ローマン・レインズ

登録日:2024/12/25 (水) 9:25:54
更新日:2024/12/29 Sun 00:03:42
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「アニヲタwikiよ!」

「Acknowledge Me!」

◆ローマン・レインズ(Roman Reigns)はアメリカ、フロリダ州ペンサコーラ出身で、サモア系のプロレスラー一家であるアノアイ・ファミリー出身のプロレスラーである。
父に往年の名タッグチームである"ワイルド・サモアンズ"の一員であるシカ・アノアイ、叔父にもう一人のサモアンズであるアファ・アノアイを持つ2世レスラーでもある。

プロフィール
リングネーム:ローマン・レインズ
本名:リーチ・ジョセフ”ジョー”・アノアイ
ニックネーム:The Head of the Tabel(部族の長) Tribal Chief(部族長) OTC (Original Tribal Chief/Only Tribal Chief) ビッグ・ドッグ ジ・ガイ
身長:191cm
体重:120kg
誕生日:1985年5月25日


【来歴】
若年期はアメリカンフットボールで活躍し、2007年〜8年にかけてNFLのミネソタ・バイキングス、ジャクソンビル・ジャガーズ、CFLのエドモントン・エスキモーズとプロ団体と契約するも、いずれも短期間での契約に終わる。

エスキモーズとの契約解除後はプロレスラーに転向、父と叔父から指導を受け、2010年にWWEとディベロップメント契約を交わす。
同年、ロマン・リーキーのリングネームでデビューし、育成団体だったFCWで活動を開始、12年にはリングネームをローマン・レインズに改める。

一軍デビューを果たしたのは2012年11月のPPVサバイバー・シリーズで、メインのCMパンク(CH)、ジョン・シナ、ライバックによるトリプルスレット形式のWWE王座戦の終盤に、FCWの同輩だったディーン・アンブローズ、セス・ロリンズと共に乱入し、シナとライバックを襲撃しパンクの王座防衛をアシストした。
翌週のRAWで3人はWWEの不義を正す正義の盾、”ザ・シールド(The Shield)”を名乗り、デビューする。と言いつつパンクのお供を務めていたり、”オーソリティ”に所属したりとやってることは思いっきりヒールだったが
デビュー以降様々なベビーフェイスのレスラーによる急造チーム相手に勝利を収め、2013年のエクストリーム・ルールズではロリンズとのコンビでタッグ王座を獲得する。同時に、ヒールユニットでありながら男性ファンを中心に人気を集めていく。
中でもレインズは13年のサバイバーシリーズの5対5エリミネーションマッチで歴代トップタイとなる4人抜きを達成*1、翌年のロイヤルランブルの30人バトルロイヤルでも史上初となる12人抜きを達成するなど、シールドの中心格として活躍を重ねていった。

2014年、ユニットで所属していたトリプルH率いる権力者ユニット”オーソリティ”を裏切りフェイスターン、トリプルHが再結成した往年の名ユニット”エヴォリューション”と抗争し連勝を重ねる。
しかし、抗争の最中である6月2日のRAWにて、メンバーのバティスタに見限られたトリプルHが「プランBはいつでも用意しておくもんだぜ」と宣言。
すると突如ロリンズがレインズとアンブローズを背後からパイプ椅子で攻撃、シールドを裏切ってオーソリティに着いた。

以降、レインズはシングル路線に転向、シナやランディ・オートンにならぶ次世代のスタートしてプッシュを受け、翌年1月にはレッスルマニアでのWWE世界ヘビー級王者ブロック・レスナーへの挑戦権獲得を目指してロイヤルランブルに出場する。
しかし、このロイヤルランブル出場がレインズにとっての悪夢の日々の始まりであった。
具体的にこのランブル戦で何が起こったのかというと、

  • ECWで活躍した名タッグチーム”ダッドリー・ボーイズ”の一員であるババ・レイ・ダッドリーが登場→相方であるディーボン・ダッドリーが登場しないまま脱落
  • 負傷から復帰したばかりのザック・ライダーが殆ど見せ場なしのまま脱落
  • 優勝候補の一角と目されていたダニエル・ブライアンが中盤で脱落
  • 同じく優勝候補格だったアンブローズ、ドルフ・ジグラー、ブレイ・ワイアットがビッグ・ショーとケインに雑に落とされる*2
  • リング上にレインズだけが残ったところで都合よく仲間割れし始めた大塩さんとケインをレインズがまとめて脱落させる
  • 挙句↑のタイミングでまだ脱落していないレスラーがいるにも関わらず試合終了のゴングが鳴る

