デストロン/ディセプティコン(トランスフォーマー)

登録日:2021/03/01 Mon 23:05:00
更新日:2024/11/26 Tue 19:03:25
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デストロン軍団、アタック!

Decepticons, attack!

デストロン/ディセプティコン(Decepticons)とは、変形玩具シリーズ「トランスフォーマー」における悪の軍団である。
初期作品と同じ東映製作*1某特撮に登場する悪の組織とは無関係である。

以下の作品は個別記事もあるのでそちらも参照。


概要

トランスフォーマーシリーズでは、一部を除き善悪二元論である作品が多い。
そのうちの悪側にあたるのがデストロン/ディセプティコンである。善側はサイバトロン/オートボット

シリーズによって結成理由などは様々だが、ただエネルギーや力のためだったり、セイバートロン星で虐げられた者たちが起こしたクーデター組織だったりする。
軍事政権における正規軍だったりただのテロ組織だったり、はたまたそれらの残党に過ぎなかったりと作品によって立ち位置の振れ幅が大きい。
ただ、正規軍である場合もそのリーダーが「リーダーのマトリクス」を保有する種族全体の正統な指導者であるケースはほぼない。
所属する戦士達は基本的にはメガトロンの「圧政による平和」の思想に賛同しており、戦いが大好きな連中も多いが、
中には争いを好まず、サイバトロンと共闘したり、サイバトロンとは別のやり方で平和を守ろうとする穏健派も少なからず存在している。

ディセプティコンという名前は「欺瞞」を意味する「deception」からきている*2
その名の通り、多くの作品で侵略先の住民を騙して協力させるなどの描写が見られる他、クーデター組織として誕生した世界観では「体制側の欺瞞には騙されない」という意味合いである場合もある。
変形モチーフは戦闘機など空戦力を持ち合わせているほか、初期は少なかったが現在では陸上戦力を持ち合わせていることも多い。

初期作品では、「君が選ぶ、君のヒーロー!」というコンセプトがあり、サイバトロンはもちろんデストロンも活躍させるというスタンスだったが、実際にはデストロンが敗北する勧善懲悪型のストーリーも多かったりする。
一応玩具的にはサイバトロン/オートボットと比べると合体ロボが早く登場したり、10段変形合体ロボの構成員が武器になるなど、変わったギミックが優先的に登場している。
子供人気が正義側に傾くのはある意味当然なので、それを軽減する目的だろう。


名称について

名称が「デストロン」「ディセプティコン」と二つあるのは、海外ではDecepticonsと呼ばれていた組織を、初期からしばらくの間は「破壊」を意味する「destroy」を元にした「デストロン」という名称で呼んでいたことに由来する。
名称が変更された理由として、「ディセプティコンは子供が発音しにくく、わかりやすい名称にした。」という逸話がある*3

実写版の時に字幕版で違和感*4が出るのを防ぐために、「コンボイ」→「オプティマスプライム」などのようにキャラクター名と共に海外名である「ディセプティコン」に統一された。
実写版後に初めて行われたアニメ作品である「トランスフォーマー アニメイテッド」は実写版人気にあやかるため実写版の前日譚という日本独自の設定が追加され*5、それに伴い「ディセプティコン」など海外名が続けて使われている。ついでにバルクヘッドの名称がアイアンハイドになって本来のアイアンハイドがアーマーハイドにされた。
そして特に実写版との関連がない「トランスフォーマープライム」以降でも実写版により名称が定着したためか、「ディセプティコン」などの名称が完全に定着している。

玩具展開における古い商品のリメイクでは、「デストロン」の名称が使われることもあったが、海外の商品と仕様統一した現在においては、日本独自の名前が使われることは少ないだろう*6


多くの作品に登場するトランスフォーマー

同名のTFであっても続編モノを除き作品によって似た別人であるため、多くの作品に共通する特徴を記す。

  • メガトロン
多くの作品におけるデストロン/ディセプティコンのリーダー。変形モチーフは拳銃、戦車、ガンシップなど様々。
銀色または白色のボディを持つ大柄なトランスフォーマー。
作品によってはガルバトロンという名前で出てくることも。

