怪異(死噛)

登録日:2023/02/19 (日曜日) 21:18:35
更新日:2025/03/16 Sun 15:24:02
所要時間:約 13 分で読めます





この項目では、『死印』から続く心霊ホラーADVシリーズの第三弾『死噛~シビトマギレ~』に登場する怪異について解説する。


概要

本作の怪異はDLCのマッハ姫を除き、全員が舞台である近衛原学園、及びその前身であるM村の関係者であり、徒党を組んでいるわけではないが半ばシビトに先導される形で動いている。
シビトにとって彼らは「花婿」選定のための重要な人材であると同時に、自らが「美しい姿」になるために有用な存在でもある。
なので主人公が怪異の救済に成功してもその姿は完全には消えず、直後になんとシビトに食われてしまう*1
本作は全七章だが、一章はチュートリアル、四章は箸休め回のためボス戦は無い。(ただしサスペンシブアクトはある。)

恒例通り怪異たちは凄惨かつ悲劇的な最期を迎えた元人間であり、今回ボスの怪異は全員被害者側で、なおかつ特定の人物への深い愛情を抱いているという共通点がある。
シビトを除く3体はそれぞれ有名な怪談が元ネタになっているが、作中での名付けの由来もそこから来ている。(要するに完全オリジナルの怪異という扱いではない。)
また、シリーズで初めて全員声優不明となった*2。 

なお、本作では救済失敗時の同行者の死亡以外にも怪異によって多数の犠牲者が出るが、基本的にその凄惨な痕跡は一瞬で影も形も無く消えてしまう。
これは「流石に死体が見つかると事態が大きくなって主人公が学園に居られなくなるため、シビトが証拠を隠滅しているのでは?」と作中で推測されているが、
過去の事例でも同様の現象は起きている=シビト以外の怪異もその能力は持っていると考えられるため、真相は不明。
というか普通は同一の場所で立て続けに行方不明者が出るだけでも十分大事件である。


以下、ネタバレと胸糞注意。



トイレのハナコ

■概要
一章、二章に登場。二章のボス。予告状の宛先はリボン、ピアノヒキ、モデルと最多。
旧棟のトイレに落書きを行うと「かえして…」の言葉と共に現れるとされる。
ゴムホースとそこから出る汚水を自在に操る能力を持ち、ゴムホースによる拘束や汚水による物体の切断が主な攻撃手段。
その気になれば教室丸々水没させたり、標的の体内からゴムホースを生やして押し出したりもできる。
一方でかなり知能が低く、殺した相手はおろか、自分の名前すら正確に覚えていない。

■容姿
「トイレの花子さん」でお馴染みの赤い吊りスカート姿の少女。ただし肉体は小学生ではなく高校生。ブラジャーは紫。
ゴムホースで首を吊って天井からぶら下がっている状態で、首が異様に長い。両腕にもゴムホースが絡み付いている。靴はこれまた小学生が履くような運動靴で、左足の側は脱げている。
頭部は水色のスライムのようになっており、ギョロギョロした両目からは常に涙を流している。
対決シーンで見られるその顔は、水木しげる作品に出てきそうな愛嬌も感じられる様相だが、
ナオミを羽交い締めにするイベントスチルではまさしく腐乱死体と言うべき顔で非常に怖い。



口裂けカシマ

■概要
三章の怪異にしてボス。予告状の宛先はキンショウ。
学園の側にあるバス停に不気味な金属音と共に現れ、「あなた、カミヲ、シンジ、マナベ」とつぶやきながら近づいてくる。
どこにでも自在にハサミを出現させる能力を持ち、標的を殺害する時は相手の体内に大量のハサミを出現させ内側から突き破るという、どこぞの暗殺者めいた方法を取る。
また、その光景を痛みを伴う幻覚として見せることも可能。(ただし概要で上述したように、攻撃の痕跡を怪異の能力で消している可能性もある。)
どうやら「誰か」と「何か」を探しているようで、本編ではその執念に当てられたみちほが一時的に化け物になった。服をはだけさせる必要はあったんですかねぇ…。

■容姿
コートを羽織り、近衛原学園の制服を着た黒髪ロングの女子高生。口はマスクで隠している。
その「ハサミを使うマスクの女性」という、「口裂け女」を連想させる特徴が名前の由来とされている。
顔は右目が髪の毛で隠れており、両目から涙を流している。マスクの下の口からは複数のハサミの刃が飛び出しており、引っこ抜くことが可能。
上半身と下半身が真っ二つに裂けていて、上半身は宙に浮いている状態。切断面からも大量のハサミの刃が飛び出している。
下半身は両脚がハサミの刃になっているが、問題なく歩ける様子。



体育用具室の幽霊

■概要
三章の怪異。体育用具室にある謎のシミに触ると姿を現すとされる。

■容姿
近衛原学園の制服を着た女子高生。後ろ向きに大きくのけぞっていて、体の半分ぐらいの大きさの頭を持つ。ねじれた長い首によってぶら下がったそれはまるで提灯。
両目からはハサミの持ち手が飛び出しており、先端は喉元を貫いている。



プールの幽霊

■概要
四章の怪異。
ある時から水泳部では部員が泳いでいる途中に窒息しかけるという不審な事故が連続するようになり、その原因とされる。
どうやらプールで何かを探している様子だが…?

