けで家庭を顧みなかったのに、急に家庭的になったことや、靴を買い直すなどの数々の不審な行動で息子の早人から「ぼくのパパはパパじゃない!?」と疑われてしまう。
そして、「川尻浩作」として生活して約一ヶ月後、やめときゃいいのに駅で因縁をつけてきたDQNカップルを半ば衝動的に爆殺。
遂に早人に自分の正体を見破られてしまう。
…ちなみにこのカップル、吉良の危険性と残虐性を再確認させたのに関わらず、あまりに素行がよろしくなかったせいで読者からも半ば自業自得として扱われてる。ちょっとカワイソス。またこのカップルの男の方だが、目のデザインと眼鏡とキレ性、アニメでの声が似ているなどの要因から最近は杜王町のギアッチョなんて言われているとか……

その後は目撃した早人を始末しようとするが、逆に早人に脅迫し返されてしまう。
そのまま早人の脅迫に乗れば、まだ仗助達からは逃げ切れたかもしれないが、よりにもよって吉良は逆ギレ。勢い余って早人を殺してしまう。
この事が吉良に深い絶望を与え、それに応えるかのように『矢』が再び吉良を貫き、「第3の爆弾 バイツァ・ダスト」が覚醒する。
この能力を使って主人公チームを一度は全員殺害することに成功した。*12

しかし「運命」に賭けた早人の機転により、仗助たちは全員生還。
やむを得ず交戦し、億泰を倒すことに成功するも、
仗助の「クレイジー・ダイヤモンド」に対しては一筋縄ではいかず、逆に窮地に陥ってしまう。

さらに倒したはずの億泰も復活した上に猫草も彼に奪い取られたばかりでなく、
爆発を聞いて駆けつけた人や、通勤ラッシュ時の大勢の人々に自分の姿を見られてしまい、絶体絶命のピンチに追い込まれた。

最後の賭けとして、自分を怪我人と思って救助しに来た救急隊員の女性に「バイツァ・ダスト」をとり憑かせ発動し、通勤途中まで時間を巻き戻そうとする。
なるほど完璧な作戦っすねーッ不可能だという点に目をつぶればよぉ~>
が、康一の「エコーズACT3」によってギリギリのところでそれは防がれてしまい身動きが取れなくなったところで、承太郎の「スタープラチナ・ザ・ワールド」のラッシュを食らって完全敗北。
そして吹っ飛ばされたところへバックしてきた救急車の後輪に轢かれて死亡した。

多くの人命を奪ってきた殺人鬼の最期は、人命救助が仕事である救急車によってトドメを刺されるというある意味では皮肉なものであった(アニメ版では頭部から後輪に轢かれ、首が曲がってはいけない方向へ捻じれる瞬間が一瞬だけとはいえ直接描写されているため原作以上にグロテスクになっている)。

轢かれた際、地面とタイヤに挟まれていたために顔の皮が剥がれてしまったこと、歯型、左手の指紋(右手はスタープラチナのラッシュでグシャグシャになっていた)、そして救急隊員の女性に本名を名乗っていたことから死体は「川尻浩作」ではなく「吉良吉影」として処理された。
そして「川尻浩作」は行方不明扱いとなったため川尻家にはこの事故についての連絡はされていない。
だが、しのぶと早人は、あの家で「川尻浩作」の帰りを待ち続ける事が示唆されている。

ちなみに、アニメにおけるDQNカップル殺害時においては、
・被害者となった二人との諍いは、駅で多くの人間に目撃されていた
・殺害現場に残された、自身の爪や指紋、さらには(遺体こそないものの)被害者の血痕
…など、自身と被害者を結びつける多くの目撃証拠と物的証拠を残してしまうという、彼らしからぬ痛恨のミスをしでかしている。
しかもすぐ後に承太郎が入れ違いに現場に踏み込んで、血痕等を確認しているので、それらの証拠を始末するヒマがなかったのは明白。
早人の存在に焦って気が回らなかったというのもあるだろうが、久々の殺しで調子が狂っていたのだろうか?
それとも、「川尻浩作」として家庭を持った事が、無意識に「吉良吉影」の殺人マニュアルを狂わせていたのか…

