突撃チキン!

登録日:2023/09/29(金) 21:18:14
更新日:2023/10/29 Sun 23:03:38
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コミックボンボンで連載されていた漫画。作者は坂本憲司郎。坂本氏の商業デビュー作であり、読切を経て連載へと至った。

ボンボン末期の作品にしては少年漫画らしい描写や練られたストーリーが人気を誇っていたが、
ボンボン休刊の煽りを受けて多くの謎を残したまま打ち切りとなってしまった。
なお、作者は機会があれば続きを描きたいと述べている。



登場人物

【チキン一行】
本作のメインキャラ。元ネタはもちろん、ブレーメンの音楽隊。

●チキン
主人公。ブレーメンを目指して旅をしている少年。
その場のノリや勢いだけで行動したり素で大ボケをかますなどお馬鹿で天然な面が目立つが、正義感が強く、我欲で他者を傷つける悪党相手には「世界の果てまでブッ飛ば死」の精神を以って叩き潰す。決め台詞は「突撃!」と「一件落着コケコッコー!」後者は途中から別キャラに取られたりする
ピーマンが大嫌い(味や食感ではなく「クサイ」から)だが、赤ピーマンは平気何でだよ
前髪が赤く怒りが頂点に達すると逆立つが、これは初期設定ではニワトリに変身する予定だったらしく、その名残り。文字通りトサカに来るってこと
身につけている赤ネクタイはニクゼンを模している。

その正体は、作中最強の軍事国家である「シーザー王国」の王子様。ブレーメンを目指すのも、バンディッツによって滅ぼされた故郷を救うためであった。

●M・T
チキンの相棒のスライム。フルネームは「ミシシッピ・寺本」。変な生き物呼ばわりされるとキレる。主にチキンに対してのツッコミ役だが、ノリの軽さはチキンと同等。

スライムらしく体が柔らかいが、硬質化も出来るのか、戦闘時にはハンマーに変身し、チキンとのコンビで戦う。

●ミュウ
動作や仕草が猫っぽい義賊の少女。お宝や金目の物に目がないが、私利私欲の窃盗はせず、人の道に外れる行いをしようとした少年を咎めるなど根は優しい。

エッグタウンでチキンと出会い、事件解決後はチキンに付いて行った方が面白そうという理由で仲間に加わる。
父親は某三世そっくりな顔した大泥棒モンキーキャット。
髪に付けているのはエクステ型の刃「猫の爪(キャットクロー)*1。ブレーメンの宝であり、自身の8歳の誕生日プレゼントに父親から授かったもの。

●バウワーウ
チキン達がハートフルランドで出会った少年。
ハートフルランドがバンディッツのシノギとなっている実態を暴くために共闘し、解決後はなし崩し的に仲間に加わる。
正義感は強いが短気で喧嘩っ早く「負け犬」という単語に過剰反応する程の負けず嫌い。小学生か
戦闘時には犬に変身する。この姿では文字通り鼻がきくため、臭いで敵の位置を炙り出すことが可能。

常に身につけているオープンフィンガーグローブは「犬嘩上等(けんかじょうとう)」。拳から気合弾を放つ能力を持つ。もう一対となる猿型のグローブ(こちらの名称や能力は不明。)があり、サルゴーが持っている。なお、この二対のグローブは謎の怪物を封じ込めていた

回想ではチキンに出会う前の経緯が描かれており、教会育ちでありながら信心の無く素行の悪い問題児であったがために、幼馴染のマリアからは手を焼かれていた。
ある日、教会に盗みに入った際に犬嘩上等を頂こうとしたが封印されていた怪物を放ってしまい、自分達の軽率な行いのせいでマリアが巻き込まれてしまった罪悪感から、呪いを解くとされる「ハートスマイル」を探していることが判明する。

●ドンキー
チェス王国のナイト隊を率いるロバの少年。王国最強の騎士と呼ばれた父親・ジークフリートに憧れて入隊した経歴を持つ。
父親のような立派な騎士になりたいという意志や王国王の忠誠心はあるものの、戦闘が始まると樽の中に隠れたり敵に睨まれて怖気付くなどかなり気弱。

O-ショウの襲撃の際にも震えているだけだったが、部外者であるチキン達の奮戦やバンディッツに屈しない国民を見て、恐怖しながらも立ち向かう事を決意。
国王を守る為にO-ショウの前に立ち、自分一人では勝てない相手と分かっていながら立ち向かう意志と、ダム破壊による水没作戦から「故郷を守る」と強く願った事でウイングスピアを完全に扱える様になった。

戦闘終了後は、戦いの中で成長チキン達に同行する事を決める。

かつて父親が武器として使用していた槍「ウイングスピア」。実はブレーメンの宝の一つ。
おでんみたいな形}羽のついた槍*2の形状の通り、所持者に飛行能力を与える効果を持つ。
発動の条件は「何か守りたいという強い気持ち」であり、戦いの最中に父親の言葉を思い出し「故郷を守りたい」という思いを振り絞ったドンキーを新たな所持者として選んだ。

