死印

登録日:2018/11/06 Tue 11:37:21
更新日:2024/01/02 Tue 04:32:15
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シルシ、それは死へのカウントダウン。


概要

『死印』とは、『デモンゲイズ』等を販売しているエクスペリエンスが2017年6月1日に発売したホラーゲーム。
現在はPlayStation VitaNintendo SwitchPlayStation4Xbox (One、Series X|S)、Steamで遊べる。
ADV形式となっており、怪異に呪われ「シルシ」を刻まれた人物たちと共に不気味な廃墟等を探索し解呪を目指すゲームとなっている。物語の舞台は1997年。
2018年1月18日にDLCとして追加シナリオが配信された。
CGの枚数もそれなりに多く、生理的嫌悪感を催すようなCGやグロいCGも多いため、そういった描写が苦手な人はプレイする際に注意が必要。


あらすじ

東京都H市、この郊外都市に最近奇妙な噂話が広がっていた。

“シルシ”を持つ者は死ぬ──

突如体にまるで噛まれたような痣 “シルシ” が刻まれ、
原因不明の死を遂げるというものだ。

事実この町では、人が謎の不審死を遂げる
怪奇事件が発生していた。
この事件は都市伝説的に、どこかで幽霊に遭遇したせいだ、
知らぬ間に呪いに祟られるようなことをした、
などと様々な憶測を元に広まっていった。

記憶を失ったあなたは、“シルシ” を持つ者を保護するという洋館の前にいた。
何かに引き寄せられるように洋館の扉を開くと、そこで美しい人形に出会う。

「ようこそ、九条館へ──」

続けて人形は語る。
「このままでは、あなたは死にます」
「ただ、助かる方法がない訳ではない」

“死” へのカウントダウンはすでに始まっていた…
(公式サイトより引用)


ゲームシステム

物語は全五章+エンディングで構成され、DLCとして本編の後日談に位置する第六章が存在する。
舞台となる心霊スポットを探索して怪異の情報やアイテムを集め、最後に怪異と直接対決する…というのが各章の基本的な流れ。
章ごとに用意された複数の人物の中から一人を同行者として選び二人組で探索を行うことになるが、同行者を変更するためには一度拠点である九条館まで戻る必要がある。
九条館では同行者の交代の他にも、入手したアイテムの確認やメリイとの会話が可能。

探索は一人称視点形式で、懐中電灯を照らしながら視界の中の気になる箇所に注目したり、そこに手持ちのアイテムを使用したりしながら進んでいく。
マップ移動時の操作性がやや独特で、慣れるまでは少し分かりにくいので注意。

探索中には何度か「デッドリーチョイス」と呼ばれる特別な選択肢が発生し、制限時間以内に正解を選べないと大体の場合即死する。
また、怪異との対決はターン毎に主人公と同行者それぞれでアイテムを選び使用するという形式で行われるが、こちらも正しい組み合わせを選べないと基本的に死亡する。
ただし怪異にはそれぞれ二通りの攻略法が用意されており、そのどちらを選んだかによってその後の展開が変化する。詳しくは後述。


登場人物

  • 主人公
CV:根塚良
本作の主人公。公式名は八敷(やしき)一男(かずお)だが、名前の変更が可能なためこの表記。
過去の記憶を失っており、何かに導かれるように『九条館』に辿り着き、そこで出会ったメリイから自身に刻まれた『シルシ』について教えられる。
館に次々と訪れる自分と同じ『印人』たちと共に、死の運命を覆すべく怪異を攻略していくこととなる。たまに凄く奇天烈な思考や方法で事態を突破すると評判。
最初は不愛想だが、章が進むにつれて段々と言葉遣いや物腰が柔らかくなっていく。

  • メリイ
CV:立花理香
九条館のオーナーである九条サヤに命を吹き込まれた西洋人形。
金髪碧眼に白い陶器の肌、黒い帽子とドレスという、美しさと不気味さを兼ね備えたデザイン。
既に死亡している主人に代わり、呪いを受けた印人を救済することを目的としていると語る。
普段は館のソファーに佇んでおり、怪異の調査をする主人公たちに対して助言や忠告を行う。
ちなみによく間違われるが、メリ「」ではなくメリ「」が正しい。

印人(しるしびと)

