水晶の少年

登録日:2024/03/03 Sun 13:55:00
更新日:2025/06/25 Wed 07:45:18
所要時間:約 9 分で読めます





銀髪クール美少年が、『石』の位能力と専門知識でガチバトル!*1

『水晶の少年』は、Web上で公開されている『週刊コロコロコミック』で連載中の漫画作品である。
作者は、かつてコロコロアニキにて『Yの箱舟』でデビューした石蕗(つわぶき) 永地(えいち)
前作はキバヤシ天樹征丸が原作だったため、これがオリジナル作品として初の連載となる。

週刊コロコロコミックでの連載であるが、連載形式としては、おおむね単行本1冊(8話)程度を週刊連載してから同程度の期間の休載を行う、シーズン制をとる。
2025年5月現在で、単行本が既刊4巻、連載はシーズン5に入っている。
ちなみに紙書籍の単行本の表紙は、宝石の破片をイメージしたかのようなホログラム加工が入っており豪華。そのぶん発行部数が少なくてちょっとレアかも、とは作者の言

概要

『石』の力を扱うことができる小学生男子を主人公、それをサポートする男性刑事が相棒のバディ物として、同じく石の力を悪用する者たちとの対決がメインのバトルファンタジー
いってしまえばコロコロのホビー物のフォーマットで、その中心となるのがオモチャではなく鉱石となっている作品。
作者自身が鉱石収集を趣味としているようで、いろいろな石の特徴を生かし、その能力やキャラクターの性格・デザインが設定されている。

用語

祈石(キセキ)

俗にパワーストーンと呼ばれるような、持ち主にちょっとした運や閃きを与えるような力のある石の中でも、特に強い力と個性を持つ石で、自ら持ち主を選び所有者に力を与える石をこう呼ぶ。
石の種類によってその力は異なるが、どれも超能力といっていいほど強力な性質を有する。

忌石(きせき)

祈石の中でも、古くから人類史に爪痕を残してきた強力な12の石で、それぞれが12か月の誕生石に対応している。
性格は一様に苛烈で尊大、気まぐれで我が強く、ほとんどが人を見下しているか興味がないということであり、悪用された場合には大きな被害をもたらすようで、人類の脅威とまでみなされている。

宝石庁

日本で石にまつわる情報を管理する、一般には知られていない国の機関。
国内の祈石すべてを登録・管理するだけでなく、祀られている神石や曰く付きの宝石といった、人に害を及ぼす可能性のある石の管理もしている。

登場人物

中心人物

  • 天地(あまち) (あきら)
本作の主人公であり、水晶の祈石を持つ12歳の小学生。
クラスでは近寄りがたい雰囲気を出していたが、水晶の力を持っていること、それを人の役に立つことに使いたいと考えていて「普通の子」でいられなかったことによるものであって、年相応には素直で子供らしいところも多い。
母親(故人)と「水晶の力を人前で使ってはいけない」と約束をしていたが、目の前で助けられる人がいるなら助けたいとの思いも強く、できるだけ秘密裏に人助けをしようとしていた。
が、後述の砂金との出会いから、ほぼなし崩し的に石を巡る騒動に関わり解決していくことになる。
石なら化石も宝石も好きというくらいではあるが、一番好きなのはやはり水晶。
公式で美少年設定。
事故で母親を亡くしてからは谷口という保護者と同居しているが、彼が仕事で家を空ける事が多いので実質小学生の一人暮らし。学校の給食以外は毎食シリアルという驚異の食生活で砂金の胃を痛めることとなった。

▼所有祈石【水晶】*2
石英(水晶)を操ることができる。この「操る」は非常に柔軟であり、石英の成分である二酸化ケイ素が含まれる物質(石やコンクリート)があれば、そこから数メートルはある水晶の結晶を自由に生やすことすら可能。
また、水晶の振動子としての性質から、水晶の振動も自由に操れてちょっとした無線機がわりにすることもできる。
決して珍しい石ではなく、パワーストーンとしてもメジャーな石のはずなのに、



