登録日:2025/09/01 Mon 16:01:21
更新日:2025/09/01 Mon 16:01:21NEW!
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03系電車は営団地下鉄(現・東京メトロ)が導入した車両である。
本項目では、東京メトロを引退した後に、全国各地に譲渡された後の本形式に関しても解説する。
概要
導入経緯
1980年代中盤まで、営団地下鉄は冷房をトンネル内に設置する手法を取っていたが、1988年に方針が転換し、車両の冷房化を実施することとなった。
また、同年に列車増発に伴う運用増加が予定されていた。
その直前より、
日比谷線には1990年をめどに従来運行されていた3000系電車の置き換え用に新車を導入する計画があったが、上述に2つの理由のため、2年前倒して本形式が導入されることになった。
車両概説
18m車体、基本的に3扉の通勤型電車。
1988年から1994年までに8両編成42本が増備された。
第25編成までは01系をベースとした高周波分巻チョッパ制御を使用し、直流分巻電動機で駆動していたが、第26編成以降はIGBT-VVVF制御を採用し、かご型三相誘導電動機で駆動。
アルミ合金の無塗装車体に、シルバー色に上下はダークブラウンとアイボリーがアクセントで入るラインが窓下に巻かれている。
前面は貫通扉の配置は左右非対称、大型のパノラミックウィンドウを採用した前面窓と、その上部の行き先、列車番号表示周辺を黒く塗装し、上部は一体感のあるデザインに、窓下に角形の前照灯・後部灯を搭載したデザインとなっている。
LED電光掲示板式の車内案内表示器や自動放送装置、ドアチャイムと当時普及途上にあった車内用設備も装備している。
営団地下鉄としては初めて車両制御情報管理装置(TIS)を採用した。
ほかにも、本形式で採用されたコンプレッサーは、08系までの営団地下鉄各型式で標準採用となった。
1983年に製造された
01系から始まる「0シリーズ」または「0x系列」と呼ばれる世代の地下鉄車両であり、その01系や、同時期に開発された02系・05系と設計やデザインに共通した箇所が見られる。また、後期車のVVVF制御装置は06系のものがベースになっている。
編成グループ別解説
1~3次車(第9編成除く)
第1~8編成が該当。1988~1990年に増備。
初期に製造された全車両が3扉車の編成。製造当初はチョッパ制御であった。
第9編成・4次車・5次車・第28編成
第9~28編成が該当。1990~1993年に増備。
中期に製造された、編成両端とその隣の車両(1・2・7・8号車)が5扉、それ以外の車両は3扉の編成。
このグループは増備途上での設計変更が多い。
- 第10編成以降は乗降扉の窓が単層ガラスから複層ガラスに変更。
- 第16編成以降は行先表示がLED式に変更。
- 第26編成以降はIGBT-VVVF制御に変更。
- 第28編成では貫通路の幅がそれまでの800mmから900mmに拡大。
6次車(第28編成除く)・7次車
第29~42編成が該当。1993~1994年に増備。
製造当初からVVVF制御の全車3扉の編成。
代替新造
2000年3月に中目黒駅構内で発生した衝突事故により、第2編成の1号車となる03-802号車が大破した。翌年に同一の車番で代替新造した車両が第2編成に組み込まれた。
なお、代替新造した03-802号車は2001年製造の銘板が取り付けてあり、新造扱いとなっている。
運用(東京メトロ時代)
本形式は直通先各社双方への直通が可能であったが、日比谷線と東急東横線の直通運転終了まで、3社を通しで直通する列車は運行されなかった。東武からの列車が中目黒で折り返し、北千住行きとなり、北千住到着後に東急直通列車として折り返す運用は存在した。
- 日比谷線:中目黒~北千住間
- 東武伊勢崎線(東武スカイツリーライン):北千住~東武動物公園間
- 東武日光線:東武動物公園~南栗橋間
- 東急東横線:中目黒~菊名間(2013年3月15日まで。副都心線と東横線の相互直通運転開始に伴い乗り入れ終了。)