  • 渡辺萌
CV:高木友梨奈
第一章から登場。第一章の同行者候補。
オカルト好きの女子高生。廃校となっているH小学校を探索した際にシルシを刻まれる。
シルシについて九条サヤに相談するべく、九条館を訪れた。
めちゃくちゃ着痩せするタイプ。

  • 吉田つかさ
CV:高木友梨奈
第一章から登場。第一章の同行者候補。
名門私立に通う小学生。誰にでも礼儀正しいが、自身に危機が迫ったりすると自己中心的な本性が垣間見える。
怪奇現象や幽霊の類は信じていないと言い張るが、基本的にはビビリである。
萌とは異なり、自身の通う小学校にある鏡の前を通っただけでシルシを刻まれた。

  • 真下悟
CV:川端快彰
第一章から登場。第一章、第二章の同行者候補。
不祥事を起こし免職された元刑事。本人は冤罪だと訴えているが真相は不明。
無愛想かつ皮肉屋で、常に顔色が悪くクマが凄いことから某兵長に見えるという声も。
かなり胡散臭い登場の仕方をするが、実際は頼りになる人物であり、元刑事という素性を活かして銃も使用できる。
免職後もH小学校にまつわる事件の真相を追うためにH小学校を訪れていたが、その際にシルシを刻まれる。
作中ではメリイを除くと最も主人公の相棒っぽい人物。

  • 長嶋翔
CV:中村良太
第二章から登場。第二章の同行者候補。
怪我により引退を余儀なくされ、結果グレてしまった元高校球児。
夜中にバイクでH城樹海に近づいた所シルシを刻まれ、助けを求めて九条館を訪れる。
仲間思いで正義感が強いがビビリ。ビビリなのになぜ一人で夜中のH城樹海に近づけたかは不明。
主人公のことはオッサン呼ばわりする。

  • 有村クリスティ
CV:瀬戸絵里奈
第二章から登場。第二章、第三章の同行者候補。
不倫騒動で降板になった元ニュースキャスターの美人。
自殺するためにH城樹海を訪れるが、その際に怪異に出会いシルシを刻まれる。霊感が強い。
この手のホラーゲームでは30代くらいの美人お姉様キャラは大抵ヒスを起こす役回りになるが、彼女は一部を除き割りかし冷静に対応してくれる方。

  • 森宮すず
CV:富沢絵里
第三章から登場。第三章の同行者候補。
強い霊感を持つ小学生。複雑な家庭環境に産まれ、話し相手を求めるために投稿した月刊誌「オーパーツ」で知り合った栄太を兄のように慕っている。
知らない事を教えてくれる怪異、くちゃら花嫁に父親の居場所を尋ねるために栄太と共にT尾山を訪れた際、シルシを刻まれてしまう。

  • 中村栄太
CV:加瀬雅洋
第三章から登場。第三章の同行者候補。
33歳無職でオカルト板に入り浸っているデブ。当時の秋葉原にいそうなオタクのイメージをそのまま実体化させたかのような外見。
だが内面は善良な紳士であり、すずの願いを叶えるためにその付き添いとしてT尾山を訪れ、同様にシルシを刻まれる。

  • 柏木あい
CV:船戸ゆり絵
第四章から登場。第四章の同行者候補。
H市で活動しているローカルアイドルグループ「ラブ&ヒーロー」の中心メンバー。
ホラーゲームに出てくるアイドル系キャラでは珍しく、正義感に溢れ自ら行動していくタイプ。
特技はピアノの弾き語り。ロケで心霊スポットを巡っている途中、安岡と共にシルシを刻まれた。
なお歌番組終了後に直接館を訪れているため、探索にはアイドル衣装で参加する。

  • 安岡都和子
CV:加瀬雅洋
第四章から登場。第四章の同行者候補。
年齢不詳(ただしかなりの高齢)の占い師。美輪明宏ではない。柏木と共にH市に心霊ロケに訪れた際にシルシを刻まれる。
銀座の一等地に店を構えており、政治家なども顧客に抱えている有名人。九条館にもツテがあったようで、それが柏木の九条館来訪に繋がった。
ただし第四章の怪異を倒せない(=怪異に殺される分岐がない)キャラであるほか、シルシが消えたら館からは去るという物語の流れ上、
心霊現象に造詣の深い肩書き・経歴に反して出番が少なく影も薄い。