  • 砂金(いさご) (ゆたか)
ヒーロー願望のある刑事であり、不思議な力を持つ少年である晶を見つけたことにより、人助けはしたいが目立ちたくない晶にかわって刑事としてその事件を解決するという協力関係を結ぶ。
ちょっとした手がかりから「水晶を操る少年」が晶であることを突き止めるなど推理力は高いが、普段はどちらかといえばちょっと抜けたところのあるようなタイプ。
とはいえ、晶のサポートを失敗してピンチを招くといったようなことはなく、祈石による戦闘能力を持たない相棒として非常に優秀。
コロコロ系のホビー漫画には珍しいかもしれない、ちゃんと頼れる大人として描かれている。
晶に対しては悪い顔もしているが、性根はかなりの善人であり、後述するルチルの所有者としても最適。
ヒーロー好きには気合が入っており、警察寮内の自室にはヒーロー物のフィギュアが大量に飾られている。


  • 二色(にしき) めろん
見た目中学生くらいで、長いツインテールと制服のような服装が特徴の少女。
カラフルなお菓子が好きで、一般人にはちょっと食欲が湧かないような色合いのチュロスやらドーナツやらをいつも口にしている。
石には詳しく、露店で売られていた偽物のラピス・ラズリを一目で見抜くほど。
実は宝石庁のエージェントであり、海外で大学を飛び級卒業しており現在は学生ですらない。
しかし晶のカマかけにあっさり反応するなど、学歴のわりに思慮深いとはとても言えず、むしろ勘と本能とパッションで生きているタイプ。
所有する祈石の力を{無差別に}撒き散らすある意味危険人物で、その筋では「宝石庁の狂犬」「災害の雷獣」という二つ名で知られているようである。
そういう扱いであるのは自覚もしているので、「宝石庁が自分を名指しで呼んだということは、それほど重要な案件だとは思っていないはず!(意訳)」のようなことも自ら口に出したりもする。
立ち位置的にはこの漫画のメインヒロイン……であるはずなのだが、作中の扱い的にはむしろ戦闘能力だけがやたら高いマスコット。
それも描き文字で「立てば爆発! 座れば地雷! 歩く姿はBiohazard」「台無しに定評がある一夜では築けない信頼と実績」などと煽られるタイプのマスコット。

▼所有祈石【霹靂のバイカラートルマリン】
ピンク色の電気を発生させる祈石。人を一撃で昏倒させられる威力があり、一対一も広範囲攻撃もできるので汎用性が高い。
また、電気系統に作用することも可能で、作中では監視カメラをショートさせたり灯台の明かりを強めたりしている。ろくな使われ方してないのは気のせい
トルマリン自体が電気石という別名を持ち、熱すると電気を生じる性質を有している。
バイカラーは、1つの石の中に2色を有するものを指し、めろんが持っているものはピンクと緑のバイカラー。
ちなみにこのピンク-緑のトルマリンは、その色合いから「ウォーターメロン(スイカ)トルマリン」とも呼ばれている。検索したらわかるが、カットによっては本当にスイカっぽい。
めろんの外見デザインもそれに合わせてこの2色が主に使われており、特に髪についてはアウターカラーがピンクでインナーカラーが緑となかなか目に痛そうな派手な配色になっている。

祈石の所有者

  • 緑間(みどりま) 閃璃(せんり)(怪盗スファロス)

金髪ロングヘアの青年。宝石ばかりを狙うことで有名な怪盗で、どれほどの警備体制を敷いていてもそれを潜り抜けて、ターゲットとした宝石を盗みだす。
その実態は、祈石【幻惑のスファレライト】の所有者であり、その能力を使って見た目(だけ)を自由に変えることによって、警備の目を欺いていた。
晶と砂金の活躍によって逮捕されたが、忌石についての知識を見込まれ宝石庁にしぶしぶ協力することに。
災害の雷獣の餌付け係やお守りで忙しそうにしている。
実は大学生。帰国子女なので外国語が堪能らしい。

▼所有祈石【幻惑のスファレライト】
珍しい緑色のスファレライト。スファレライトの語源であるギリシャ語の「sphaleros(嘘つき・まぎらわしい)」から、上記のような幻術能力を所有者に授ける。
性別や年齢を変えるだけでなく、人外(作中ではオオカミの姿)に変身したように見せることも可能。

  • 長石(おさいし) 優月(ゆづき)
宝石庁の最高責任者であり、めろんの上司である、壮年の男性。
やわらかい物腰ではあるが、石の力を悪用する者とは裏でやりあっているようで、決して単純な事務方の人間というわけではないようである。
実は国内で昔から祈石を受け継いできた「石の一族」のうち最大の「長石(ちょうせき)グループ」直系の実力者。

