ラマになった王様

登録日:2024/02/03 Sat 13:18:43
更新日:2025/01/03 Fri 16:26:08
所要時間:約 4 分で読めます







()()(わる)ばっかりしていると、そのうち「ラマ」にされちゃうよ。



ディズニーが贈る、とっても愉快な童話アドベンチャー!!



『ラマになった王様(原題:The Emperor's New Groove)』とは、ディズニーの長編アニメ映画。
アメリカでは2000年12月に、日本では東京ディズニーシー開園記念として2001年7月14日に公開された。
続編に『ラマになった王様2 クロンクのノリノリ大作戦』、TVシリーズの『ラマだった王様 学校へ行こう!』が存在する。


【概要】

本作の内容をざっくり説明すると、友情を強調しつつ、コメディに全振りした『美女と野獣』。
当初はシリアス路線でタイトルも『太陽の王国』だったが、『ノートルダムの鐘』の興行的不振により、急遽路線変更となったらしい。
「巨大なマップにそれぞれのキャラの現在地や通ったルートが点や矢印で表現される」というメタ表現が劇中で実際に行われており、
イズマとクロンクがクスコ達を追いかけるシーンで、自分達の前に赤い点々、自分達の通った道に紫の矢印が着いてくるのを発見し、「何これ…?」といったリアクションをするのを始めとして、メタ発言や表現に関するギャグやツッコミが当たり前のように飛び交う。
日本語吹替版においてはとにかく翻訳がワードセンスの塊であり、テンポよく飛び交うボケとツッコミ、パワーワードの数々に爆笑すること間違い無し。

……が、同年にあの『千と千尋の神隠し』が公開されたこともあり、日本ではマイナー寄りの作品となってしまった。

原題は『裸の王様』の原題である「The emperor's new clothes」のパロディ。
しかし原題をそのまま訳しても日本では意味が通じにくいため、昔話っぽさを感じさせる邦題が付けられたという。


【あらすじ】

舞台は南米のジャングルの奥深くに存在するとある王国*1
そこの若き王様であるクスコは、性格の悪さが原因で馬でもロバでもない変な動物「ラマ」に姿を変えられ、王宮から追放されてしまう。
運良く農民のパチャに拾われたクスコだったが、性悪ぶりは変わらないまま。果たして無事に人間の王様に戻れるのだろうか?


【登場キャラクター】

CVは原語版/日本語吹替版の順に記載。

  • クスコ
CV:デヴィッド・スペード/藤原竜也

主人公。もうすぐ18歳になる。
王様としての才能は割とあるが、意地悪でわがままで傲慢という超嫌なやつであるため、王位を狙っていたイズマはともかく、序盤で行われた形だけの葬式が終わった途端家来達にも清々したと言わんばかりの顔で蝋燭を投げ捨てられるほど人望も皆無。
序盤のワンシーンだけでも、気持ちよく踊っていた所にうっかりぶつかってしまった老人を僕のグルーヴを邪魔したと怒って城の窓から捨てる、妃候補の美女達をこれでもかと罵倒すると言えば彼の性格がよく分かるだろう。
「むしろこいつがヴィランで良くね?」なレベルで人情が欠落しており、それ故にイズマに薬を盛られてラマの姿にさせられてしまった。ある意味、藤原竜也のクズ遍歴の始まりかもしれない。
コメディ作品の主人公なので第四の壁が見えているが、本編中の自分とナレーションの自分が会話したのは彼くらいなものだろう。
本作は彼の成長物語であり、クスコがどう変わっていくかも見所の一つ。
ちなみに、本作公開前の宣伝ムービーと後のシリーズでは森久保祥太郎氏が代役および2代目を務めている*2

  • パチャ
CV:ジョン・グッドマン/楠見尚己

主人公その2。王国内に存在する村のうちの一つをまとめている中年の農民。
クスコに呼び出されて王宮に出向いたら、「君の村、僕の別荘兼リゾートに開発するから今すぐみんな出てって。君達がどうすればいいかは興味無い(要約)」と一方的に宣告されてしまう。
その後、偶然ラマになったクスコを拾うが、上記の横暴に怒りながらも彼を見捨てることができず助けてしまうという超お人好し*3
この人がいなければクスコは間違いなく野垂れ死んでいただろう。

