プリンス・ハイネル

登録日:2011/10/04 Tue 01:41:41
更新日:2025/01/06 Mon 00:03:40
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見事だ。見事だな地球人め。
だが、明日もこうなるとは大間違い。

ボアザン星に盾突く者で……
この宇宙に生き長らえた者は1つもない事を思い知らせてやる!



誇りに、死す。

東映ビデオ『超電磁マシーン ボルテスV』LD-BOX告知ポスターより


プリンス・ハイネルとはアニメ『超電磁マシーン ボルテスV』に登場する人物。

声は『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』のノリス・パッカード
超時空要塞マクロス』のボドルザー(愛・おぼえていますかではゴルグ・ボドルザー)等の声で知られる故・市川治氏。

同氏は長浜監督の関わったロマンロボシリーズ等で『勇者ライディーン』のプリンス・シャーキンや『超電磁ロボ コン・バトラーV』のガルーダorワルキメデス、
闘将ダイモス』のリヒテル、『未来ロボ ダルタニアス』のクロッペン等のライバル役を多く演じた。

【人物像】

眉目秀麗な見た目に違わずの貴族としての誇りを重んじる気高い人物であり、プライドこそ高いものの器も大きい。
擁護不能な裏切り者だと断定した者には決して容赦はしないが、逆にそこに至るまでには挽回の機会を与えることも多く、そのカリスマから多くの部下に慕われている。
組織運営のみならず、頭脳と戦闘能力にも非常に優れており、自ら攻撃獣士を操縦してボルテスⅤと抗戦したことさえある。

とはいえ、ボアザン星人貴族の例に漏れず角のない労奴や地球人のことは完全に見下しており、その命を奪うことには何の躊躇いも見せない。
加えて、プライドの高さと後述する身の上から己の誇りを守り貫くためならむしろ汚い手を使うことも厭わず、物語冒頭からボルテスチームの精神を情け容赦なく抉るような卑劣な作戦も何度も展開してきた。
身内には慕う者も多いと先述したが、己の術中に嵌った相手を冷酷に嘲笑い抹殺しようとする姿は、その標的の視点から見ればまさしく邪悪の権化。

総括すると、身内にとっては高潔な理想の上司、敵にとっては悪逆非道な悪の親玉という二つの側面を持つ、まさに悪のカリスマとでも言うべき、非常に厚みのある人物と言えよう。

【活躍】

ボアザン星の権力を握った皇帝ズ・ザンバジルの命により、地球征服軍司令官という役職を任命される。
幼い頃から「謀反人の子」として言われ無き迫害を受けて来た為、皇帝への忠誠を見せつける良い機会と考えた彼は、
リー・カザリーン、ルイ・ジャンギャルと共に地球征服へと繰り出す…
が、剛健一ら五人の乗るボルテスⅤに思わぬ苦戦を強いられ、皇帝派のド・ズールやド・ベルガン等に地位や命を狙われてしまう。
そして遂に、皇帝からド・ベルガンを通して地球司令官の解任の勅令が出される。

地球に一人取り残されたハイネルだったが、ジャンギャルの犠牲とカザリーンの手引きによって
ボルテスⅤによりザンバジル体制が崩れ始めていたボアザン星への帰還を果たす。
慌てふためく貴族等を叱責し、徹底抗戦を訴えるハイネルだが貴族の一人に銃を向けられ、身を呈して盾になったカザリーンを失う。

全てを失ったハイネルはボアザンの守護神・ゴードルの像へと身を捧げ、ゴードルのパイロットとなりボルテスⅤと一騎討ちを繰り広げる。
相討ちになりつつも健一との肉弾戦にもつれ込むが、そこで健一と異母兄弟である事が判明する。
兄弟同士で戦う事に愕然としたハイネルをよそに、ザンバジルは身の保身を第一に考えていた。
それまで仕えていた皇帝の醜態に目を覚ましたハイネルはザンバジルを殺害。
彼が持っていた爆弾から弟・健一と父・健太郎を守る為に自らの体を犠牲にし、「お父さん…」と呟きながら炎の中に消えていった…

【関係が深い人物】

  • ラ・ゴール(声:二瓶秀雄)
ハイネルの実父。
ボアザン星皇帝の弟を父に持つ名家の出身だが、貴族の証である角を持たずに産まれた為に危うく父に殺されそうになる。
母の嘆願により一命をとりとめ偽の角をつけて生きる事となり、科学長官として政治に身を置く事になる。
やがて最初の妻・ロザリアと出会い結婚。病弱で知的障害を持つ皇太子に代わりボアザンの皇帝に就くが、ザンバジルの策略で皇位を剥奪されロザリアと強制的に離縁。
自らも労奴に落とされ、ザンバジルへの反乱を企てるが失敗。命からがら地球へと逃げ出し、剛健太郎と名乗る。この時二度目の妻・光代と出会い三人の息子を残す。
その後はボアザン本星や征服された星々の反乱軍を指揮しつつボルテスチームをバックアップ、全ての戦いが終わった後は祖国再建の為にボアザンに留まっている。

