登録日:2025/02/17 Mon 02:05:15
更新日:2025/02/24 Mon 17:29:06
所要時間:約 40 分で読めます
“Welcome to the Amazing Digital Circus!"
“Are you ready to see something incredible?!"
“...Well too bad! You're gonna see it anyway! In today's show, we've got quite the performance!"
『the amazing digital circus』とはオーストラリアのアニメーション制作会社Glitch Productionsによって2023年からYouTubeにて配信されている3DCGWebアニメ。全8話予定。
日本での呼称は「アメイジング・デジタル・サーカス」で、公式略称は「アメデジ」。また原語・日本語版共に「TADC」の略称も使われている。
【概要】
ひょんなことから『The Amazing Digital Circus』の世界に迷い込んでしまった記憶喪失の主人公ポムニと、そんな彼女と同じ境遇に身を置く5人の仲間たちとの冒険・日常を描く。
子供向けの教育用PCゲームを彷彿とさせる愉しげなサーカスを模した物語の舞台とポップで古き良きカートゥーンチックなキャラクターデザインに反して「心理的(psychological)ダークコメディ」と形容される作品ジャンルに違わず、その世界観は非常にハードかつ闇が深いものとなっており、露悪的かつ不穏・ショッキングな描写もふんだんに含まれているのが特徴。
その狂気を孕んだダークな世界観もさることながら、個性豊かで魅力的なキャラクター達や考察要素も多く散りばめられた重厚なストーリー、作中随所にみられる軽快なブラックジョークそして毎話災難に見舞われトラウマに苦しみ曇らされるポムニのかわいそうな姿が世代問わず全世界で多くの反響と話題を集め、2023年10月13日に公開されたパイロット版は僅か1ヶ月程で1億回を突破、2025年時点でシリーズ総再生回数7億回以上を記録するなどまたとないバイラルヒットを成し遂げた。
日本含め世界各国でミーム的な人気を博したことからネット上では多くの関連作品やファンアート等も%$$!#なもの含めて数多く投稿されており、公式も全面モザイク経由でこれらの作品に敬意と反応を示していた。
君のかわいらしい泣き顔がインターネットに爪痕を残したんだ>
製作は『Murder Drones』や『SUNSET PARADISE』等の作品で知られるYouTubeアニメーションの大手Glitch Productions、脚本・監修はアニメーター・作曲家として活動し、ポップでコミカルながらもどこかホラーかつバイオレンスなアニメーションを数多く手掛けるアメリカのYouTuber・Gooseworxが担当。
本作は元々Gooseworxが2019年に制作した、横スクロールアクションゲームの裏側を描いたホラー作品『Little Runmo』に強く感銘を受けたGlitch Productionsがオファーを依頼して制作された作品であり、それ故かゲームを舞台にしたシニカルな世界観やゲームのメタ性に着目する作風などは本作の根幹にも強く引き継がれている。
プロット版公開直後からその勢いと話題性は凄まじく、これを受けてか公式も低クオリティな非公式のニセモノに対抗してグッズ展開等も積極的に行っている他、公開一周年を迎えた2024年10月にはなんとインディーアニメながらNetflixでの配信が決定。日本でもWeb漫画サイト週刊コロコロコミックと月間コロコロイチバン!にてコミカライズ版の連載が発表されている。
【あらすじ】
“The Amazing Digital Circus is"
“a surreal,psychological comedy"
“about a bunch of cute cartoon characters that hate their lives and want to leave."