■容姿
全身がぶくぶくに膨らんだ水死体で、風船のように宙に浮いている。
ゴムホースがからみついてボンレスハムみたいになっている上に上半身裸に見えるがよく見てみると近衛原学園のブレザーが膨らんだ胴体の隙間から確認でき、スカートを履いているので女子。



コックリおじさん

■概要
五章の怪異にしてボス。予告状の宛先はヨタモノ。
二階渡り廊下にある社、もしくは学園の側にある狐の森の奥の神社に無礼を働いた者を襲うとされる。
完全に近衛原学園近辺だけに伝わる怪異で、ネットには一切情報が無い。
多彩な能力を持ち、自身の透明化、どこにでも自在にキノコを生やす、それによって対象を操作することなどが可能。
所持している猟銃を用いた攻撃もしてくるが、猟銃が集弾性が甘い古い型のものであるため、接近されなければまず当たらない。
知能も高く、主人公を試すような言動を取ることも。

■容姿
動物の頭部の骨を仮面のように着けて顔を隠した成人男性の遺体。狐の耳のように見えるのは大量のキノコ。
獣骨が外れて露わになる素顔は、口より上が存在せず眼球だけが狐耳キノコにくっついているというおぞましい形相に加えて
首から下もあちこち朽ち果ててほとんど骨と皮だけになっており、失った肉をキノコで補っているかのような状態である。
左手は完全に失われており、猟銃は右手だけで扱っている。足も右足は足首から先が無く、脚の骨だけで立っている。



キノコ男

■概要
五章の怪異。狐の森にある、神社跡地へと続く参道にいる。
キノコ男の雄叫びを聞くと、参道の入り口付近まで戻されてしまう。

■容姿
頭部が巨大なキノコの塊になっている男性。わかりにくいが一応金髪。
服装は近衛原学園の制服姿で、頭部以外はほぼ人間そのまま。



シビト

■概要
本作のラスボス兼ヒロイン。予告状の宛先はセイトカイ。
怪異が人間を殺すという内容の予告状を学園に送りつけた張本人で、当人の目的は「花婿との結婚」。
主人公に目を付け彼を「愛しき婿様」と呼ぶようになり、彼が本当に花婿に相応しいかを試すため、そして自分が花嫁として美しい姿になるために主人公と怪異が対峙するよう仕向けた。
非常に知能の高い狡猾な怪異で、本編では他者を装って相手に電話をかけたりメールを送ったりもする。更に、普段は人間に化けて学園にまぎれているという。
また擬態能力の他にも、大量の虫(主に巨大なカミキリムシやムカデ)を使役して対象を襲わせたり、対象に強い暗示をかけてその行動を操る、といった能力も備えている模様。

だがその一方で、
  • 主人公を「愛しき婿様」と呼びほぼ常に敬語を使う。
  • 怪異が主人公に近づくと「次に狙われるのはあなた」と警告する。
  • 美しい姿になることを望むのは婿様に相応しくなるため。
  • 主人公が怪異を退けると「やはりあなたがまことの婿様」と賛辞の言葉を贈る。
  • 真の救済が成された怪異を食らった後は「美味でございました」と主人公に感謝する。
  • 調査終了より先にコックリおじさんの呪いが主人公に向いたため「今のままではコックリを救済できません、あなたはここで死ぬ」と、今までより強調した警告もとい宣告をする。
    • それでも主人公が諦めずコックリおじさんの救済を試みたため、喜びのあまりハイになりコックリおじさんをフライングで捕食。
  • かつて行われていた因習を霊視した主人公に対して「醜き私は忘れてください」と懇願する。
    • その後、主人公と一緒にいた真下に対して「婿様の隣にいるべきは私」と嫉妬して真下を集中攻撃。
      • 結果主人公に拳銃*3で撃たれてしまい、「嘘嘘嘘嘘…」と発狂。ついに主人公に襲いかかる――と思いきや二人が分かれて逃げたのでやっぱり真下を狙う。
      • その途中で結婚式の準備中だったことを思い出し真下の追跡を中断する。
  • 結婚式の準備が完了したので主人公に招待状を出し、更に彼がどれだけ自分を見ていてくれたかを確かめるために「私が誰に化けていたのか当ててください」と記す。
    • 推理を間違えると最終形態と対峙する前にバッドエンドとなるが、失望の言葉を添えつつ「それでもお慕い申し上げております」と現在進行形で告げる。愛は重くも深かった…。
  • 結婚式場で最終形態に変異した際に「私は美しいですか…?」と若干恥ずかしそうに主人公に訊ねる。
と、主人公への愛情や評価、結婚への憧れは本物で、乙女チックな一面と妙な憎めなさを併せ持つ。おかげでギャップにやられるプレイヤーがちらほら。
(ただしやはりと言うべきか、主人公と結ばれた後の愛情表現法として考えている内容は、怪異らしく人間の都合を全く考慮しないものである。)
ノリとしては『ティム・バートンのコープスブライド』のエミリーに近い。

