鬼川平蔵

登録日:2025/03/13 Thu 15:09:17
更新日:2025/04/15 Tue 13:23:10
所要時間:約 7 分で読めます




フォフォフォ 久し振りに“壊し屋オニ平”の血が騒ぐわい



鬼川平蔵(おにかわへいぞう)は超人気マンガ『高校鉄拳伝タフ』の登場人物。
CV:井上文彦(OVA版)



【人物】

アイアン木場率いるワールド・プロレスの元プロレスラーで、通称“オニ平”
関節技の達人であり、現役時代から関節技を主体とした戦闘スタイルであった。

かつてはプロレスの表舞台で活躍していたが、彼が得意とする関節技は地味であるが故に大衆から受け入れられず、やがて裏の世界へ追いやられていったという悲しき過去を持つ。
その後はプロモーターの意にそぐわないレスラーを痛めつけ灸を据える“壊し屋”の仕事を請け負っており、現役のレスラーですら名前を聞いただけで震え上がるほどプロレス界では恐れられている。

名前の由来は『鬼平犯科帳』で有名な“鬼平”こと長谷川平蔵だと思われる。
また、見た目および関節技を得意とするキャラクターのモデルはロシアの格闘家ヴォルク・ハンではないかと言われている。


【戦闘力】

既に還暦を超えているもののその戦闘力は健在で、初めて手合わせをしたキー坊こと宮沢熹一は彼のスピードに「これが人間の動きか!?」と驚愕している。
古流柔術をベースとした彼の関節技は芸術的とも評され、どんな相手でも一瞬で懐に入って関節を極めることができる。
人体の構造を熟知しているため壊し方も自在であり、1ヶ月程度の軽傷から再起不能まで思いのままに破壊が可能。
黒田光秀高石義生も彼の年齢不相応の強さには舌を巻いている。


【活躍】

初登場は第32話で、キー坊と戦ったプロレスラー・船田幸司の腕をいとも簡単にへし折るという衝撃のデビューを果たす。
その後アイアン木場の意向で灘神影流への刺客として放たれ、色仕掛けに釣られてノコノコやって来たキー坊を倉庫の中に設えたリングで待ち構える。

VS.キー坊

前述の通り、ロートルとは思えないスピードと関節技の精度で序盤はキー坊を圧倒。
反撃で脛を食い破られると一瞬怯むも、すぐに立て直しキー坊を挑発する。

「うれしいなァ クエックエッ 今夜のエモノはイキがいいねェ」

その様子はどこかキー坊を試しているようでもあった。

怒涛のラッシュも全て見切り、一瞬の隙をついて首と右足を同時に極める。
脇腹への肘打ちで体勢を崩され、灘神影流の関節技大蛇(おろち)固め”を極められそうになるも、すぐに脱出し“鎌固め”へと移行。
息もつかせぬ関節技の応酬にキー坊も闘争心を刺激され、

「オッサンみたいにスゴいヤツと闘えてワシごっつうラッキーやんケ」

と褒め称えた。
対するオニ平もキー坊の潜在能力を認め、アイアン木場が灘神影流を恐れキー坊のような少年を潰そうとしている理由を悟る*1

直後、キー坊の一撃をかわして“脇固め”を極める。
関節技の使い手にあえて関節技で挑んだその気概に敬意を表し、きれいに腕を折ることで勝負を決めようとするが、キー坊は地を蹴り空中で一回転して脱出。
そのまま背後に組み付き、灘神影流巨蛸(きょしょう)固め”を発動する。
首と両足を同時に極められたオニ平は泡を吹いて失神。“関節技の鬼”はついに倒れ伏したのであった。

オニ平を倒したと喜び勇んで帰宅したキー坊だったが、彼の関節の容態を見た父・宮沢静虎により、オニ平は本気を出していなかったことが判明。
曰く「オニ平のような達人が本気でやってお前ごときに負けるはずない」「これだけきっちり関節を極められたらいつでも折れたはず」とのこと。
最初からオニ平はキー坊を壊す気などなかったのだ。


“鬼”の本性

一方のオニ平は自宅に戻り、アイアン木場を追う雑誌記者の取材を受けていた。
彼には年の離れたストリッパーの妻と幼い娘がおり、面倒見の良い父親としての顔も持っていたことがここで明らかになる。
彼は娘のために飛行機の模型を作りながら、キー坊との闘いを通して壊し屋を辞める決心がついたことを記者に語る。

「だけどね本当はオレ…“壊す”ことよりも“作る”ことのほうが好きな人間なんだ」

その表情は“壊し屋”と呼ばれた男とは思えない、優しく慈愛に満ちたものであった。

だがそんな彼のもとに一人の男が現れる。
気さくに挨拶するオニ平だったが、返ってきたのは顔面への右ストレート。
不意を打たれたオニ平は自販機に叩きつけられ、さらに左腕をへし折られてしまう。
その男こそ、かつてオニ平が作り上げた“凶獣”左門清正であった。