といった具合に、終始展開がグッダグダで盛り上がりに欠ける上にレインズへのプッシュが見え見えの試合展開に、観客は揃って勝者であるレインズに大ブーイングしたのである。
そして肝心のレッスルマニア31でのレスナーとのWWE王座戦では、終盤にマネー・イン・ザ・バンクの権利を行使したロリンズに自身がフォールされた事で王座を横から掻っ攫われてしまい、良いとこ無しのままレッスルマニアを終える羽目になった。

その後はトリプルH率いる権力者チームとの抗争の過程でWWE王座を獲得したり、レッスルマニア32でトリプルHに勝利したり、反米ヒールのルセフからUS王座を奪取したりと、改めて次世代のベビーフェイスとしてプッシュを受ける。
が、活躍する中で顕になったレインズの技の引き出しの少なさやキャラの地味さにより、かつてのジョン・シナと同様ベビーフェイスでありながらブーイングされるようになってしまう。

そして2017年のロイヤルランブル・マッチ出場が、ベビーフェイスとしてのレインズの悪評を決定づけてしまう。
何があったのかというと

  • 説明不要の怪物ことブロック・レスナー→ネタ枠のエンツォ・アモーレ→WCWが産んだ”超人類”ゴールドバーグ→生ける伝説と化した怪奇派の頂点アンダーテイカーという大物・レジェンドレスラーによるボスラッシュが続いていた
  • フィン・ベイラー、サモア・ジョーのNXTからの昇格、或いはTNA殿堂入りを果たしたカート・アングルの復帰が期待されていた

という期待値が上がりまくった状態での30番手として出場したことで、会場に溢れていた期待感を完膚なきまでにぶち壊してしまったのである。特にジョーは期待値が高かった事から、レインズの本名、出身と引っ掛けて「サモア・ジョーを期待したらサモアンのジョーが出てきた」だの「サモアンのジョー違い」などとネタにされる羽目に。
これだけで終わればよかったのだが、そんな状態でアンダーテイカーを脱落させてしまった上、これをきっかけとしたレッスルマニア33での遺恨戦が箸にも棒にもかからない凡戦に終わった事、そして何よりその凡戦の末にテイカーに勝利した、否、勝利してしまった事で、レインズへのブーイングは確固たるものとなってしまった。

10月にシールドを再結成した事でブーイングは一旦治ったものの、活動が不完全に終わった事やユニバーサル王座戦線に投入された事から再び激しいブーイングに晒されてしまう。2018年のロイヤルランブルでは27番目に一時期WWEを離れていたレイ・ミステリオがワンタイム契約でサプライズ出場し大歓声を得ていたのに対し、その次に登場したレインズは全く正反対の大ブーイングを受けるはめになった。

それでもめげずに同年のサマースラムでレスナーに勝利し、キャリア初となるユニバーサル王座を戴冠、その後はマネー・イン・ザ・バンク保持者のブラウン・ストローマンとの抗争でシールドを再び再結成したが、同年10月、自身が長年白血病を患っていた事、その症状が再発した*3事、闘病のためユニバーサル王座を返上し無期限欠場に入ることを発表、それまでブーイングしていた観客も、レインズの発表を前に「Thank You Roman!」と感謝のチャントを贈り、闘病生活に入るレインズを暖かく送り出したのだった。


2019年2月、白血病が寛解状態まで回復したため復帰。アンブローズ、ロリンズと共にシールドを再結成、5月に退団することが決まったアンブローズに向けた餞とした。
以降もベビーフェイスとして活躍し、2020年にはゴールドバーグが保持するユニバーサル王座への挑戦も決まったが、新型コロナウイルスの症状重篤化回避のため再度欠場に入る。*4



そして同年のサマースラムのブラウン・ストローマン対ブレイ・ワイアットのユニバーサル王座戦後に復帰、両者をボコボコにし、同時期にポール・ヘイマンをマネージャーに迎え、シングルでは初となるヒールターンを果たす。
その後同年のペイバックでレインズ、ストローマン、ワイアットとのトリプルスレッド戦では、ストローマンとワイアットの両者が消耗したタイミングを窺って試合の契約書にサイン、そのまま試合を制しユニバーサル王座を戴冠した。
更に従兄弟にしてアノアイ・ファミリーの一員である双子ユニット”ウーソズ”のジェイ・ウーソとの同年のクラッシュ・オブ・チャンピオンズとヘル・イン・ア・セルでの抗争を経て、ジェイの双子の兄のジミー・ウーソとヘイマンと共にアノアイ・ファミリーのメンバーで構成されるヒールユニット”ブラッドライン”を結成、自身もファミリーの長たる”トライバルチーフ”を名乗り始め、実父のシカ・アノアイと叔父のアファ・アノアイの"ワイルド・サモアンズ"から、それを証明する赤い首飾り”ウラファラ” *5を授けられた。