この事から、今までの犯罪はともかく、「美奈子殺害」については立件可能と思われ、承太郎も再起不能にして警察に突き出すつもりだったようである。*13
もっとも、「吉良吉影」ではなく「川尻浩作」として逮捕される事になるので、「川尻浩作」に“殺人者”の、しのぶと早人に“殺人者の家族”のレッテルを張らせなかったのは、せめてもの救いかもしれない…。

その後は「ふりむいてはいけない小道」に誘導され、死亡した経緯を杉本鈴美に見せられた後に一時は「幽霊として生活した方が意外と自分の求める安心した生活があるかもしれない」と前向きに開き直る。
そして鈴美を無理矢理振り向かせて排除しようとするが、彼女と愛犬アーノルドの機転によって逆に自分が振り向かせられてしまい、スタンドで必死に抵抗するも、最期はキラークイーン諸共あの世(鈴美曰く『安心なんかない所』)へと連れて行かれた。
*14

アニメ版最終話のエピローグでは吉良が勤めていた会社の新入社員女性達によれば「行方不明になっていた吉良さんは顔無し死体で見つかった」と話していることから、公には吉良吉影という男の死は「不幸な事故」として処理されたようである。残念ながら例の同僚はここでは出なかった。


でも死んじゃった後も何だかんだで幽霊として活動中だったりする。
その辺は荒木飛呂彦の短編集『死刑執行中 脱獄進行中』収録の『デッドマンズQ』を参照。
結構呑気にも見えるが、「幽霊のルール」のもと、好きな音楽や本も楽しめずその日の宿にすら不自由するなど、「平穏」とは言えない生活なのは確かである。



【余談】

○モデルはアメリカに実在した凶悪殺人鬼テッド・バンディ。
整った美青年である事や気品漂うエリートのような雰囲気、それでいて女性に対する異常なフェチズムやサディズム、とっさの機転の良さなどが一致している。


○承太郎がボタン一つで吉良の最大の手がかりであるコートを見つけ出した事について*15、「捜査能力がおかしい」「見つかるのが早過ぎる」という指摘は少なくない。アニメではエピソード入れ替えで余計に。
しかし、シリアルキラーの実例からいくと むしろ現実の事例を理解した上でリアルに描かれている と考えられる。

シリアルキラーが捕まりにくい要因としては、「被害者との接点がほぼない」とか「遺体が発見されず、被害者が失踪者と間違えられている」などが挙げられる。
大抵の殺人事件ではまず被害者と何かトラブルがあったりする周囲の人物が疑われるため、捜査の中心は当然ながら被害者周辺の聞き込みになるし、
遺体が発見されていない場合はそもそも捜査が行われないため、被害者が失踪する直前に会っているのを見かけられたとかでもなければ疑われることすらない。*16

しかし、吉良のように特定の要素を持った人物を見かければ衝動的に殺してしまうタイプのシリアルキラーは、どう頑張っても証拠を完全になくすことは難しい。
何せ本人すら自分がいつ殺人を犯すか予期できないのだから、アリバイ工作などは特に難しくなる。
また、衝動的に殺す以上、殺害方法やシチュエーションなどは意識して変えない限り類似してきてしまうため、全てではなくとも何件かの殺人が発覚し、
被害者の何らかの共通点が見出されてしまえば、「一連の殺人事件は同じ人物による連続殺人事件ではないのか?」と捜査側が気付くのも時間の問題だろう。
裏を返せば「死体を爆破して遺体や証拠すら残さない」キラークイーンを得られたのは吉良にとっては幸運だったとも言える。

