美女と野獣(ディズニー映画)

登録日:2015/01/21 Wed 21:54:38ですよ、マドモアゼル
更新日:2025/07/05 Sat 16:09:02だ
所要時間:約 5 分で読めますよ




美女と野獣』とは、同名の18世紀に書かれたフランス童話を原作にしたディズニー映画。ただし原作とディズニー版では筋書きは大幅に異なる。
日本では1992年9月23日に公開。後年ミュージカル化され、2017年には実写化もされた。また、東京ディズニーリゾートにおけるショーやアトラクションにこの作品をモチーフにしたものが登場するなど、現在も根強い人気を博し続けている。


◆あらすじ

昔々、遠い国の輝くお城に、王子様とその召使いたちが住んでいました。
甘やかされて育った王子様は何でも思い通りにできたので、すっかりわがままな性格になってしまいました。

ある夜。お城に年取った醜い物乞いの老女が来て、一夜の宿を恵んでほしいと言い、一輪のバラを差し出しました。
でも王子様は、そのみすぼらしい姿を馬鹿にして、彼女を追い返そうとしたのです。
老女は「見かけに騙されて人の心の美しさを見逃してはいけない」と言いましたが、王子様は聞き入れませんでした。
しかし、実は老女の正体は美しい魔女でした。彼女は、優しい心を持たない王子とそう育てた召使いに対し、罰として、お城全体に強力な魔法をかけました。
するとどうでしょう、王子は恐ろしい野獣の姿に、召使いたちは家財道具の姿に変えられてしまいました

この呪いを解く方法はただ一つ――彼女が差し出した一輪のバラの花びらが全て散るまでに、真実の愛を見つけることです。
もしもそれまでに呪いが解かれなければ、彼らの姿は一生そのまま。
しかし年月は流れ、王子様はすっかり希望を失いました。いったい誰が、こんなにも醜い野獣を愛してくれるのでしょう……?

それから10年の月日が流れました。フランスのとある町に、聡明で読書と空想が好きな美女・ベルがいました。
しかし町の人々がその賢さや性格を変わり者扱いするので、町には馴染めずにおりました。
町一番の人気者ではあるものの、粗野で乱暴で自惚れ屋な狩人・ガストンがしつこく言い寄ってくるのも嫌でたまりません。
彼女はいつかこんな町を抜け出して、もっと素敵な外の世界へ行きたいと夢見ておりました。

そんなある日、ベルは出かけたまま遅くまで帰ってこない父親を心配し、家を飛び出して探しに行きます。
その途中、道に迷い立ち寄った城で見たのは喋る家財道具、不法侵入者として捕まった父親、そして傲慢で凶暴な城の主・野獣でした。
ベルは父親の釈放と引き換えに城へ留まることに。

時には反発しあいながらも、ベルと野獣は少しずつ、少しずつ互いに惹かれ始めます……。


◆主なキャラクター

ベル
本作のヒロイン。
読書と空想が大好きな町一番の美女だが、町の人々からは風変わりな娘だとも思われているため馴染めずにおり、ここではないどこかへと行きたいと夢見ている。
間違いを間違いとはっきり言える芯の強さと行動力の持ち主で、ガストンの求婚をキッパリと拒否している。
行方不明になった父を探しに単身森に出かけたことで、野獣の城にたどり着き、自ら身代わりとなって城に残った。
粗暴な振る舞いを繰り返す野獣に耐えきれなくなって脱走してしまうが、その際に狼の群れに襲われたところを救われて以来、野獣の心に残る優しさに気づき、徐々に惹かれていく。
野獣とのダンスのシーンで着ている黄色いドレスが印象的。いつもの青い普段着も、野獣に図書室に案内される際に着ていた緑のワンピースも美しい。
馬術を嗜み、雪合戦を楽しむなどアクティブな一面も。

白雪姫をはじめとしたディズニーお姫様キャラクター「ディズニープリンセス」の一人に数えられている。
彼女自身は王族の出身ではないが、王子と結婚して王女・王妃になると考えれば妥当なところか。

野獣(ビースト)
城の王子。傲慢で優しさを知らない青年だったため、魔女の怒りを買い野獣の姿に変えられてしまった。
劇中でも各種マナーが悪く、都合の悪いことに癇癪を起こすなど、正に身も心も野獣の様な男だった。
だがベルとの触れ合いの中で人間らしい感情を徐々に取り戻していき、ベルに惹かれていくようになる。

特定の動物をモデルにしているのではなく、バッファローの角やライオンのたてがみ、クマの胴体など、複数の動物を組み合わせてデザインされている。また、本名は設定されていない*1
アニメ吹き替え版の中の人は、幾多のディズニー作品に出演しているやまちゃんこと山寺宏一

モーリス
ベルの父親で発明家*2
ベルにとってはひょうきんで頭が良く尊敬の気持ちを抱く存在である一方、町の人々からはその発明趣味をバカにされている。
彼が発明大会に出かけた道中で野獣に捕まったことが事件の発端になる。