たまたま訪ねて来たキー坊*2によって病院に運ばれたオニ平は、師を超えてしまったカイブツ・左門の凶暴性を震えながら語る。

「左門とやり合ったらものの1分ともたねェうちに殺されちまう!」
「世の中にはなァ どうあがいても勝てねェってのがいるんだヨ!!」

過去に左門が対戦相手を再起不能にしたバーリ・トゥード(なんでもあり)の闇試合の映像を見せ、左門には決して手を出さないよう忠告するが、これがかえってキー坊の闘争心を刺激してしまう。
退院後も土下座で頼み込んできたことでオニ平もキー坊の本気を認め、左門戦に向けてキー坊を鍛え上げることを決心する。


キー坊との特訓、そして…

まず最初にオニ平が課したのは、狭いトンネルに大量の鉄パイプが吊り下げられたトラップゾーンでの特訓。
どこから鉄パイプが飛んでくるのかわからない空間において、相手の攻撃をかわすスピードを身につけるというものである。
これをキー坊がクリアすると、今度は着衣での水中サンドバッグ打ちや投石をかわす特訓を次々と課していく。
そして極めつけに、左門への秘策として飛翔閻魔(ひしょうえんま)固め”を伝授。
鐘撞きの特訓中にキー坊が右手を骨折してしまうというアクシデントもありつつ、ついに左門戦を迎えることになる。

試合会場である大型客船にもセコンドとして同行。
試合直前、キー坊はなぜ自分にここまでしてくれるのかと尋ねる。
実はオニ平の怪我はまだ治りきっておらず、左手が使えなくなるのを覚悟で医者の制止も振り切りキー坊の特訓に付き合っていたのだった。
対するオニ平は、自身の最高傑作だと思っていた左門には格闘家にとって一番大切な心・技・体の“心”が欠けていたこと、そして野蛮なケモノとなってしまった左門を止めるという夢をキー坊に託したことを語る。
この試合はいわば、過去と現在のオニ平の弟子による代理戦争であった。

オニ平が伝授した“飛翔閻魔固め”、およびキー坊が独自に編み出した“逆さ閻魔固め”の効果もあり、辛くもキー坊は左門に勝利。
キー坊の言葉で吹っ切れたような表情の左門を見て、オニ平は優しく肩に手を置く。
こうしてオニ平と左門の因縁には決着がついたのであった。
その後左門を襲った悲劇については、残念ながらオニ平の見解は語られていない。


“関節技の鬼”再び

これで出番は終わりかと思われたが、およそ70話を挟んだ第124話にて、高石義生黒田光秀、石毛(チンゲ)、森浦(モリヤン)と共に再登場。
襲いかかってきた不良の顎関節を一瞬で外すという相変わらずの達人技を見せつけた。

そしてアイアン木場戦を控えたキー坊のため、義生と黒田に続く3人目の特訓相手を務める。
“人喰い”と呼ばれた義生が思わず止めに入るほどの激しいスパルタ・トレーニングを課すが、これは「自分にすら勝てないようでは木場に対する勝ち目などない」というオニ平なりの愛情であった。
この特訓にもキー坊がなんとか食らいついてくると、木場への切り札として究極の足関節技百足(むかで)固め”を伝授する。

+ ネタバレ
実はこの“百足固め”はもともとキー坊のジイちゃんこと宮沢金時の技であり、彼がオニ平を通じてキー坊に会得させたのであった。
オニ平は直接指導すればよかったのではないかと金時に尋ねるが、「蹴る馬も乗り手次第」「甘えがあっては技は会得できない」と返される。
金時もまた、彼なりにキー坊のことを思っていたのだ。

キー坊VSアイアン木場の決戦にもセコンドとして立ち会い、義生と共に解説役を担当。
黒田が猿空間に送られるのを尻目に、5時間にも及ぶ死闘を最後まで見届けた。

アイアン木場戦修了後は登場せず。
もっともキー坊と木場との因縁を見届けるというキャラとしての役割は終えており、黒田と違って不自然な消え方ではないことから猿空間送り扱いされることは少ない。
続編にも登場できていないが、黒田のように愚弄される可能性を考えると再登場を望まないマネモブ(読者)も多い。
悔しいだろうが仕方ないんだ。


「まだ“追記・修正屋”Wiki籠りの腕は落ちちゃいないヨ天州…(ニッ」


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最終更新:2025年04月15日 13:23

*1 作中では「ネコも大きくなればトラになると思ったんだろう」と表現されている。

*2 オニ平が持っていたストリップ劇場のチケットを見てやって来た。