ランページ(マイクロン伝説)

登録日:2023/04/07 (金) 01:23:21
更新日:2025/07/02 Wed 21:19:13
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サイバトロンとデストロン…これが俺達の運命だ!




ランページとは、『超ロボット生命体 トランスフォーマー マイクロン伝説』に登場するデストロンの戦闘員。
英語版『Transformers Armada』ではウィールジャック(ホイルジャック)という名称になっているが、後に『マイクロン伝説』の続編である『トランスフォーマースーパーリンク』でホイルジャックが登場したことからあちらが英語版ではダウンシフトという名称になる影響が生じた。

CV:千葉進歩(英語版:マイケル・デンジャーフィールド)

●目次


◇概要

元々はサイバトロントランスフォーマーであり、ホットロッドが面倒を見ていた旧友でもあった。
ところがある時に炎の中で負傷して精神的にも弱っていた際に一時的に場を離れたホットロッドが救出に失敗し、その後に自分を救ってくれたメガトロンに恩を返すためにデストロンへと転向した。

余談ながら、創作作品において正義側の組織に類した人物が悪側に転向するということは珍しくないが、欲望や復讐といった理由ではなく、正義側の組織に恨みを抱いてはおらず*1助けられた義理によるものという、トランスフォーマーどころか創作作品では珍しい経歴の持ち主。(悪から正義なら義理は偶にある)

ガルウィング式のドアを持つスポーツカーに変形することが特徴で、戦闘機をモチーフとしているデストロンのトランスフォーマーの中では浮いている。
ボディは漆黒の外見をしているが、サイバトロン時代は白色のボディだったことから察するにデストロンに転向した際にカラーリングを変えたものと思われる。設定画では両肩から胸部にかけて2本のラインがあるが、当初はなく第35話から描かれた*2。身体の大きなサイバトロンマークはかつての負傷によって大きく裂けてしまっており、そのサイバトロンマークの下部や腕部分にデストロンマークが刻まれている。胸の傷はアニメスタッフの希望で、サイバトロンマークに絡めたのは、タカラ側のアイディアである。

性格は忠義に厚く、任務の完遂への義務感を強く持っており、自身を救ってくれたメガトロンに心酔している。
ただし、心酔していると言っても単なるイエスマンという訳でもなく、メガトロンのためを思ってあえて意見を述べることも厭わない。
また、戦場では感情に流されることほど無駄なことはないという戦士らしい考え方を持っているようだ。

かつての仲間であるホットロッドに対しては皮肉を言うことはあるが友情を抱き続けており、彼が自分を助けられなかった後悔をあえて振り切らせるような態度を取っていた(その意図はコンボイも察していた)。
メガトロン以外のデストロンと絡む場面はあまりないが、スラストからは攻撃を与えて怪我を負わせたことでデストロンの戦線への参加を反対されていた。
一方で、スラストがスタースクリームから暴行を受けている際にはその状況に少しだけ心配しているとも取れるような様子を見せた。

戦闘の実力は高く、短距離のワープ能力や分身したかのような幻影を見せる能力で相手を翻弄することを得意とする。
ランページの戦いを見たサンドストームからは「執念深い奴」、アイアンハイドからは「敵に回したくない」と評されている。

武器は2本のスティックあるいは棍棒状の武器であり、腕と水平に持ち、先端からビームを発射できる。強度もあり、スターセイバーを受け止めるほど。『トランスフォーマー スーパーファイル』では技として「こうねつのこんぼうをあいてにたたきつける」技「ヘルクラッシャー」を持つが本編未使用。

◇劇中での活躍

第31話にてビークルモードで走るホットロッドとステッパーの前に出現。
ステッパーをカーチェイスで翻弄して崖下に落とした後でホットロッドと久々に対面し、自身がデストロンになったことを告げた後でわざと急所を外した射撃でホットロッドを負傷させた。

第32話では巨大な廃れた工場の前でホットロッドと再度対面し、彼に本気で勝負するように促す。
ところがホットロッドがどうしても負い目を振り切れないことやスラストの監視に気が付いて多少悩むような様子を見せるが、そのタイミングで救援に訪れたステッパーを人質に取る。
ステッパーの浅はかな攻撃で工場が燃えたことを利用してステッパーを燃え上がる工場の中に放置する外道な策略を見せるが、ステッパーの救援に向かうホットロッドを妨害するスラストを攻撃して撤退に追い込むなど本気で葬る気はなかった。
工場の中でメガトロンと再会した後、怪我を負ったスラストの反対をメガトロンが却下する形で直属のデストロン兵として正式に加入し、以後もサイバトロンと戦いを繰り広げた。