  • ロザリア(声:横沢啓子)
ラ・ゴールの最初の妻であり、ハイネルの実母。
角が無いにもかかわらず夫を愛しハイネルを身籠っていたが、ザンバジルの策略で強制的に離縁。ハイネルに形見の短剣を残し息絶えた。
ラ・ゴールはロザリアの死を知らなかった為、ハイネルが息子だとは最後まで気付かなかった。

  • 剛 健一(声:白石ゆきなが)
  • 剛大次郎(声:玄田哲章)
  • 剛 日吉(声:小原乃梨子)
峰一平(声:曽我部和行)、岡めぐみ(声:上田みゆき)を含めた五人でボルテスチームとしてボルテスⅤに乗り込み、ボアザンと戦う三兄弟。
ハンサムな優等生タイプの健一、大柄で鹿児島弁の大次郎、小柄で発明好きの日吉とタイプはバラバラだが、全員剛健太郎の息子。
つまりハイネルの異母兄弟である

  • ズ・ザンバジル(声:寺島幹夫)
先代皇帝と愛人との間に産まれた角を持つ貴族。
その境遇から皇位継承者であるラ・ゴールを恨み、戴冠式において彼を追放。以降はボアザン星の皇帝の座に就き、労奴から搾取した財産で黄金城を築き上げて権力を欲しいがままにしていた。
自分が亡き後の皇位継承権を持つハイネルを疎んじ、地球征服軍司令官へと任命。
辺境の最前線に送る事でハイネルを戦死させる事を望んでいたが、ラ・ゴール率いる反乱軍とボルテスⅤの前に呆気なく権力は崩壊。
持てる限りの金銀財宝を抱えて逃亡し、全ての責任をハイネルに押し付けて反乱軍とボルテスチームに命乞いするが、逆にそのせいで完全に見限られ殺害された。

  • リー・カザリーン(声:小原乃梨子)
幼い頃よりハイネルと共に過ごした金髪の美女で、貴族らしい気高さと丁寧な言葉遣いが特徴。
地球征服軍の一員として、地球の生物を元に作り上げたロボ・獣士等兵器の開発を担当している。
ハイネルに対しては恋心を抱いており、戦乱の続くボアザン星に帰還した際には彼に全てを捨てて共に暮らすよう説得をするも
貴族の誇りを捨てきれないハイネルは彼女の誘いを断り、戦いに身を投じる。
最後は混乱した貴族に撃たれそうになったハイネルを庇い、命を落とす。
スパロボでハイネルを生存させる場合カザリーンが無理矢理ハイネルを連れ出すというパターンが多く、
ハイネルの原作終盤の行動を考えると彼が素直に受け入れるかは微妙と思われるので、決してハッピーエンドとは言いにくい。
こんな感じでスパロボでも中々素直にハイネルと結ばれない難儀なキャラ。

赤鬼を思わせる筋骨粒々とした外見の、豪胆な性格の大男。
その凶暴そうな見た目とは裏腹に職務には忠実で、ハイネルがどんなに不利な状況であろうとも彼に忠誠を誓った。
反面、地球人に対しては虫けら同然の意識しか持っておらず、卑怯な作戦であろうと躊躇無く実行に移した。
最後は武人らしくボルテスⅤに一騎討ちを挑み敗退。
「己の死に場所は心得ている」と自らの身を剣で貫き、健一達にラ・ゴールの居場所を伝えて息を引き取った。


スーパーロボット大戦シリーズにおけるハイネル】


○新スーパーロボット大戦

初参戦。ハイネルの乗る守護神ゴードルは条件付きでスポット参戦するのみだが、スペシャルディスクのオリジナルマップでは最強ユニットとして大活躍する。
この作品ではスポット参戦の条件を整えれば、健一達の後押しでお互い合意の上でカザリーンと旅立つ事になるので数少ないカザリーンもまともにハッピーエンドを迎えた作品である。
整えなかった場合、カザリーンはハイネルを庇って死んでハイネルは傷心のまま姿を消すエンドになってしまうが…。

