僕の街の電車セット

登録日:2025/02/02 Sun 12:24:59
更新日:2025/07/06 Sun 09:02:38
所要時間:約 4 分で読めます




全国各地の有名車両が、僕の街シリーズとして、登場したぞ。
すべての僕の街シリーズを組み合わせると、日本地図が完成するよ!
(パッケージ記載の商品概要より)

僕の街の電車セットとは、トミー(現:タカラトミー)が2002年末に発売した、プラレールのオールインワンセット群である。

概要

2001年にファーストトライセットが発売され、その中の赤、青、白の3セットは互いに接続されることを想定した設計になっていた。
このファーストトライセットがヒットを収めたのか、翌年には相互に接続できるセットを3種類から6種類に倍増、さらには当時単品化されなかった、通勤・近郊型車両を中心とした車両を収録したセット群が発売された。
冒頭商品概要より、6セット全てをそろえることで日本地図を作ることができる。
このセットも人気が出たのか、2000年代のサウンドプラレールや、地下レール販売に伴う地下鉄車両拡充、各鉄道事業者限定商品の増加など、プラレールで通勤・近郊型車両の販売車種が増加する流れが生まれた。

ちなみにどのセットも車両は新規参戦で、205系や313系のような単品商品があるものもバージョン違いとして「単なる抱き合わせ」を回避している。人気の理由はこのへんもあったのだろう。
これも僕の街の~の終売後も方針としては残っており、現在だと例えばカートレインというかEF65スーパーエクスプレスレインボー仕様機*1なんかはセット品限定の車種である。その他新幹線車両も初出がセット品限定で単品化に時間がかかるケースも多い。

各社セット内容

北海道

レールは、直線レール2本、曲線レール6本、8の字ポイントレール1対を収録。日本地図ではもちろん北海道を担当。
車両はC11型蒸気機関車171号機牽引の函館大沼号を収録。唯一電車ではなく、客車列車からの収録となった。C11の金型はC12の流用で実車とはあまり似ていない。
JR北海道の保有する721系および731系電車では片開きの乗降扉を採用しているため、プラレールで再現するには金型を新規に起こさなくてはならないこと、季節限定品として711系電車を販売してから1年程度しか経過していなかったことより、出せる電車がなかったために函館大沼号を代役として使ったのではないか、とファンの間では考えられている。

東日本

レールは直線レール1本、曲線レール5本、ターンアウトレール、8の字ポイントレール各1対を収録。日本地図では本州北東部を担当。北海道との継ぎ目にまで達しているので殆ど東北である。
車両は既に単品で発売されていた205系の色違いで、横浜線を収録。電車の中では唯一国鉄型車両がセレクトされた*2。行き先は「桜木町」。こちらも電車の中ではJR各社を代表する駅を行き先にしていない。ただし、桜木町駅は「初の商業路線開業時に始終点になった駅*3」と日本の鉄道ではかなり由緒正しい駅なので妥当なセレクトか。

東海

レールは1/2直線レール2本、曲線レール5本、ターンアウトレール1対+1本、8の字ポイントレール1本を収録。日本地図では本州東南部を担当。東海圏というよりは伊豆半島〜房総半島辺りに見える。
車両は313系8500番台セントラルライナーを収録。金型は顔部分は新規、それ以外は人形遊び209系タイプの金型を流用している*4。それ故にパンタグラフが実車とは異なる菱形となっている。
種別・行き先は「セントラルライナー・名古屋」。

西日本

レールは直線レール2本、曲線レール4本、ターンアウトレール・8の字ポイントレール各1対を収録。日本地図を組むときは本州西部を、後述の四国との複線ポイントを組む際に余る直線1本で茨城を担当。
車両は207系を収録。発売当時の青帯で、種別・行き先は「普通(青帯)・大阪」行き(福知山線からの列車であろうか)。金型は313系と同じく顔部分は独自だが、それ以外は人形遊び209系の流用。
青帯の207系は(理由は説明するまでもないであろうが)*5おそらく二度と再録されることはないと思われる。

四国

レールは直線レール1本、曲線レール8本、複線ポイント1本を収録。日本地図では四国、ポイントで西日本部分を担当する箇所は山陽エリアを担当。
車両は6000系を収録。ただし、211系の金型を完全に流用したため、側面のドアが実車とは異なりすべて両開きである*6。行き先は「高松」。

