キャップ革命ボトルマン(ホビー)

登録日:2023/10/16 Mon 16:28:18
更新日:2024/10/14 Mon 19:57:05
所要時間:約 67 分で読めます





ボトルキャップをシュワッと発射!ボトルバトル GO!!


♦概要


ビーダマンの系譜としてタカラトミーから販売され、アニメ展開もされた「キャップ革命 ボトルマン」シリーズ。
本項では実際に販売されたホビーの方に焦点を当てて紹介していきたい。アニメについてはこちら

改めてキャップ革命ボトルマンとは、タカラトミーから販売されているボトルキャップを発射するホビーである。
平成時代に人気を博したシューティングホビー「ビーダマン」シリーズの流れを汲む後継シリーズであり、
過去のビーダマンのデザインや機能をモチーフとしたボトルマンが登場、更にリバイバル商品も発売されるなどオールドファンが喜ぶ展開も多い。


♦ビーダマンとの違い


弾がビー玉からキャップに変わったことによる一番の違いはその軽さ。
発射速度が上がり弾が転がったり滑ったりではなく文字通り空中を”飛んで”行くので非常に爽快感がある。

これによって遊びの幅はぐんと広がり、的に高さを持たせたストラックターゲット(いわゆるストラックアウト)、
坂に弾を撃ち込んでジャンプさせゴールに放り込むバスケットなどビーダマンにはなかった遊び方が多く登場している。

ただその分キャップが散らばりやすく、後片づけが大変なのが悩みどころ。
好き放題やると冗談抜きで部屋中にキャップが散らばるのでフェンスを自作するなど何かしら対策を取ろう。100均にあるもので十分賄える。

丸かったビー玉と違いキャップには向きがあるので装填にはコツが要るようになり、大容量マガジンなども登場しなかった。
また転がらなくなったことで弾が射線上に留まりやすく、障害物になってしまいやすい側面も。
その分、キャップの向きを活かして縦にしたキャップを発射する機体も存在しており、遊びのバリエーションにも繋がっている。

なお、発射する弾がビー玉でなくなったのはおそらく安全基準の都合。
ビーダマン時代もシリーズを追うごとに発射威力は下がっていく傾向にあったし、そもそもビー玉を弾としていたのは当時家庭にありふれていたものだから。
この令和の世においてビー玉はもはや一般家庭であまり見ることのない代物。これも時代の流れなのだ…。

その点ボトルキャップなら今の家庭にもありふれているうえ、ペットボトルを捨てる際の分別にも繋がる。
もちろんキャップは商品にも付属しているほか、ロゴ入りキャップや特殊キャップの単品販売もされている。

他にもシリーズ開始と同時にNintendo Switchと連動して遊べるセットが発売されるなど、令和のおもちゃとしてしっかり進化しており精力的に遊びの幅を広げる努力がされている。

しかし2020年10月というコロナ真っ只中に開始されたシリーズのため、この手のホビーにありがちな競技大会や対面バトルを目玉にできずやや盛り上がりに欠けた印象が拭えない。
ビーダマン時代には様々なギミックのシンボルバトルが登場し、それが人気の理由の一つになっていた。

♦特色


ボトルマンには「パワー」「スピード」「コントロール」の3タイプが割り振られており、それぞれ発射威力連射発射精度に優れるが他の分野は劣り気味としっかり差別化されている。
そのうえ外付けの拡張パーツがほぼない(初代)、対応するタイプに適したカスタムパーツしか装備できない(DX)など”何でもできる最強機体”が生まれないような工夫が見受けられる。

これはいろんな機体に触れてほしいというメーカーの方針によるもの。
ビーダマン時代はマガジン、バレルにパワー補助パーツまで全乗せのゴテゴテ機体が当たり前だったのでこのあたりも違いの一つだろう。
Gシリーズになって3タイプ全部載せ自体は解禁されたが、それでも全競技に対応できる万能機体になるわけではない。

商品の形としては組立式だが、ランナーから切り離す工程はなくある程度の大きさのパーツごとに包装されている。
それらを嵌め合わせて作るだけなので組立だけなら10分かからずに終わるだろう。ただしシールが細かくて多いのでそれ込みだと30分ほどかかることも。
この簡単な組立式というのがちょうどよく、程よい工程で相棒を”作り上げる”高揚感が得られて愛着も湧きやすい。