  • スタースクリーム
デストロン/ディセプティコンの幹部。
細身の体つきをしており、(現時点で)全ての作品で戦闘機に変形する。
性格は狡賢くて残忍な一方、小物で調子に乗りやすい小悪党。ニューリーダーの座を狙ってしょっちゅう裏切ってはメガトロンに折檻されるのがお約束。
作品によってはジェットロン(シーカーズ)という航空部隊を率いているが、彼らからも慕われている様子は皆無。
しかし中にはマイクロン伝説のような例外も。

  • サウンドウェーブ
デストロン/ディセプティコンの幹部。
バイザーやグラサン風の目、口元を覆うマスクなど、表情のわかりにくいデザインをしていることが多い。
大抵スパイ活動などの裏方仕事を担当する。そして大抵優秀。
また多くの作品で戦闘や工作を代行する小型トランスフォーマーの部下を従えており、偵察や戦闘を補佐させる。鳥に変形するコンドル/レーザービークと豹に変形するジャガー/ラヴィッジが有名。

  • レーザーウェーブ/ショックウェーブ
デストロン/ディセプティコンの幹部。
どの作品でも顔がモノアイで、また片腕がレーザー砲になっているのが特徴。
スーパーリンクを除けば沈着で論理偏重主義な科学者枠。メガトロンへの忠誠心は絶大だったりその逆だったり。

  • ビルドロン/コンストラクティコン
ブルドーザーやパワーショベルなど建設機械に変形するデストロン/ディセプティコンの一部隊。
部隊人数は作品によって異なるが、総じて建設機械ならではのパワーと技術力を併せ持つ。
そして最大の特徴は、巨大ロボット「デバスター/デバステイター」への合体能力を持つ事。玩具でも大抵はセットの大型商品。

  • コンバットロン/コンバッティコン
戦車や戦闘ヘリなど兵器に変形するデストロン/ディセプティコンの一部隊。
リーダーのオンスロート(ミサイルトレーラー)、ブロウル(戦車)、スィンドル(バギー)、ブレストオフ/ブラストオフ(スペースシャトル)、ボルダー/ヴォルテックス(戦闘ヘリ)の5体から成り、兵器だけあって火力・戦闘力は高い。兵器かどうか微妙な奴が一体混ざってるというツッコミは無しで。
ただし作品によっては5体揃わない事も。
こちらも「ブルーティカス」という合体形態を持ち、特に初代アニメの玩具はその出来の良さから何度も再販された。

代表的な作品における活躍

いくつかの作品におけるデストロン/ディセプティコンの活躍を記述する。

初代~2010におけるデストロン

戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー」におけるデストロンは、セイバートロン星の軍事支配を目論む独裁政権。つまり立場的にはこちらが正規軍に当たる。
地球来訪後はエネルギー資源を奪い取ろうとする、いわゆる悪の組織…の割には、人を傷つけなかったりエコなエネルギーばかり狙ったりと悪の組織らしからぬ部分もあるが。
ただこれについては殺害描写のなさはアメリカのアニメ規制によるものだし、エネルギーの強奪対象がエコなものが多い点については第1話のような原子力発電所のようなヤバイところは流石にいじりづらかったためと思われる。*7

スタースクリームによる裏切り劇はもはやコント。
リーダーは慈愛大帝もとい破壊大帝メガトロン様

と、いろいろネタにされてはいるが、本編を通してみればやっていることはただの略奪に過ぎない。
彼等がエネルギー資源を強奪することを許容すれば、交渉によりいくらか融通してもらっているサイバトロンとは違い搾取になることは目に見えているし、
そもそもこのエネルギー資源を作り出すために地球を破滅に追い込んだり、そうでなくても辺り一帯が消し炭になりかねない危険な作戦を何度も行っている。
殺害描写とて直接的なものがないだけで、一部の回では明らかに建物の崩落に巻き込まれて人が死んでいることが容易に想像が付くシーンも存在する。
実際コンボイは過去に友人を殺され、恋人も危うく失いかけているし、その時の作戦そのものは非道としか言えないほどに狡猾だった。
あくまでこれらの描写はアメリカにおける規制とのそれが面白い形で噛み合ってしまったがための「ネタ」として見た方がいいだろう。*8

