オル・ゴール(ハーメルンのバイオリン弾き)

登録日:2024/06/14 (金曜日) 17:32:00
更新日:2024/08/18 Sun 18:40:24
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私は冥界の道化師(ピエロ) オル・ゴール

人の心に“憎悪”がある限り

私は何度でも蘇るのです…


オル・ゴールとは漫画『ハーメルンのバイオリン弾き』の登場人物。


概要

魔界軍団の1角「冥法軍」のNo.2。
「死のオル・ゴール」「死神(ジョーカー)」「冥界の道化師(ピエロ)等といった数々の異名を持つ、冥法王(ヘル・キング)ベースの副官。
高位魔族の証である副官の座に立ってはいるが積極的に表舞台に立つタイプではなかったらしく、同じ副官の立ち位置だったオカリナは名前以外知らない存在であった。

風貌は全身タイツで赤鼻の付いたピエロの仮面をかぶった道化師の魔族で、仮面の下の素顔は童顔の美少年。
だが実はピエロの仮面が本体なため、肉体の外見は自在に変えられる。
現在のベースの身体はサイザーが初めて滅ぼした国の王子の死体を用いている…と自称しているが、サイザーが戦場に出る前から同じ死体を使っているので、彼女の動揺を狙ったハッタリである可能性が高い。

初登場は12巻。
スコア篇にてベースの勅命を受けて出撃を果たし、以後ヴォーカルと共に数々の鬱展開を巻き起こすことで物語を盛り上げた悪役である。


人物

一人称は「ボク」「私」。口癖は「あー楽しィ」。キメ台詞は「この仮面の下に懸けてもネ」
一部言葉がカタカナになる独特のセリフ回しが特徴。

人の苦行を生業として、人々が嘆き苦しむ姿をせせら笑う陰湿極まりない性格で、死者を人形扱いしてその魂を玩具として弄び、トラウマに苦しむ人間を観客気分で小馬鹿にして嘲笑う。
そして人の心の弱い部分を的確に見抜いて言葉や死霊で抉ることを愉しんでおり、人間の心の間隙を目ざとく見抜くことに長ける。
また普段の言葉遣いは丁寧だが、道化らしく上官のベースにもふざけた態度で対応する中々の自由人。
道化らしく悪ふざけを何より好み、人を食ったようなふざけた言動ばかりするベースの頭痛の種であり、登場時も大魔王ケストラーのふりをしてギータを粛正しようとしていたベースをおちょくっていた。

死者を冒涜し人の心の傷を嬉々として踏み躙る悪趣味さから彼を嫌う者も多かったらしく、本人も「“私のやり方”はみんなに嫌われる」と愉快気に自虐し、ベースも「生粋の嫌われ者」と賛辞を贈っている。
オーボウは「魔族とはいえあんな最低な男見たことがない」「思い出しただけでもハラが立つ」「最低のクズ野郎」などと語って蛇蝎のように忌み嫌っており、ここまでオーボウがボロカスに罵倒した魔族はオル・ゴールただ1人のみである。

ただ、相手を事務的に殺す事には興が乗らないのかそういったシーンでのテンションは低め。ヴォーカルの魔力を回収する任務を与えられた時には「あー楽シクない」と愚痴っていた。
加えて自分のポリシーとは真逆の概念である「人と人の信頼」という行為そのものを理解できず当初は嘲笑を向けていたが、その概念に自分の策を覆された経験から以後はそういった光景を見て苦々しい顔を向けることもあった。

なお、オーボウがケストラーに反旗を翻し魔族のザコを殲滅するどころかドラムと巻き添えを喰らったギータをダウンさせた際にはまだ健在だったピックと一緒に「あなたが止めてください!」「いやあなたが!」とすっかり震え上がっていた。まぁベースですら止められないオーボウが相手だからしょうがない


軽薄でふざけた振る舞いが目立つがケストラーだけは例外中の例外であり、本物を目の前にしてケストラーへの恐怖心からふざけた態度は鳴りを潜め、仮面を外して忠誠を誓っている。
またベースの命令で半ば強制的に組まされたヴォーカルとは性格の気質が違い過ぎているのと、いつ気まぐれに殺されるか分からない恐怖が相まってかかなり苦手意識が強い様子が見られ、当初の自由人めいた振る舞いは完全に喪失。
終始ヴォーカルの我がままに振り回される羽目になり、度々小声で泣き言や不満を零している。
一方でギータとはそれなりにウマが合っていたようで、ケストラーに処刑されかけたギータが情けをかけられたときには利害関係抜きに生還を喜んでいた。


能力



だからいったでしョ?私のやり方は 嫌われるってネ……
あー楽しー ヒヒヒ


大鎌に似た形状の巨大ハープから奏でる魔曲によって、人間・魔族問わず深い未練や怨念を持つ死者の魂を冥界から呼び出し、ゾンビとして操る死霊使い
その力はベースから「悪ふざけをやめれば軍王にでもなれた男」と語られる。
ただしこの世に無念や遺恨を残した者の魂と死体(=魔族の犠牲になった者の魂)しか操れないため、自分のことを落ちこぼれと自虐している。

戦いでは正面から肉弾戦で殴り合うといった行動は一切せず、ターゲットに関わりのある死霊をゾンビとして呼び出して罪悪感やトラウマをネチネチネ抉り、話術と搦めて徹底的に心を踏み躙る最低最悪の戦法が常套手段。
特に人々の不安や疑心暗鬼を煽って他者を陥れ、人の心を苛んで団結や絆を破壊する「道化芝居」を紡ぐことを何より好むため、彼が取る行動はとにかく陰湿で悪趣味。
道化らしいふざけた振る舞いの裏で用意周到に策を巡らせる謀略家でもある。

