登録日:2025/01/05 Sun 23:59:25
更新日:2025/04/27 Sun 22:07:49
所要時間:約 25 分で読めます
『
ボルテスV レガシー』(原題:
Voltes V: Legacy)とは、
アニメ『
超電磁マシーン ボルテスV』を原作とするフィリピンの実写ドラマ作品。
ドラマ
全90話。総集編映画1作。超電磁リスペクトTV版(日本用総集編)全20話。
監督はマーク A. レイエス V。
制作会社はテレサクセス・プロダクションズ。
放送局はGMAネットワーク。
概要
1977年放送の長浜ロマンロボ第2作『超電磁マシーン ボルテスV』を東南アジアの国・フィリピンの限りない愛によって
実写化した作品。
フィリピンは『ボルテスV』が
日本以上に愛された国と言っても過言ではなく、最高視聴率58%を記録し国民的アニメの地位を確立、主題歌の「ボルテスVの歌」が国歌の次に有名と噂されるほど知名度が高い。
日本の首相がフィリピンを訪れた際には『ボルテスV』の主題歌によって迎えられ、堀江美都子は空港がフリーパスで国賓級の扱いを受けるなど、数々の逸話が残る。
そして、日本では令和の時代に『ボルテスV』がフィリピンスタッフの手により最新鋭の技術と最大限の
オマージュをもって実写ドラマとして生まれ変わった。
製作背景
2014年に子供の頃から『ボルテスV』の熱狂的ファンであったマーク監督がパイロットフィルムを製作し、テレサクセス・プロダクションズ経由で東映の許諾を得てスタート。
2020年1月にフィリピンでの実写化が報じられ、地上波のGMAネットワークで放送決定。
日本産ロボットアニメの海外実写化という時点で前例が殆ど無く、フィリピンでの人気を認知している日本のファンにも衝撃を与え、本作のエグゼクティブプロデューサーを務める
白倉伸一郎も一報を知った際には「フェイクニュースかと思った」と述べている。
PVが公開されるや再現度の高いキャストと衣装、VFXによる大迫力のボルテスVが話題を呼び、放送国のフィリピンのみならず発祥の地である日本からも大きな期待が寄せられた。
新型コロナウイルスの影響を受けて当初の予定から1年遅れ、2023年4月に序盤を編集した映画が公開、5月から平日午後8時の帯30分番組として本放送を開始し同年9月に完結。
当初は80話予定だったが放送中に人気が高まり、局側の注文を受けてクライマックスの撮影に加えて急遽10話を追加する形となり、最終的にアニメ版『ボルテスV』が40話に対し全90話の大ボリュームに仕上がった。
フィリピンでの完成披露プレミア会見・特別上映会には東映の代表取締役吉田文雄社長がビデオメッセージを送り、在比日本大使公邸で主題歌を歌唱、主題歌の収録に日本大使が協力、ジャパンプレミアに駐日フィリピン大使が登壇など、如何にフィリピンにとって『ボルテスV』が重要な作品か物語っている。
「レガシー」という副題はテレサクセス・プロダクションズのラリー・チャンとラーソン・チャン親子によって名付けられ、40年以上続くフィリピンでの国民的人気を鑑みて歴史を背負う意味合いで命名。
本作のヒット次第では新たな企画として『
闘将ダイモス』の実写化を目指している。
日本での展開
2025年現在、GMAネットワークの公式YouTubeチャンネルで原語版が全話公開中。
日本語字幕が無いことを除けば日本からでも視聴が可能。
2024年から映像作品を中心とした展開が決定し、遂に映画及び総集編ドラマとして日本凱旋。
『ボルテスV』は1982年に映画化が決定するも頓挫した過去があり、約40年以上の時を経てその夢を果たした。
2024年10月18日から第1話〜17話の内ドクガガ、バイザンガ戦に絞って再編集し、日本語吹き替えとリマスターを加えた映画『ボルテスV レガシー 超電磁編集版』を劇場公開。配給は東映。
入場特典は驚異の可動域を確保した超電磁ペーパークラフトボルテスV。
吹き替え版ではアニメで「ボルテスVの歌」を歌唱した堀江美都子がマリアンヌ・アームストロング役を担当。
登場人物の名前は原語版に準じているが、天空剣(原語版ではレーザーソード)といったボルテスVの武器名はアニメ版準拠。
劇場公開に先駆けて東映特撮YouTubeチャンネルでは、アニメ版『ボルテスV』全話と『ボルテスV レガシー』の第2〜5話を編集したプリクエール(前日談)「夜明けの前に」が配信。