そして、「一連の事件は特定の要素を持った人物を狙った無差別連続殺人事件である」ことまで発覚してしまうと、一転して犯人は苦しい立場に置かれてしまう。
証拠隠滅やアリバイ工作を完璧に行うのが難しい関係上、ちょっとした証拠や証言で自分に疑いがかかってしまったが最後、
芋づる式に自分に繋がる証拠が集まり、瞬く間に犯人として特定され、逮捕されてしまった…というパターンは現実の事例でもよくある。

ましてや吉良の場合、始めから承太郎はボタンの持ち主が犯人ということや杜王町に住んでいるということまで確信した上で捜査しているのだから、
どれが犯人に繋がる証拠か分からず、どこに住んでいるか大まかにしか分からない現実の連続殺人事件の捜査よりも難易度は下がるだろう。

余談だが、荒木氏は「羊たちの沈黙」*17のヒット以前から、
シリアルキラーについて興味・関心を持って勉強しており、吉良に関する描写も連続殺人への理解の元で執筆しているとのこと。


○エステ「シンデレラ」は、吉良が逃走する展開の為に作られたと思われがち。
(吉良のエピソードに挟まれるように、前後の雰囲気を逸脱して挿入されている点が大きい)
しかし、実はあの展開は荒木氏のアドリブ。「シンデレラ」を描いた際は、それが逃走に使われるとは考えていなかったと言う。

誤解が多いのか、荒木氏は何度かインタビューでこの事を話している。
なお後年のアニメ版では、「山岸由加子はシンデレラに憧れる」回が吉良の初登場の前に繰り上げられた。
(アニメ版でエピソード単位の順番入れ替えが行われるのは、三部のホルホース対DIOの対面に続いて二度目。また、荒木氏はあらかじめスタッフに「(原作から)構成を練り直した方が良い」と告げていた)


○「悲しい過去を持つ悪役」にしたくないために本編で言及されなかったが、現在の吉良吉影が構築された原因の一つとして家庭環境の問題があり、実は吉良は母親に虐待されていたという裏設定に近い、あえて描かなかった設定が存在する。
…などが語られている。


○キラークイーンが余りにも強くなり過ぎた為に、作者である荒木自身でさえ「どうやったらコイツに勝てるんだ?」と悩んで、
主人公勢が全滅するバッドエンドを本気で描こうとした逸話があった。
つまり、連載当時最も恐れていた「第4部完!」が現実に起きかけていた。
…よく早人は諦めなかったよな…。


○「ラスボス殺人鬼」という設定だけならよくあるが、
  • 終始スーツ姿で戦闘(所謂戦闘スーツではなく文字通り普段の姿)
  • 殺人鬼なのに戦闘目的が(自身の)平和と安心のため
  • 仲間や部下を作らずに基本は一人で戦う(父親は自主的に協力、猫草は道具的なもので仲間とは言い難い)
  • 自分からは積極的に戦わず「逃げる」ことがメイン
という後にも先にもジョジョどころか能力バトルでは有り得ない斬新過ぎる設定と、どれ程追い詰められても諦めない信念とそれに見合った実力から、全ジョジョシリーズでも屈指の人気を誇り、
荒木も最も気に入ったキャラの一人に彼を挙げ「殺人鬼であることを除けば理想のヒーロー」と語っていたほど。
アニメ版では再起不能状態になりながらもバイツァ・ダストを発動させようとする彼を見て露伴が「敵ながら空恐ろしい奴だな」と、ある意味敬意を表す評価をしている。
彼だけを研究し続けているファンサイトもあるぐらい。
彼に影響されたのかジョジョ以外でも自身の平穏の為戦う敵キャラはジャンプではちょくちょく出るようになった。