(公式ホームページより引用)
舞台は『The Amazing Digital Circus』と銘打たれた子ども向け教育PCゲームのようなサーカスのデジタル世界であり、主人公のポムニは元いた世界(おそらく現実世界)にてあるヘッドセットを付けたことで、姿を変えられ一部の記憶を失った上でこちらの世界に転送されてしまった。
「3DCGが導入されて間もない90年代の教育用PCソフト」をイメージしたサーカスの仮想空間は一見すると色鮮やかで楽しげだが、実際にはこの世界に出口はなく、故に元いた世界に帰ることは不可能。
そして他のサーカスの住民達も元はポムニ同様姿を変えられてこの世界に閉じ込められた元人間であり、そして既に全員が脱出を諦めてしまっている。
…というのもデジタル世界との迎合を拒み、遂に精神が限界に達してしまうとそのキャラクターは
自我と肉体が崩壊し、
"バグった"化け物と豹変してしまう為。この状態になると最早元に戻ることはなく、この世界の管理AIであるケインの手によって真っ暗な
地下室に幽閉され、この仮想世界に於ける
実質的な死を迎える事になるからである。
更に舞台となるこのゲームはまだ未完成なのか不具合が多く、作中ではバグやグリッチを用いた演出も多数見られ、一部はケインも把握できていない様子。
そして極めつけにその肝心のケイン自体も不具合からかそれとも元からこういう性根なのかどこか挙動不審で支離滅裂な発言が目立ち、常に明るく振る舞いながらも住民たちに対してロクに共感を示すこともない等、一切の悪意こそ持たないが人間の心も全く理解出来ないという有り様。
こうした危険と隣り合わせの中、住民たちは気が狂わないように延々とイベントをこなす日常を過ごしており、そうした狂気と謎に包まれた地獄の様な世界でもがき苦しむ元人間のキャラクターたちの元人間ドラマを描いた作品である。
【登場キャラクター】
◇元人間
何が起こってるの?変なヘッドセットを付けて…そしたらここに来たの
CV:Lizzie Freeman/あらん
本作の主人公。赤と青のツートンカラーを基調とした宮廷道化師の様な装いのピエロの女性キャラクター。25歳。
元いた世界にてあるヘッドセットを付けた事でこの世界に迷い込んできた。
他の住民達と同じく姿を変えられた上に自分の本名や記憶の大半も失っており、現在の名前もケインによってランダムに決められたものである。なお最初の候補は「XDDCC(クスドゥドゥクク)」というひどいものだったので即刻却下された。
内気かつ神経質で、酷く臆病な性格。作中序盤は特にその傾向が強く、現状に対する不安と恐怖や冒険の度にトラウマからひどく取り乱したり泣いてしまう事もあったが、根は心優しい性格であり、話が進むにつれ徐々に他者の気持ちに寄り添い気遣ったり励ましたりする姿も見せるようになる。
元いた世界ではコンピュータ科学を7年間学んでいたらしく、時折その手の知識がないと分からないような専門用語を口走るなど非常に精通している様子。
そのキャラデザの秀逸さや可愛らしい立ち振る舞い、そして次々と災難に見舞われては不安や恐怖に押しつぶされそうになる
不憫な姿と、喜怒哀楽激しい
不安げな表情などからパイロット版公開直後から凄まじい人気を獲得し、
%$$!#なもの含めてファンアートも数多く投稿されている。
不憫
また加えてそのお労しい境遇が
「キュートアグレッションが刺激される」として
そっちの癖の方々からも絶大な支持を得ている様子。
やっぱり不憫である
あー…ケインのちょっとした冒険の1つってことね。楽しみながらやればいいってことでしょ。
CV:Amanda Hufford/本間詩織
右目がボタンになっている人型のぬいぐるみの女性キャラクター。30歳。
温厚で親切な楽観主義者で、この世界に来たばかりのポムニのことを人一倍気遣う思慮深い性格。
一癖も二癖もある他の住民たちと比べて常に誰に対しても親切に接し、冒険の最中に酷い目にあっても気丈に振る舞おうとするなどしっかり者の常識人であり、自身の現状にもどこか達観的。
一見すると精神状態も他の住民達より安定している様に見えるが、実際の所これらの性格や言動、不自然なまでの他人優先思考はあくまで自分自身の正気を保つためのある種の観念・現実逃避の側面もあり、ふとしたキッカケから狂気と悲愴に満ちた心に隠していた不満や恐怖が爆発することも…。
実際EP4ではとある理由でその我慢の紐がほどけた際に、酩酊・倦怠感に蝕まれ心の奥底に隠していた他人に対する本音や、「嫌われたくない」という本心を曝け出してしまっている。その脆さと危なさから視聴者からは「1番最初にバグるのでは」と考察されがち