公開を記念して麻宮騎亜、天神英貴、大島衣堤亜、越智一裕、賀東招二、ことぶきつかさ、後藤正行といった錚々たるクリエイターから応援コメントとイラストが寄せられた。
9月29日にはジャパンプレミアが開催され、堀江美都子、白倉伸一郎、駐在フィリピン大使のミレーン・J・ガルシア=アルバノが登壇。
初日舞台挨拶には日本版吹き替えキャストの他、フィリピンからマーク監督とメインキャストが応援に訪れた。
11月からTOKYO MXで90話を20話に編集し映画と同様の吹き替えキャストによる『超電磁リスペクトTV版』を放送。一部サブタイトルはアニメ版と同じものが採用。
BS12トゥエルビでは12月に映画『ボルテスV レガシー 超電磁編集版』を初放送、2025年1月から約2ヶ月遅れで上記のTV版を放送。時間差はあるものの全国的に視聴しやすい環境が整った。
配信は超電磁編集版が2024年11月から2カ月限定のPPV、超電磁リスペクトTV版は現状対応していない。
バンダイのROBOT魂からレガシー版ボルテスVの販売が決定し、上記2作で反応を窺いつつ将来的には全90話の展開も予定されている。
特徴
時代設定は現代で舞台はフィリピン、登場人物の名前はアニメ版のフィリピンにおけるローカライズに準拠。
ビジュアルは可能な限りアニメ版の造形を再現し、ボルトマシン、ボルテスV、獣士、スカールーク、ビッグファルコン、ボルテス・チームのパイロットスーツなどは元の良さを残しつつアレンジを加えて現代風にブラッシュアップ。
キャストはキャラクターと合うように配役され、雰囲気を崩さずに実写として違和感が無いビジュアルに落とし込んでいる。
制作側が気合を入れた点としてボルトマシンの発進シークエンスとボルテスVの合体を挙げ、『ボルテスV』を観て育った生粋のオタクスタッフの熱量により素晴らしい出来に仕上がった。
司令室から移動式の椅子に乗ってボルトマシンへ降下するなど、特撮か昭和アニメでしか観られないお約束を忠実になぞり、合体はよりメカニカルになったデザインを活かして細部のパーツに至るまで詳細に描かれた。
獣士戦はアニメ版の流れを踏襲し、『
パシフィック・リム』を参考に現実の重量感を取り入れた動きが特徴。
ボルトマシンとボルテスVの武装はほぼ再現され、必殺技の天空剣Vの字斬りは合体シーン並みのクオリティを誇り、
肩から腰まで斬り込んだ際の手首の独特な撚りまでアップで描写。
劇伴はオリジナルの他、編曲の上でアニメ版のOP、ED、一部の劇伴を使用し、
合体シーンでは同様に「ボルテスVの歌」が流れる仕様。
主題歌の「ボルテスVの歌」と「父をもとめて」はフィリピンにおいても現地の歌手と出演俳優によって日本語で歌唱、スミス博士(原典の浜口博士)が日本通で日系人、世界各国の空軍が加勢に現れるシーンで先陣を切って登場するのは日本など、日本をリスペクトした箇所は多い。
なおボルテスVの歌が
日本語なのは「日本をリスペクトしたから」ではなく「フィリピン語(タガログ語)でも歌ってみたが
いまいち歌に魂が籠らなかったのでやめた」という、
模範解答のようなオタクのこだわりゆえ。
ボルテスVの合体シーン、総合的なビジュアル面の完成度は非常に高い評価を得た一方、全体的なテンポの悪さ、獣士戦の少なさ、恋愛模様を中心とした独自の展開は賛否が分かれる結果となった。
恋愛描写に関しては日本で劇場公開、及び放送の超電磁編集版、超電磁リスペクトTV版共に尺の都合で大幅にカット、アニメ版を元にしたストーリーと獣士戦を中心に再構成し、同時に進行の遅さも改善されている。
ストーリー
メインストーリーはアニメ版を踏襲し、物語完結まで描かれている。
全体の約6割ほどがエピソード化され、ストーリーに直接関与しない単発回以外は概ね再現。
倍以上に増加した話数によりドラマパートの大幅な追加が行われ、スティーヴ、ジェイミー、マークの三角関係を中心としたロマンス、レガシー独自のストーリーや設定など、本作ならではの要素が盛り込まれている。
フィリピンにおける家族像が反映され、スティーヴ、ビッグ・バード、リトル・ジョンの兄弟愛や父母との親子愛が色濃く描かれ、母親マリアンヌの性格や家族の関係性にも影響を与えた。
アニメ版では毎話新たな獣士が登場しボルテスVとの戦闘が描かれたが、本作では総数が約3分の1に抑えられ、該当エピソードでも登場せずに終わってしまう場合もある。