修繕工事・引退
2012~2013年に第1~8編成のVVVF化が行われ、それに合わせて車内LED案内装置や車いすスペースの設置が行われるなど、小規模な修繕工事が行われた。
しかし、修繕工事はこれにとどまっていたのには理由があった。
同時期、東京メトロ及び直通先の東武鉄道では、各駅へのホームドア整備を計画しており、東武鉄道では20m4扉車が主体となっていたことより、次世代車両は規格を変更し、20m車での増備に舵を切ることになった。
2016年に13000系が営業運転を開始し、03系は2020年までに順次置き換えられ、同年2月末を持って、東京メトロでの運行は終了した。
譲渡車
本形式は「1067mm軌間を走る18m車」の要件を満たす最後の譲渡車となるためか、営団地下鉄・東京メトロの譲渡車両としては多くの事業者への譲渡が行われた。
なお、5扉車の入る編成は需要及び3扉化改造の手間から、譲渡されなかった。
なお、03系はもともと中間車両が動力車であるため、短編成化を行い、譲渡された各社では、先頭車の電装化が行われた。
熊本電鉄での形式名は03”形”。第31・32・37編成が2018年に導入された。
第31編成は2023年10月以降、熊本県のご当地キャラクターである「くまモン」のラッピングを施されている。
全線で運行され、同じく元東京メトロの01形と並ぶこともある。
長野電鉄での形式名は3000系。2020~2022年にかけて導入された。
同社は営団3000系を3500系・3600系として導入しており、2代続けての日比谷線からの譲渡となった。
第4~8編成が連番で導入され、長電では元の編成番号が若い順にM1~M5の編成記号がつけられている。
他社と異なり、3両編成での導入。
メトロ時代と同じ03系を名乗る。2020~2023年にかけて第29・30・34・39・40編成が導入された。
アクセントは同じまま、北陸鉄道のラインカラーであるオレンジ帯に変更されているが、第34・40編成は日比谷線時代と同じシルバーの帯である。
浅野川線でのみ運用されている。
なお、03系と同時期に置き換えが進んでいた02系が北鉄への譲渡を予定されていた、という噂もあったが、北陸地区であっても富山県にある解体工場への搬送を見間違えられた可能性が高い。
上毛電鉄での形式名は800形。2025年9月時点で第35・36編成が導入されており、計画では3編成の導入が計画されている。
全線で運用されている。
元第35編成は前面がパステルブルー、元第36編成は前面がフィヨルドグリーンの帯であり、側面は両編成ともフィヨルドグリーンと赤の2色の帯である。
関連作品
2010年6月に発売された「東京メトロ半蔵門線・日比谷線ダブルセット」にて、第27編成が収録。実車は5扉車の含まれる編成であったが、本製品では3扉かつ、金型もほかの0x系列や1x000系列と共通したものを使用している。
2004年に発売された、入浴剤同封の「東京地下鉄物語」にて封入。第9編成がモデルとなっている。
なお、このシリーズのチョロQはいわゆるノーマルサイズであり、双方の運転台と、中間に1枚扉という形でデフォルメされている。
1997年3月放送の「お届け途中で迷子になったゾ」にて、日比谷線内で本形式が登場するシーンが存在する。ただし、作画ミスの可能性などで諸説あり。
2015年12月のスクフェスコラボシングル告知に伴う、各メンバーに対応した各線の中づり広告ジャックにて、
南ことりの分を担当することになった日比谷線では、本形式の第15編成が使用された。
本作の聖地は日比谷線沿線の秋葉原が含まれ、さらに03系が譲渡された北陸鉄道の走る金沢も後継作の一つ、
蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブの舞台であり、03系は結果的にシリーズ2作の聖地で活躍した経歴を持つ。
追記・修正は熊電や北鉄にいるシルバー帯の車両で、メトロ所属当時を偲びながらお願いします。
最終更新:2025年09月01日 16:01