第45話では単身でメガトロンに共同戦線の交渉へと赴いたホットロッドの前に現れ、戦闘では優勢に立つ。
ところが実際には戦いながらメガトロンの前にホットロッドが来れるように誘導しており、メガトロンが激昂してホットロッドに攻撃を仕掛けた際にも庇って必死に話を聞くように訴えた。
スラストの裏切りが判明して以降は共に追跡を行い、戦闘ではかつての仲間であるが故の息の合ったコンビネーションを見せた。

◇本編後

本編から10年後の世界を舞台とする『スーパーリンク』ではランページは一切登場しておらず、前作から続投したTFがその存在について言及するような描写もない。
前作で生存したデストロンのTFは引き続き登場しているため、生存者の中では唯一降板したTFとなった*3
また、前作で死亡したデストロンのTFを含めて見ても、スラストは玩具シリーズなどで死亡後が描かれていることやスタースクリームはナイトスクリームと同一人物説があるため、現時点で『マイクロン伝説』のデストロン組では唯一本編後の姿が描かれていないとも考えられる。

『スーパーリンク』の世界観やメガトロンの復活という物語の導入を考えるとランページが出てこないことに対する違和感や疑問の声も少なからずあり、様々な考察も見られる。

◇玩具

玩具は「MD-07 ランページ」として発売。ビークルモード時の機体側面に青いストライプがあるなどデザインがアニメ本編とは微妙に異なる*4。この他エアアサルトマイクロン*5とセットの「MS-08 ランページ&エアアサルトマイクロン」も発売。

玩具版ではアニメ本編では登場しないパートナーマイクロン・ホーク*6が存在しており、ステルス機に変形する。

実は構造の都合から玩具版はアニメにいないホークとエボリューションしないとトランスフォームが不可能な仕様。また2本の武器はアニメのように水平には持てず、棍棒のような武器になっている。

ちなみに、ボットコン限定で発売されたシャッタード・グラス版サイドスワイプの玩具版は、ランページのリデコ商品となっている。サイドスワイプも(悪の)オートボットから(善の)ディセプティコンへ転向したという設定である。

◇余談

  • 放送当時の一部雑誌ではホットロッドに対する復讐の戦士であるかのように紹介されていた。
    実際には本編で登場した第31話の時点でランページ自身が復讐の意図をもって動いていることは否定しているのだが、子供向け番組ということで分かりやすい形で紹介されたのだと思われる。

  • 担当声優の千葉氏は同作でジェットファイヤー役も担当*7しており、後年の『トランスフォーマー ギャラクシーフォース』ではノイズメイズを演じている。
    • 千葉氏は当初は「(『巨人の星』の)伴宙太で」というイメージで演じており、初登場時は幾分太い声であったが、後の回ではクールな感じになっており、初登場時の前編・後編だけでも大分演技が異なる。


  • 世界初のTCG『Magic the Gathering』とトランスフォーマーのコラボに登場した「雇われの剛力、スライサー/Slicer, Hired Muscle」の通常版イラストは、ランページのカラーリングを元ネタとしている*8。特徴的な傷ありサイバトロンマークもそのまま。
    スライサーはホイルジャックの色違いであり、またランページの海外名も「ホイルジャック」であることから、彼のカラーリングが取られたと思われる。

おっと、焦るなよ!少し俺の項目を追記・修正してくれ。

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最終更新:2025年07月02日 21:19

*1 ホットロッド以外の現場にいたサイバトロンのTFはランページの救出を諦める判断をするなど事実上見捨てているため、仮にランページが組織を恨むような性格の人物だったとしても完全な逆恨みになるという訳でもなかったのだが。

*2 海外版の玩具では金色の彩色になっており、作画の修正などが間に合わなかったのかは不明。

*3 ただし、『マイクロン伝説』におけるサイバトロンに関しては『スーパーリンク』で登場せずに終わったTFが少なからずいるため、全体で見れば降板したこと自体は珍しい訳でもないが

*4 但しロボットモードのガルウイング先端に描かれている。またアニメ本編でカーモードを披露した際は描かれず、胸部(カーモードではボンネット)の青いストライプが描かれるようになった第35話以降も第45話に描かれたのみだった

*5 3体のマイクロンが合体しダークセイバーになる。アニメでは登場せず、スカージが同様の武器を召喚させて使用したのみ。

*6 DVDソフトのパッケージに登場。

*7 EDクレジットではジェットファイヤーが優先される。

*8 スライサーは明確な元ネタも存在するが、玩具がシャッタード・グラスのラインで出たため、本来のスライサーのカラーもシャッタード・グラス版で使用されている。