第1話はボアザン星人の地球侵略、ドクガガ登場〜ボルテスV合体まで比較的テンポ良く話が進むが、第2話から過去に遡って父親ネッドの境遇やボアザン星と地球での活動経緯、ボルテス・チームの訓練生時代を描き、アニメ第1話にあたるボルテスVが初戦を終えるまで計12話が経過。
平均的に6話前後でアニメ版のストーリーと獣士戦が進行し、実際には纏めると半分ほどで終わってしまうため、残りは両陣営の揉め事や恋愛関係といった独自のドラマパートが占める割合が非常に長い。
アニメ版との違い
あくまで一例のため登場人物欄も参照。
※以下ネタバレ注意
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上記のように恋愛ドラマが数多く足され、スティーヴ、ジェイミー、マークの三角関係がメインストーリーの合間、又は最中に差し込まれ、加えてオリジナルキャラのエヴァが暗躍。
基本構図はエヴァ→スティーヴ(健一)⇄ジェイミー(めぐみ)←マーク(一平)。
終盤に至るまでスティーヴとジェイミーのすれ違い、ワンチャンを狙ってジェイミーにアピールを続けるマーク、スティーヴに拒絶されマークと親しくなるジェイミーなど、ベタな恋愛ドラマが続く。
ボアザン側ではザルドスとザンドラ(ハイネルとカザリーン)のピロートークが何度か描写。
ビッグ・バード(剛大次郎)にも親しい女性が現れるが、ザルドスが地球に送り込んだ角の無いボアザン星人の労奴で、妹を人質に取られ泣く泣くスパイ活動に身を投じている。
ボアザン星人やその血を継ぐアームストロング兄弟は地球人と異なる能力を持ち、スティーヴとビッグ・バードは銃弾をも通さない頑強な肉体、リトル・ジョンは年齢を遥かに超えた頭脳を備えている。
熱源センサーでの反応が地球人とは異なるが、ボアザン帝国の技術により偽装は容易。
通常兵器が効かない兵士の鎧、時計型のテレポート装置やエネルギーシールドが発生する手甲、姿形を別人に変える変装など、獣士製造技術を応用する形で科学力が向上している。
リトル・ジョンを除いたボルテス・チームの4人は他の同期と共に訓練生としてビッグファルコンで鍛錬を積み、優秀な成績を残した者がチームに選抜。
チームに入れなかった者は地球防衛軍の隊員やメカニック、緊急時の控えメンバー等に振り分けられ、共にビッグファルコンで働いているためサブキャラとして登場する。
ザルドスはボルテスVに敗れた怒りに任せて労奴を殺傷するなどアニメ版以上に気性が激しい。
一方でボルテスVを倒せない3将軍に業を煮やし、自ら情報を得るため姿を変えてビッグファルコンに潜入、ボルテス・チームと邂逅し特にリトル・ジョン(剛日吉)と交流。
周囲に溶け込む一環として存在を知らない腹違いの兄弟と仲睦まじく遊ぶ一幕が描かれ、正体判明後も幼いリトル・ジョンに温情を掛けて見逃すなど強い影響を与えている。
リトル・ジョンは変装時のザルドスを兄のように慕い、スティーヴとビッグ・バードも不思議な居心地の良さを覚え、部外者と警戒していたマークやスミス博士と対照的に心を許していた。
序盤から母親ロザリアの形見である短剣が伏線として張られている。
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あらすじ
遠い宇宙の彼方から惑星支配を掲げた者たちが現れた。
その名は角がある貴族が全てを支配するボアザン帝国。
突如地球に円盤群が襲来し、圧倒的な力の差に各国の防衛機構は成す術もなく敗北しつつあった。
地球征服軍総司令官のプリンス・ザルドスは、追い打ちを掛けるように侵略兵器ビースト・ファイターの投入を命じる。
しかし、ビッグファルコンのスミス博士とマリアンヌ博士は地球の危機を予見し、ある5人の男女に訓練を積んでいた。
スティーヴ、ビッグ・バード、リトル・ジョンのアームストロング兄弟とマーク・ゴードン、ジェイミー・ロビンソンは、秘密裏に作られた5台のボルトマシンに乗り込み出撃。
ボルトマシンがVの字編隊を組み、超電磁の力でボルトインするとスーパーロボット・ボルテスVが姿を現した。
登場人物
ボルテス・チーム
演:ミゲル・タンフェリックス/CV:小林千晃
ボルテス・チームのリーダー。原典における剛健一。
アームストロング兄弟の長男。ボルトクルーザーとボルテスVの操縦手。
地球防衛軍の訓練生として鍛錬を積み、チーム結成後は少佐を務める射撃の名手。
自らが銃弾で撃たれても死なない体であることを知り、兄弟と共に出生の秘密を探った。
両親からチームを纏める優秀なリーダーとして「スティーヴ」と命名され、真面目な頑固者であるが故に周囲との亀裂を生むこともある。