  • イズマ
CV:アーサー・キット/京田尚子

本作のヴィラン。
元々はクスコを幼い頃から支えていた相談役だったが、王様の仕事の一つである「国民の話を聞く」事をクスコの忠告を無視して何度も勝手に代行したため、クビにされてしまう。
その後はクスコを恨むようになり、彼の毒殺と王国の乗っ取りを画策するが、薬のラベルが剥がれかけていたため、毒とラマになる薬を間違えてしまった。
動機だけ見るとクスコの被害者っぽいが、民の事を考えない王に変わって国民の悩みを聞く良い人かと言われると答えはNoで、実際には理不尽かつ厳しく突っぱねるのが彼女かクスコか程度の違いしかなく、彼女自身もわりとクズ*4なので正直どっちもどっちである
劇中でも「痩せた婆さん」はともかく、「シワシワな奴」*5で彼女だと通じる程見るからに魔女といった風貌の老婆*6だが、魔法の類いは一切使えず、どちらかというと薬学者的な側面が強い。
クスコに存在を知られている秘密の研究室を持っており、主にそこで薬を作ったりして悪巧みを行う。研究室に行く為のコースターを起動するレバー(右が正解)をクロンクが間違えて左のレバーを引き、彼女だけ仕掛けで酷い目に合うのがお約束*7
スカートの中にナイフを隠し持っており、それでクスコ達を怖気づかせようとしたが、当の本人達には「(スカートの中を)見せないで」「(見せたかったのがナイフだと分かって)あぁ良かった」とズレたリアクションをされてしまった。
本作がギャグマンガのような作風である&手下のクロンクが憎めないタイプの性格であるせいか、引くレバーを間違えられてワニのいる池に落とされたり、全身をハチミツ&羽まみれにされて子供達のサンドバッグになったり、飲む薬を間違えて子猫に変身したりと9割方ヴィランとして酷い目に合うのは彼女の役割であり、
ディズニーヴィランズのお約束の1つである「決戦シーンで高所から落ちたら助からない」を何故か注文&組み立てて置かれていたトランポリンのおかげで助かるという強引な方法でぶち壊したお人。
まぁ生存こそしたが、その飛び上がった反動で天井に頭を強打した上、その衝撃で人間になる薬の瓶を手放した事で一生猫のままという制裁は(一応)きっちり受けている。続編で猫耳&尻尾付きの老婆という誰得な出で立ちで元に戻るけど。
余談だが、原語版と日本語版で声優の声が激似。

  • クロンク
CV:パトリック・ウォーバートン/堀内賢雄

イズマの部下の筋肉モリモリマッチョマン。だが、根は純粋で善良な愛すべきバカ。
子供好きでクスコを始末する為にイズマとパチャの家に先回りした際も任務そっちのけで子供達との縄跳びを楽しんでいた他、警戒されまくっているイズマとは裏腹にチャカとティポにも懐かれている。
小学生時代は生き物クラブの部長だったため、動物と会話できる。中学と高校はレスリング部に所属していた。
料理上手だが、オリジナル料理は苦手なようで、ほうれん草のパイとか作ってしまう。

  • 天使悪魔
CV:パトリック・ウォーバートン/堀内賢雄(いずれもクロンクと兼役)

クロンクが悩んだ時に出てくる手の平サイズの天使と悪魔。
見た目はそれっぽい格好をしたクロンクで、天使はおしゃれ意識が強く、悪魔はオネエ口調なのが特徴。
クロンクの倫理観が割としっかりしているのに対して彼らのルールはかなり独特であり、酷い時にはパーマをかけていたせいで天使だけ出てくるのが遅れたりするなど、どちらの言葉もあまり役には立たない*8
当然ながらクロンクにしか見えない為、他の人物には左右の肩を見ながら1人でブツブツ話しているようにしか見えず、
「渡されたナイフでクスコ達を殺せ」という命令を実行するか否かを長々と1人で話していた(ように見える)為、敵と味方である事を忘れさせるようなリアクションをさせるほどイズマ達を困惑させた。
イ「…?(クスコ、パチャを見ながら「何やってんのアイツ?」と言いたげな顔でクロンクを指差す)」
ク・パ「(肩をすくめる)」

