登録日:2023/04/27 Thu 22:51:00
更新日:2024/09/16 Mon 17:36:03
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より良い生き方とは…?生とは?死とは?
答えはないけれど、考えることで救われることもある…。
さあ、倫理の時間です。
『ここは今から倫理です。』とは雨瀬シオリによる漫画作品。
概要
2017年に『グランドジャンプPREMIUM』(集英社)で連載開始。2018年に同誌が刊行停止し、後継誌の『グランドジャンプむちゃ』に移籍した。既刊9巻(2024年9月時点)。
高校の倫理教師高柳と生徒たちの触れ合いを描いた、いわゆる教師モノ。
中心に置かれているのは高柳だが、ほとんどの話が各生徒の視点から描かれている。
生徒たち1人1人の掘り下げ→全員で議論→卒業or転任→高柳の過去回という一連の流れができており、定期的に生徒が総入れ替えするのが特徴。
2020年には小説版が発売。著者はひずき優。
2021年には
NHKでドラマ化した。全8話。
ストーリー
「倫理」とは人倫の道であり、道徳の規範となる原理。学ばずとも将来、困る事はない学問。
しかし、この授業には人生の真実が詰まっている。クールな倫理教師・高柳が生徒たちの抱える問題と独自のスタンスで向かい合う――。
新時代、教師物語!!
登場人物
前述の特徴により、便宜上年度ごとに生徒たちを第一部、第二部と分けて記述する。
CV:
櫻井孝宏(3巻発売記念映像)・
寺島拓篤(8巻発売記念映像) / 演:山田裕貴
高校教諭。専門は倫理だが、政経も担当している。陰のある物静かな男性。
下の名前は不明。第一部の生徒たちからは「たかやな」というあだ名をつけられていた。
整った容姿で女子からは好評。年齢は30代半ばと推測できる。喫煙者で、友達は少ない。
不器用ながらも生徒を救いたいという確固たる意志を持っており、どんな生徒にも真摯に向き合う。
あらゆる場面で哲学者の言葉を引用しては生徒に手を差し伸べるのがいつもの流れ。
セクハラと不公平な救いを許さないため、生徒には極力触ろうとしない。
基本無表情だが無感情
というわけでは決してなく、赤面したり、腹を抱えて笑ったりする一面もある。
導くというより生徒たちに寄り添い、ともに悩んでくれる教師。しかし
完璧超人ではないため、自力では救えない生徒に苦悩する姿も見られる。
幼少期に両親が離婚し、母と祖母と3人で暮らしていた。生活は平穏だったが、父がいないことは寂しかったらしい。
一部の読者からは色気がすごいと評判。ちなみにバツイチらしい。
生徒たち
第一部
演:茅島みずき
第一部の中心人物。当初は校内でも構わず性行為に及び、宿題もろくに提出しない問題児だった。
高柳にも目をつけて誘惑するが、花魁を引き合いに「貴方には教養がない」という理由で断られる。
以降、ボールペン字を学ぶなど少しずつ勉強に興味を持ち始める。
しかしある日、付き合いが悪くなったことに怒った男子生徒に
レイプされそうになる。
その時身を挺して助けにきた高柳に恋をし、彼に見合った教養のある女性になると宣言した。
元々、男性を受け入れたのは喜ばせたくて(過去にDVを受けていたらしき描写もあり)我慢していたにすぎず、望んで
ビッチになったわけではなかった。
CV:
河瀬茉希
成績優秀な女子生徒。しかしこの世に理解できないことはないと傲慢になっており、実の親すら内心馬鹿にしている。
高柳のことも「生徒を完全に見下している」とよく思っていなかった。
鏡でも見ていたのだろうか
CV:西川舞
いつも笑顔の、朗らかな女子生徒。倫理を選択した中で唯一同じクラスだった酒井によく話しかけるようになる。
将来の夢はお嫁さん。最近大学生の彼氏ができたと浮かれていたが…
演:池田優斗
眼鏡をかけた小柄な男子生徒。小中といじめられてきた経験から、「いじめられっ子に寄り添える先生になりたい」という夢を持つ。
一目見て高柳を「いい先生」と認め興味を持つも、彼が喫煙者だったことに幻滅した。実家はお金持ち。
非常におとなしい女子生徒。僕っ娘。鞄の中に秘密を抱えており、これが原因でクラスメイトとひと悶着起こした。
母親以上に高柳に心を開いており、彼にのみ秘密を明かした。彼女の話は読者からの評価が特に高い。
演:渡邉蒼
不良じみた男子生徒。授業中はいつも寝ており、それを気にかけた高柳に電話番号を渡された。
母子家庭で母親は遅くまで働いており、家では時間を持て余していたため、夜遊びを繰り返していた。
演:池田朱那
自称Sな女子生徒。名前は「ときよ」と読む。男性教師を色仕掛けや痴漢の冤罪で陥れるという悪質な悪戯を繰り返している。
