ストーン・コールド・スティーブ・オースチン

登録日:2012/09/03 (月) 20:12:53
更新日:2024/06/19 Wed 18:51:21
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「オースチン伝3章16節にはこう書いてるぜ、お前のケツを蹴り飛ばしてやったってな!」


■ストーン・コールド・スティーブ・オースチン

「ストーン・コールド・スティーブ・オースチン(Stone Cold Steve Austin)」は1964年12月18日生まれの米国のプロレスラー、俳優。
90年代後半のWWF(WWE)の大エースで、現在まで続くWWEのアティチュード路線を作り上げた立て役者。
当時の活躍はあのハルク・ホーガンすら超える程で、全盛期の現役時代から既に10年以上が経過しているにもかかわらず、
未だにWWEスーパースターズの中でも別格的な存在、横綱中の大横綱として破格の扱いを受けている。
本名はスティーブ・ウィリアムスであったが、全日本プロレスのレギュラー外国人として知られる同名の先輩レスラーが居た為に、
出身地のテキサスにあやかり“オースチン”をリングネームとした。
07年には、ファンにも馴染みの深い名前として正式にスティーブ・オースチンを本名としている。


【人物】

ビール片手に気に入らない奴にスタナーをかます強面ハゲ頭の喧嘩親父のイメージが強いが、少年時代はシャイで電話で出前も頼めない程であったと云う。
高校時代はスポーツと学業で優秀な成績を収め、全米の優良な生徒として選出までされている。
大学時代も優秀な成績であったが、何故か卒業直前に退学(卒業制作が煩わしかったらしい)。
以降は港で倉庫管理の仕事をしていたが、友人達とプロレスを見に行った際に、自分の天職はこれだと直感し、旧NWA圏の実力者で名トレーナーであったクリス・アダムスに弟子入り、USWAにてデビューを果たす。
後に実生活で師匠クリス・アダムスの妻ジニー・クラーク(レディ・ブロッサム)をNTR、彼女と結婚している。
当初は旧NWA譲りの堅実なレスリングを使う地味な技巧派レスラーで、デビュー戦から高く評価されていたもののアピール力は低く、ヒールに転向。
“スタニング”スティーブ・オースチンとしての活躍が元NWA王者のダスティ・ローデスに認められてWCW入りを果たす。

WCWでは金髪を靡かせた技巧派ヒールとしてブライアン・ピルマンを相棒に中堅に食い込み活躍。
主役を引き立てる技量は主役のリック・フレアーにも高く評価されていたと云う。
そして、WCWが提携を結んでいた新日本プロレスにも主力選手の一人として来日。
第2回G1クライマックスでは2回戦で武藤敬司に破れるも、新日本関係者からも実力を認められ、
同大会を制して世界最高峰のNWA世界王座を獲得した蝶野正洋への挑戦権を獲得するも、
タイトルマッチにて蝶野にレスラー間では禁じ手とされる着席式ツームストーンを放ち、蝶野の首に深刻なダメージを与えた事でキレられ本気のSTFで締め上げられギブアップ負けを喫する。
その後もWCWで活動していたが、WCWが見栄えのいい大型選手を重用する様になると、次第に居場所を無くし、新日本に参加中の95年に負傷するとあっさりとエリック・ビショフに解雇される。
ECWに移籍したオースチンは王座に絡む活躍をする一方、恨みを込めてホーガンやビショフの物真似を披露し喝采を受けた。

そして、96年に遂にWWEに移籍。
当初はこれまで通りの技巧派レスラーとして“リングマスター”の名前で売り出されるもやっぱり地味で、
これまでと同じ轍を踏む事に危機感を感じたオースチンは、自ら社長のビンス・マクマホンに直訴してキャラクターの変更を申し出ると、トレードマークの金髪を剃り落とし、髭を蓄えたテキサスの荒くれ喧嘩親父“ストーン・コールド”に変身を果たす。
出世の登龍門とも言われる96年のキング・オブ・ザ・リングで抗争相手であった実力者“スネーク”ジェイク・ロバーツを破り優勝すると、伝道師キャラであったロバーツを皮肉って放った、
「オースチン伝3章16節にはこう書いてるぜ、お前のケツを蹴り飛ばしてやったってな!」のフレーズ(3章16節は聖書の重大箇所)が大流行を果たし、既存の価値観を嘲笑うダークヒーローとして大人気を博す。
そして、WWEのエースであった“ヒットマン”ブレット・ハートと抗争を開始……。
レッスルマニアでの決着戦は筋書きが決まっていたとされるも、両者はブックを超えた凄まじい死闘を演じ、
敗れながらもオースチンは業界最凶のタフ野郎として記憶される事になった。

……いよいよ王座獲得への筋書きが出来たと思われたオースチンであったが、
ブレットの弟、オーエン・ハートとの戦いで皮肉にも自らが蝶野に放った着席式ツームストーンを受けて首を破壊されてしまい、欠場に追い込まれる。
この時のダメージにより、事実上選手生命が断たれたオースチンだったが、何とか復帰すると次のレッスルマニアにて退団が決定していたとはいえ疑惑のモントリオール事件によりヒットマンからベルトを引き剥がしていた“HBK”ショーン・マイケルズを破り、
WWF王座を獲得。
WCWとの視聴率戦争に勝つべく、自らがWWFのオーナーである事を明かしたビンスは、自分自身がオースチン最大の敵として立ち塞がると抗争を開始。
このオースチンとビンスの互いに覚悟を決めた“本気のど突き合い”はnWo人気に陰りが見えていたWCW以上の人気を獲得。
そして、このオースチンへの対抗馬としてビンスが取り立てたのがザ・ロックやトリプルHら若手を脱却しつつあった無名のダイヤの原石達であり、彼らはWWEスーパースターの元祖として見事に責務を果たしていく事になるのである。