続編の「戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー2010」では映画版でメガトロンがガルバトロンにパワーアップ…したが狂ったシーンも多く、部下からとやかく言われたり、挙句の果てに精神病院送りにされたことも…
また今作において、トランスフォーマーの原型がクインテッサ星人の製造していた奴隷ロボットであり、そのうちの軍事用ロボットが後のデストロンである事が判明した。
そのため、民間用ロボットであるサイバトロンに比べて総じて高い戦闘能力や諜報能力を有し、さらに迅速な戦力展開のため全員がデフォルトで変形モチーフと無関係の飛行能力を備えている。
だが一方で頭脳面に難があり、メガトロンやスタースクリームなどを除いて自ら率先して行動出来る者は極めて少ないとされている。

ちなみに女性型トランスフォーマーがそれなりの人数在籍しているサイバトロンと違い、G1シリーズのデストロンに女性兵士は全くと言って良いほど存在しない。
これはそもそも彼らが軍事用ロボット、つまり兵士であるため女性型ロボットを製造する必要性そのものが薄い事が理由の一つと考えられる。
そして玩具シリーズ「ユナイトウォリアーズ」での後付けとなるが、かつてデストロンの女帝を自称する「メガエンプレス」というトランスフォーマーが反逆・一時期デストロンを乗っ取りかけた事から、レーザーウェーブの手により徹底的な内部粛清が行われたため。
そのため現在のデストロン軍では男尊女卑的な思想が罷り通っているらしい。

CGビーストウォーズシリーズにおけるデストロン

今作におけるデストロンは、海外では「ディセプティコン」ではなく「プレダコンズ」と呼称されている。
機械や兵器に変形するディセプティコンとは別の種族であり、有機生命体のDNAを取り込む事で惑星環境に適応する事が出来る。
リーダーはいずれもティラノサウルスに変身する腹筋崩壊大帝ビーストメガトロン(通称・千葉トロン)

メガトロンが率いるデストロンはデストロン内の過激分子、つまり犯罪者であり、とある目的から戦艦を奪って宇宙へ逃亡。
追ってきたサイバトロンとともに「惑星エネルゴア」に墜落、そこでコント激しい戦い「ビーストウォーズ」を繰り広げる。

なお、この時代にもG1のデストロン(ディセプティコン)がいるうえに、何世紀も前にサイバトロン(オートボット、マクシマルズ)と和平を結んでおり、サイバトロンや宇宙に進出した地球人達とも良好な関係を築いているなど、大多数は穏健派にシフトしている。
だが、長すぎた平和による治安やモラルの悪化などの堕落の面も浮き彫りになっており、それを憂いてかつての栄光を取り戻そうとしたのが『セカンド』のガルバトロンと『ネオ』のマグマトロンの一派である。


超生命体トランスフォーマー ビーストウォーズメタルス」では一部死者を出しながら再度サイバトロンとコント戦いを繰り広げることとなる。
ビーストウォーズリターンズ」メタルス終盤でメガトロンが捕まるも脱出、セイバートロン星を支配し、一部キャラを洗脳したうえで機械のボディを与え、「ヴィーコンズ」を結成した*9
新たに「テクノオーガニックボディ」を手に入れキモくなったがさらにパワーアップしたとサイバトロンとパワーアップしたコント三度の戦いを繰り広げることとなる。

実写版におけるディセプティコン

言語が統一され、名称が「ディセプティコン」となる。
リーダーは名称変わらずメガトロン
悪役らしく、軍事兵器に変形する機体が多いのが特徴。

メガトロンの師「ザ・フォールン」なる者に創設された反乱軍で、オールスパークの独占によるサイバトロン星、ゆくゆくは全銀河の支配を目論む。
ダークサイドムーン」で一度壊滅するも…

プライムにおけるディセプティコン

超ロボット生命体 トランスフォーマー プライム」では、スラム出身者や剣闘士といった被差別階級を中心として武装蜂起した反乱軍。
エネルゴンを求めて地球へ来訪した後は、禁断のエネルギーであるダークエネルゴンを利用し、さまざまな悪事を練ろうとしている。
仕事しない闇医者と2名芸人がいることを除けば比較的真面目。
リーダーはひろしのようなダーダー恐竜のようなが特徴のメガトロン