▼所有祈石【ムーンストーン】
3巻時点で詳細は不明。

  • (こん) 織枝(オリエ)
宝石庁の職員であり、糸目がチャームポイントの落ち着いた雰囲気の女性。
普段は長石の側近としてサポートに徹している。
おっとりとした言動から他の職員に「オリエ姐様」として親しまれているらしい。
自然金の祈石を扱う「金(こん)一族」の一員。
他の祈石の力を抑え込む金の鎖を使い、宝石庁に保管されている祈石の暴走を防いだり封印している。


  • 秋城(あきしろ) 騎士(ナイト)
口数が少ないが普段は友達と遊ぶのが好きな普通の小学一年生。ボクシングを習っており、将来の夢はボクサー。
口喧嘩の絶えない両親を心配させないために「いい子」でいようと努めていた(そのために大好きなボクシングをやめる事も考えていた程)が、黒輝厽から渡されたアキシナイトの祈石によって「もう我慢したくない」と暴走。
晶の水晶の力で正気を取り戻す。

▼所有祈石【超人のアキシナイト】
グレーがかった茶色の祈石で、ブルーティントという部分的に青い色味が混ざった珍しいアキシナイト。
自動車を軽く投げ飛ばせる程の怪力を持ち主に与える。
騎士を暴走させている元凶のように見えたが、実はこれは枠となっていたタンタルの忌石の影響によるもの。
タンタルの枠が取り除かれてからは騎士の成長を助けるお守りとなっているようだ。

  • (こん) 望子(もちこ)
古い「石の一族」であり自然金の鉱山を守る金一族の当主の娘で、糸目のおっとりとした雰囲気の和服女子。
自然金の祈石の所有者として選ばれ、金の鎖を作れる唯一の人物として一族の中で大きな役割を持つ。
忌石の持ち主ではないかと当主や一族達に疑われた晶の事を信用し、心配するなど心優しい性格。
宝石庁にいる織枝とは従姉妹関係。

▼所有祈石【自然金】
勾玉の形をした祈石で、他の祈石の力を抑え込む金の鎖を作り出す。
作り出された鎖は金一族の間で使われるほか、宝石庁に保管されている祈石の管理のためにも使用されている。

忌石の所有者

  • 黒輝(くろき)(るい)
日本でダイヤモンドを扱う最大手の黒輝ダイヤモンドトラスト社を有し、「石の一族」である黒輝一族の令嬢(ただし養女)。
胸元に忌石【耽溺の紫水晶(アメジスト)】のブローチをつけた怖いお姉さん。
プライドが高く幼稚でわがままな、典型的な悪のお嬢様。
おしゃれが好きなのか着ている黒いドレスのデザインが頻繁に変わる。
言動的にはメスガキ感盛り盛りではあるが、見た目的には10代後半~20歳前後というところ。
基本的には自分本位で他人の価値を認めないが、紫水晶を褒めるとそれは素直に受け止めるなど、晶曰く「砂金さんとは違うタイプの変な人」。

▼所有忌石【耽溺の紫水晶】
十二の忌石のひとつ。葡萄液「命の水(アクア・ヴィータ)」を生み出し、飲ませたり浴びせた相手の意識を奪って奴隷化させる能力。奴隷化させた相手を「お人形さん」として自由に操ることが可能である。

  • 黒輝(くろき)(らい)
厽と同じく黒輝一族の人間であり、次期当主。
額から目にかけていくつもの古傷のようなものが見える黒髪黒スーツの大人びた少年。13歳。
ぞっとするような優しい声の持ち主であるが……
落ち着いた立ち振舞いでは隠せない不穏な雰囲気を漂わせている。
晶の持つ水晶の祈石に異様な執着心を見せる。
黒金剛石の忌石を完全に扱える黒輝家随一の適合者。


▼所有忌石【不滅の黒金剛石(ブラックダイヤモンド)
忌石のひとつ*4で、炭素を操る。
炭素が含まれる物なら幅広く干渉できるらしく、人間や建物を一瞬で炭へと分解させたり、空気中の二酸化炭素濃度を急上昇させ、周囲の人間を昏倒させることができるなんとも物騒な能力。
炭素を含まない物質を分解・破壊することはできないため、水晶の祈石は潜在的に脅威になり得る。
とても強い野望を持った忌石で、自身の真の適合者となるを作り出すため、祈石の所有者の才能がある人間達を集め黒輝一族を設立した黒幕でもある。

