登録日:2025/02/03 Mon 17:09:26
更新日:2025/05/29 Thu 15:02:50
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E233系とは、
JR東日本が所有する直流一般型電車である。
目次
導入経緯
209系で始まった新世代車両も近郊型のE217系を経て、通勤形と統合した一般形電車の
E231系として結実し、103系・113系電車を淘汰することとなった。
これらは
一部のヲタを除き乗客からは大変好評を博していたが、209系については2005年に起きた車両故障による輸送障害がきっかけで、車両の信頼性について問題が生じるようになった。
次に置き換えの対象となるのは201系以降の車両(203系・205系・211系)である。
導入に際しては中央線ユーザーにアンケート調査を実施し、従来の形式よりもゆとりと快適性、そして車両の信頼性を重視することとなった。
導入両数は(中央線グリーン車導入前まで)3297両と、JR型旅客車両では最多の製造両数を誇る。
車両解説
※本項では2000番台以外の各番台を基本に記述する。
車体
E231系と同じ拡幅構造のステンレス車体だが、骨組みの位置を揃えて耐久性を向上させる「リング構造」など強度を高め、E231系では近郊タイプのみだったクラッシャブルゾーンが全車に採用された。
E531系と同じく踏切事故での破損防止策として前面窓上に行先表示を挟み外側が前照灯・内側が後部灯の構成で、行先表示はJR東日本の車両では初となるフルカラーLED式を採用した。
前面窓上部は汚れが目立たないように黒塗装で仕上げており、この仕上げ方は2010年代後半以降首都圏各社の新車で採用されることとなる。
ラインカラーは0番台では前面窓左右、それ以外の番台では前面窓下に配し、そこから後部まで一直線で引かれるようになった。
内装
車内は従来の形式よりも明るめの色調となり、椅子についてもクッションとばね材が入り柔らかさが向上した。
また、ドアも従来の無塗装から化粧板仕上げとなっており、車内間の貫通扉も全車に設置された。
ドア上には3000番台を除き2基のLCDが設置されている。
機器類
故障や事故などに備えて同一機器を2基以上搭載し、一部に不具合が生じても通常通りの性能を発揮できる、いわゆる冗長化設計を初めて採用した。
また、主電動機定格出力も過負荷使用が前提であったE231系の95kwから140kwへと向上。標準M:T比も2:3から3:2とされ、ゆとりのある性能となった。
歯車比はE531系やE217系と同じ6.06とE231系よりも低く高速寄りとなっている。東海道本線における高速運転の際は回転数の差に起因するモーター音の差が顕著となるので、日常的に乗車している人は聴き比べてみるとよいかもしれない。
番台別解説
本形式は投入線区別に番台が区分されている。
■中央線快速の201系置き換えのために導入された。
当初は10両固定編成と4+6両分割編成だったが、グリーン車導入に伴い12両固定と4+8両分割編成が登場。
ただし、グリーン車の乗降扉は近郊型の仕様を継承する後述の3000番台と異なり両開き式となっている。
2016年度に6両編成1本が8500番台に改造されて、南武線の中原電車区に転属した。
前述のグリーン車連結対応として、モハE233-200には2018年度から車いす対応トイレの設置工事が開始され、また2020年の改正で早朝・深夜に設定されていた各駅停車の運用が廃止された。
■京浜東北・根岸線の209系置き換え,およびそれによる転出による103系・113系置き換えのため、2007年末より導入が行われたグループ。10両編成。
E233系の中で最多の車両数を誇る。
なお、ウラ177編成は川崎駅で発生した脱線事故で廃車となっており、代替編成は導入されなかった。この事故を起こした先頭車が総合研修センターに保存されている。
■常磐緩行線の203系・207系・209系置き換え用に2009年より導入されたグループ。10両編成。
東京メトロ千代田線直通のため、ストレート車体を採用し、非常扉を設置している。
2016年に小田急と同日ダイヤ改正を行い、同線への乗り入れを開始。
常磐緩行線のワンマン運転対応工事が実施されたが、運用減から2編成が除外されている。
■東海道線・
宇都宮線・
高崎線(
上野東京ライン・
湘南新宿ライン)向けのグループで、2008年より導入。当初は東海道線で運用されていたE217系、2010年以降は211系の置き換えを目的に増備された。
基本10+付属5両の編成を組む近郊タイプで、セミクロスシートと2階建てグリーン車がある。
2011年以降に製造された車両は6号車にトイレが追加設置された。