日本限定の続編である「参乗合体 トランスフォーマーGo!」では「ソードボットvsプレダコン」という形式をとっているため空気。

アドベンチャーにおけるディセプティコン

プライムの英語版続編である「トランスフォーマーアドベンチャー」では従来のような組織ではなく、囚人船「アルケモア号」から逃げ出した犯罪者の総称として登場しており*10メガトロンに関しては一切登場していない。
同じ理由でスタースクリームやサウンドウェーブといったかつてのディセプティコン軍幹部も「戦争犯罪者」として、オートボットから追われる身となっている。

そのためディセプティコンといいながらも何かの組織に所属していないその回限定の犯罪者(いわゆる今週の怪人)も少なくない。そのため玩具も少ない。日本では過去商品を流用して何とか数を稼いでる。
一応スチールジョーをリーダーにした「スチールジョー一味」など、徒党を組むやつらもいるが。

また今作のディセプティコンはロボットモードに動物の意匠(一部は動物そのもの)があったりビーストモードに変形するものが多い。

トランスフォーマー アーススパーク

トランスフォーマー アーススパークでは従来作とはうってかわって、もともとリーダーをしていたメガトロンが一人の人間と触れ合ううちに改心しディセプティコンを脱退して人間や彼らに協力するオプティマス達オートボットの生き残りと手を取り合う選択をする。

そのため、メガトロンが主人公たちマルドー兄妹や地球で新しく生まれたトランスフォーマーであるテランたちの純粋な味方枠で登場し、リーダー不在で散り散りになった残党たちがそれぞれの思惑で行動する形となっている。

こういう経緯のため心変わりしたメガトロンに敵愾心をむき出しにしながら犯罪に手を染める輩がいる一方、先の戦争でトランスフォーマーたちにも多大な犠牲が出た反動で戦争に嫌気がさし、逃亡生活はしているがなるべく地球に迷惑をかけないように行動する穏健なキャラもちらほらいる。

尚、改心したメガトロンや穏健なタランスは目の色が赤系な一方で、スタースクリームは大戦当時から何故か青目。ひょっとするとそのうち彼の過去が語られたりするのだろうか。

シャッタード・グラスにおけるディセプティコン

G1をモチーフに善悪が逆転した世界を描いた「シャッタード・グラス」では善のディセプティコンが登場。
悪のオートボットに立ち向かう自警団であり、G1世界からやってきた血祭りとかいうけど善のクリフ
を保護している。また、上司のドレンチや同僚のこの世界のクリフを殺されたサイドスワイプが復讐をかねてディセプティコン入りしており、異世界転移したばかりで戸惑う赤いクリフにこの世界の状況を説明している。


追記・修正はデストロン/ディセプティコン派にお願いします。

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最終更新:2024年11月26日 19:03

*1 トランスフォーマーは東映アニメーションなので厳密には異なる。

*2 このため「欺瞞の民」と呼ばれることもある。

*3 そもそも日本人的にも発音しづらいものであり、岩浪美和が担当したトランスフォーマーではこの言いづらさがしばしばネタにされている。また、この関係で後の『QTF』で「よく我々の組織名を噛まずに言えたな」とスカイワープがぶっちゃけるネタが存在する。このためか日本のファンからはディセップ、あるいはデストロンと合わせてデ軍と呼ばれることのも

*4 音声ではディセプティコンと呼ばれているのに字幕でデストロンと書かれてしまう。

*5 あの映画がアニメになった、などの宣伝が行われていた。流石に無理がありすぎるため設定としては後になかったことになったが。

*6 2023年現在はタカラトミーから販売しているものではマスターピースやビーストウォーズアゲインくらいのもの。

*7 なおチェルノブイリの事故は本国での放送が終わった1986年4月に発生しているのでここは関係ない。

*8 例えば日本の特撮やアニメでは平気で民間人やゲストが死んでいく描写が過去から行われており、海外ではあまりにも凄惨すぎると言われたほど。つまりこういった悪の描き方の違いも「悪にみえない」と言われる理由だと思われる。

*9 そのため厳密にはデストロンではない。

*10 プライム最後でメガトロンが組織としてのディセプティコンを解散したため。