ジェイミーとは幼馴染で兄弟からも関係を応援されているが、自身は同期のエヴァと付き合い、ジェイミーへの好意を自覚しながらもチームワークを乱すのを嫌い伏せている。
健一の専用武器であった特殊なリボルバーは再現されず、生身の戦闘では専ら可変式の実体剣を駆使し、射撃を得意とする設定は要所で活躍するものの空気気味。
演:ランドン・フローレス/CV:金城大和
ボルテス・チームのサブリーダー。原典における峰一平。
ボルトボンバーの操縦手。数多のロデオ大会で優勝経験を持つ乗馬の名手。
アニメ版同様に鞭を得意とし、合体時には超電磁ストリングのみマークが操っている。
地球防衛軍の訓練生として鍛錬を積み、チーム結成後は大尉を務めている。
少年時代に父親を病気で亡くした上に母親が失踪した過去がトラウマと化し、優しい母親の元で育ったアームストロング兄弟に嫉妬心を抱き、スミス博士を父親のように慕う。
スミス博士から母親の真実を聴き、チームと和解し協調性を見せ始めたが、その矢先ジェイミーへの好意をスティーヴに吐露し新たな火種が生まれることに。
マークの愛馬アルファが活躍するアニメ版第6話「いななけ!愛馬アイフル」に該当するエピソードは敢え無くカットされ、乗馬シーンや会話での言及に留まっている。
演:マッド・ロザノ/CV:花倉桔道
アームストロング兄弟の次男。原典における剛大次郎。
ボルトパンザーの操縦手。合体時にはボルテスVの武器管理を担当。
地球防衛軍の訓練生として鍛錬を積み、チーム結成後は大尉を務めている。
少年時代には僧侶の元に預けられ、棒術を中心とした武道の達人。対ガルド戦では武士に有効な胡蝶返しをスティーヴに伝授した。
何かとスティーヴとジェイミーの仲を揶揄う気の良い性格で、食いしん坊と太めの体形を弄られる三枚目。
時に冷静さを失ってしまうほど兄弟の中でも強い家族愛を持ち、母親を喪った悲しみを埋めてくれたジュディと親しい関係を築くも…。
演:ラファエル・ランディゴ/CV:小市眞琴
アームストロング兄弟の三男。原典における剛日吉。
ボルトフリゲートの操縦手。合体時にはボルテスVの機体・エネルギー制御を担当。
模型作りが趣味で
戦艦三笠の大ファンを公言し、私服はアニメ版同様に水兵服。
並外れた頭脳から機械弄りを得意とし、タコ型ロボットのオクト-1(原典のタッコ)や個人用の光学迷彩を作り上げ、スミス博士も将来を期待する天才児。
ボルテス・チームが軍人として訓練を積んでいた中、年齢故に母親のマリアンヌが反対し、リトル・ジョンのみ平和な生活を送っていた。
兄たち同様に自らも戦いたいという願望が強く、ボアザン帝国の侵略により土壇場で説得に成功しチームに加入。
アニメ版でもメカに強く聡明な描写が見られ、本作では父親の才能を受け継いだエンジニアとしての側面が描かれた。
第1話ではボルテス・チームの初登場が全員再現されているが、日吉は水中で鮫を斬りつけるというものであったため、
イルカと戯れるシーンに変更されている。
演:イザベル・オルテガ/CV:
中島愛
ボルテス・チームの紅一点。原典における岡めぐみ。
ボルトランダーの操縦手。甲賀流十八代目かは不明だが、手裏剣を使いこなす
忍者。
格闘技においては訓練生の男子顔負けの腕っ節を誇る実力者。
合体時にはメンバーの生体情報を管理し、チーム結成後は医療班に所属。
アームストロング兄弟とは幼馴染の関係で、アニメ版ではチームを支えるお姉さんポジションだが、本作ではスティーヴ及びマークとの三角関係が描かれた。
ロビンソン防衛長官の実子という立場から一部の同期にコネによるチーム選抜を疑われ、エヴァの嫉妬の対象となった結果、長期間の嫌がらせと命の危機に晒される。
吹き替え担当の中島愛は日本人とフィリピン人の間に生まれ、アニメ版における役名も同じ「めぐみ」である。
ビッグファルコン
演:アルバート・マルティネス/CV:山中誠也
ビッグファルコンの司令官。ロボット工学と航空学の博士。原典における浜口博士。
地球に辿り着いたフロスガーの協力を得てボルテスVとビッグファルコンを建造し、来る日まで準備を整えていた。
リトル・ジョンとはエンジニア同士通じるものがあり、彼の才能を誰よりも認めている歳の離れた親友。
ボルテスVの初陣では唯一出迎える家族がいないマークを気遣い、時にはボルテス・チームを叱咤激励し、彼らを我が子同然の存在として誇りに思っている。
私室には鎧兜といった品を飾り、金継ぎが趣味であるなど日本にルーツを持つ。