■容姿
  • 第一形態
複数の人間をまとめて一人の人間にしたかのような姿で、頭部は外側からどんどん新しい頭部を継ぎ足していったかのように肥大化している。ぶっちゃけるとしゃもじみたいな体型。
右手に草刈り鎌を持っており、左手はまだ美しくないからという事か、顔を隠すようにかざしている。
この形態で対決することは無い。

  • 第二形態
トイレのハナコ、口裂けカシマ、コックリおじさんを食らったことで変異した姿。
複数の人間のパーツで作られた頭部の無いアラクネのような姿。人間の上半身を模した部位は複乳だが、乳首の代わりに角のような黒い突起が生えている。
接近するとともに上半身から蜘蛛の腹部にかけて中心から裂けて、そこから歪んだ口や配置の狂った目を備えた本来の顔が覗くという仕様。
六章のボスであり、七章でも一度対決する。

  • 最終形態
人形少女を食らったことで変異した姿。腹部が大きく膨らんだ人形からシビトが新たに生まれ出でようとしているかのような様相で、シビトも人形も赤い衣装をまとっている。
人形は腕が四本。シビト本体は目が四つ、鼻と口がそれぞれ二つずつあり*4、土気色の肌は謎の赤い液体にまみれている。あととんでもない垂れ乳。
どこが「美しい姿」だ……とツッコミたくなるが、今までに比べると余計なものを可能な限り削ぎ落としたうえで顔も隠していないので、彼女基準では満足のいくものなのだろう。

ちなみに主人公はボイスドラマでくちゃら花嫁を「なかなかチャーミング」と評する美的センスの持ち主であることが判明しているので、既にシビトの壮絶な過去を知っていたこともあってか、
この形態にはそこまで恐怖を感じていなかった。



人形少女

■概要
二章から登場する怪異。一人で動き喋る人形。
たびたび主人公の前に現れては助言を残して消える。

■容姿
球体関節で黒髪の少女人形であり、赤いウエディングドレスを着ている。
あちこちボロボロで左腕は肘から先が欠損しているが、シビトの変異に合わせるかのように顔だけ復元した。
しかし最終的にはシビトに食われて頭だけの姿に…。



マッハ姫

■概要
DLC「マッハ姫の噂」に登場。実はボイスドラマや『NG』でも存在が言及されている怪異。
東京都心を走る環状線を出現する幽霊で、首都高で走っていると背後に出現し、こちらを追い越そうとしてくる。
道を譲るとそのまま通りすぎるが、譲らないと悲惨な事故にあって死に至るため、譲らないとどういう行動をしてくるかは不明。
ネットの掲示板にH市での目撃情報が寄せられたため、主人公は葉月に強引に付き合わされ共にマッハ姫の調査に乗り出すが…。

■容姿
人を食いそうなぐらい狂暴な面構えの巨大な馬に、何者かがまたがっている。
この「何者か」ははっきりとした姿は確認できておらず、ドレスの裾がちらっと見えただけだという。この衣装の特徴から「姫」と呼ばれている。




追記・修正は彼らの穢れなき終焉を望む方にお願いします。

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最終更新:2025年03月16日 15:24

*1 コックリおじさんと人形少女のみ、完全に救済される前に食われた。

*2 シビトに関しては2周目以降限定のトゥルーエンドクリア後に人物名鑑に載るにも拘らず「未公開」と表記する徹底ぶり。

*3 真下から渡されたもので、コックリおじさんの調査でも使っていた。

*4 配置としては正常な並びの人間1人の顔の上に上半分(目と鼻)、下に下半分(口)がくっついた形となる。