高柳もターゲットにしたことがあるが、全く動じなかったため苦手としている。美人でモデルをしている姉(実写版では妹)がいる。
演:板垣李光人
保健室登校の男子生徒。1年留年している。大声が苦手で、落ち着きのある高柳の声を気に入っているので彼の授業にだけは出席している。
精神病を持った母親に暴力を振るわれて育つという境遇により愛着障害を持っており、普段はおどおどしているが懐いた人物にはスキンシップが激しくなる。
演:浦上晟周
ごく普通の男子生徒。やりたいこともなければ大した悩みもない平凡な自分に悩んでいたら交通事故に遭った。
実写版に出演していたのに掘り下げ回がなかった不憫な生徒。
地味で引っ込み思案な女子生徒。SNSに谷間などのきわどい自撮り写真をアップすることで承認欲求を満たしていた。
次第に授業中でもスマホを覗くほどSNSに依存していく。
演:川野快晴
間、山野と仲がいい男子生徒。兄がいわゆる半グレであり、薬の運び屋をやらされるようになる。
それでもみんな優しいからと流されていたが、ある時(あらゆる意味で)ピンチに陥った。
演:犬飼直紀
風変わりな男子生徒。文武両道で友達もいないわけではなく、家では口数少ないが喋るものの、学校では全く喋らない。
議論の授業では筆談を使う。喋れないわけではないようだ。
演:杉田雷麟
おとなしい男子生徒。学歴の低い父親を嫌う非常に教育熱心な母親に従い、いつも勉強に励んでいる。
しかし内心は現状に疑問を感じつつある。
演:中田青渚
クールな女子生徒。交友関係は深く狭くがいいと考えている一匹狼気質。
群れたがるクラス内の空気を煩わしく思っているが、クラスの
LINEグループには入っているなど、完全な1人にはなりきれずにいる。
演:吉柳咲良
ぽっちゃりした女子生徒(実写版では痩せていた)。家庭内のストレスをリストカットで発散している。
「結局みんな本当の心配なんかしていない」と、友人すらも内心は信頼していない。好きな
ゲームをプレイしていたことから都幾川と仲良くなり…。
第二部
第二部の中心人物。Xジェンダーを自認しており、体は男性だがいつも化粧をしている。そのせいで学校では浮いている。
家庭を顧みない父親を嫌っており、その象徴であるネクタイを頑なに着けようとしなかった。
ツイン縦ロールの女子生徒。「かわいい」に強いこだわりを持っており、かわいいものに囲まれていないと気が済まない。
沖津に興味を持つも、すげなくかわされる。気に入らないものは口汚く罵る、周りが見えていないところがある。
肥満体形の男子生徒。ソシャゲに熱中しており、それ以外のことには全く興味を持っていなかった。
ある日スマホを線路に落として壊してしまい、何をしていいかわからなくなってしまう。
おっとりした雰囲気の女子生徒。その容姿や振る舞いからクラスメイトには「姫」と呼ばれているが、裏では
万引きの常習犯。
かつては社長令嬢だったが、中学生の時に倒産してしまったらしい。
大柄な男子生徒。運動神経は悪いが力持ちで、年老いた祖父の介護を任されているヤングケアラー。
非常に家族思い。
非常に大柄な女子生徒。女子らしい格好を嫌うトランス・ヴェスタイトで、女子用スラックスの採用と
リボンの強制の撤廃を目指して署名活動をしていた。
作中でもトップクラスに人ができている。彼氏持ち。
髪を赤く染めた男子生徒。幼少期から「何かを殺したい」という衝動を抱えており、何度も暴力事件を起こしてきた危険人物。
高柳に「なんで人を殺しちゃいけないの」と話をしたがった結果、ある所へ連れていかれた。
「隠れて悪いことしても神様は見てるからね」と厳しく育てられており、自慰行為をやめられない自分に強い罪悪感と自己嫌悪を抱いている。
高柳にセクハラすれすれ(というかほぼアウト)な質問をした。
筋肉質な男子生徒。サッカー部の次期キャプテンを期待されている。しかしそのサッカー部では顧問からの
体罰が絶えない。
暴力への恐怖、周囲からの期待と責任感、顧問がいなくなることへの不安など様々な感情の板挟みになっている。
眼鏡の陰気な男子生徒。とある企みにより
修学旅行をドタキャンした。
3日間の補修の中で、高柳にだけその理由を明かした。
ヘビメタが好き。
とても思い込みの激しい女子生徒。クレランボー症候群の気があり、高柳に片思いされていると思い込んでいた。
次第に
ストーカーまがいの行動をするようになり、高柳行きつけの
喫茶店に通い詰める。
眼鏡をかけた真面目そうな女子生徒。彼女のみ抱えている事情が明言されていない。何かの選択を迫られている。
「何故人を殺してはいけないか」という議題の授業を欠席しようとした。
第三部
第三部の中心人物。「面倒クセーのが嫌」と普段は怠惰に過ごしているが、根は素直。
母親には「もう諦められてる」らしく、関係が希薄である。陰で援助交際を繰り返している。