  • 広尾まどか
CV:石飛恵里花
第四章から登場。第四章、第五章の同行者候補。
大手製薬会社に勤めており、普段着も白衣。科学信奉者のため、オカルトに対する嫌悪感が凄い。
とある怪異に明確に標的にされた上でシルシを刻まれているという、珍しい印人。
インパクトのある初登場をする他、DLCでも印象的な活躍(?)をする。なんだかんだで出番も多い方。
ある意味このゲームで一番身体張ってる人。

  • 大門修治
CV:根塚良
第五章から登場。第五章の同行者候補。
軍医だった祖父の影響を受けて医者を志し、現在はH市にクリニックを構えている医者。
真下以上に顔色が悪くやつれており、事あるごとに咳き込む。
名医ではあるものの、患者にはドライなため評判は良くない。……という設定だが、本編ではかなりの世話焼き人である。
祖父が残した記録を頼りにH市の地下を探索していたところシルシを刻まれ、九条館を訪れる。

  • バンシー伊藤
CV:川端快彰
第四章から登場。ただしその時点では一瞬の登場で、第五章の同行者候補。
H市地下壕に居住しているホームレスの老人。地下壕内で謎の存在にシルシを刻まれた。
霊視が出来る上に、何かしらの事情を知っていそうだが…?
このゲームで一番頼りになる人。

その他の登場人物

  • 黒いウサギ
どこからか主人公の前に度々現れる謎のウサギ
その動きで主人公に何か伝えようとしているようだが…。

  • 九条サヤ
九条館のオーナーである女性。本編開始時点で既に故人。
物語冒頭、主人公は館内の部屋で植物の生えた女性の死体を一瞬目撃するが果たして…?

  • 山下大輔
第一章に登場するH小学校の警備員。着任したてなのに酷い目に遭う。

  • 木村正男
第二章に登場するH城樹海を訪れている自殺志願者。


登場する怪異

花彦くん
第一章に登場する怪異。
誰もいない廃校であるはずのH小学校の鏡の前に立つと現れるとされる。
「ぼく、きれい?」と問いかけてくるが、それに「はい」と答えると「赤いのちょうだい」と言い残し消えてしまう。
ただし大人が嫌いなため、質問相手が大人だと気付くと身体中の血液を抜いて殺害する。対決時のヒントにすること。
生前は女装癖のあった少年。しかしH小学校の校長だった養父に矯正のため地下室に監禁され、暴行じみた教育を受け続けた結果死亡し、怪異化。

森のシミ男
第二章に登場する怪異。
H城樹海を徘徊している不気味な巨漢。
出会った人に「ハチ好きか?」と尋ね、「はい」と答えた人を笑いながら殺害し養蜂のための巣にする。
生前は社会に馴染めない人たちで構成され、森で暮らしていた「蜂蜜家族」という団体のリーダー。最終的に集団自決を図るが、彼のみが生き残り怪異化。

くちゃら花嫁
第三章に登場する怪異。本作のパッケージを飾る怪異にもなっている。
H市内のとある電話ボックスに現れる怪異であり、電話に出ると「くちゃくちゃ」という音とともに「あなた見たの?」と尋ねてくる。
「見てない」と答えた場合は探し物の在処を教えてくれるが、「見た」と答えると…。
とにかく「見られる」ことを気にしているため、「見る」だけではなく「eye」等の言葉も地雷。
生前は嫁入り前日の女性。犬の散歩中に攫われて集団レイプされ、挙句その写真を婚約者に見られてしまい、失意に暮れドレス姿で自殺し怪異化。

ずう先生
第四章に登場する怪異。
生前の花彦くんも通っていたH小学校の生物教師として働いていたが校舎が火事で燃えてしまい、広尾と同じ製薬会社に勤め始める。
しかしその後、広尾の祖父の秘密研究所の地図を強奪すると、マッドサイエンティスト化して残酷な動物実験等を行うように。
教員時代には生物室で多くの動物を飼育していたため、生徒や先生からは「ずう(Zoo)先生」と呼ばれていた。
唯一自ら怪異になりにいったやべー人。

観音兵
第五章に登場する怪異。
第二次世界大戦時、敗戦濃厚となった日本陸軍が天仏計画というプロジェクトで造り出した狂気の兵器。
その読経のような唸り声を聞いた者は身体の自由を奪われるか発狂し、自身は肉体を霊体化させ物理攻撃を無効化するというチート能力を持つ。
天仏計画の成功により誕生したと思われていたが、実際は観音兵の素材にされた女性がある強大な怪異によって呪いの力を与えられたことにより、怪異化したもの。