九州

レール内容は北海道と同じものを収録。日本地図ではもちろん九州を担当。
車両は813系を収録。顔は新規だが、側面は211系の金型を流用している。行き先は「博多」。

後年の展開

本セットのような、セット間の接続を考慮したオールインワンセットは2025年現在、新たに発売されていない。しかし、セットに収録された車両のうち、以下の3系式は後年単品販売化が叶った。
しかし塗装違い含め今回限りの発売となったものが殆どで現在はプレミア化している。
  • C11形蒸気機関車は、「函館大沼号」としては2008年に、青い客車とDE10との編成に変更されて、イベント「プラレール博」の限定商品として販売された。さらに、2018年から2021年まで、JR北海道から東武鉄道へと貸与された207号機も「SL大樹」として単品で販売された。更に事業者限定品で207号機の再販&325号機の新規発売も行なわれている。東武鉄道のものは新規金型で販売されているため171号機も新規金型での製品化が欲しいところだが。
  • 313系は0番台が2003年から2019年まで、サウンド機能を搭載して単品販売された。金型が流用されたのも相変わらず。品番こそ違えど、2025年現在はJR東海最新形の普通列車用車両315系が発売されている。
  • 207系は2003年から2005年までサウンド機能を搭載して単品販売された。なお、行き先はなぜか僕の街セットのパッケージ写真と同じ「普通(緑帯)・片町」行き。なぜ廃止された行き先にした*7。2008年以降は同じ品番で321系が2012年まで発売された。新塗装は復刻する可能性はあっても旧塗装は事情が事情なので金輪際発売されることは無いだろう。

また、横浜線も後年にE233系が一時期単品販売されたことがある。

これ以降同様のセットは発売されていないものの、2024年3月には「ご当地プラレール」と称してその地域の車両を特定地域限定で販売するという試みが開始された。
第一弾は関東代表としてかつてプラレールショップ限定で発売され人気の高さ故に再販が望まれていたE233系京葉線が、東海(静岡県除く)・近畿代表として廃盤と短期間の再販から久しい近鉄アーバンライナーnext(21020系)が発売された。
原則地域限定だがタカラトミーモール(通販)では全国区で、プラレールショップとプラレール博では他地域分も販売されるので現地に行くのが厳しい人でも安心。尚編集者は愛知県内の量販店で京葉線の販売を確認しているため完全に他地域での流通が不能というわけでは無い模様。
今後の展開に期待しよう。


現在のJR各社を代表する普通列車用車両を1社1つずつ考えてから、追記・修正をお願いします。

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最終更新:2025年07月06日 09:02

*1 ヘッドマークのデザイン、東日本持ちのEF65牽引からモデルは「カートレイン九州」「同・北海道」のどちらか。ただしタカラトミー側は「1118号機がカートレインに充当されたことはない」との説をとっており、あくまでもプラレールオリジナルの編成であるとのこと。但し運行こそしなかったもののイベントで掲出した実績があるため完全に架空の存在ではない。

*2 横浜線向け205系は民営化後の製造ではある。

*3 当時の「横浜駅」は現代で言う桜木町駅にあたるため。現在横浜駅として供用されている駅は当時の東海道線のルート的な理由から1915年に新規に開業したものを、ルートの再変更・線形改良で1928年に移転させたもの

*4 通勤・近郊型車両の顔以外部分にこれを流用するケースはかなり多く、「209系というより汎用金型とみなしていたのではないか?」とする意見まである

*5 より高年齢層向けのTOMIXブランドの鉄道模型ですらあれ以来一度も再販されておらず、再販やリニューアルはすべて現行塗装ver

*6 本物は運転席部分すぐ次の扉だけ片開き

*7 JR東西線開通というかトンネル工事着工までは、現在の学研都市線(片町線)は京橋まで来たらそのまま地上を西進してこの片町駅(大阪メトロ・大阪ビジネスパーク駅から片町橋を渡ってすぐのあたりに所在)が終点となっていたことによる。工事開始、さらには東西線自体が「盲腸線のためそこから先のアクセスが不便な片町線終端部分を尼崎まで新線としてつなげ、JR神戸線や福知山線との直通列車を設定できるようにする」という趣旨であったことから京橋~片町は廃線となったため、必然的に片町行きも廃止。