ベリーショートの女子生徒。とてもおしゃべりで、誰にでも分け隔てなく話しかけることができる。
しかしそれを「うるさい」「媚びてる」など悪く思われることもあるようだ。
幼いころから委員長などを多く請け負ってきた優等生。
とてもプライドが高く、大人からの受けはいいが同年代は見下している。
「絶対に誰も俺の話を聞かない」と諦念を抱いており、本音を話さないように過ごしている。
彼女がいるが、上記の振る舞いのせいでうまくいっていない。実家が新興宗教を信仰している。
自分の容姿に強いコンプレックスを抱いている女子生徒。歯列矯正器具を隠すために学校ではほぼ話さずに過ごしている。
自分はブスだから不幸で、
イケメンの高柳は生きてて幸せだと思い込んでいる。
真面目に物事を考えない、取り組まない周囲に強い苛立ちを覚えている。
正義感が強すぎるあまり少々独善的になっており、深夜までネットでレスバしてしまったことも。
苗字は不明。中高と一緒だった加賀谷えみりとは大親友…を通り越して依存関係にあり、何もかも同じでないときが済まない。
えみりに他人の影が近づいたら激しく嫉妬し、逆に嫉妬されたら内心悦びを覚えている。
幼いころから塾に通いづめており、人並みの娯楽を経験したことがほとんどない。
それに嫌気がさしているが、「今までの時間がもったいないから」と投げ出すこともできない。
最近両親が離婚し、周囲にそれを哀れまれることにうんざりしている。
高柳にそれを愚痴ったところ、自身の過去を明かされた。
いわゆるグレーゾーンであるらしく、授業そっちのけでいつもノートに絵を描いている。
描いているのは彼女の感情を表した抽象画。なかなか独創的だが、今以上に絵を極めることは考えていないようだ。
YUNという意識高い系インフルエンサーに傾倒しており、オンラインサロンを受講している。ハンドルネームはハヤ。
ある日、何とか工面したお金でオフラインパーティーに参加するのだが…
教師陣
第一部・第二部
演:田村健太郎
物理を担当している男性教師。冴えない容姿から、生徒から「キモい」だの「童貞」(事実)だのと馬鹿にされている。
深川から誘惑され、理性と本能の狭間で悩む。
演:梅舟惟永
養護教諭の女性。よく言うと世話焼き、悪く言うとおせっかいな性格で、生徒と一線を引いている高柳を冷たい人だと言った。
隅井のクラスの担任教師。非行に走った隅井を案じる一方、自分の子どもへの対応はおざなりになってしまっている。
第三部
ふくよかな中年女性。おしゃべりだが相手が嫌がる話はせず、深刻な相談にはユーモアも交えつつ真摯に答えるなどデリカシーがある。
あることをきっかけに国近に懐かれる。
美術教師。沢石には「カッキー」と呼ばれ懐かれており、毎日放課後に話をしている。彼女の将来を案じている。
その他
演:成河
怪しげな風貌の男。(表向きは)バーのオーナーで、近藤の兄たちと付き合いがあった。ちなみに
バイ。
明らかなアウトローで高柳とは相容れない立場だが、高柳自身のことは嫌っているわけではない。本名は川村。
眼鏡をかけた生真面目そうな男性。高柳の貴重な友人の1人。カウンセラーをしている。
相手の一挙一動を観察してその理由を探り、考え方を見つけるのが彼のやり方。
そのマシンガントークっぷりは鳥岡を唖然とさせた。
演:古屋隆太
回想および過去回にのみ登場する、高柳の大学時代の恩師。哲学科所属。酒と煙草が好き。
良くも悪くも昭和の親父といった人物で、彼の講義は当時でも時代錯誤と不人気だったらしい。
高柳とは2人で旅行するほどの仲だった。佐名美という娘がいる。
高柳は彼に父性を見出して無自覚に甘えていたようで、それを本人に看破されている。
余談
本作が描かれるに至った経緯は1巻の
あとがきにて明かされている。たった3ページだが泣けると評判であり、必読である。
追記修正は倫理を学びながらお願いします。
- 先生も完璧な人じゃないのがいいよな -- 名無しさん (2023-04-27 23:00:39)
- ↑「ミステリと言う勿れ」ね。あっちは「僕はこう考えます」こっちは「『生き方』をあらゆる人が考えています」って感じ。 -- 名無しさん (2023-04-28 20:09:44)
- 先生と生徒が絡む内容かつタイトルで悪の教典や小悪魔教師サイコみたいな不穏な話かと思ってた。毒され過ぎかな… -- 名無しさん (2023-04-29 23:37:38)
- 押し付けがましくないのがいいよね -- 名無しさん (2023-04-30 20:09:46)
- 報告にあった荒らしコメントを削除しました。 -- 名無しさん (2023-06-18 23:27:09)
最終更新:2024年09月16日 17:36