また仮面の下の体は自由自在に切り替えられるので、老若男女問わず様々な人間に化けることが可能。
瞬間移動も可能で、コミカルな小爆発と共にあらゆる場所に現れ相手を翻弄できる。
おまけに本体の仮面さえ壊されなければ何度でも復活する一種の不死身キャラなので、しぶとさもかなりのもの。


陰湿で狡猾な思考と合わせて扇動家・工作員としてはこの上なく優秀だが、オル・ゴール本人の身体能力と戦闘力は低く、本体の仮面の強度も大した強度ではないため不死身のタネがバレるとすこぶる脆い。
戦闘はあくまで死霊頼みでしかない点も弱点として挙げられる。
また変身能力に関しては、見てくれこそ人間だが濃い死臭と血の匂いは消せないため、魔界軍に属していた者には看破されやすい。


死の舞踏


ハハハ どウダイ…!!
“苦しみ”を 笑顔に…
楽しくゆかいな… 狂気の世界へ…!!
これがボク…

地獄の道化師オル・ゴールの… 大サーカスだよ!!

あー楽しィ ハーハハハァ!


オル・ゴールが奏でる魔曲。
魔曲によって冥界から死霊を呼び出して実体を有したゾンビとし、人形劇の如く死者の群れを自在に操ることができる。
死霊達はオル・ゴールの支配下にあるため、生者を恨めしく責め立てる行動・言動しか行わず、死霊を説得するという攻略法は不可能。
おまけにゾンビには「何の罪もない魔族の犠牲者を自分の手で手に掛けなくてはならない」という心理的プレッシャーを与えられる利点もあり、ハーメル一行のように心優しい善良な人間ほど中々ゾンビを攻撃できずドツボに嵌る。
ただ戦闘要員として動員する以外にも、死霊を生きた人間に見せかけて工作員の要領で市内に仕込み、煽動の火種とする使い方も行っていた。

一応死霊の抱える無念さえ晴らせれば成仏させることも可能だが、オル・ゴールを倒す以外でその手段を取ることは容易なことではない。


活躍

スコア篇にて「ハーメルの魔族化」と「フルートの抹殺」を目論み、人々の迫害を煽ったりハーメルとフルートの仲を破綻寸前にまで追い込む狡猾な策を巡らせるも、フルートの慈愛の前に目論見は失敗。
以後は魔族側のレギュラー枠となり、ベースの制裁から救って貰ったギータとつるんで作戦を遂行することが多くなった他、ベースにヴォーカルの部下になるよう命じられた結果彼の我儘に四六時中振り回されたりと、出番に合わせて気苦労やギャグパートに巻き込まれる回数も増えた。
とはいえ死者を冒涜する悪趣味さは相変わらず。
コミカルな態度・振る舞いと只管憎たらしい悪辣な所業が渾然一体となった独特な立ち位置を確立したともいえる。


最終決戦ではハーメルンで反撃の狼煙を上げた人類側の出鼻をくじくために単独で出撃。
ドラムの死霊を呼び寄せたドラム死霊(ゾンビ)に加え、サイザーが殺してしまった人間、ヴォーカルに惨殺されたスコアの住民、幼いハーメルが殺してしまったアンセムの住民の死霊などを大量に呼び寄せ戦場を死霊で埋め尽くしたが、罪悪感とトラウマを受け入れた上ケストラーの血が僅かに覚醒したサイザーの猛攻の前に形勢が逆転。
ドラム死霊も呆気なく一蹴され、そのまま首を刎ねられ戦闘不能に。


やっやめてくだサイ お願いデス そっそうそう
今だからイイマスケド…この仮面の裏側の子…実はデスネ…

あなたに滅ぼされた国…の…
王子だったのですよ…
赤い魔女サン…


死にたくない一心で最後の足掻きとばかりに自分が今まで使っていた身体の正体を明かした上で赤い魔女と呼び動揺を誘おうとするも、サイザーには一切通用せず鎌の一振りで本体の仮面を砕かれ呆気なく消滅。断末魔の叫びすら上げられない惨めな散り様で終わった。


オル・ゴール 人の苦しみを使い…悲しみを操り…運命をもてあそぶ…
地獄の道化師よ
今の私にはそれは…もう

通用しない…

私を…赤い魔女と…呼ぶな…


そしてオル・ゴールの消滅に連動して魔の冥界に囚われ弄ばれていた死者達の魂も解放され、安らかに成仏していった。
だが高位の魔族だけあってただでは死なず、戦いの最中にも「ドラム死霊の肉体で魔法陣を作る」という裏の任務は完遂。
ベースの副官としての務めを果たし、魔族側の反撃の一助を促した。


余談

名前の由来は機械仕掛けにより自動で曲を演奏する楽器「オルゴール」から。
ちなみに(口癖の)モデルは『職業・殺し屋。』や『ゲッターロボダークネス』でおなじみ西川秀明先生。

また本編でオーボウやベースの口から解説されることはなかったが、『死の舞踏』という曲は実在する。
フランスの作曲家「カミーユ・サン=サーンス」が1872年に作曲した交響詩で、午前0時の時計の音とともに骸骨が現れて不気味に踊り狂い、夜明けを告げる雄鶏の声が響き渡ると同時に墓に逃げ帰って再び静寂に包まれるまでを描写的に描いた曲である。



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