ガストン
ハンサムで力持ちな町の人気者。非常に自信家で陽気な性格の一方、粗野で無教養なただのうぬぼれ屋。この作品のヴィラン。
ベルに好意を抱いているが、それは単に「町一番の美人だから自分のものにしたいだけ」という独占欲的な感情ゆえで、彼女を理解しようとする姿勢は一切無い。
ベルに対しどこまでも自分を押し付けようとするため、当然ながら彼女からはひどく嫌われており、「あなたとは死んでも結婚しない」とまで歌われる始末。。
そのあまりのナルシストぶりがコミカルな「愛すべきバカ」……と思いきや、目的のためなら手段を選ばない卑劣漢でもあり、ベルに振られて以降、意地でも結婚を承諾させるべく笑えない悪行に手を染めるようになっていき……。

ル・フゥ
ガストンの取り巻きで、いつも彼について回ってゴマをすっているキモデブチビ男。
名前は「アホ」「間抜け」を意味する。ディズニーらしい直球なネーミングだ。
彼が酒場の客たちとひたすらガストンを褒めちぎる『Gaston(強いぞ、ガストン)』は中盤の、そしてル・フゥにとっては唯一の見せ場。
ちなみに名前の表記が作品によって「ルフウ(ミュージカル)」や「ル・フウ(実写映画)」とコロコロ変わるが、性格もまた作品によって微妙に異なる。特に実写映画版は必見。

ルミエール
城の給仕頭。召使い3人組の1人。燭台の姿をしており、人間時代もロウソクのようにヒョロッとした体格の男性。羽根ばたきに変えられた恋人、フェザーダスター*3がいるリア充でもある。
客のおもてなしが好きな調子のいいジェントルマン。城に現れたベルを盛大にもてなし、なんとかして野獣とベルをくっつけようとする。
給仕頭としての仕事に誇りを持っているが、10年もの間その腕を振るえずにいたことを嘆いていた。ベルが城にやってきたことで久々に仕事ができると喜ぶ心中が、彼が劇中で歌う『Be our guest(ひとりぼっちの晩餐会)』の歌詞などから読み取れる。

コグスワース
城の執事。召使い3人組の1人。几帳面で時間にうるさい性格から置時計に姿を変えられた。
ふくよかな体格をしており人間時代の髭が時計の針になっている。
口うるさい性格でルミエールとは度々ぶつかり合う間柄だが、なんだかんだでいいコンビである。

ベルを迎え入れることについても、当初は主人である野獣の機嫌を損ねることへの恐れから断固として反対していた。
だが、『ひとりぼっちの晩餐会』では野獣に騒ぎを知られないようになんとか食い止めようとするものの、最後の方ではおちゃらけた顔でノリノリで踊りまくっているなど、おちゃめなところもある。

ポット夫人
城のメイド頭。召使い3人組の紅一点。ティーポットに姿を変えられている。
包容力があり、唯一の肉親と引き離され城で心細い思いをしていたベルに人生の先輩かつ母親代わりとして優しく接する。
一方で、侵入者に対しては、自分の体に蓄えた煮え立つ熱湯をぶっかけて撃退し、のたうち回る様を見てものすごく黒い笑顔でドヤ顔を見せるなど、主と城を脅かす者に対しては容赦がなく、怖くておっかないオカンの一面も併せ持つ。
実際、野獣も彼女の言うことにだけは頭が上がらない様子である。
ラストシーンで本来の姿に戻ったが、やっぱりというか(?)ふくよかでまさにオカンといった風貌。
加えて、本作を代表する名曲『The Beauty and The Beast(美女と野獣)』を劇中で歌い上げるという大役を担っている。

チップ
ポット夫人の息子。食器棚には彼の兄弟らしき無数のカップたちがいる。
なお忘れがちだが無生物ショタである(本来の姿は人間だけど)。ディズニーは時代の先を行き過ぎていたかもしれない。
余談だがミュージカル版では子役時代の豊永利行が演じていたことがある。

ムッシュー・ダルク
病院の院長。ただし病院と言っても「こんなところ」である。
ガストンにを積まれモーリスを狂人として幽閉しようとする。
彼自身もモーリスがまともと分かっていながら嬉々として計画に加担する悪人。院長!あなたは狂っているんだ!
原作では端役だがミュージカル版では一曲歌う見せ場がある。





アニメ版キャスト

原語版/日本語吹き替え声優の順。

  • ベル:ペイジ・オハラ/伊藤恵里
  • 野獣:ロビー・ベンソン/山寺宏一
  • ガストン:リチャード・ホワイト/松本宰二
  • ル・フウ:ジェシー・コーティ/中丸新将
  • ポット夫人:アンジェラ・ランズベリー/福田公子
  • ルミエール:ジェリー・オーバック/江原正士
  • コグスワース:デヴィッド・オグデン・スティアーズ/熊倉一雄
  • モーリス:レックス・エヴァーハート/あずさ欣平
  • チップ:ブラッドリー・ピアース/山口淳史
  • ワードローブ:ジョー・アン・ウォーリー/近藤高子
  • フェザーダスター:キミー・ロバートソン/横尾まり