演:ガビー・エイゲンマン/CV:相樂真太郎
地球防衛軍(EDF)の防衛長官。原典における岡防衛長官。
ジェイミーの実父であり、スミス博士、フロスガー、マリアンヌの盟友。
アニメ版のように忍者であるのか定かではないが、ジェイミーをも上回る柔道の達人。
ビジュアルは体格、髪型、髭、雰囲気に至るまで岡長官とそっくりで、演者の中でも特に再現度の高いキャスティングと話題を呼んだ。
演:ニール・ライアン・セセ
新たにビッグファルコンに着任した司令官。原典における左近寺公三。
スミス博士の教え子にあたり、彼の存在を尊重し私物を敢えて残している。
ボルテス・チームに常軌を逸したスパルタ特訓を課し対立するも、ボアザン帝国との戦いを通して認め合い、スミス博士の遺志を継ぎ彼らを導き支えていく。
演:デニス・トリロ/CV:三上哲
アームストロング兄弟の父親。原典における剛健太郎(ラ・ゴール)。
ビッグファルコンを建造し、ボルテスVを設計した天才科学者。
ネッドとは地球人としての名前であり、本名はボアザン星人のフロスガー。
王位継承権を持つ科学大臣として優れた功績を残し、歪んだ貴族社会の在り方に疑問を呈した和平派。
次期皇帝の地位を約束された人徳を兼ね備えていたが、ボアザン帝国において人間の価値を左右する角を持たずに生まれ、ザンボジルの告発により露呈し奴隷階級=労奴に落ちた。
労奴を纏め上げてボアザン星を脱出し、地球に辿り着いた際に後の妻であるマリアンヌに救われる。
スミス博士やロビンソン長官にボアザン帝国の存在と地球の危機を伝え、秘密裏にボルテスVやビッグファルコンといった対抗する戦力を整えた。
我が子であるスティーヴたちをマリアンヌに託し、労奴を解放すべくボアザン星へ帰還したが消息不明となった。
演:カーラ・アベラナ/CV:堀江美都子
アームストロング兄弟の母親。原典における剛光代。
ビッグファルコンの科学分野における最高権限を持つ天体物理学の博士。
かつて浜辺で倒れていたフロスガーを救助し、地球人として生きる彼に亡き父親から取った「ネッド」と心身の強さを象徴する「アームストロング」という名前を与えた。
ネッドと惹かれ合い子供たちを出産、彼がボアザン星へ帰還した後も息子たちの良き母親として家庭を守っている。
当初はリトル・ジョンをボルテス・チームに迎えるつもりはなかったが、ボアザン帝国の地球侵略が始まり了承する。
バイザンガ戦では瀕死の重症を負いながらボルテスVのピンチを救うべく戦闘機で特攻を仕掛け壮絶な戦死を遂げた。
アニメ版では最序盤の2話で散ってしまうが、本作ではフィリピンにおける家族像を反映して優しい母親として描かれ、ネッドとの出会いと別れ、息子たちとの関係が補完されている。
吹き替え担当の堀江美都子はご存知本家ボルテスのオープニングを担当したレジェンド歌手。
演:エル・ビリャヌエバ
ボルテス・チームの同期訓練生。原典に登場しないオリジナルキャラ。
スティーヴと親しいジェイミーに憎悪を燃やし、彼女のポジションを乗っ取ろうと企む悪女。
ジェイミーに対し様々な嫌がらせや暗殺の手引き・実行といった常軌を逸した行動を取る。
恋愛パート全編に渡って暗躍し、人間関係を引っ掻き回した。
ボアザン星間帝国
演:マーティン・デル・ロザリオ/CV:
諏訪部順一
ボアザン帝国地球征服軍総司令官。原典における
プリンス・ハイネル。
貴族として高いプライドと角が無い人種を見下す冷酷さを合わせ持った貴族主義の体現者。
王族の出身でありながら同時にボアザン帝国裏切り者の子息として生を受け、皇帝ザンボジルの期待に報い周囲の奇異の目を見返すべく総司令官に名乗りを挙げた。
ザンボジルの養子として育てられたが、産みの親はフロスガーと亡き前妻ロザリアであり、アームストロング兄弟とは異母兄弟にあたるがその事実を知らない。
サーベルを帯刀する剣の達人で、
シスの暗黒卿の如く手から電撃を放つ。
ビッグファルコンの情報、ボルテス・チームの正体を探るべく、労奴を地球人に偽装して潜入させるなど、策略家としての一面を覗かせている。
吹き替え担当の諏訪部順一は発表時にハイネル役を演じたい旨を語り、本作での配役に繋がっている。
演:リーザル・ロペス/CV:
飯田里穂
昆虫学と獣士製造の専門家。原典におけるリー・カザリーン。
知性と武勇に優れるザルドスに心酔し、私室で共に過ごす際は「ナジミ」と呼ばれることを好んでいる。