○スーパーロボット大戦αシリーズ

シリーズ開始時点でボアザン星が角のない人種が治めるゼ・バルマリィ帝国に占領されているという崖っぷちの状況のため、角のない者への差別意識が薄く、原作より物分かりがいい。
α』では終盤までエアロゲイターの一員としてロンド・ベル隊に立ちはだかり、通常では死亡してしまうが条件次第では剛兄弟との関係を知って放心状態のまま姿を消し、
ロンド・ベルとエアロゲイターの決戦に姿を現して剛兄弟と共闘、健一に「父親を大事にするがいい」と言い残すと人質になっているカザリーンを救出し、ボアザン星を解放するために単身エアロゲイターとの戦いに向かった。
その後何の説明もなくカザリーンが捕らわれているはずのヘルモーズをロンド・ベルが粉砕してしまうため、「カザリーンはちゃんと救出されたのか?」とプレイヤーから心配される事態に
第2次α』では中盤からちょくちょく姿を見せるようになり、『闘将ダイモス』のエリカらを陰ながら支援。
細かい事情は明かされないが、『α』の後、何とかボアザン星に帰還した彼はゼ・バルマリィ帝国から解放されたもののザンバジルの悪政によって腐敗した母星の姿を見た事でザンバジルへの反逆を決意し*1
サンバジルの支援を受ける『ダイモス』のオルバン大元帥を探っていた模様。
自分の在り方について色々見つめ直したようで、自分の戦いは「正義への償い」であると中の人とポジションが同じである『ダイモス』のリヒテルに語り、自らがオルバンらに騙されていたと知った彼とは盟友関係となった。
ついでに健一達にはすっげぇお兄ちゃんしており、一度死にかけた時には「お前たちが余を兄と呼んでくれた今、思い残す事はない」「ボアザン星とお父さんを頼むぞ」とまで言っている。
カザリーンのその後が一切語られなったため、またもプレイヤーからはその安否を心配された
この時はなんだかんだで生きてたが、『第3次α』ではついにボアザン星解放の本願を果たしたものの、戦死。最終決戦で霊体として登場、αナンバーズに檄を送った。
彼とリヒテルを操作する外伝シナリオが存在する。
ちなみに外伝シナリオに関する裏技(半公式?)を使う事で、本編にて最初から最後まで使用可能になったりする。
なお、ようやくカザリーンの無事が判明したが、結局彼女も死亡してしまう事に。

スーパーロボット大戦A

UFOロボ グレンダイザー』のベガ星人の配下として登場。
出番はやや少なく空気気味。
最終的にはカザリーンに麻酔銃で気絶させられて逃亡の旅に出る事に。
カザリーン的にはグッドエンドだろうが……

スーパーロボット大戦R

ミケーネ帝国恐竜帝国と同盟を結ぶが敗北。
ラリアーの計らいで気を失っている間にカザリーンと共に新天地を目指して宇宙へ旅立つ。
カザリーン的には(ry

スーパーロボット大戦J

最後のシーンが一枚絵で再現される等、前二作に比べて扱いが良くなった。
なお、『テッカマンブレード』の再現シナリオ「血を分けた悪魔*2ではボアザン軍とも交戦するシナリオとなっており、
テッカマンブレード』原作におけるDボゥイ/テッカマンブレードに対する相羽シンヤ/テッカマンエビルだけでなく、剛兄弟に対するハイネルという二重の意味を持つタイトルとなっている。

スーパーロボット大戦DD

今の所敵の幹部その1的な扱いであり、今後の活躍に期待。
地球をきれいなまま手に入れるという目標の為、落下しそうになったアクシズの破片を粉砕するという見せ場もあった。


【余談】

原作者の長浜忠夫氏によると、キャラクターのヒントは宝塚歌劇団で「女のように薫り立つような趣きを漂わせながらも、きりりとした顔つきの美少年」との事。
また、角のモチーフはユニコーンだそうだ。

その端正なルックスと濃いキャラクター性から、今なお根強い人気がある。
特に放送当時は女性人気が極めて高く、「てれびくん」などの児童誌の投書コーナーにおいてはメインターゲットである子供達からのハガキと共に大きなお姉様方から送られたハイネルの力作イラストが毎月のように掲載され、編集部も味を占めたのか放送中は健一を差し置いてボルテスⅤと共にほぼ常に表紙に写っていた*3という。
まだインターネットがなく、アニメ雑誌の類も希少だった時代柄、今で言うところの「推し活」の機会に飢えていたアニメファンが大勢いたことが伺えるエピソードである。

声を演じた市川治氏はガルーダと並び強いこだわりを持っていたらしく、収録前には身を清めて臨んでいた。
2006年には70才ながらも40代の頃と変わらぬ声でハイネルを演じ、『ボルテスⅤ』のDVDコマーシャルに出演した。
後日談である長谷川裕一の漫画『逆襲する貴族』では守護神ゴードルを模した甲冑に身を包み、貴族の証である角を片方だけ折って、貴族でも労奴でもない存在としてボアザンの未来のために活動する仮面の騎士モノホーンとして登場。健一らボルテスチームに新型ボルトマシーン・ボルトスピナー&ボルトローラーを提供する。
なお、モノホーンの甲冑を身にまとったハイネルは『超電磁大戦ビクトリーファイブ』第二部にも登場。『コン・バトラーV』本編のガルーダとは似ても似つかぬ残忍なオリジナル・ガルーダとの決闘の最中、仮面が割れてハイネルの素顔が現れる場面は必見。

フィリピンの吹き替え版では「プリンス・ザルドス」と名を変えており、実写版「ボルテスV レガシー」でもそれを踏襲。日本語吹き替えはボルテス直撃世代でもある諏訪部順一が担当している。



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最終更新:2025年01月06日 00:03

*1 原作では曲りなりに最後まで従おうとしたザンバジルを「逆賊」とまで吐き捨てている。

*2 これ自体は『テッカマンブレード』原作第14話のサブタイトル。

*3 フォローしておくと健一も決して大人人気がなかったわけではなく、彼の読者投稿イラストもよく掲載されていた模様