各機体はそれぞれ特定の飲料をモチーフにしていることが推察される…というか誰の目にも明白だが、メーカー公認のコラボ機体を除いてモチーフ飲料は当然明言されていない。
本項では名前や色、機体エンブレムなどをもとにモチーフと思われる飲料を記載しているが、非公式であることは留意してほしい。
基本的にはボトルマン本体が飲み物自体の色のクリアパーツ、アーマーがラベルの色の非クリアパーツであることが多い。


♦キャップ革命 ボトルマン(プロトタイプシステムシリーズ*1


ここからはシリーズごとに触れていく。
まずは1年目、ボトルマン始まりのシリーズ。
2020年10月に各タイプのボトルマン1体ずつとSwitch連動セットが発売。並行してYouTubeにてショートアニメシリーズの配信も行われた。

ビーダマンの後継ということで発売前から注目を集めていたこと、コロナ禍で工場が思うように稼働できなかったことなどが重なって発売当初は品薄が相次ぎ、
転売ヤーの餌食になったどこに行ってもなかなか手に入れられない状況が半年ほど続いた。

このシリーズのデザインはほぼ2頭身で丸っこく、カッコよさとかわいさを併せ持ったビジュアルになっている。まさしくペットボトルの擬人化といった印象。

そのビジュアルにはシールも大きく貢献しているのだが、このシリーズのシールは多い、難しい、耐久性がないという三重苦。
曲面に貼ったり折り曲げたりは当たり前、複雑な形状の角にグルっと1枚のシールを巻く、細かいモールドの溝に沿わせるなどとにかく難易度が高く、ピンセットと綿棒はほぼ必須。
安易に爪や指で押し付けるとすぐに破けるので注意しよう。(1敗)

また耐久性で言えばボトルマン本体が非常に脆いのも問題になった。
ABSのクリアパーツ(MABS)を使用しているためあまり強度がなく、それなのにホールドパーツの拡がりを本体で抑えつける構造なのでその部分の破損が相次いで発生。
シリーズ中何度か構造が改良されたが抜本的な解決には至らず、解消されたのは次シリーズになってからであった。

パーツ構成は、「ボトルマン本体」に「ヘッド」「アーム」「フット」という3種のアーマーを纏わせる形。部位ごとに規格が統一されておりカスタムも可能。

ボトルマン本体はパッと見小さくなったペットボトルで、大きさはだいたいヤクルトを一回り大きくした程度。
発射口、装填口、トリガーなど基本的な発射機構を備えており、これだけでもキャップを発射できる。
また本体の上部にはペットボトル同様キャップを取り付けることができ、基本はここに機体のエンブレムが描かれたキャップ(商品に付属)をはめる。
もちろんお気に入りのキャップでドレスアップしてもいいだろう。

ヘッドはほとんど性能に影響はなく、ほぼ見た目用つまり超重要パーツ。

アームはホールドパーツの溝に直接嵌め込む形で装着するため、ほぼホールドパーツと連動する。
発射時にアーム前方を内側に締めることで伝家の宝刀締め撃ちが可能。初期はここに個性となる機能を備えた機体が多い。

フットは機体の安定性に関わり、地味ながら機体ごとにしっかり差別化されている。またシリーズ後期はこちらに機能を持った機体が多い。

ちなみに、パッケージをよく見ると機体名の上に二つ名のようなものが書いてある。
例えばコーラマルなら轟発射不死鳥。たいへんボーイズホビーらしく、心が躍る文字列である。





♦キャップ革命 ボトルマンDX


ボトルマン2年目*7のシリーズ。
DXはデラックス…ではなく「ドリンクロスシステム」の略。本シリーズの機体はすべて名前の最後にDXを冠する。

また本シーズンのアニメは地上波で放送された。よりによって戦隊ONE PIECEの真裏という超絶不利な時間帯だったが
冒頭はこのアニメ2期のキャッチコピーである。

ドリンクロスシステムとは、星座をモチーフとした形態に変形したアーマー「星獣アーマー」と、
構造を一新し名称も変わったボトルマン本体「コアボトル」が合体することでボトルマン形態になる…という新システム。