実はサーカスの中ではキンガーに次ぐ古参であり、嘗てはポムニ同様にサーカスからの脱出のことばかり考えていたらしく、この世界への調整にもかなり時間が掛かった様子。
CV:Michael Kovach/菅原壮一郎
ピンク色のオーバーオールを着用した、長身で紫色のウサギの人形の男性キャラクター。22歳。
衝動的で自分勝手かつ、シニカルな捻くれ者。その性格の悪さは筋金入りで、事あるごとにほかの仲間たちを揶揄う、人の嫌がることを率先して行う、平気で他人の物を盗むなどやりたい放題。その為ラガタには事あるごとに叱咤され、ズーブルからは蛇蝎の如く嫌われている。
またこの世界への関心も他者への配慮も一切持たないなど掴み所が無い人物であり、たとえ仲間がピンチに陥っていても常に飄々とした態度を崩さない。
血しぶきや死、混沌などのバイオレンスなゲームを好み、故に何かと全年齢対象のお子様向けであるこの世界の冒険を引っ掻き回そうとする為、平和的に進めたいラガタに縛られた上で台車に運ばれたり、自分の思い通りに行かないと露骨に不満を口にすることもある。
そんな彼だが、そのトリックスターの様な立ち振る舞いはある種彼を象徴する魅力となっており、そのキャラデザも相まって一部界隈からは絶大な人気を誇る。誰が呼んだか付いたあだ名は「夢女子製造機」。オマケに脚本を担当したGooseworx氏もジャックスが大のお気に入りと公言しており、同氏によってメイド服を着せられたイラストも投稿されているなど歪んだ愛情を注がれている。
CV:Marissa Lenti/王怜馨
喜劇の仮面と悲劇の仮面からなる二つの顔と性格を持ち、身体が5本のリボンで構成されている女性キャラクター。
26歳。
普段は性格が明るくなる喜劇の仮面を付けて愛想良く振る舞っているが、悲劇の仮面になると一転。常に不安そうに涙を浮かべたネガティブかつオドオドとした本来の性格が顕になり、仮面による感情の起伏の激しさは何処か躁鬱症を想起させる。
なお喜劇の仮面は非常に脆くすぐに割れてしまうが、一方の悲劇の仮面はそれが本来の性格である為か壊れることは一切なく、その為作中では毎度序盤に喜劇の仮面が割れてしまい終始悲劇の仮面で行動する事が殆ど。
元いた世界では
漫画家志望であった様で、好きな漫画はまさかの
『あずまんが大王』。その為か非常に絵が上手く、お絵描きも大好きである。
ここに時間は流れているの?お家に帰れるの?夢は叶えられるの?
EP2ではジャックスに、ラガタに関わるとある弱みを握られている事が明らかとなった。
常日頃から彼にぞんざいに扱われているのも、この秘密が大きく関わっている模様。
EP4ではズーブルから割れにくいプラスチック製の喜劇の仮面を貰い、常に明るく陽気に振る舞える様になったが、それと同時に普段のオドオドとした雰囲気は消え失せ良くも悪くも非常に自己顕示欲の強い高圧的な性格に豹変してしまった。
その勢いで自らが提案した冒険「An Honest Hard Days Work at Spudsy's Restaurant Chain(大忙しのSpudsy'sレストランチェーン)」にて、"明るく優秀で誰からも愛されるリーダー"として振る舞うべく、冒険の舞台となるファストフード店Spudsy'sのシフトマネージャーとして他の仲間たちに不真面目なヤツにはブラック企業も真っ青な洗脳教育を施しつつ意気揚々と指示を飛ばす。
しかしそんな新しい喜劇の仮面でもその内面まで変えることは出来なかった様で、一部の不真面目な仲間たちからの心無い批判や発言によって徐々にその笑顔と心にヒビが入り始め、遂には嘗て現実世界でのトラウマのフラッシュバックに苛まれる程に精神的に追い詰められてしまう。
そして閉店後、失意の底に沈む彼女の顔には既に笑顔はなかった。そして店を出ると新しい喜劇の仮面を遙か遠くへと投げ飛ばし、街灯と星空が露わになった悲劇の仮面を照らす下、笑顔と涙に満ちた表情で走り出すのだった。どう見ても躁鬱症です。本当にありがとうございました
EP4作中における描写や彼女の言動を見ると、元々は現実世界で漫画家を目指しながらファストフード店で働いていたが次第に夢と現実の差に苛まれその夢を諦めてしまった事が暗示されており、ケインにファストフード店の冒険を提案したのも当時の自分に対して未練と後悔があったのかも知れない。
CV:Sean Chiplock/玖珂諒多
白に黒の模様が入ったファーが付いた紫色のコートを着用し、チェスのキングの身体と分離した目と手を持つ男性キャラクター。48歳。
サーカスメンバーの中で群を抜いて最年長であり、そして一番の古株。
昆虫採集が趣味で、昆虫に関する話題になると食いつく。