なお、ジョジョシリーズでは現在唯一の日本人ラスボスであり、人間をやめたDIO、元々人間でないカーズと違い、初の純然たる人間のボスでもある。



【名言】

  • 大事をとって「殺しとく」か……
  • わたしは常に「心の平穏」を願って生きてる人間ということを説明しているのだよ…
    「勝ち負け」にこだわったり頭をかかえるような「トラブル」とか夜もねむれないといった「敵」をつくらない…
    というのがわたしの社会に対する姿勢でありそれが自分の幸福だということを知っている…
    もっとも闘ったとしてもわたしは誰にも負けんがね
  • 君を始末させてもらう
  • これで今夜も…くつろいで熟睡できるな
  • だめだめだめだめだめだめだめ!君は死ななくてはならないんだ…目撃者は生かしておけないよ…
  • 「キラークイーン」はすでにドアノブにさわっている…
  • 今度ぶどうヶ丘高の前に「スポーツジム」がオープンするそうだが…真剣に「会員」になることを考えたよ…「体力」をつけなくっちゃあな…
    でもあーゆートコの「会員」ってのはどーなんだろうな?
    一週間もフロに入ってないヤツがチンポいじった手で同じダンベル持ち上げたりプールに入ったりするのかな?
  • これから君をなぶり殺すからな…じゃなきゃ公衆の面前で「赤っ恥のコキッ恥」をかかされたこの気分がおさまらん
  • あとは『キラークイーン』の第一の爆弾でこっぱみじんにふっ飛ばせば…終わりだが…
    さっきから気になってしょうがない
    こいつ『くつ下』を裏返しに履いてやがる…自分で気にならんのかな?裏表ぐらい確認してから学校行け
  • だが わたしには勝ち負けは問題ではない…わたしは「生きのびる」…平和に「生きのびて」みせる。
    わたしは人を殺さずにはいられないという「サガ」を背負ってはいるが…「幸福に生きてみせるぞ!」
  • 『素顔』もバレた…『スタンドの正体』もバレた……『本名』もバレた……もうどうやら安心して熟睡できないらしい ただし『今夜』だけだ!
  • プシップシップシッ
  • 何だ……?この吉良吉影…ひょっとして 今 この女の事を心配したのか?
    彼女の「目」にサボテンのトゲが刺さらなかった事に…今心からホッとしたのか…?
    何だ…この気持ちは?このわたしが他人の女の事を心配するなどと…!
    いや違う!この女がもし死んだらあの空条承太郎にこの家の事が知られる心配があるだけ…
    この女が無事でホッとしたのはその事だけのせいだ…ただそれだけだ…
  • これ以上彼女を攻撃させるわけにはいかない。きさまには…消えてもらう
  • 自分の「爪」がのびるのを止められる人間がいるのだろうか?いない…だれも「爪」がのびるのを止めることができないように…持って生まれた「性」というものは 誰もおさえる事ができない……どうしようもない…困ったものだ
  • 質問を質問で返すなあーっ!!わたしが「名前」はと聞いているんだッ!疑問文には疑問文で答えろと学校で教えているのか?
  • このわたしが杜王町から逃れるだとーッ!このわたしが追ってくる者を気にして背後におびえたり穏やかでも安心もできない人生をおくるのはまっぴらだという事は良く知っているだろうッ!この町は決して出ないぞッ!
  • 激しい「喜び」はいらない…そのかわり深い「絶望」もない………「植物の心」のような人生を…そんな「平穏な生活」こそ私の目標だったのに………
  • 「闘争」はわたしが目指す「平穏な人生」とは相反しているから嫌いだ…ひとつの「闘い」に勝利することは簡単だ…
    だが次の「闘い」のためにストレスがたまる…愚かな行為だ
  • 「運」はわたしに味方してくれていると言ったよな…!「命」を「運」んで来ると書いて「運命」!…フフ、よくぞ言ったものだ
  • 「思い込む」という事は何よりも「恐ろしい」事だ…しかも自分の能力や才能を優れたものと過信しているときはさらに始末が悪い
  • うらやましいな…ヒマそうで…
  • フウウウウウウ~ わたしは…子供のころ…レオナルド・ダ・ビンチの「モナリザ」ってありますよね…あの絵…画集で見た時ですね。
    あの「モナリザ」がヒザのところで組んでいる「手」…あれ…初めて見た時…なんていうか…その…下品なんですが…フフ…勃起…しちゃいましてね…
    「手」のとこだけ切り抜いてしばらく…部屋にかざってました。あなたのも…切り抜きたい…
  • いいや!「限界」だッ!押すねッ!
  • このクソカスどもがァーッ!!