ただこのシステムは正直アニメ向け設定という面が大きく、実際のホビーにおいてはボトルマン形態をベースとして設計されているため星獣アーマー形態に無理があること、
星獣アーマー形態で何か遊べるわけではないことなどから最初からボトルマン形態で組む人が多いと思われる。付け替え変形自体は凄いことではあるのだが…。

構造もデザインの方向性も初代から大きく変わっており、パーツの互換性はなし。レギュレーションは変わらないので初代と並べて遊ぶのは特に問題ない。
また本シリーズからカスタマイズ性を前面に押し出しており、箱や説明書に公式のカスタマイズ例が掲載されているほか共通ジョイントのマガジンやバレルも登場した。
ただしこれらは何にでも付けられるわけではない。詳細は後述。

デザインは全体的にエッジが効いて少し頭身が高くなったほか、基本的に瞳を持たなくなった。結果かわいさもあった初代とは異なりカッコよさに大きく振り切っているといえる。
シールが丈夫になったのも地味ながら嬉しいポイント。

ボトルマン本体改め「コアボトル」はペットボトルが後ろに寝たような向きに変更。
キャップ部分がトリガーのジョイント(接続方法もキャップと同じ)になり、トリガーのカスタマイズが可能になった。

この構造の変化によって前シリーズを通して悩まされ続けた本体の強度の問題が大きく改善。
普通に遊ぶ分には破損する心配はほとんどないと言っていいだろう。過度の締め撃ちなどをすれば話は別だが。

性能面ではコアボトルがボトルマンのタイプを決定付けるようになり、それぞれのタイプごとに本体およびホールドパーツに違いがある。

パワータイプはホールドパーツ外側に締め撃ち用の突起があり、そこに干渉できるアームに限り締め撃ちが可能。

スピードタイプは変わらずローラーホールド。だがローラーが上下2つ(パーツとしては一体)になり、キャップに接触する面が増えて弾道が安定しやすくなった。
またこのタイプの本体のみ装填口にマガジン用のジョイントがある。

コントロールタイプはノーマルホールド。今回はパワータイプとしっかり差別化され、厚みがなく発射威力は控えめだが一体成型かつ幅が広いので安定性は一番高い。
またこのタイプの本体のみ発射口にバレル用のジョイントがある。

組み上げる前はホールドパーツと本体がバラバラなのでマガジン用ジョイントのあるスピードの本体にパワーのホールドという改造ももちろん可能。
最初はレギュレーションで禁止されていたが、シリーズ終盤に公式でそういった組み合わせの機体が登場して解禁された。
ただし一度組んだコアボトルを分解するのは破損の恐れがあるので非推奨(1敗)。やるなら新品を買って、組むときに組み合わせを変えておこう。

アーマーで違いが大きいのはアーム。ジョイントがホールドパーツと別になったので基本的にホールドに干渉できず締め撃ちができなくなった。
締め撃ちが可能になるのはパワータイプのホールドと特定のアームを組み合わせた時のみであり、その特定のアーム以外は露骨にホールドパーツを避けつつ覆う形になっていて干渉できない。
当然締め撃ちなしでもある程度威力が出るようになっているのでそこは安心していただきたい。アームを外してしまえば直接指で締めることもできるが、これは明確なレギュレーション違反。

締め撃ちできなくなったのはデメリットではあるのだが、初代では発射の際必然的に指を添えることになるアームがホールドと一体なので
左右の指の微妙な力の差がそのまま弾道に影響し、まっすぐ撃つことすら難しいという問題もあった。
今回で普通に撃てばまずまっすぐ弾が飛ぶようになったので、発射の手軽さというメリットにもなっている。

そして手軽さで言えばホールドパーツの改良で発射が非常にスムーズになったことも大きい。
威力は高いのに発射時のいわゆるギチギチ感が一切なく、先述のアームの改良と合わせて持ち方にも力の込め方にも気を使う必要がなくなったのでとにかく発射が楽。
全然力を込めていないのに威力のある弾が撃てるので、”一発撃ってみたくなる楽しさ”をより感じやすくなり遊ぶハードルがグッと下がった。

