都市伝説解体センター

登録日:2025/05/17 Sat 12:10:45
更新日:2025/06/07 Sat 22:01:11
所要時間:約 9 分で解体できます




「ようこそ都市伝説解体センターへ」



都市伝説解体センター(英題:Urban Myth Dissolution Center)は墓場文庫が開発、集英社ゲームズから発売*1されている推理アドベンチャーゲーム。2025年2月13日発売。
プラットフォームはNintendo SwitchPS5、Steam。SwitchとPS5では通常パッケージ版に加えて、初回限定の『調査員限定スペシャルセット』も発売されている。

CEROはCで、コンテンツアイコンは犯罪。


概要

ひょんなことから都市伝説解体センターで働くことになった女子大生、福来あざみを操作し、センターに届いた依頼から都市伝説を調査、解体するゲーム。
墓場文庫の前作、『和階堂真の事件簿』と同様のドット絵の横スクロール推理ゲームだが、色彩豊かになっただけでなく、ウィンドウ内に表示されていた話者の上半身が画面に大きく表示され、表情豊かにヌルヌル動くようになった。
普段ゲームをしない人でもクリアできるようにした 」と公式が述べてるだけあり作りが大変丁寧で、選択肢を間違えてもあざみがすっとぼけた回答をするだけでゲームオーバーが存在しないのも特徴。
ある意味、ミステリADV要素のある一本道のノベルゲーと強引に言えなくもない。
後述するように、都市伝説と並行してSNSを通じた無辜の民衆の醜悪さも本作の大きな題材でありSNS盛況の時勢だからこそプレイする価値がある作品ともいえる。

公式側もファン側も初見の新鮮な悲鳴を聞きたいからかネタバレに大変気を使っており、既プレイユーザーがSNS上でこのゲームの話やイラストを投稿する場合、大抵外部サイトにパスワードを付けてリンクを投稿するのが通例になっている。
初見の新鮮な悲鳴感想程ありがたいものはないが故に。あと墓場文庫公式アカウントのエゴサ力の高さが異常なことで知られている。

え?クリアしたけどパスワードがわからない?最後の最後に明らかになる『3文字の言葉』とだけ。
その言葉も含め、発売から3か月以上が経ってもSNS上の表だって見えるところでは本作の核心部分に関して全くと言っていいほど語られておらず、本当に都市伝説っぽくなっているのが実に皮肉である……。


登場人物

主要人物

  • 福来(ふくらい)あざみ
年齢 23歳
身長 166cm
血液型 B型

主人公。23歳。犬神大学(通称:ワン大)の学生。昔から人に見えないナニカが見える事に悩まされており*2、相談のために都市伝説解体センターを訪れるが、預かり物である呪いの椅子を壊してしまい、弁償のために調査員として働くことになる。
以降は、人やモノの痕跡を視覚化する能力―念視を廻屋から受け取ったメガネを掛けることである程度コントロールできるようになる

かなり純粋で世間知らずな性格で、有名な社長やインフルエンサーを知らなかったり、SNSで繰り広げられる眉唾物の話を事実と捉えて驚き慄いたりする。
探索中にしょっちゅう泣く。その泣き顔がちいかわみたいでかわいい。
なお、小動物的なリアクションをする割に、図体は結構大きい

苗字の由来は念写の発見者とされ、千里眼の研究をしていた心理学者の福来友吉と思われる。
彼と千里眼にまつわる話の顛末は、後味の悪さも含めてこの作品で描かれる内容に通ずるので調べてみるのも一興。


  • 廻屋(めぐりや)(あゆむ)*3
CV:岡本信彦(電話企画)
年齢 秘密です
身長 何センチがお好みですか?
血液型 日本では血液型に関して性格と結びつける傾向がありますね。血液型占いが毎朝のニュースなどで見られるのも日本くらいでしょう。科学的には特に立証されていない分野ではあるのですが、 *4

都市伝説解体センターのセンター長。上述の通り、まともにプロフィールに答える気がない胡散臭い男。
常に車椅子に座っており、目が描かれた逆三角形型のネックレスが目を引く。
(おそらくモチーフは千年パズルではなくオカルト界隈ではおなじみのフリーメイソンの目)
オカルトや都市伝説に目が無く、都市伝説を語りだすと止まらないし厄介な案件に放り込んだあざみがピンチになるほど上機嫌になるという厄介振り。
(流石にガチめのピンチには真面目に助け船を出すが)