吉良「バイツァ・ダスト解除…今日も心置きなくぐっすり眠れる……因みにこの項目は既に爆弾に変えてある」





カチッ


ドッグォォオオオオンッ

















































【ジョジョリオンにおける吉良吉影】

第8部『ジョジョリオン』にも同性同名の人物が登場。
吉良吉輝とホリー・ジョースターの間に生まれる。『スティール・ボール・ラン』の主人公、ジョニィ・ジョースターの玄孫。
性格はナルシストであり曖昧なことを嫌う。
こちらも4部版の吉良と同じく「キラークイーン」のスタンド能力を持ち、手に対して強い執着心を持つ。また自分の爪をコレクションしている。しかし勃起はしない。
4部版と比べるとスタンド能力を悪用したりはせず医療行為に使ったり、笹目桜二郎 自分自身の指を食べさせる 奇行に走らせたりもするが基本的にはいい人。*18
一巡前の世界における空条承太郎に相当する人物?
物語開始時には震災で隆起した「壁の目」の下で心筋梗塞で死亡している。享年29歳。
遺体は主人公の東方定助が埋まっていた場所から発見されたが、 睾丸がなかった
また、定助のDNA調査で95.8%の確率で同一人物との結果が出ているが…?



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*1 ASBでは第五部のディアボロを担当。

*2 ちなみにこのネクタイは商品化している。

*3 ただし、それは自己申告であり、目撃者を消したケースなどを考慮するに実際の殺害人数はそれ以上であると思われる。実際、劇中で描かれた限りでも男性も何人も殺害している

*4 この持論を持つに至るには吉良が「強運で守られている」と自分では思っており、実際に絶妙なタイミングで難を逃れた事が作中内では度々見受けられる

*5 アニメでは重ちーと交戦する際や、殺人を犯す際に爪が伸びていくという演出がなされている

*6 しかもその時は康一が鈴美から当の殺人鬼について知らされて二人にその事を説明した直後

*7 「前のと分かれる」という意味でも、「新しい手に乗り換える」という意味でも。

*8 むしろムカつく性格の女を物言わぬ手だけにして、可愛がっているようなフシも見受けられる

*9 ただし、直後に「しのぶが死ぬことは今の自分にとって非常にまずい(承太郎に家が知られる)。ただそれだけだ」と自分に言い聞かせており、生まれて初めて「一人の女性」として好意を寄せたのか、単に自分の心配をしただけなのかは曖昧にされている

*10 ただ、本物の浩作は出世を焦るあまり相当に上司に媚びへつらっていたようで、同じく上司にペコペコするハメになった吉良は「気苦労の方が多いのに…」とボヤいていた。

*11 さらに、シアーハートアタックを仗助に殴られて「直される」と手首までSHAが戻ってしまうため無意味である事が後の紹介で明かされた

*12 露伴に至っては2回殺害されている。

*13 その為、アニメでは「なんてこった…」の台詞も原作よりも意気消沈してる様に描かれていた。

*14 皮肉にも小道に潜むものは「大量の手」というビジュアル

*15 先入観からか「簡単な服の修理程度なら靴のムカデ屋でもやっている」事に気付くまで少々時間がかかっていたが。

*16 元々失踪事件には警察もあまり熱が入らないのも理由にあるのかもしれない。失踪したとされる本人が後日ひょっこり現れる可能性も捨てきれないからである。そのため届けを出しても本格的に捜索が始まるのは広域の連続失踪・誘拐でもないとかなり後になる可能性も高いという……

*17 連続殺人鬼を主人公の一人に据えた名作映画。アカデミー賞受賞。プロファイリングというものが広く知られるきっかけになった作品でもある。

*18 カツサンドのソースのついた指を舐めていたことの対比だろうか……