如何にも悪の女幹部らしい谷間が強調された鎧を纏い、アニメ版の角にケープを垂らした服装にも着替え、衣装のバリエーションは登場人物の中でもダントツに多い。
演:カルロ・ゴンザレス/CV:樋山雄介
ボアザン最高の戦士とも称される隻眼の武人。原典におけるルイ・ジャンギャル。
多くの戦乱を経験した退役軍人であり、ビースト・ファイターの戦略的運用・操縦を担当。
アニメ版とは異なり全身に鎧を纏い斧を振るう。
演:エピ・クィンゾン/CV:越後屋コースケ
フロスガーの後任として科学大臣を務めた科学者。原典におけるド・ズール。
ボアザン帝国の武器開発を手掛け、ビースト・ファイターの武装を担当。
地球侵略後に皇帝ザンボジルから直々にザルドスの監視と妨害の極秘任務を受けるが、偶然ザンドラに目撃され他の将軍から大きな反感を買い信用を失う。
アニメ版とは異なり肌色は他のボアザン星人と同様で、衣装と小道具を組み合わせて雰囲気を再現した。
演:ニコ・アントニオ
ボアザン帝国から派遣された新たな将軍。原典におけるド・ベルガン。
全身に特殊合金の鎧を纏い、尊大な態度だが優れた科学者としての側面を持つ。
自らの鎧と同じ素材でビースト・ファイターの装甲を強化し、アニメ版における鎧獣士を実戦投入しボルテスVを苦しめた。
演:クリスチャン・バスケス/CV:諏訪部順一
ボアザン帝国の皇帝。原典におけるズ・ザンバジル。
宇宙の覇権を握るべく、ザルドスに地球征服を命じた張本人。
かつては王位を争うフロスガーより低い立場に甘んじていたが、ある時彼に角が生えていない秘密を握り、戴冠式の当日に公表することで表舞台から排除、自らの地位を盤石とした。
フロスガーの前妻ロザリアが産んだザルドスを取り上げ、フロスガーとロザリアの親族を抹殺、将来的にザルドスを自らの手駒とすべく養子に迎えた。
アニメ版では存在感を匂わせつつ回想を除けば最終盤まで登場しなかったが、本作では序盤からネッドとの因縁やザルドスを手元に置いた経緯が語られ、地球征服が進まないザルドスを責め立てる役割で数多く登場。
一番絡みが多いザルドスと吹き替え担当が被り、会話すると両方同じ声というややこしい事態が発生している。
登場機体
ボルテス・チームが搭乗するスーパーロボット。
5台のボルトマシンがVの字編隊を組み、ボルトインすることで巨大ロボットボルテスVに合体。
武器名を叫ぶと音声に反応して自動で展開し、種類によっては操縦手のスティーヴ以外が扱うことも可能。
本作ではポピニカやバンダイの超合金オリジナル形態・重戦車モードが最終決戦でまさかの登場を果たした。
ボアザン帝国が主力とする巨大ロボット軍団。原典における獣士。
デザインはアレンジを加えつつもアニメ版を踏襲し、生物をモチーフに機械と融合した姿が特徴。
アニメ版第4話「魔の必殺シャドウ剣」に登場したガルドは、剣を極めたボアザン兵士ではなく日本の武将から着想を得た形に変更、デザインも大幅に変わって『ストリートファイター』シリーズのガルダを思わせる赤い鎧武者となり、武将の資料やDNAを取り込むことで剣技を再現した。
「オコゼニア」「ナマズンゴ」といった日本語由来の名前は大きく変わらず、「ガメンザー」は「ガメラ」に変更されている。
登場するビースト・ファイター
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名称 |
原典話数 |
補足 |
ドクガガ |
第1話「宇宙からの侵略者」 |
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バイザンガ |
第2話「苦闘への前進」 |
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ガルド |
第4話「魔の必殺シャドウ剣」 |
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ネーグ |
第5話「戦艦三笠が危機を呼ぶ」 |
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ダイガ |
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ダイネーグ |
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ボンボス |
第10話「ボルテス合体不可能!」 |