以降はケビン・オーエンズ、ダニエル・ブライアン、エッジ、ジョン・シナ、ブロック・レスナーといった名だたるレスラーを相手にユニバーサル王座を防衛し続け、1316日にも及ぶ王座保持記録を築いた上、加えて2022年のレッスルマニア38ではレスナーが保持していたWWE王座を奪取し、最高位王座の統一を達成した。
王座統一後、ウーソズもロウとスマックダウンのタッグ王座を統一し、下っ端として貢献してきたサミ・ゼインを正式メンバーとして名誉兄弟のTシャツをプレゼントしたり、2022年のクラッシュ・アット・ザ・キャッスルでのドリュー・マッキンタイアとの統一王者戦では、ウーソズの末弟のソロ・シコアが介入し、執行人として迎え入れられたことで、一大ヒールユニットして全盛期を迎えていた。
尚、ブラッドラインを結成してからのレインズは、

  • 抗争相手を一対多数でボッコボコにするのは日常茶飯事
  • マイクでも徹底的に相手をこき下ろす
  • 場面によっては味方であるはずのブラッドラインの一員にすらパワハラ同然の態度を取る

など、トップヒールとしての立ち位置を確立した。

しかし、2023年のロイヤルランブルでのケビン・オーエンズとの統一王座戦でゼインは元親友のオーエンズへの暴行を躊躇うが、レインズから強いられたあげく、逆にレインズをパイプ椅子で攻撃し、そのままブラッドラインを追放となった。その後ゼインはオーエンズと和解し、レッスルマニア39の一日目のメインイベントでウーソズから統一タッグ王座を奪取し、ブラッドライン、レインズにとっては逆風となったが、二日目では前年のレッスルマニア38でWWEに出戻り、ロイヤルランブルを制したコーディ・ローデスとの統一王座戦では介入もあり辛うじて防衛に成功したが、ウーソズ側からの不満が高まり、マネー・イン・ザ・バンクでレインズ・シコア対ウーソズの内戦が勃発した。その結果ウーソズはレインズ相手に1294日ぶりのピンフォール負けを下した。その後ジェイ・ウーソがサマースラムでレインズの統一王者に挑んだもののジミー・ウーソがレインズ側に寝返った事により防衛に成功、その翌週のスマックダウンではジェイはブラッドラインもスマックダウンもWWEも辞めてやると公言し、ブラッドラインから立ち去り、結果としてブラッドラインはレインズ、ヘイマン、ジミー、シコアの4人体制となってしまった。なお、その後ジェイはロウに移籍してコーディ・ローデスと共に統一タッグ王座を戴冠したり、シングル王座に挑戦したりとトップ前線で活躍している。



4人体制となって迎えた2024年では、新年のロウで、同じくアノアイ・ファミリーの一員であるザ・ロックが、レインズへの挑戦を示唆する発言をし、更に前年のレッスルマニアで倒したコーディ・ローデスがロイヤルランブル連覇し、再びレインズへ挑戦と思われたが、翌週のスマックダウンでコーディがレインズへの挑戦権をロックに譲り渡してしまう。レインズも一時は困惑するも、翌週のレッスルマニアに向けた大規模記者会見ではロックに同調し、このままレッスルマニア40でレインズ対ロックになるのかと思った矢先に「#WeWantCody」活動によってユニバースに支えられたコーディが レッスルマニア40でレインズへの挑戦を表明。これにはレインズとロックも黙ってはいられず、"ファイナル・ボス"へと変貌したロックをブラッドラインに迎え入れ、レッスルマニア40の一日目でロック&レインズ対コーディとコーディの戦友でもあり、かつてのシールドの盟友でもあったセス・ロリンズとのタッグ戦に発展。ロック&レインズ組が勝てば二日目の統一王座戦は反則&介入ありのブラッドライン・ルールとなる試合で勝利し、二日目はブラッドライン・ルール適用となった。