車椅子という都合上現地調査は他人に任せ、自身は電話越しにあざみ達に指示を行う。
全てを見通す千里眼を持っていると自称し、実際に狙いすましたかのようなタイミングであざみ達に電話してくる。


  • ジャスミン / 止木(とまりぎ) 休美(やすみ)
年齢 25歳
身長 159cm
血液型 O型

都市伝説解体センターの先輩職員。ジャージ姿のお団子ヘアー*5が特徴。
自分の名前をもじったジャスミンというあだ名を名乗り、あざみのことを「あざみー」と呼んでいる。

主に現場までの運転を担当する*6
普段はめんどくさがり屋で調査はあざみに任せきりだが、あざみが助けを求めるときちんとアドバイスをするし、窮地には(実力行使という意味で)力を貸してくれる。
腕っぷしの強さもさることながら、独自の情報筋を持っている、密かに何者かと内通しているなど只者ではなさそうだが……。

ちなみに、本作の女性キャラはそこそこ身長が高め(だいたい165cm以上)の設定なのだが、彼女はその言動に反して他の人物より一回り小柄であざみより7cmも小さい


その他のキャラクター

  • 謎の男 / 富入(とみいり) 順蔵(じゅんぞう)
長身でスーツを着た正体不明の人物。
物腰柔らかいがオネェ口調、あざみの名前や能力を知っている、などじつに怪しい。……のだが、その実態は作中でも屈指の良識的な人物の1人である。
彼の素性と名前から、元ネタはメン・イン・ブラックの主演トミー・リー・ジョーンズと思われる。


  • 如月(きさらぎ)(つとむ)
著名なオカルト研究家で本業は大学助教授。本編開始時点で故人。
あざみ達が調査を進める中、彼が出版したオカルト本や生前の関係者など毎話なんらかの形で彼の名が登場するが……。


  • トシカイくん
都市伝説解体センターのマスコット。シカだかトナカイだかよくわからない存在。
ゲーム内の都市伝説やデータベースの解説をしてくれる。「~カイ?」という語尾や独特なテンションが特徴的。
登場人物の抱えている謎は大体が作中で明らかになる中、コイツに関する情報はほとんどないある意味作中でいちばん謎なキャラクター。
現実のX(Twitter)に彼の公式アカウントが存在する。やっぱりそちらも謎。


調査の流れ

BOOK
画面左上のBOOKからは現在の進行状況などを見ることができる。
上記のトシカイくんが解説してくれる「都市伝説」と「データベース」は引き継がれるが、各事件の「調査メモ」と「人物相関図」は1話ごとにリセットされてしまう。
セーブデータも一本道なので周回プレイし辛いが今後のアプデで対応してくれるとの事。

SNS調査
SNSで調査対象の噂などを調べる、本作を象徴するシステム。
SNSの投稿内容が非常にリアルで、当然中傷や揶揄するような書き込みもあるため、人によってはあざみ同様に精神的苦痛を味わうかも…*7

現地調査
関係者や地域住民への取材や現場調査を行う、オーソドックスなパート。
本作の特色としては、画面右下にあるメガネマークを選択することであざみがメガネを掛け、念視を発動できる。
発動中は、人やモノの痕跡を示す赤い影が表示される(その影響でその他のものは調べられない)。
大抵は人型だが、あざみの主観が視覚に影響するため痕跡を残した人物の行動次第で異形の姿になる事も……。


仮説
もしかして、「  この縦三行  」
        「ゲームシステム」
            「再現をしたもの」なのかも。
            【GOOD!】

調査を進めると、画面左上に豆電球マークが表示される。これを選択すると仮説を立てることになり、枠の中に文章を当てはめて完成させる。
不正解の場合はその部分だけ赤く表示されるので親切。

特定
本作のタイトル画面やPRでもよく使われている本作の顔役ともいえるパート*8
調査結果を元に廻屋が本を開き、都市伝説の種類を特定する。調査結果を元に廻屋があざみへの確認という形で質問し、彼の質問に正解するたびに石柱とピラミッドが下から現れ、3回正解すると特定となる。これにより都市伝説の種類や対策が分かるので、それをもとにさらに調査を行う。