実写版キャスト

演者/日本語吹き替え声優の順。

  • ベル:エマ・ワトソン/昆夏美
  • 野獣:ダン・スティーヴンス/山崎育三郎
  • ガストン:ルーク・エヴァンス/吉原光夫
  • ル・フウ:ジョシュ・ギャッド/藤井隆
  • ポット夫人:エマ・トンプソン/岩崎宏美
  • ルミエール:ユアン・マクレガー/成河
  • コグスワース:イアン・マッケラン/小倉久寛
  • モーリス:ケヴィン・クライン/村井國男
  • チップ:ネイサン・マック/池田優斗
  • マダム・ド・ガルドローブ:オードラ・マクドナルド/濱田めぐみ
  • マエストロ・カデンツァ:スタンリー・トゥッチ/松澤重雄
  • ブリュメット:ググ・バサ=ロー/島田歌穂
  • アガット:ハティ・ホンラン/戸田恵子
  • ベルの母:ゾーイ・レイニー/大地葉



【その他】

  • 続編に『ベルの素敵なプレゼント』『ベルのファンタジーワールド』がある。
    ただし、時系列上はいずれも本作中に起きた出来事となっている。後日談だと呪い解けちゃってるしね。

  • 本作のヒロインであるベルがアクティブなキャラになったのは、実は前作のヒロイン描写が「前時代的過ぎる」と女性団体から抗議を受けた事で、新作では新しいヒロイン像が求められたという事情があったりする。
    もっとも本作も「変わったのは表面的な部分だけで、本質的には何も変わっていない」と批判された*4ため、次回作では更に気が強くアクティブ路線を突き詰めたヒロインが採用される事となった。

  • スマホゲーム『ディズニー ツイステッドワンダーランド』には、本作のガストンからインスパイアされたキャラクターであるアシュトン・バルガスが登場する。
    主な舞台である魔法士養成学校「ナイトレイブンカレッジ」において飛行術など体育系科目を担当している教師で、熱血かつナルシストな性格。

  • 劇団四季によってミュージカル化されており、現在もロングランヒット中。
    また、東京都の大井町駅は劇団四季の劇場の最寄駅だった*5縁から、一時期この作品の曲を発車メロディに採用していた。
    2022年10月より舞浜アンフィシアターで上演されており、ディズニーリゾートで初めてディズニーミュージカルが上演されることになった。

  • メキシコ出身の映画監督ギレルモ・デル・トロは本作の結末に大いに不満があるらしい。そこで製作したのが、『シェイプ・オブ・ウォーター』だったとか。

  • 本作のキャラクターはディズニーパークのショーやアトラクションなどにも登場する。
    更に2020年には、TDLのファンタジーランドが拡張され、本作にちなんだエリア及び同名のアトラクション「美女と野獣“魔法のものがたり”」もオープンした(アトラクションの外見がお城なので、これによってランド内にお城が2箇所できることに)。回転するカップに乗って物語を追体験するという内容で、進化したオーディオアニマトロニクスが見どころ。
    他にもショップ「ビレッジショップス」や、レストラン「ラ・タベルヌ・ド・ガストン」「ル・フウズ」もある。
    『美女と野獣』に関連する内容のアトラクションやショーは、他にも以下の通りある(終了したものも含む)。

TDL
  • ミッキーのフィルハーマジック
  • ワンス・アポン・ア・タイム(※2017年11月で終了)
TDS
  • テーブル・イズ・ウェイティング(※2017年3月で終了)

なお『テーブル~』では案内役として登場していたが、3D映像の投影などではなく本当に中に人が入っていた中の人などいる!
摺り足ともなんともつかない足さばきでステージを移動する姿はシュールだが見事であった。
また、アメリカ合衆国のディズニーパークには、本作をモチーフにした「ビー・アワ・ゲストレストラン」がある。



追記・修正は、真実の愛をもってお願いします。

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最終更新:2025年07月05日 16:09

*1 一部書籍では人間の姿を「アダム王子」と記されているが公式ではない模様。東京ディズニーリゾートのオフィシャルTwitterアカウントもそう示唆するツイートをしたことがあるが、のちに撤回・謝罪した。

*2 実写映画版では大人の事情により、オルゴール職人に変更された。

*3 名前がジャンル毎に異なっており、ミュージカル版では「バベット」、実写映画版では「プリュメット」という名で登場している。

*4 ついでに粗暴な野獣がヒロインによって改心するという原作からの改変点について、「DV被害を助長する恐れがある」と警告もされている。

*5 2021年に閉館。