二日目の統一王座戦、反則&介入ありの通りロック含めたブラッドラインのメンバーが介入しようとするが、ジミーはジェイに排除され、シコアは前年のクラウンジュエルで打倒したジョン・シナに排除されるが、今度はロックがシナをロックボトムで打ちのめすも、今度は鐘の音と共にアンダーテイカーが現れ、チョークスラムで排除された。

最後は、レインズがシールドのギアを装備したセス・ロリンズを、かつてパイプ椅子でレインズを攻撃し、シールドを裏切り、オーソリティに寝返ったフラッシュバックから、ロリンズをパイプ椅子で攻撃するという隙を晒してしまい、コーディにクロス・ローズ3連発を決められてしまい、かくしてレインズのユニバーサル王座から続いた統一WWE王座はレッスルマニア40において、1316日で終わりを迎えた。試合終了後、コーディは家族や仲間達、大衆から祝福される一方、レインズとヘイマンは全てが終わったことを悟り、ハグを交わしたのだった……



最後はレッスルマニア40でコーディ・ローデスに敗れ、統一WWEユニバーサル王座を失ったが、ユニバーサル王座として、また悪の頂点として君臨し続けたレインズは、間違いなく2020年代における正真正銘の”アイコン”として認知されたと言えるだろう。

【得意技】
⭐︎スピアー
相手に向かって走り込んで懐にタックルするシンプルな技で、レインズの絶対的フィニッシャー。
現在、過去問わず様々なレスラーが使用する技だが、レインズのスピアーはスピード感、威力、説得力など全てが一級品で、現役では最高の使い手との呼び声も多い。
また、スピアーはパワーで倒すゴールドバーグ式とスピードで突き刺すエッジ式に大別されるが、レインズのスピアーはこれらの両方の要素を兼ね備えている。
放つ際に両腕を回転させながら「Woah!」と雄叫びを上げるのも特徴。

⭐︎スーパーマン・パンチ
助走をつけてジャンプしながら相手にパンチを叩き込む技。
プロレス技と呼ぶかについては非常に賛否が分かれるが、起死回生の一手となる。
放つ際に左手で右腕を摩り、右腕をリングに叩きつける。

⭐︎ギロチン・チョーク
前方から相手の頭部を脇下に抱え込み、喉元で両手をクラッチして頸動脈を締め上げるチョーク・ホールド。
“トライバルチーフ”を名乗って以降使用するようになった技で、大抵の場合レフェリーストップがかかる。
レフェリーストップ後も締め上げ続けたり、金的から締め上げたりと悪どい使い方をする場面も多々。

◎ドライブ・バイ
サードロープにもたれかかった相手に放つドロップキック。
場外から走り込んで放つ。

◎ローブロー・キックアウト
カウントを返す際に相手の股下からキックアウトする変形ローブロー。
こちらもヒールターン後に使用するようになった技で、まごう事なき反則技。
主に無観客時代に使用していたが、有観客になってからはあんまり使っていない。

◎サモアン・ドロップ
◎裏投げ
◎クローズライン
◎パワーボム
◎各種スープレックス
◎場外へのトペ

【余談】
  • 上述した共通点から、ベビーフェイス時代にはジョン・シナと度々比較されている。
    • 2017年のノー・マーシーや2018年のロイヤルランブルで対面した際には、「You both sucks!(どっちもクソ!)」とチャントされた事も。ひでぇ。
  • ザ・シールドのメンバーでは一軍デビュー時点で唯一結婚しており、娘もいる。
  • サモア系レスラーでは初のグランドスラム達成者である。
  • 2019年に一旦は寛解状態まで回復した白血病だが、2024年現在も経口化学療法を継続しているとのこと。
  • ワイルド・スピード』シリーズのスピンオフ作品である『スーパーコンボ』にロック様演じるホブス捜査官の兄弟役でカメオ出演しており、白血病の闘病中ながら元気にスピアーやサモアン・ドロップを敵のモブ戦闘員に叩き込む姿を見ることができる。


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最終更新:2024年12月29日 00:03

*1 もう一人は何とアジャ・コング

*2 YouTubeにフルの動画が上がっているので是非試聴していただきたいが、本当に文字通り粗大ゴミか何かを捨てるか如く脱落させている

*3 実はデビュー前から患っており、ミネソタ・バイキングスを解雇された原因も白血病だった

*4 代役はブラウン・ストローマンが務めた

*5 サモアにおいては、パンダナスの木の実から作られ、祝儀等で着用されるネックレス