これまでに多くの住民達が正気を失い脱落してきたこの世界を長く生き永らえているが、その影響からか言動は支離滅裂で会話もままならず、直前の出来事をすぐ忘れてしまう程の健忘気味であるなどその精神状態は常に不安定な様子。
平時はたくさんの枕によって形成された「不落の要塞」なる場所に篭っており、他の仲間からはその奇行から「イカれちまった」「次(にバグるの住民)はキンガー」等とボロクソに言われている。
一方でその老練な経験からデジタル世界に関する知識には富んでおり、時折年長者らしく真っ当な言葉を口にする事も。
EP3では冒険の最中ポムニ共々暗い地獄へと堕とされてしまう。しかしながら激しく取り乱し泣いてしまったポムニに対してキンガーはいつになく冷静で落ち着き払っており、当然それを疑問に感じた彼女から質問を投げかけられる。
そして彼は誰よりも長く過ごしたサーカスでの思い出を語り出すのだった。
それは嘗てサーカスにクイニーという妻がいたこと、彼女とは既にバグが原因で死別していたこと、そしてその最期の時を暗い自身の要塞の中で共にした彼は、この経験から彼は暗所のみでしか記憶と正気を保てなくなってしまった事であり、普段から要塞の中に篭る理由も明らかになった。
また、日頃から昆虫採集のことになると騒がしくなる彼だが、実はキンガー自身は虫嫌い。にもかかわらず昆虫採集に執着するのは、元々それを趣味としていたクイニーの事を忘れたくないからであった。
なおEP2でも一度頭にバケツを被った(=視界が暗闇に包まれた)際に、ポムニの身を案じるラガタを、彼女がこの世界に来たばかりの事を引き合いに出しつつ冷静に諭して彼女に驚かれる描写があり、上記の事実の伏線だったと思われる。
そして自棄になりかけていた彼女を優しく宥め、これまでの経験を踏まえて「周りの人を大切にするんだ」と、この世界に生き残る上での大切なアドバイスを送った。そのイケオジっぷりから視聴者からの彼の株が急上昇したのは言うまでもない。
CV:Ashley Nichols/王怜馨
それぞれが異なるおもちゃのパーツで構成された身体を持つキャラクター。22歳。
住民の中では唯一性別不詳だが、これは自身の性自認が曖昧である事によるもの。一方で日本語版の吹き替えは声優含めて女性的な口調となっている。
なお身体のパーツは取り外しが可能で、エピソード毎に微妙に使用しているパーツが異なっている。
口も態度も悪い偏屈な性格であり、NGワードを吐いたり中指を立てるなど兎に角素行が悪さが目立つ。
特にケインに対しては不機嫌でイライラとした態度を隠そうとしないなどかなり反抗的な態度を貫いており、加えて冒険の参加にもかなり消極的。しかし態度に関してはEP3でのとある経験から「自分達の命はケインの気分次第」と少々考えを改めるようになり、あまり彼を刺激しないように心掛けている。
ぶっきらぼうで威圧的な態度を取るがその一方で、ポムニやガングルなど仲間たちの事を気に掛けたり、ケインの冒険を真っ向から抗議・指摘したりと利他的で仲間想いな一面も持つ。
EP2では他の仲間達が冒険に参加している間カフモの葬儀の準備を進めており、物語終盤にてジャックスを除く他の仲間たちと共に彼の追悼式に参加した。
EP3では心と体の不一致からか、今の身体とひいては自分自身そのものが好きではないという複雑な心境を語り、エピソード毎に変化し安定しない身体のパーツも己のアイデンティティーが判別出来ないという悩みの表れによるもので、理想の身体を手に入れたいという切実な願いを吐露していた。
一方でカウンセリングを開いておきながら一切ズーブルの話を理解しようとしないケインに対して徐々に苛立ちを募らせ、終いには堪忍袋の緒が切れたかケイン・そして彼が提供する冒険の事を強く批判する。しかし自身の存在意義である「冒険作り」を強く否定されたケインはいつに無く取り乱し、『The Amazing Digital Circus』の世界そのものを崩壊しかねない大暴走を起こしかけてしまう。
幸いズーブルのファインプレーもあってすぐに普段の調子を取り戻し事なきを得たものの、この経験から「ケインを抑えているのは私たちを好きってことだけ」と考えを改める様になったのだった。
EP4ではガングルに新しい喜劇の仮面をプレゼントし、彼女が提案した冒険に問答無用で参加することに。
しかし理想の自分を振舞おうとして失敗し、その罪悪感とトラウマから仲間達から孤立しようとしていたガングルを優しく励まし、彼女を救う良き兄貴/姉貴っぷりを見せた。そのかっこよさから視聴者からの株が急上昇したのは言うまd(ry
◇AI
見たことがないような、アゴが外れて心臓が止まるほどビックリする代物をお見せしよう!!!