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ナマズカ |
原典ではナマズンゴ |
ガメラ |
第11話「よみがえるボルテスV!」 |
原典ではガメンザー |
ザイロス |
第17話「愛も涙もふり捨てろ!!」 |
原典ではザイザルス |
ゾルディア |
第20話「血で書いた数字の謎」 |
原典ではゾルゲル |
オコゼニア |
第24話「敵・新将軍の挑戦」 |
|
デスラー |
第25話「自爆!!超電磁ボール」 |
|
ダイアンド |
第31話「岡防衛長官空に散る!!」 |
ボルテスVとの戦闘シーン無し |
素粒子時限爆弾 |
第37話「さらば!敵司令官ハイネル」 |
正確には獣士ではない |
ズナイザー |
第16話「ファルコン壊滅の危機」 |
原典ではスネイザー |
守護神ゴードル |
第40話「崩れゆく邪悪の塔!!」 |
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主題歌
ボルテスVの歌
作詞:八手三郎 作曲:小林亜星 編曲:ジョシュア・B・ガパシン、シモン・ペテル・L・テン
歌唱:ジュリー・アン・サン・ホセ
監督のインタビューでは「フィリピン人は心でボルテスVの歌を理解している。タガログ語や英語で翻訳してみたが、しっくりこなかった」として、歌詞は原典版も全て日本語で歌唱されている。
父をもとめて
作詞:あおいあきら(長浜忠夫) 作曲:小林亜星 編曲:リナ・L・メルカド 歌唱:マッド・ロザノ
ビッグ・バード役のマッド・ロザノが担当し、こちらも全て日本語で歌唱。
父をもとめて〜LEGACY ver.〜
作詞:あおいあきら 作曲:小林亜星 編曲:坂東邑真 歌唱:堀江美都子
超電磁リスペクトTV版の第5話から故
水木一郎のED曲を堀江美都子がクラウドファンディング企画でカバーしたレガシーバージョンが追加。
- ねぇ、やっぱおかしいって。(クオリティ) -- 名無しさん (2025-01-06 07:27:55)
- 強いていうなら海外作品だからキャラの名前が全く馴染まないってところがネックか。「プリンス・ザルドス」って何!? -- 名無しさん (2025-01-06 08:26:19)
- 「この劣等種石とか投げて愚かですねww」「映像の石避けたお前の方が愚かだよ」のやり取り好き -- 名無しさん (2025-01-06 08:36:35)
- 初勝利で家族のいる皆は家族に祝福されるけど一平だけ寂しい思いをするけど博士に微笑んでもらえるとかそういうのは実に分かってる。ただ、めぐみと健一がフラグ建ててるのはちょっと驚いた。めぐみは一平と付き合ってるイメージだったわ。 -- 名無しさん (2025-01-06 08:43:46)
- 戦隊もののロボットバトルと比べると、ちょっと間延びする感じはあったかな。クオリティは比較にならんが…何だこの力の入れ具合 -- 名無しさん (2025-01-06 08:57:22)
- 一言で言うなら「誰がここまでやれといった」 -- 名無しさん (2025-01-06 11:39:22)
- ドラマパートに力が入るのは向こうのお国柄的に仕方ないって話を聞いた。ボルテスVには合わないってだけでそこだけ切り取れば十分作品になるくらい練られた脚本だそうな。それはそれとして全体的にクオリティはヤバいと思う。 -- 名無しさん (2025-01-06 16:59:39)
- ゲキ・ガンガー3かな? -- 名無しさん (2025-01-06 17:12:40)
- ボルテスVに全てを賭けて(歴史的事実) ボルテスVに預けた命(下手もの作ったら国に首を飛ばされる) -- 名無しさん (2025-01-06 17:35:33)
- 映画版入場特典のペーパークラフトもクオリティがおかしい。下半身は完全に固定だけど、上半身が割と動くし天空剣の着脱に対応してる。ナニコレ -- 名無しさん (2025-01-06 17:36:20)
- テンポの悪さは不満あったけど、原作愛がないかと言われたら絶対そんなことはないと言い切れるし、本当に面白かったわ -- 名無しさん (2025-01-06 17:58:45)
- 原作アリの実写化を舐めきってる連中に「リスペクトとはこういうものだ」と首根っこ捕まえてフィルムが擦り切れるまで見せつけてやりたい一作。この時代にこれだけの熱量を持って作ってくれた事は本当に貴重だし敬意を評したい。 -- 名無しさん (2025-01-06 18:04:02)