雨の赤ずきん
メインストーリー後の第六章に登場する怪異(VITA版ではDLC)。
雨の日、赤いレインコートを着た姿でK市内のホテル街に出現する少女。
客引きと勘違いして一緒にホテルに入った者は暫く行方不明となり、後日発狂して次々と自殺してしまうという…という噂から、主人公たちは調査をすることに。


+ ネタバレ注意
メリイ
上記の怪異(雨の赤ずきん以外)の元となる魂に働きかけて彼らを怪異化させた黒幕にして、本作のラスボス。

その目的は、印人達が怪異を相手に恐怖している様を近くで見て愉しむこと
彼女が主人公たちに告げた『シルシを刻まれた人間は近い内に死ぬ』『シルシを刻んだ怪異を消滅させることで助かる』という話は事実だが、
その他の『印人は大勢で行動してはいけない』『印人は印人以外とは極力交流してはいけない』といった忠告は印人の恐怖を和らげたくないがための嘘。*1
そもそも「シルシ」は彼女が他の怪異たちに与えた力であり、そしてメリイこそが主人公にシルシを刻んで記憶を奪った元凶の怪異だった。

第四章の前半でメリイは何者かによって破壊されるが、第五章の終盤に復活。主人公に真実を語りながら、人形怪異としての本性を現す。
顔以外は大きく変わらないものの、その顔には仮面が壊れるかのようにヒビが入り、おぞましい瞳と大きく裂けた口から血を垂れ流す悪鬼へと変貌する。

主人公がメリイから逃れられるかどうかは、これまでに関わった印人たちを彼女の魔の手から全員救えたかどうかによって決まる。


用語

  • 怪異
無念の死を遂げた魂が、死後に変貌し怪物となった存在。
基本的に、人間が立ち向かっても死は確実とされるほど強大な力を持つ。
一方で、語り継がれる都市伝説に対してその対抗神話が存在するのと同じように、
怪異の元となった死者の情報を参照した対応策を講じることである程度の抵抗はできるほか、
その怪異が生まれた核となるエピソードに関連する特定の行動を取ることで、彼らを消滅させることも可能。

ただしこの消滅には「破壊」「救済」の二つが存在し、
前者は怪異の大切にしていたものを壊すなどして心を「破壊」して霊的に消滅させ、後者は怪異の無念を晴らすことで「救済」し成仏させる。
この際、怪異を「救済」ではなく「破壊」してしまった場合、直後にその怨念によって同行者を殺害されてしまう。(ゲームオーバー扱いにはならず物語は進行する。)
そのため、プレイヤーは怪異を「救済」する手段を考えながら怪異との対決に臨む必要がある。本作におけるポイントの一つ。同行者の死亡演出が見たい場合はガンガン破壊しよう!

  • シルシ/印人
シルシは怪異によって刻まれる死の呪いであり、印人はシルシが刻まれた人間を指す。上記の通り読み方は「いんじん」ではなく「しるしびと」。
赤黒い歯形のようなデザインで、人によって刻まれる場所は異なる。(主人公は右手首)
この呪いは時間経過によって進行し、徐々に無気力化や記憶の喪失を引き起こし始め、最終的には死が齎される。
ただしそのタイムリミットまでに対象の怪異を消滅させることができれば、シルシも消えて無くなる。

  • デッドリーチョイス
探索中に度々挟まる特殊な演出。Live or Die
基本3択の中から正しい選択肢を選ぶことで死を回避することができるが、大抵の場合(序盤は特に)選択をミスると即死する。
演出中は体力兼制限時間である「霊魂」がみるみる減っていき、一応不正解でも霊魂の減少のみで留まるケースもある。(それでも致命傷だが)
その内容は、事前にヒントが示されているものから初見殺しめいたものまで様々。一見ネタっぽい選択肢が正解になっている場合もある。本作の死にゲー要素。



追記・修正は九条館に訪れてからお願いします。

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最終更新:2024年01月02日 04:32

*1 例えば大人数で行動する場合、犠牲者を増やしかねないという懸念こそあるが、それ以上に探索の効率化や意見交換など利点も多い。そして何より「大人数でいる」という安心感が恐怖を薄めるため。