2015年の上野東京ライン開業以降は同線区のE231系と共通運用が行われ、異形式併結も日常的に行われている。
伝送装置を併結運転を行うE231系と合わせている関係から、車内案内表示は2段のLED式となっている。
■京葉線の201系・205系・209系置き換えのため、2010年より導入。
0番台と同じく、固定編成(10両)と分割編成(6+4両)が存在する。
当初公式発表では25編成導入予定だったが、なぜか1編成減らされ209系が1本残ることとなった。
■横浜線と直通先の根岸線仕様として2014年より導入。8両編成。
JR東日本の通勤車両で初めて路線名のロゴマーク(YOKOHAMA LINE)が入ったり、全編成に期間限定で駅スタンプのステッカーが貼ってあったりと、他路線とは異なる新たな取り組みが行われている。
駅スタンプのステッカーは28編成全てが違う駅のものとなっていたため、見た目では全く同じ編成が存在しなかった。
■埼京・
川越線の205系置き換えとして2013年より導入。10両編成。
205系や70-000系同様、1号車にはドーム型の防犯カメラが設置されている。のちに改修を受け、1号車以外の全車両にも防犯カメラが追加で設置された。
車内LCDの表示がアニメーションとなっている。
相鉄線直通開始後は
神奈川県でも見られるようになり、相鉄内で定期列車として走行するのは羽沢横浜国大~西谷~海老名間のみだがダイヤ乱れ時には横浜駅やいずみ野線に顔を出すこともあり、また試運転のみならずイベント列車として
新横浜駅に入線したこともある。
■南武線に2014年より導入。6両編成。
先頭車側面帯には「NAMBU LINE」と沿線の街並みを模したデザインがされている。
新造車が8000番台、0番台から編入した編成は8500番台を名乗る。
派生形式
千代田線直通で使用していた1000形置き換えのために導入された車両。
前面デザインはVSEを手掛けた岡部憲明氏が監修している。
基本構造こそE233系であるが、モーターの出力は190kWに強化、駆動方式がWNドライブに変更されている、車体断面が台形になっているなど、実は結構差異がある。
またモーターは低騒音の全閉式となっている。VSEといい小田急全閉モーター気に入ったみたいだな
JR線への乗り入れを念頭に設計されていたが、保安装置の設置や方向転換の必要があるため断念し、その役目は12000系が担うことになった。
前面がすっきりしていることもあってか、2014年以降1編成が「そうにゃんトレイン」としてラッピングされるのが恒例になっている。
上述した11000系の問題点を解決すべく、JR直通用に導入されたネイビーブルーの通勤車。
内外装はE235系に準じており、ネイビー塗装や獅子口をイメージした独特の前面形状など独自設計が現れている。直通運転での互換性を考慮し、機器類はE233系に準拠している。
都営地下鉄新宿線の車両で、2013年以降に導入された編成はE233系2000番台をベースにしており、車体はほぼ同じ。
今後の予定
首都圏各線の運用見直しで余剰車が生じており、一部は房総地区への転用が報じられているが、具体的な動きは未定。
これ以外では首都圏各線でのワンマン運転対応のため、それの工事が随時実施されている。
追記・修正はE233系すべての番台に乗ってからお願いします。
- 追記・修正……8500番台に当たるのが地味にムズイな -- 名無しさん (2025-02-03 20:54:43)
- やっぱ新系列の中でこの形式が最高傑作だよなぁと。後継のE235とかE131は増備するにつれて…昔の仕様に戻っていくし… -- 名無しさん (2025-02-03 21:00:43)
- デビュー前だがりんかい線次期主力の71-000形も相鉄の12000系と同様だし -- 名無しさん (2025-02-04 07:11:24)
- E233系の番台区分もE231系以前のものに合わせてよかったのではないかと思ってる。通勤地上を0、近郊を5000、通勤地下を8000あたりにして。 -- blackboshi3700 (2025-02-04 10:45:25)
- 3000の「伝送装置を併結運転を行うE231系と合わせている関係から、車内案内表示は2段のLED式となっている。 」だが、他社ではLEDとLCDの併結をしているところも普通にある(例えばJR西日本の223と225)。3000でLCDケチった理由って本当は他にあるんじゃ? -- 名無しさん (2025-02-14 14:15:22)
- ↑真偽は不明だけどトレインチャンネル(番組)はWiMAX経由で配信しているから、WiMAX圏外のある路線でも問題ない(=番組配信をする必要が無い)ようにLEDにしたって聞いたことがある -- 名無しさん (2025-02-14 14:23:40)
最終更新:2025年05月29日 15:02