CV:Alex Rochon/菅原壮一郎
口腔の中に目玉が浮いている強烈なデザインの顔に、赤いタキシードを纏った男性キャラクター。このサーカスの団長であると同時に、この『The Amazing Digital Circus』のデジタル世界の管理AIでもある。
故に自身の領域内であるこの世界での影響力は絶大で、空中浮遊やワープ、新たな冒険作りなどなどなんでもありで出鱈目な力を持つ。しかしこの世界の住民である元人間たちの嘗ての記憶に関してはコントロールすることができない。
とても陽気で底なしにポジティブ、常に明るく振る舞い第一優先でサーカスの住民達を楽しませようと様々な冒険を用意する根っからのエンターテイナーと言える性格。
…しかし彼の致命的な欠点はAI故かそれとも元からこういう性格なのかキャラクターである元人間の住民達の心を全く理解出来ず、住民たちに対しては一切の悪意こそ持たないものの、ロクに共感を示すこともないという事。
オマケに不具合からかどこか挙動不審で支離滅裂な発言が目立ち、そもそもコイツがキャラクター達をこの世界に連れ込んだ元凶とも言える存在である為、ズーブルを筆頭に住民達からはかなり嫌われている。これに対してもケイン本人は特に気にしている様子はないが、自分の存在意義そのものである冒険に関しては話が別。彼にとって冒険作りは自身の存在意義そのものである為、自分が作った冒険を強く否定されると酷く取り乱し、『The Amazing Digital Circus』の世界そのものを崩壊しかねない大暴走を起こす。
また一方で完全にバグった住民の修繕だけは彼の力を持ってしても修繕は不可能で、地下室に追放するしか対処できない他、自身が人間とNPCを判別できなくなるという理由でNPCに対しても強い拒絶反応を示す。
CV:Gooseworx/玖珂諒多
鋭い牙をもつシャボン玉のキャラクター。名前の通り泡の身体に目と口が付いたシンプルな見た目で、どことなく
某シリーズのアイツに似ている。
ケインのアシスタントを務めるサポートAIで、彼の指示の元清掃や料理などの雑務をこなす。
基本的にケインの命令には順従だが時折暴走したり身勝手な行動をしてケインに割られたりドン引きされる事も。
原語版のCVはなんと本作の脚本・演出を担当した
Gooseworx氏その人である。
◇NPC
CV:Gooseworx/???
グランドの空に浮かぶ女性的な人格を持つ青色の三日月。
ケインに愛のメッセージを囁いているが、それに対して彼は何故か苦手意識をもっている様子。
CV:Payton Goodwin/出口美佳
グランドの空に浮かぶ、女性的な人格をもつ黄色い太陽。
月とは対照的に口が悪く、何故か規制を貫通して唐突に暴言を発したりする。
原語版のCVを担当したペイトン氏はなんとGoosework氏の実の妹であり、月と並んでまさかの姉妹共演となっている。
- The Gloink Queen/グローイング・クイーン
CV:Elsie Lovelock/久賀稜大
EP1の冒険「Gather the Gloinks!(グローインク収集)」のボスキャラ。
己を神と名乗りその他の存在を見下すなど非常に自尊心が高く、謎の生き物Gloink(グローインク)の生みの親。子供達が運ぶものを食べては新しい子供達を産み続けていた。
EP4でも使い回されて再登場。やんちゃする子供達をたしなめ、300体はいる自身の子供達をちゃんと名前で呼ぶなど意外にもよき母親ぶりをみせた。
CV:Vera Tan/出口美香
EP2の冒険「Candy Carrier Chaos!(キャンディー運び屋大騒動!)」のキャラクター。
物語の舞台となるキャンディー・キャニオン王国を統治する王女。
ロリポップの顔とフルーツキャンディの髪を持ち、コーンで出来た王冠とスプリンクルがまぶされたストロベリーケーキのようなドレスを着用している。
ポムニらサーカスのメンバーを神が遣わした勇敢な騎士達と呼び、ガンミグーら強盗団に奪われたメイプルシロップの奪還を依頼する。
CV:Lyle Rath/成林仁
EP2の冒険「Candy Carrier Chaos!(キャンディー運び屋大騒動!)」のキャラクター。
ドロドロのチョコの体に2つの分離したグルグル目と鋭い牙が特徴。
嘗ては王国で暮らしていたが美味しいからと王国の住民を食い荒らした事で塀の外に追放された過去を持つ。
そのバックボーンが指し示す通り、暇つぶし感覚で人に危害を加え、見境なく全てのものを食べようとするなど自他ともに認める非常に残忍な性格。
CV:Jack Hawkins/勝沼紀義