またギチギチ感の解消はホールドパーツへの負担の減少、ひいては本体への負担の減少に繋がり破損の心配が少ない一因ともなっている。

ヘッドには性能面での変化はないが、コアボトルにエンブレムキャップを付ける場所がなくなったので基本ここに取り付けるようになった。
回して付けるのではなく専用のジョイントに嵌め込む形。機体によってはアームに取り付けるものも。

フットも機能として大きくは変わらないが高さの概念が生まれ、パーツによって高さが低中高の3段階に分かれている。

他に細かい違いとして、初代では商品に同梱するキャップが基本エンブレム付きキャップ2個(本体用と発射用)だったのに対し
DXではエンブレム付きキャップ1個と無地のキャップ(公式ではブレットキャップと記載)1個になった。

また、初代のパッケージにあった強そうな二つ名はDXからはなくなってしまっている。非常に残念。




♦キャップ革命 ボトルマンG


ボトルマン3年目のシリーズ。
アニメも終了し、シリーズ最初の機体もコーラマルではないなどこれまでとは違った展開を見せている。
DXシリーズ同様、このシリーズの機体は名前の後ろにGを冠する。

シリーズ名の「G」は「ゴッドキャップシリーズ」の略。
その名のとおりキャップに着目し、機体ごとに特殊キャップ(ゴッドキャップと呼称)が同梱されるのが特徴。
このゴッドキャップは単品販売されるものが少なく、ここぞという時の必殺ショット的な位置付けだと思われる。
バトルビーダマンの必殺球(ストライクショット)に近い。

性能としては、各種アーマーの規格は変わらないもののコアボトルが「Gコア」に進化。
フロントとリアの前後2パーツに分かれており、組み立て後にもカスタマイズすることができる。
代わりにトリガーがリアと一体になり、トリガーだけでのカスタマイズは不可能に。

この進化により、前シリーズで解禁されたホールドパーツの組み換えと合わせて
パワーホールド・コントロールのフロント・スピードのリアという3タイプの要素をすべて掛け合わせたカスタマイズもついに可能になった。
この組み合わせは「Gコア・マルチタイプ」と呼ばれ、最初からこの形態で登場する機体も増えてきている。

またヘッドパーツのデザインラインが少々変わり、機体によっては顔に瞳が復活。それと額に宝石のようなものが付き、その分すこし縦に長くなった。

なおこのシリーズ展開時は既にコロナ禍も落ちつき始めており、ようやく本格的な大規模なイベント内に於いての競技大会も開催出来るようになったのだが、
同じタカラトミーのバトルホビーである『BEYBLADE X (ベイブレードX)』の展開が始まった事もあり競合してしまう可能性もあったのか、競技大会の開催や商品の展開も減っていき、2024年2月22日にはタカラトミー公式YouTubeチャンネルにて公開された「超ボトル道」に於いて展開終了を示唆した。
事実、2024年5月現在、新たなボトルマン関連商品の発表も無いのだが、果たして……?



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最終更新:2024年10月14日 19:57

*1 公式Q&Aでの呼称。通称は初代、無印など

*2 使い手がポカリをもじった名前(帆狩リョウ)なのでこちらもポカリモチーフと思いきや、エンブレムが完全にアクエリアスなので機体のモチーフはそちらと思われる。

*3 一応発射前のキャップに乗せるようにもう一個置くこともできるが、発射の衝撃で飛んでいくことが多くあまり現実的ではない。

*4 発射時にアーム前方が拡がると当然アーム後方は狭まろうとする。だが間にマガジンがあるのでそれを許さず、結果前方も拡がらずに締め撃ちのようになるという寸法。ビーダマンのフェニックスやコバルトなどが装備していたウイングも同じ理屈で発射威力を上げていた。

*5 大きく「茶」と描かれたエンブレムから

*6 シールド乳酸菌が配合されている

*7 厳密には初代開始が20年10月、DXが22年4月からなので1年半経過している

*8 CMはコーラマル(Cola Maru)の略

*9 黒龍王Gもそうだったのだが、あちらはあくまで3タイプモードチェンジを売りにしていてその点は大きく宣伝していなかった。

*10 蓄光して暗いところで緑色に光る白キャップ