解体
全てを見極めよ 天眼錠(アイ・オープナー)!」

一通りの情報が揃うと、廻屋の上述の呪文と共にダイヤル鍵が出現。
都市伝説の裏に隠された真実を解き明かす「解体」を行う。
特定と同じく質問に正解するごとに解錠が進み、計5回正解すれば晴れて解体、事件の全貌が明らかとなる。
+ これでわかる!天眼錠解体モーション
廻屋の解体時のポーズが下記の通り実にキメキメなので、心揺れた人は是非下記を参考にしてやってみよう。
両手の親指と人差し指で逆三角形を作る→同様に三角形を作る→両手で合掌→左右の掌を上下にずらす

各話あらすじ

全6話。各話のラストでは、テーマソングである『奇々解体』をバックに事件の後の顛末などが語られながら次の話への布石が示される、連続ドラマのような演出が採用されている。

第1話「闇から覗く目」
あざみの大学の友人である美桜(みお)から部屋への侵入者を調べて欲しいとの依頼。
大学OBである栄子(えいこ)も協力してくれるが、その間にも怪奇現象が美桜を襲う。そしてそれは、美桜と栄子の闇深い過去を照らしていく…。


第2話「鏡像から迫る死」
人気動画配信者の谷原(たにはら)きのこから生配信に映った幽霊を調べて欲しいとの依頼。
撮影現場であるアパートの一室はかつて無理心中事件が起きた曰くつきの部屋であり、調査を進めるあざみに対しても災難が降り掛かる…。
幽霊が題材である都合上、ビックリシーンが多いので注意。


第3話「辺獄への階段」
行方不明者が発生するツアーを調べて欲しいという匿名の依頼。
あざみとジャスミンはツアーに潜り込むも、何も知らされていないガイド・各ポイントで待ち受ける謎のクイズ・それらに妙な反応を示す参加者たちと怪しげな要素ばかり。
ツアーの終盤、本当に行方不明者が発生してしまう…。


第4話「漏れ拡がる邪悪」
美容系インフルエンサー眉崎(まゆさき)(じゅん)からの呪物鑑定依頼。
彼のビジネスパートナー兼彼女であるリナは曰く付きの赤い箱が届いてから具合が悪くなったり、蛇の幻覚を見るようになってしまった。
更に箱に触れたジャスミンも変調をきたし、やむなくあざみ単独で箱の出所である村へと調査に向かうのだが……。
第2話程ではないがビックリポイントがちょくちょくある。


第5話「罪人の影」
大企業の社長、黒沢(くろさわ)優弥(ゆうや)からの盗品返却の依頼。秘書の清元(きよもと)と証言が一致しなかったことから、黒沢に変装した人物の仕業かと疑うあざみ。
そんな中、黒沢は自宅で自身そっくりの何者かと出会ってしまう…。


第6話「崩壊と審判」
闇サイトであるSAMEZIMA管理人が突如崩壊と審判へのカウントダウンを開始、その間の余興として謎解きを民衆に呼びかける。
異常な事態に世間が揺れる中、SNS上にあざみが窃盗事件を起こしたという情報が流れ、都市伝説解体センターにもその余波が飛び火して…。
果たしてあざみはカウントダウンを止められるのか?そして、管理人の目的とは?

あまりに衝撃的な結末のためか、2025年4月1日0時(日本時間)まで配信制限が掛かっていた。*9


用語

  • 都市伝説解体センター
ある建物の地下4階に存在する、警察では対処できない怪異を扱う探偵事務所。
元ネタの建物は京都河原町の老舗の中華料理屋である『東華菜館』で、日本最古のエレベーターがあるのが特徴。

  • TKCチャンネル
動画サイトにおける都市伝説解体センターの公式アカウント。
一連の解体後、廻屋がフリーメイソンのような赤い三角形で目が塞がれた能面を被り調査の一部始終を(虚実織り交ぜて)語る動画を配信するのがお決まり。
本編の描写を見るに、事件の関係者が行方不明になったと語るのが定例のオチの模様。

  • イルミナカード
手にした者の不幸な未来を予言すると噂されるカード。
全部で6枚存在するとされ、後述のグレートリセットに紐づけて語る者も多い。
どういう訳なのかあざみは気付かぬ間にそのうち1枚を所持していた…。

  • SAMEZIMA
あまり表沙汰にできないアングラな話題を取り扱う掲示板形式の闇サイト。
後述のジマーを含めると元ネタは2ちゃんねるだろう。
都市伝説で「さめじま」といえば例の事件を連想させられるが…?

ちなみに、管理人はSZのアルファベットをかたどった覆面をした白装束の人物であることが示唆されている。なんという怪しさ!