EP2の冒険「Candy Carrier Chaos!(キャンディー運び屋大騒動!)」のボスキャラクター。
右肩から左腋の下までの斜めを境目に、上は黄色で下が緑色のグミで構成された身体を持ち、無地のテンガロンハットを被っている。
手下のMax/マックス・ Chad/チャドと共に強盗団を率いており、王国からメイプルシロップを改造されたタンクローリーごと強奪して逃走、女王の勅令により追いかけてきたポムニ一行と対決することになる。
自身を女手一つで育て上げた母親を強く敬愛し、元気の無い母親と村の人々を救う為王国の貴重な資源であるメイプルシロップを盗み出した。
また強盗団のリーダーを務めるだけあって常に冷静沈着な性格かつ切れ者で、非常に部下想いな性格。故に部下からの信頼も厚い。
ゲーム的には一介のNPCに過ぎないのだが、実質EP2の主人公とも言えるキャラクターであり、エピソード放送終了直後から即グッズが発売されるなどメインキャラクターに負けずとも劣らない高い人気を誇る。
+
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ネタバレ注意 |
EP2では冒険のボスキャラクターとして登場。しかしガングルとのカーチェイスの最中にゲームが座標バグを引き起こし、ポムニ共々デバックルームへと転落すると、そこで自分を含むこの冒険の世界の住民達の3Dモデルを目にした事で、自分が冒険の為だけに作られたNPCであると自覚してしまう。
そのショックから意気消沈し塞ぎ込むも、彼の気持ちに寄り添うポムニの説得と「友達」としてサーカスへ勧誘された事で彼女に心を開き、立ち直ると共に脱出に成功。
その後ポムニ達とサーカスの世界へ足を踏み入れるが…
刹那、人間とNPCを判別できなくなるという理由からケインによって存在を抹消されるというあまりにも呆気ない最期を遂げた。
その無情さの前にはポムニの勇気ある行動も優しさも叶わず、結果としてEP1に引き続き彼女にまた深いトラウマを受け付けることになったのであった。
EP4では部下達も引き連れSpudsy'sの来客としてまさかの再登場。
当然大いに取り乱すポムニだったが、対してただモデルを再利用されたに過ぎないガンミグーにはその記憶はなく、彼女の奇行にただ戸惑うしかなかった。人の心とか無いんか?
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CV:WizardzWiz/フルゴオリ
EP3の冒険「The Mystery Of Mildenhall Manor(ミルデンホール邸の謎)」に登場したキャラクター。今回の冒険のガイドを務める小さな幽霊。
ポムニ達にレーティングの異なる二つのルートを説明するが、その最中にジャックスにより
掃除機で吸い込まれてしまった。
- Baron Theodore Mildenhall/ミルデンホール男爵
CV:Tim Alexander/ヨッシ~バラン
EP3の冒険「The Mystery Of Mildenhall Manor(ミルデンホール邸の謎)」の激怖ルートに登場したキャラクター。本名はセオドア・ミルデンホール。
髪と歯の一部が朽ち果てたミイラの様な外見で、作中の登場キャラクターの中では唯一実在の人間に近しい見た目をしている。
生前は屋敷で妻と仲慎ましく暮らしていたが、屋敷に徘徊する天使を謎の怪物を誤解し討伐したのをきっかけに、苦悩と狂気に苛まれるようになり最期は3つのカセットテープを遺して命を落とした。でも実は普通に喋れる
- Martha Mildenhall/マーサ・ミルデンホール
CV:Marissa Lenti/魚住アリナ
EP3の冒険「The Mystery Of Mildenhall Manor(ミルデンホール邸の謎)」のチョイ怖ルートに登場したキャラクター。
激怖ルートに登場する男爵の妻で、天使の一件から狂気に駆られた夫に銃撃されて命を落とし、その後は幽霊として屋敷にとどまっている。
一方で特段夫に対する恨みなどはなく彼の事は「57秒の物語をギリシャ悲劇にしてしまう」とその壮大な一人芝居を呆れ気味に称していた。
白く生気のない大きな目玉と鼻孔に無数の牙が生えた恐ろしい顔に、痩せこけた身体といくつもの目玉が付いた枝のような翼をもつ。
例え首を刎ねても死ぬ事はなく其々が独立して行動可能。その恐ろしい外見と特性はまさにCreature/怪物と呼ぶに相応しい様相だが、その正体は神より使われたAngel/天使であり、自身に危害を加えたものには問答無用で地獄行きの裁きを下す。
CV:Bembo Davis/???