元々の大物であった墓堀人アンダーテイカーは勿論、金メダリストから転向したカート・アングルやWCW移籍組を加え隆盛を迎えたWWFのエースとして君臨したオースチンであったが、負傷の悪化や次世代のスーパースターに居場所を奪われる事に反発した事などにより、徐々にトラブルが多くなっていく。
そして、03年のレッスルマニア19にて最大のライバルであるザ・ロックとの一騎打ちに破れ、事実上の引退。
以降はWWEとは俳優として契約を結んでいるものの、GMや特別レフェリー、ゲストとして登場する度にファンはオースチンがビール片手にスタナーをかます姿を期待。
……オースチンもそれに応え続けている。

2009年のWWE殿堂入りに際してのスピーチでも復帰には否定的であった彼であったが事実上の引退から19年の月日が経った2022年、少年時代に一緒にツーショットを撮る程のプオタだったケビン・オーエンズの挑発に応じる形でレッスルマニア38 Day1に出演、そこでオーエンズからの挑戦を受ける形で19年ぶりに試合を行った。
首に爆弾を抱えながらも場外でブレーン・バスターを受けるなど体を張った受け身も取りつつ往年のラフファイトでオーエンズを圧倒して勝利し駆け付けた大勢の観客から歓声を浴びた。
因みに翌日のDay2にも出演しこちらも10年ぶりの試合を行い汚い手を使って勝利したビンス・マクマホンの前に現れてお約束のスタナーをかまして観客の溜飲を下げた。

【得意技】

ストーン・コールド・スタナー
“ストーン・コールド”に変身後の必殺技で代名詞。
腹部に蹴りを叩き込み、前屈みになった相手の頭を背中越しに抱え込み、尻餅を着くと同時に喉元に肩口を食い込ませる。
元は非常に地味な技なのだが、ストンコ自身により上記の前蹴りから始まる派手なアクションが加えられたことで必殺技としての説得力が高められた。
ストンコ本人によれば元フリーバーズのマイケル・ヘイズから伝授されたとのことで、前述の96年のキング・オブ・リングの頃から使用し初めて必殺技として定着していった。
単純な技だが、米国ではプロレスごっこで死人も出ている超危険技である。
受け手の技量も問われる技であり、最大のライバルであったロックの他、スコット・ホール、シェイン・マクマホン、カート・アングル……といった選手が有名。
ただし、ロックは派手に受けすぎるのでストンコ本人は嫌だったらしい。
食らった回数では間違いなくビンスが筆頭で、ビンス自身の持ち技でもある。

●テーズ・プレス
日本では空中胴締め落としと呼ばれる。
命名は名アナウンサーJR。
本来はフォールに行く技だが、オースチンは上から殴りつける。

●スパインバスター
何気に名手で、肩に担いだ相手を振り子の要領で叩きつけるタイプと、相手を受け止めて旋回式で叩きつけるタイプを得意としていた。

●パンチ
“当たってない”と揶揄されることもあるが、勢いが最高でパンチのリズムだけで試合を組み立てられる。
WWEの試合の流れを生んだ技とも言える。

●クローズライン
勢いよく身体ごとぶつけ、なぎ倒していくスタイルで使用。

●コブラクラッチ
相手の片腕を巻き込んで締める変形スリーパーで“リングマスター”時の必殺技。
“リングマスター”の時にマネージャーに付いた名レスラー、テッド・デビアスの得意技を引き継いだ物で“ストンコ”に変身してからも時折繰り出していた。

●スタンガン
ストンコに変身前からの得意技で、スタニング時代にはフィニッシュとしても使用された。
ロープに振ったり、走ってきた相手の胴体を抱えて持ち上げた後でトップロープに首を打ち付けていく、テクニカルながら豪快な荒業で、走ってきた方向に反転して打ち付けていくこともあった。
痛め付ける部位の特徴から、スタナーはこの技の発展系であると説明されている場合も。

●ビール飲みパフォーマンス
勝利後、投げられたビールを受け取り頭上で2つの缶をぶつけてから一気に飲み干す。
実はノンアルコールだったらしく、日本公演時に本物のビールでやったら本当に酔っぱらってしまったらしい。


※ストーン・コールドに変身以降は首の負傷により受け身に制限があり相手を滅茶苦茶に殴りつける試合が多いが、本来は技巧派レスラーであり、代議士レスラーの馳浩はオースチンの間合いの取り方を完璧と評しており、単なるキャラクター先行型のレスラーでは無い。


【異名】

●テキサスのガラガラ蛇(Texas Rattlesnake)
●最凶のタフ野郎(toughest son of a bitch)
●SCSA
●ストンコ(日本人のみ)


【余談】

●過去に3回もの結婚、離婚歴がある。

●ストーン・コールドの由来は2番目の妻ジニーが言った「早く飲まないと紅茶が石(ストーン)の様に冷たく(コールド)なるわよ」と云う一言からである。

●定番台詞の「What?(はぁ?)」はオースチンが難聴気味の為、電話で何回も「What?」と繰り返しているのをクリスチャンがからかったことから生まれた。

●ファンなら周知であるが、物凄い音痴として有名……カートには負けるが。

●引退試合であるレッスルマニア19のロック戦の前日、メディア向けインタビューに答えホテルに戻った直後、すぐに親友のJRに電話で助けを求め、救急搬送された。
このとき、血圧は異常なほど上がり、心拍数は心臓発作レベルだった。試合当日の朝に退院し、強行出場してロックと戦った。


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最終更新:2024年06月19日 18:51