- 「日本語歌詞じゃないと魔力が宿らない」←これすきすきすきのすき -- 名無しさん (2025-01-06 21:09:50)
- これ90話も作られてたのか……てっきり映画1本作っただけとばかり…… -- 名無しさん (2025-01-06 22:17:17)
- ↑日本でいう朝の連ドラみたい放送形態らしい。そしてCGのクオリティを担保するためかビーストファイター(獣士)の登場はおそよ5話ごとだそうな。 -- 名無しさん (2025-01-06 22:32:15)
- ドクガガが月光蝶みたいでめちゃんこかっこいい -- 名無しさん (2025-01-06 23:11:36)
- ビーストファイターは原典と違って誉ある立場じゃないっぽいけど、そっちの設定を反映してか何体かは角付きにアレンジされてたりする。ドクガガが分かりやすい。 -- 名無しさん (2025-01-07 03:03:19)
- ボルテスVに全てをかけてが比喩表現ではないとは恐れ入った -- 名無しさん (2025-01-07 08:48:57)
- 舐めたもの作ったら向こうのマフィアに殺されかねなかったにしても良い意味でおかしい -- 名無しさん (2025-01-07 09:09:49)
- エヴァってガンダム作品でいえばアグネスに近いと思う -- 名無しさん (2025-01-07 10:55:44)
- 原作のアニメじゃさっと流した母の戦死の話をじっくりねっとり肉付けしたのはお国柄の違いを感じた -- 名無しさん (2025-01-07 16:53:36)
- 公開時見に行きたかったが行けなかった、12月中旬都内で見れるとこあるかと検索したら無かった……くやしひ。やはり国内では長く公開できる程の人気は足りなかったのか、パンフとか欲しかったそんな -- 名無しさん (2025-01-08 07:34:04)
- ↑4マフィアが熱烈支持する人類の正義の味方スーパーロボット作品というのを考えるとなんかジワる -- 名無しさん (2025-01-08 07:37:43)
- ↑5 これマジ? -- 名無しさん (2025-01-08 09:24:38)
- 健一役の人の声が白石さんじゃないのを知って観るのを戸惑ってしまった...レンタルになったら観てみる -- 名無しさん (2025-01-08 10:53:04)
- ↑流石に半世紀程前の作品の役者さんを据えるのは無理あるだろうよ… スパロボ初出演の新スパですらボルテスから数えて20年くらい後のゲームだったんだし -- 名無しさん (2025-01-08 11:48:13)
- 劇場版だけを見た人間だが、テンポの悪さとかそんなものはどうでもよくなるぐらい、吹き替え&字幕のセンスがゴミカスなのが最大の欠点。Google翻訳にかけたんか?レベルの直訳が頻発される。まあこれはフィリピン側には一切関係無いんだが、マジであれは無い -- 名無しさん (2025-01-08 22:15:02)
- ↑たぶん翻訳担当者がSFに不慣れだったんだよ…。 -- 名無しさん (2025-01-10 07:52:21)
- ↑2むしろ白石氏は現役時代僅かにしか活躍してないのに新スパで出演されたようで久々の演技にも関わらず当時と変わらない伸びのある声の演技をされたからレガシーの吹き替えも……と期待してしまうのも無理はない。新スパに出演されて以来いつでもシリーズに出られるようにスタンバイしているらしいとは聞いた。市川治氏がご存命だったらなんてのも思うけど流石にないか(ボルテス当時既に40代) -- 名無しさん (2025-01-10 08:02:11)
- 仮に市川さんが生きておられたら皇帝の声を担当されたかもしれませんね。個人的には屋良有作さん(当時は黒部鉄名義)に担当してほしかったが。 -- 名無しさん (2025-04-15 20:04:57)
- ↑11 アグネスより長浜ロマンロボシリーズで言えばダイモスの三輪を思い出す。 -- 名無しさん (2025-04-15 22:40:29)
- なお、東映やサンライズの方々は「予想を超える出来で『国家プロジェクト』かと思った」らしい -- 名無しさん (2025-04-27 21:56:29)
- 評価低いのはテンポ悪いからかね -- 名無しさん (2025-04-27 22:07:49)
最終更新:2025年04月27日 22:07