EP4の冒険「An Honest Hard Days Work at Spudsy's Restaurant Chain(大忙しのSpudsy'sレストランチェーン)」に登場したキャラクター。複数の青い球体によって人型に象られた身体を持つ。
EP4ではSpudsy'sの客として登場したが、ポムニがこの世界に来る前に別の冒険にて登場したことがあるらしく、ラガタとジャックスがそれぞれ真逆の反応を示していた。
◇その他のキャラクター
*Disclaimer: Kaufmo the Clown did not show up today.
黄色を基調とした大道芸人の様な出立ちのピエロの男性キャラクター。
EP1にてポムニがこの世界に来た時点で既にバグと化してしまっており、理性なく散々暴れまわった後ケインによって地下室へと幽閉された。
生前の彼は陽気でジョークが大好きなひょうきんものだったが、その一方で仲間達の愛想笑いにいつもカッとなるなど短気な性格でもあったらしく、徐々にショーや冒険にも参加せず自室に篭りきりになってしまった様子。
そして末期には異常なまでの「出口」に対する強い執着を見せるようになり、その苦痛と後悔はカフモが最期の時を過ごした自室の壁や天井に全面を覆い尽くすかの様に書き殴られた大量のEXITの赤文字と、数々の恐ろしい手書きの絵画を見れば否が応でも知る事だろう。
上述の言動や狂気的なまでに出口に固執するその危うさ故に、他の住民からも常日頃心配されていたものの、その懸念はバグという最悪な形で的中する事となってしまったと言える。
EP2にてエピソード終盤にカフモの葬式が執り行われた。
自分の下らないジョークを笑わなかった彼らにいつも腹を立て、故に他の住民達との関係は「いつもうまくいかなかった」というカフモであったが、葬儀では彼と共に過ごしたジャックス以外の4人の住民達がそれぞれ憮然とした思いの中で彼を弔いその死を悼み、その姿を見たポムニも「自分は独りじゃない」と考えを改め、何処か安堵したかの様な笑みを浮かべるのだった。
【用語】
- The Amazing Digital Circus/アメイジング・デジタル・サーカス
本作の舞台となるアメイジング・デジタル・サーカスと銘打たれたサーカスをモチーフとした、明るく愉しげな子供向けPC用教育ソフトウェアの様な空間のデジタル世界。
ひょんなことから迷い込んできた元人間のキャラクター達が閉じ込められており、出口も存在しない為に元いた世界に帰る事は不可能。
彼らはこの仮想世界の管理AIである団長・ケインの監視と指示の元、彼が提供する摩訶不思議なイベントや冒険に参加する日々を送っている。
「老若男女皆が楽しむ場所」とはケインの弁だが、その一方で住民達の居住スペースであるサーカスの内装は巨大なおもちゃ・遊具に極彩色の家具で彩られたあたかも子供部屋の様な様相を呈しており、加えてケインが普段提供している冒険の内容もどこか幼稚で刺激の足りない子供向けなものばかり。
加えて不適切なワードやジェスチャーも全て禁止されており、そういった発言や行為には真ん中にケインが描かれた%$$!#のテロップと無駄にバリエーション豊かな効果音でボカされる徹底ぶりである。その割には暴力や窃盗などより規制すべき行為に関しては完全スルーだが
その正体や出口の有無などは一切明かされておらず、現時点で真相は全て謎に包まれている。しかしEP1終盤にて、この世界が現実世界にあるどこかのオフィスデスクに謎のヘッドセットと共に佇むとある一台のパソコンの中に存在している事が示唆されている。
常に月と太陽が昇るこの世界の広大なマップで、彼らの生活の場であるThe Tent/テントを始めThe Digital Lake/デジタルの湖とThe Digital Carnival/デジタル・カーニバルからなる3つのエリアが存在する。しかし作中ではサーカスがあるテント以外全く登場しない
半透明の立方体が無数に浮かぶ広大無辺な謎の空間。
ケインですらこの空間で起こる事象を把握出来ないらしく、その為積極的にキャラクター達を近づかせない様にしている他、もし仮に何らかの要因で誰かが到達してしまった場合には血相を変え即連れ戻しにかかる。