O-ショウとの戦いの後は心身共に成長したのか、王家の鍵の奪還と裏切り者であるクロスの真意を問い正す為にチキン一行に加わる事を自ら志願した。


●アッヒルー
港町「イッカリー」に佇む巨大なアヒル船。

かつては子供達に愛されていたが、海賊のホエールに馬鹿にされ続けた為かかなりネガティヴ。それ故に自分に対する失言や地雷発言にはめちゃくちゃ敏感であり、いちいち気にしてはズルズル引っ張った挙句落ち込んで自虐や自己嫌悪に走るなどぶっちゃけ覚醒前のドンキーよりも面倒臭い。


イッカリーの街で行われる「海の男レース」に参加することになり、後ろ向きな性格とホエールの妨害行為に苦しめられたが、「チキン達を守りたい」という決意から飛行能力を取得。
そしてレースでは問題外のルール違反であった為失格になった

レース後にクラーケンが町を襲撃して来た際には飛行能力を活かしてチキン達を支援しつつ立ち回り、最終的には追い払うことに成功した。
因みにクラーケンが暴れた原因はホエールが自棄になって撃ちまくった大砲が直撃したため。もちろん市長にぶっ飛ばされた

後に自らがブレーメンの宝であると判明。そのままチキン4人目の仲間となり、チキン達を乗せて次の目的地である「人魚島」へ向かって飛び立った。
え?後に作者が気まぐれでチキン達を描いたけど最終回から7年くらい経っていてその間ずっと飛びっぱなしだっただろって?ハハハ、そんなまさか

スワンボートの様な見た目や、水に浮かんでいるだけの存在が空を飛ぶ様になるという点から、モチーフはおそらく「みにくいアヒルの子」か。


【バンディッツ】
本作の敵。世界中のあらゆる宝の強奪と独占を目的とした最低最悪の犯罪者集団。
ブレーメンの宝を狙っており、目的の為なら強盗や殺人といった悪事も厭わない。

そんな極悪非道さに違わず構成員も卑劣漢だらけであり、他者を踏み躙る様な真似を嬉々として行ったり、ふざけた態度でイキリ散らす。戦いでも決して正々堂々とは戦わず、不意打ちや騙し討ちといった姑息な手段を使うが、通用しなかったり勝ち目がないと判断すれば変顔晒して驚いたり 即座に逃げ出すなど基本三下レベル。そして大体逃げ切れずにチキンにブッ飛ばされるのがお約束。


●マウスボーイ
バンディッツ最強格とされる強盗四天王(カルテットロバー)の一人。名前の通りネズミを模した頭巾を被っており、ルー語英語を交えた喋り方をするが、使えない部下を物理的に斬り捨てるなど本性は冷酷非道。
ミュウの両親を殺した張本人であり、彼女からは仇として追われている。

持っている刀は「妖刀鼠小僧」というブレーメンの宝であり、所持者の素早さを倍速させる効果を持つ。

●O-ショウ
バンディッツ最強格とされる(ry
「将棋戦隊」という私兵を引き連れている。
元はチェス王国の軍師であり、「軍神」と呼ばれていたが、国を裏切ってバンディッツに鞍替えした。
軍師だけあって頭の回転が早く、高度な戦術を生み出す能力と洞察力に長けている。幾十の策を張り巡らせ、その中でも最大となる策は絶対に読まされない様に徹底する抜け目のない戦略を立案したり、
卑怯呼ばわりされても「最高の褒め言葉」と平然と返す様はまさに狸ジジイと言える。

それでいて本人の戦闘力も高く、直接戦闘では風扇を武器にして戦う。

この手のキャラにありがちな、想定外の事態が起こって慌てふためいたり、自らの策に溺れるなどといったミスは一切犯していない。
手下を全滅させられようが、身の程知らずと侮っていたドンキーの覚醒といった最大の誤算が起きようが、常に余裕の態度を崩さずに最後の最後の最後までチキン達を翻弄し続け、最終的は勝ち逃げを成し遂げた。

持っている扇は「風扇」というブレーメンの宝であり、一振りするだけで芭蕉扇の如く強風や嵐を巻き起こす。

元ネタは将棋の「王将」。配下の将棋戦隊のメンバーも将棋の駒から取られている。

●ゼブラ
バンディッツ(ry
横縞の服を着た死神のような風体をした男で「白黒」が口癖。
登場が確認されたのみで戦闘しないまま終わってしまったため、どういう人物なのかは不明。

●サルゴー=リラッパー
バン(ry
サル顔のラッパースタイルの男。
バウワーウの回想で名前が判明し、彼とは腐れ縁の関係。これがホントの犬猿の仲
バウワーウと別れた後、ハートスマイルを探す旅に出たらしいが、何故バンディッツに入ったのかは明かされないまま終わってしまった。

●フォックス
表向きは遊園地「ハートフルランド」の経営者だが、その正体はバンディッツの構成員。
半グレ風のキツネの獣人で、「百面相」の通り名の通り化けるのが得意。

賑やかな遊園地の裏で来訪者を拉致しては強制労働させて奴隷扱いしたり、騙し討ちでチキンを罠に嵌め、ミュウとM・Tを人質を取るついでにバニースーツを強制的に着せるなど絵に描いたようなゲス。

