登録日:2025/09/01 Mon 16:01:21
更新日:2025/09/09 Tue 11:30:54
所要時間:約 6 分で終点に到着します
営団03系電車は、営団地下鉄(現・
東京メトロ)の電車である。
本項目では、引退後に他社へ譲渡された各形式に関しても解説する。
概要
老朽化した
日比谷線3000系の置き換えと輸送力増強、そして
当時0%だった車両冷房化率の向上を目的に1988年から導入された。
元々本形式は1990年からの導入を検討していたが、年々の混雑悪化及び1988年にトンネル冷房から車両冷房への転換が決定したことから導入を前倒しすることとなり、開発から導入まで10カ月というかなりの早さで開発されることとなった。
そのため、車体デザインは
東西線の
05系向けに計画されたものをまんま流用している。
8両編成42本が導入されたが、日比谷線の輸送情勢の変更を反映してか時期に応じて頻繁に設計変更が行われているのが特徴。
13000系の導入に伴い2016年から置き換えが始まり、2020年までに全車引退した。
車両解説
本項では共通項について解説する。
デザインテーマは
「ハイクォリティ」「アダルトセンス」。
車体は3000系と同じ18m3ドアだが、アルミニウムの大形押出形材・中空構造を採用したため、先に登場した
丸ノ内線の02系にも近い構造となっている。
側窓下にはシルバーライン(表記上はグレー)に、アクセントとしてダークブラウン・アイボリーの細い帯が上下に入る。
前面貫通扉の窓下には営団地下鉄のSマークが入っており、日比谷線車両および0シリーズの採用例はこの車両が初。
メトロ移管後は窓ガラスのハートMマークに変更されたが、末期にはこれも撤去されている。
前面は3000系のイメージを残したパノラミックウィンドウを採用。その上部は行先と車両番号用の窓が設置されたが、そこを黒く塗装して一体感のあるデザインとなっている。
車両冷房は集中式を搭載したが、営団地下鉄の車両で落成当初から採用した例は本形式が最初である。
営団の車両では初めて車両制御情報管理装置(TIS)を採用したほか、3000系では編成毎に区別されていた東急・東武への乗り入れは全編成で可能とした。
編成グループ別解説
第1~8編成が該当し、1~3次車となる。
全車両が3ドア車で、制御方式は
01系と同じ高周波分巻チョッパ制御を採用した。
第9~第28編成が該当。第9編成は3次車、第28編成は6次車で、それ以外は4・5次車となる。
両端2両(1・2・7・8号車)が混雑緩和のために5ドア車となっているのが最大の特徴で、識別のため前面に「5doors」のステッカーが貼られていた。
5ドアは中間2扉を締め切ることが可能で、実際乗り入れ先である東武伊勢崎線では整列乗車が乱れるとの懸念から当初はそのような扱いで運行され、始発駅で保温のために締め切りを行っていたこともある。
このグループでは5ドア以外にも頻繁に設計変更が行われており、
- 乗降扉の窓が単層ガラスから複層ガラスに変更(第10編成以降)
- 行先表示をLED式に変更(第16編成以降)
- 制御方式がVVVFインバータに変更(第26編成以降)
- 貫通路の幅がそれまでの800mmから900mmに拡大(第28編成以降)
が挙げられる。
第29~37編成が該当。
5ドア車が必要数賄えたため全車3ドアに戻されている。
手すりや内装の意匠に同時期にデビューした06系・07系の意匠が反映されている。
特記事項
2012~2013年に第1~8編成で修繕工事が実施され、制御方式がVVVFインバータに変更、それに合わせて車内案内表示装置の改良や車いすスペースの設置が行われた。なお、上述した13000系への置き換えが決まったからか修繕工事はこの8編成のみに留まっている。
2000年に起きた中目黒駅の脱線事故で03-802号車が大破し廃車となり、翌年に同一の車番で代替新造した車両が組み込まれた。
この事故の影響から、東京メトロでは2006年以降新造車におけるボルスタレス台車の導入を取りやめている。
引退後、トップナンバーの03-101編成が3両編成に短縮された状態で新木場車両基地に保存されている。