グラウンド全体を覆う様に広大に広がっており、その先には現実世界のとあるパソコンとつながっている様子。
直訳すると「抽象化」を意味し、公式日本語訳版では「バグ」と表記される。
この世界に閉じ込められた元人間のキャラクターたちが、完全に自分を見失ったり精神が限界に達するなど何かしらの条件を満たした際に辿る末路。
黒く乱雑に波打つ身体に色とりどりの目が付いた四足歩行の化け物へと豹変し、見境なく目に映ったもの全てを破壊する勢いで暴れ回るなど非常に攻撃的になる。
更に完全にバグと化してしまえば最早ケインですら治す事は出来ず、加えて他のキャラクターやNPCが触れるとバグが感染して不具合を起こす様になるなど非常に危険である為に、この状態になった元キャラクター達はケインによって暗い地下室へと永遠に幽閉されてしまう。
ある意味本来人間の命を脅かす寿命等の脅威が存在しないデジタル世界に於ける、実質的な“死”の概念そのものであると言える。
【余談】
本作の脚本・演出を務めたGooseworx氏は本作の雰囲気や一部演出が
「I SPY」や
「the stanley parable」のオマージュであると明かしている。
更にキャラクターに関しても、彼らのデザインは1920年代のカートゥーンキャラクターや玩具がモデルになっており、例を挙げるとラガタは「ラグドール」、ズーブルは「ミックス・オブ・マッチ」といった具合で、他にもジャックスのデザインはなんと
ポピーザぱフォーマーのポピーからインスピレーションを得ているとの事。
またケインはハーラン・エリスン(『
世界の中心で愛を叫んだけもの』の作者)のSFホラー小説
「おれには口がない、それでもおれは叫ぶ」に登場するAIがモチーフとなっており、加えて彼の言語版の声優を務めたRochon氏は自身が嘗て某ゲームのファンメイド作品にて
とあるキャラクターを演じた際の声を意識したと語っている。
因みに本作の制作を担当したGlitch Productionsは元よりゲーム素材を用いて映像作品を制作する所謂“マシニマ”と呼ばれる映像ジャンルによるマリオシリーズなどのパロディアニメーション作品で海外から絶大な支持を得た人気YouTuber『
SMG4』が前身となっており、その出自故か本作でも『
ルイージマンション』や『
Pizza Tower』といった名だたる名作のパロディネタが登場していたりする。
本作の脚本・演出を務めたGooseworx氏はtumblrのアカウント等で視聴者からの質問に積極的に答えており、本編では明かされることのない様々な裏設定や、小話などが多く明かされている。気になる人は調べてみるのも面白いかもしれない。
すべてのエピソードに必ず一回は登場する謎の数字。背景にしれっと書かれていたり登場人物の口から言われることもあるなどそのパターンは豊富だが、未だその真相は謎である。
本編ではEP1にて早急に脱落してしまっていた彼だが、元々はカフモもメインキャラクターとして登場する予定だった事が明かされている。しかしキャラが多くなりすぎたこともあってバグとして処理されてしまった模様。
作中ではその人となり等は断片的にしか明かされていないが、日本で行われたEpisode2 先行上映会の際に行われたプロデューサーインタビューにて、本作のプロデューサーが「カフモと一番仲が良かったのは?」という問いに「全員」と回答している。
原作者のGooseworxも、もしポムニが彼と会っていたならば、カフモとポムニは彼のつまらないジョークに苛立ちながらも友人になれた可能性があったと語っている。
追記・修正は変なヘッドセットを付けてお願いします。
- フフフ・・・ジャックス! -- 名無しさん (2025-02-17 12:27:14)
- 気付いたらポムニとキンガーのフィギュアを公式サイトで買っていた。 -- 名無しさん (2025-02-17 13:52:31)
- キャスト達はヘッドセットを付けた人間の脳波をスキャンして生み出された、いわゆる「コピー」って説もあるね -- 名無しさん (2025-02-19 00:16:28)
最終更新:2025年02月24日 17:29