●ボス
バンディッツの親玉とされる大男。
ブレーメンの宝の強奪を命じられた手下がチキンにぶっ飛ばされたとの報告を受け、(){トイレで踏ん張りながら}組織にとっての邪魔者となるチキンの抹殺を命じた。
巨大な人型のシルエットのみで姿は最後まで明かされなかった。

●ミカヅキ
回想に登場したバンディッツの構成員。その名の通り頭部が三日月の様な形をした男。
王家の鍵を奪いに数百人単位の手下を引き連れてシーザー王国を襲撃するも返り討ちにされて失敗し、悪足掻きにムーンスリープの力を解放し、自らの命と引き換えに国を機能停止に追いやった。

所持している三日月のステッキ「ムーンスリープ」はブレーメンの宝の一つ。発動すると所持者を中心としたバリアのようなフィールドで覆い、その内にいた者は強制的に眠らされた挙句、目覚めることのない夢に意識を閉じ込められてしまう。
なお、所持者は発動と同時に杖に生気を吸い取られて絶命する。

●アロー
バンディッツの女性秘書。悪魔の角の様な帽子をかぶっている。

互いに敵意を剥き出しにするマウスボーイとゼブラに慌てふためいたり、ボスにツッコミを入れるなど、バンディッツの一員とは思えない程真っ当な精神の持ち主。

【シーザー王国】
チキンの故郷。
最強の戦力を誇る軍事国家と称されているが、平和を愛する心を持っている。
チェス王国は同盟を結んでいる友好国。
バンディッツによって国民全員が目覚めることのない眠りに堕ちたことで機能停止に陥り、実質滅亡してしまった。

●リオン
シーザー王国国王でチキンの父親。国を預かる立場でありながら政務をすっぽかしたり、来訪者が現れても漫画を手放さない所謂サボり魔だが、やる時はやる男であり、決してダメ親父ではない。
国の危機とあれば自ら出陣し、バンディッツ数百人の手下相手に無双するなど戦闘能力は非常に高い。

ミカヅキの襲撃から国を守る為に奮闘したが、ミカヅキが置き土産として発動したムーンスリープの力に巻き込まれないようにチキンとセバスチョンを領土外へ追い出した後、国民共々眠りについてしまった。

●スノウ
シーザー王国王妃にしてチキンの母親。

●セバスチョン
シーザー王国大臣。
勉強をサボって抜け出すチキンに手を焼いている。
チキンとM・T以外の国民では唯一ムーンスリープの影響下から免れたが、その後の消息は不明。

【その他】
●犬嘩上等に封じ込められていた怪物
バウワーウの回想に登場した謎の怪物。藁で作ったカカシの姿で左手の指がアメリカンクラッカーの様な形状になっている。
バウワーウとサルゴーが犬嘩上等を盗んだ事で封印から解き放たれ、二人に襲いかかり更にたまたま入ってきたマリアをも狙い彼女から感情を奪うが、直後にバウワーウとサルゴーに消し飛ばされた。





用語

●ブレーメン
どんな願い事でも叶えてくれると言われている伝説の場所。
チキン達の最終目的地だが、到達はおろか誰一人として発見すら出来ていない為、存在すらも疑わしいものとされている。

●ブレーメンの宝
ブレーメンへの行き先が記された秘宝。凄まじい力を秘めているが、その発動条件は何れも勇気や強い思いとなっている。
秘宝の力が解放されている状態で「ブレーメンメンブレーメン」と唱えると巨大な光の矢印が浮かび上がり、向かうべき方角と次のブレーメンの宝があるヒントとなる場所を指し示す。
なお、バンディッツの一部構成員も所持しており、謂わば敵の手に渡り悪用されてしまっている。



余談

  • 作者は自他共に認めるボンボン読者であり、過去に今まで買ったボンボンを集めてベッドを作り上げたことがあるそうな。
  • 次回作『BUSTER KEEL!』では、本作との繋がりを示唆する描写が存在する。
  • ほぼ同時期にボンボンで連載されていた『ろぼおっ!』の作者・小田太郎氏とは半ば一方的に刺激し合う関係だったらしく、コラボ回『突撃ちきおっ!』の作画も担当した*3。小田氏にファンレターを送った時には自分よりも絵が上手いことに小田氏がショックを受けていた。また、坂本氏がマガジンRで連載していた『漆黒の天』の単行本に鳥山アンジェリーナという物語とは一切関係ないニワトリが登場するが、元々はろぼおっ!のニワトリの格好して学校に潜む変質者登場キャラである。


追記・修正はブレーメンにたどり着いた方がお願いします。

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最終更新:2023年10月29日 23:03

*1 なお、初登場時には鉤爪を装備していたが、当初はこれが猫の爪だと思われていた。

*2 名称こそ「スピア」だが、馬上槍型の形状やドンキーの立場から「ランス」に近い。

*3 ちなみにろぼおっ!とコラボしたボンボン作品は他に『とびだせ!!ターパン』があった。