この車両は時折イベントなどで撮影会が実施されることもあり、Sマークの復刻なども行われたりする。
譲渡車
今や数少ない18m車体の狭軌電車ということで、引退後も全国各地の地方私鉄に引く手あまたとなった。
なお、譲渡されたのは全て3ドア車である。
2018年に第31・32・37編成の先頭車が2018年に導入された。
特筆すべき点として、ワンマン運転対応のため運転台がワンハンドル式に交換されている。
第31編成は2023年10月以降、熊本県のご当地キャラクターである「くまモン」のラッピングを施されている。
熊電では
銀座線出身の01形、そして
都営三田線出身の6000形と並ぶという東京では見られなかった痛快な景色を見ることが出来る。
2020年から第4~8編成が3連に短縮されて導入された。
改造内容は耐寒耐雪工事は勿論のこと、前面の帯が赤色に変更されている。
本形式の導入に伴い同じ日比谷線出身である3500系・3600系が置き換えられたが、元3000系が3000系に置き換えられるという見方によってはごっちゃになるとも言えなくもない。
03系のうち中間車が譲渡されたのはここが唯一。
浅野川線で使用されていた8900形(元京王3000形)置き換えのため、2020年から第29・30・34・39・40編成の先頭車を改造して導入。
改造内容は耐寒(ry、前面の帯が北陸鉄道のコーポレートカラーであるオレンジ帯に変更されているが、第34・40編成は日比谷線時代と同じシルバーとなっている。
正面行先方向幕部分に付けられた無線アンテナが外観上の特徴となっている。
こちらも700系(元京王3000形)置き換えのために2024年から導入。
3編成の導入が計画されており、2025年現在は第35・36編成の先頭車を改造した2編成が運用されている。
車体側面は従来の上毛車と同じフィヨルドグリーンと赤の2色帯をまとい、811編成は前面がパステルブルー、812編成は前面がフィヨルドグリーンの帯を巻く。
改造は千住検車区で実施されたが、完成後は千住から北越谷まで自走で回送され、そこから
東武8000系に牽引されて上毛入りという珍しい方式で入線している。
関連作品
2010年6月に発売された「東京メトロ半蔵門線・日比谷線ダブルセット」にて、第27編成が収録。
実車は5扉車の含まれる編成であったが、本製品では3扉かつ、金型もほかの0x系列や1x000系列と共通したものを使用している。
2004年に発売された、入浴剤同封の「東京地下鉄物語」にて封入。
第9編成がモデルとなっている。
なお、このシリーズのチョロQはいわゆるノーマルサイズであり、双方の運転台と、中間に1枚扉という形でデフォルメされている。
1997年3月放送の「お届け途中で迷子になったゾ」にて、日比谷線内で本形式が登場するシーンが存在する。
ただし、作画ミスの可能性等で諸説あり。
2015年12月のスクフェスコラボシングル告知に伴う、各メンバーに対応した各線の中づり広告ジャックにて、
南ことりの分を担当する事になった日比谷線では、本形式の第15編成が使用された。
本作の聖地は日比谷線沿線の秋葉原が含まれ、さらに03系が譲渡された北陸鉄道の走る金沢も後継作の一つ、
蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブの舞台であり、03系は結果的にシリーズ2作の聖地で活躍した経歴を持つ。
追記・修正は熊電や北鉄にいるシルバー帯の車両で、メトロ所属当時を偲びながらお願いします。
- このページ名を他のメトロ車に合わせ、「営団地下鉄(東京メトロ)03系電車」に変更しようと考えています。異論がない場合、本日中に変更予定です。 -- 名無しさん (2025-09-02 06:17:32)
- 異論がないため、他ページの名称に合わせる形でのページ名を変更いたしました。 -- 名無しさん (2025-09-02 09:25:40)
- 1067mm軌間の18m車として最後の譲渡車、ってどういう意味でしょうか?メトロ/営団としては最後の18m車ってこと? -- 名無しさん (2025-09-03 22:04:44)
最終更新:2025年09月09日 11:30