  • チチャ
CV:ウェンディ・マリック/一柳みる

パチャの奥さん。3人目を妊娠中*9
出番は少なめだが、良妻で芯の強い女性。
突然現れた喋るラマ(クスコ)をフライパンで顔面をぶん殴った。

  • チャカ
CV:ケリアン・ケルソ/山田千晴

パチャの娘。そろそろ下の前歯が生え替わりそう。
父さんがラマとキスする夢を見た。
チチャに似て強かであり、イズマの脅しにも「全然聞いてませんでした」と返すなど、煽りスキルが高い。

  • ティポ
CV:エリ・ラッセル・リネッツ/常盤祐貴

パチャの息子。成長期で背が伸びている。
父さんがラマと一緒に流れる川に落ちる夢を見た。
パチャの大叔母を名乗って近付いたイズマに縄跳びをしながら「大叔母ってのは嘘で、本当は大大大……(以下シーンを挟んで数え切れないほど「大」を繰り返しながら付き纏う)」「大お婆ちゃん」と言うなど、チャカとは別ベクトルで煽りスキルが高い。

  • リス
ジャングルに住むリス。初対面の相手にドングリを差し出す人懐っこい性格。
優しく言葉も分かるクロンクには懐く一方で、失礼なラマやイズマを嫌っている。
特技はバルーンアート。

  • テーマソング・ガイ
CV:トム・ジョーンズ/西城秀樹

クスコのテーマソング「ラッキー・ムーチョ」を歌う、アフロでグラサンでプレスリーな小人。
クスコから相当気に入られているようで、「優しさなんて知りもしないだろう イジワルさは世界一」とか歌ってても怒られない。
日本語版では本作最大の声優の無駄遣い。一応『走れ正直者』『ターンAターン』とアニソン経験持ちとは言え、西城さん何やってんの!?
ちなみにこの「ラッキー・ムーチョ」という楽曲は本作の主題歌でもあり、西城氏が「ムーチョ☆ヒデキ」名義で担当している*10


一方その頃、猿は虫を──って関係ねー! 戻して! 僕の追記・修正なんだ!


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最終更新:2025年01月03日 16:26

*1 インカ帝国のようにも見えるが、時代考証はガン無視。

*2 しかし、ディズニー100周年記念を祝して製作された短編映画『ワンス・アポン・ア・スタジオ-100年の思い出-』では藤原竜也氏がクスコの声を担当している。

*3 改心前のクスコにすら少なくとも悪い奴ではないと認識されていたようで、怒りのままに「お前がこの映画の悪者だな!」と言った直後、「にしてはキャラクターに毒がない」と発言している。

*4 続編に登場した友人によると、愛情表現が人と違うだけで根は悪人ではないらしいが。

*5 原語版では「ホラーみたいな女」「ホネ女」。

*6 クスコ曰く「生きた化石」「妖怪」「肌年齢は200歳」「50年前に散った花」と原語、吹き替え、字幕全てでボロカスに言われるほど。

*7 本作では「ワニのいるプールに落下する」だが、『ラマだった王様』では毎話毎のお約束になっており、石で出来たゲンコツや足、巨大ピラニア等が降ってくる。案の定被害を受けるのは大抵イズマだけだが、こちらでは時にクスコが巻き込まれる事も。

*8 「片手で逆立ち出来ないから天使の言う事は信用出来ない」と全く関係ないはずの事を言う悪魔に天使が「アレやられちゃ俺の負け」と肯定してしまうなど。

*9 続編にあたる『ラマだった王様』では3人目の子供、ユピが登場している。

*10 なお、西城氏側のCDには2001年のセルフカバーアルバム『PLANETS ~30th anniversary 12 Songs~』のボーナストラックとしてのみ、収録された。