  • ジマー
SAMEZIMAの利用者。
サイトの方針が方針なだけに、利用者の中には陰謀論に染まるなど際どい発言をする者も多い。
とりわけ最近は一部の過激派が犯罪行為をするまでにエスカレートしている。

  • グレートリセット
通称GR。如月努が書いたグレートリセット論に端を発する終末論。
ジマー達の間で如月努とグレートリセットは神格化されており、上記の過激な行動の動機の1つになっているらしい。


テーマソング

  • 『奇々解体』
  • 作詞・作曲・編曲:MURASAKI
  • 歌唱:かたたかんな
先述のように、各話のラストという印象的なシーンで挿入され、Aメロの低音域のラップ/Bメロ~サビの高音域の歌唱が特徴的で、プレイヤーの耳に妙に残る楽曲となっている。
発売当初は、この楽曲を含むサントラは限定版の付属品かSteam版のDLCとしてしか購入できなかったものの、2025年5月現在では各種ストリーミング・配信サイトで提供されている。
集英社ゲームスの公式Youtubeチャンネルにてフル尺のミュージックビデオが公開されているが、ゲーム終盤までの画像が数多く使われているため、クリア後の視聴が推奨されている。
ちなみに、前半のラップ部分も含めてかたたかんな氏が一人で歌唱している曲である
カラオケでも配信されているが、本人映像としてMVがそのまま流れるため、人前で歌う時は注意


他メディアでの展開

都市伝説解体センター 異聞:くねくね
少年ジャンプ+に無料掲載されているPR漫画。作者は高橋ヒデキ。
都市伝説・くねくねを題材にオリジナルストーリーが展開される。単発読み切りの漫画であるためかなり説明を端折っているが、現場到着から解体までの基本的な流れは踏襲している。
ちなみに、ジャスミンの車のハンドルが右ハンドルになっている作画ミスが存在する。

都市伝説解体センター Parallel File
どういうわけか少女まんが雑誌「りぼん」で2024年5月号 (2024年4月3日発売)から連載されている公式コミカライズ。作者は絶叫学級シリーズなどのホラー漫画で知られるベテラン作家のいしかわえみ。
ゲーム版とは一部設定の違いがある。現時点での連載中の箇所はゲームと同じ題材でストーリー展開がされているが、パラレルファイルという題名からも今後はゲームとは違う展開になると思われる。
+ ゲーム版との主な変更点
  • ゲーム版では一切言及が無かった口裂け女についての言及がある。
  • あざみと美桜は大学生ではなく高校生で、関係も面識のほとんど無い同級生。それに伴い、美桜が住んでいるアパートは高校の寮になっている。
  • 栄子や彼女に関わる『人形』の容姿が原作と大きく異なる。特に人形については、美桜の過去と関係あるものの、掲載誌に不適切と判断され変更された可能性がある。
  • メガネが登場せず、念視の際は廻屋が直接現れ、あずみの背後から彼女の目の前で手で三角形を作る。廻あざ?


追記・修正はふせったーのパスワードが分かる方にお願いします。

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最終更新:2025年06月07日 22:01

*1 パブリッシャーとしての役割の他に、第1話の冒頭にチュートリアルを入れた方がいいと助言するなど、『出版社目線でのプロデューサー』として売れるためのアドバイスを数多く提供している。

*2 センターに来るまでは幽霊などが視えていたのだと思っていた。

*3 本来「渉」は「あゆむ」とは読まない。入力する際は「わたる」で。

*4 本当はもう少し長い。ゲームクリア後に公式HPの人物紹介を見てみよう

*5 作中ではそう呼ばれているが、実際にはクロワッサンに近い。他ゲームの類似例を出すとストリートファイターのジュリみたいな髪型。

*6 ちなみに車種は外観と左ハンドルであることから、2代目フォード・エコノラインとされている。

*7 ジャスミンも「ここから先は読まない方がいい」といった感じで警告してくれる。それに限らず、このパートにおけるジャスミンのアドバイスは現実のSNSを使う上でも心構えとして非常にタメになる。

*8 開発開始時の特定シーンのコンセプトアートがあまりにハマっていたので、ここを起点にしてゲームシステムを組み立てたという経緯がある

*9 現在は全区間配信可能ではあるが、公式からは引き続きSNSなどの投稿の際にネタバレに配慮するように呼びかけがある。