  • 巨海(こみ) 真凜(マリン)
海運業で有名な巨海財閥の御曹司で、晶と同い年の12歳。
育ちの良さに反して口調と気性が激しく、「海よりも心が広い男」を自称しなからも喧嘩っ早い。煽り耐性はやや低め
オークションで落札した海皇のアクアマリンの所有者になってからは、その能力を好き放題に使って海を荒らしていた。
社会的な立場が似てる黒輝磊とは交流があり、比較的うまくいっている模様。

▼所有忌石【海皇のアクアマリン】
十二の忌石のひとつで、海の水を自在に操る力をもたらすサンタマリア・アクアマリン。
海を真っ二つに割る、沈まずに海面を歩くことができる、巨大な波を引き起こすなど力の規模は規格外。
真凜が普段から持っている「三又槍(トライデント)」(宝石の老舗である黒輝グループ特製)にはめ込まれている。


  • 綺羅(キラ)キアラ
「葬星のペリドット」の忌石の所有者の少女で、サイドテールにした髪型と羽のようなモチーフの服装が特徴。
自称「人類の味方」。黒輝家とは別の思惑で単独行動中。晶の出生の秘密と抱える危険性を告げ、最悪の展開になる前に先手を打つ目的で晶に接触する。
美少年が逆境に陥る姿が性癖らしく、出会い頭に晶を忌石の力で地面に押しつけ、
「晶くんかわいい~! きれいな男の子が汚い地べたに這いつくばるの、最高に興奮するよ~!」
とはしゃぐ危険人物変質者っぷりを初登場回から披露した。
その後も首輪をつけたりデートと称して廃墟になった遊園地へ無理やり連れ出したりと、「すごい美少女なのに怖い」と晶が怯えるような言動が目立つ。
アイドル風の可愛らしい雰囲気だが忌石の戦闘力は忌石の中でも上位。


▼所有忌石【葬星のペリドット】
十二の忌石のひとつで、重力を操る力を持つペリドット。
宇宙から飛来した隕石に含まれるパラサイトペリドットの一つでかなり珍しい石。様々な星の一生を見届けてきたらしい。
ひし型の隕鉄に埋め込まれた状態でキアラの近くに浮かんでいるのが通常形態。
所有者を飛行させたり、飛んできた武器を弾くほか、地面にある石を操作して隕石のように降らせることも可能。一個大隊に相当する戦闘力を持つ。
忌石のなかでは古株ゆえに知識が豊富で、黒輝家の歴史や忌石についての情報をキアラや晶にもたらした。
ちなみにペリドットの石言葉は「夫婦愛」であり、「持ち主の色欲をなだめ、狂気・発作を鎮める」という効果があるとされている。あれで本当に鎮まってるんだろうか


  • 玉置(たまき) カシモア
オールバックの髪型に片眼鏡をかけた食えない印象の男性。「プレシャス」が口癖。闇マーケットで宝石を売るフリーの宝石商で、黒輝一族に祈石や祈石の情報を売るようになったのがきっかけで光帝のオパールの所有者となる。
祈石狩りの途中で金一族の隠れ里に侵入し、自然金の祈石の所有者である望子を誘拐。彼女と引き換えに金鉱山や水晶の祈石を手に入れようとしたが、晶達の反撃に遭う。
金や地位の事にだけ関心がある清々しいまでの俗物で、金鉱山のリゾート開発を思い付いたり、磊の報酬(100億と黒輝一族の幹部の地位)によって「たかが水晶」と見なしていた水晶の祈石を狙うといった一面がある。

▼所有忌石【光帝のオパール】
十二の忌石のひとつで、カシモアの片眼鏡のグラスチェーンに付けられている。光を操る力を持つ。
光の散弾や圧縮した光を一気に放ち爆発させる「遊色閃光(プレイ・オブ・カラー)」など派手な能力が多い。
光の屈折を利用してカシモアの幻影や巨大な蜃気楼を生み出すことも可能。
虹色に輝く美しい石の見た目に反して趣味が悪く、醜い欲望を持つ人間を好むので現在の所有者であるカシモアとは相性が抜群だったりする。



祈石【アニヲタイト】 所有者に追記・編集できる能力を与える。

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最終更新:2025年06月25日 07:45

*1 作者Xより、「ある作家さんに、『簡潔で読みたくなるキャッチフレーズ』をつけてもらったもの」

*2 青い針のような内包物の入った水晶なのでデュモルチェライトインクォーツだと思われる

*3 水晶の中に金色の針のような鉱物(ルチル)が入っている状態のものを指す

*4 「十二の忌石」として挙げられているのはダイヤモンドであり、これを指しているのかは不明